プレシーズンマッチ
【in Bangkok】 vs Liverpool
↪ 4-0 Win( 2022-07-12 )
-短評-
30人以上の選手を起用した試運転のリバプールとはいえ、ライバルから4得点を奪い無失点とこれ以上ない滑り出し。特にリザーブ組vs主力組の構図となった残り30分をペリストリの得点で1-0リードという状態で終えたのは見事。
【in Melbourne】 vs Melbourne Victory
↪1-4 Win ( 2022-07-15 )
-短評-
良い意味で予想を裏切ったマルシャルの連続ゴールや、サンチョ-ダロトの右サイドが先の試合のフロックでは無かった事が明らかになるなど攻撃面での収穫が多かった。
また、ビルドアップから除外されているマクトミネイには物足りなさを覚えるものの、フレッジは日本代表vsセレソンの試合で再評価された部分をそのままクラブで発揮し新体制でもDM1人目のレギュラーとしての立ち位置を確かなものに。
【in Melbourne】 vs Crystal Palace
↪3-1 Win ( 2022-07-19 )
-短評-
この日のピッチは試合中の大雨の影響もあってスリップによる脚の怪我を心配しなければいけない程にタフなコンディションだったが、高い強度で臨んできたクリスタル・パレスから3得点を奪い勝利。特にアタッキングサードでのフルバック間のサイドチェンジをキッカケに生まれた先制点には単なる1得点以上の価値がある。
【in Perth】 vs Aston Villa
↪2-2 Draw ( 2022-07-23 )
-短評-
中央偏重のフォーメーションで来たヴィランズの狙いを察知し、試合中にポジションを入れ替えて早い時間帯の内に対応できた事はプラス要素。しかし、後半早々にレオン・ベイリーの個人突破から失点を許したように強烈な個に対して一抹の不安が残った。
また、昨季以前から続くコーナーキック守備の稚拙さに関してもその一端が現れるような終盤の失点で連勝がストップ。
【in Oslo】 vs Atlético Madrid
↪0-1 Lose ( 2022-07-30 )
-短評-
フレンドリーマッチらしからぬダーティーなプレーを仕掛けてくるアトレティコに対し前半は優勢に進めたものの得点を奪えず、それまで多くのチャンスを生み出していた右サイドもサンチョが病気で離脱しただけで一気に質が低下するなどスカッドの層に深刻な穴が開いていると改めて実感させられた。
終盤にジョアン・フェリックスの見事なフィニッシュワークで失点し敗戦。
【in Manchester】 vs Rayo Vallecano
↪1-1 Draw ( 2022-08-01 )
-短評-
長いツアーの旅を終えてTheatre of Dreamsでの幕開きとなったプレシーズンマッチ最後の試合。新戦力のリサンドロ・マルティネスは最初のパスで技術的に並外れている事をファンに証明。移籍を希望しているとされるロナウドはようやくチームに合流したが、45分の中でらしさが見えたのは10分過ぎのシュートまでの一連くらい。
また、ユナイテッドではあまり活躍出来なかったファルカオも敵として相まみえるとやはり脅威で、コントロールショットがポストに直撃するピンチも。
個人的選手採点
●対象はプレシーズンマッチに出場した選手。
●1~10までの範囲で0.5点ずつの20段階評価。
GK
ダビド・デヘア David De Gea
採点:6.5/10
想像したよりもテン・ハフのポゼッションフットボールに適応したように見えるが、細かく見ると繋いで欲しい場面でクリアしてしまったりハイボール対応には依然大きな不安が見え隠れするなどシーズンに向けて課題は残る。
トム・ヒートン Tom Heaton
採点:6.5/10
プレシーズンのパフォーマンスのみを見ればどちらが正GKでも不思議ではないというくらい非常に安定したパフォーマンスを続けた。2ndGKとしては申し分ない。
DF
ディオゴ・ダロト Diogo dalot
採点:8.5/10
ビルドアップ時の複雑なポジショニング、オーバーorアンダーラップの使い分けとテン・ハフ流で難しいタスクを請け負うフルバックのポジションをほぼ完璧にこなした。
高配点はサンチョとのユニット単位ありきではあるが、2者が揃った試合ではいずれもこの場所から得点が生まれているのでシーズンでも大いに期待したい。
イーサン・レアード Ethan Laird
採点:6.0/10
プレシーズン序盤はただバックパスをする機械といった印象で持ち前のキャリー能力が鳴りを潜めていたが、ラージョ戦の後半で遂にらしさを出す事に成功。ただ、今すぐトップチームの水準をクリアできるかと言えば首を縦には振りずらく、報道の通りもう1年ローンで試合経験を積むのが得策か。
アーロン・ワン=ビサカ Aaron Wan-Bissaka
採点4.5/10
端的に言えば11人制の中で1人少人数のストリートフットボールを行っているようなシーンが目立ち、良くも悪くもあらゆるプレーが彼個人で完結してしまっている。対ドリブラーへの強さは魅力だが、一向に周りとの呼吸が合わずプレシーズンでも評価を落としRB3番手評価。
ルーク・ショー Luke Shaw
採点:7.5/10
あまり話題に上らないが、トラップの安心感はチームでも1,2を争うと思っている。オンボールのクオリティに関しては最早心配不要という所まで来ているが、採点が伸びきらなかった理由はタフネスの部分とネガティブトランジションのムラの大きさ。
タイレル・マラシア Tyrell Malacia
採点:7.5/10
初出場となったリバプール戦では肉弾戦で後手に回る場面も多く、プレミアリーグのコンタクトに耐えられるかどうか不安になったが、出場する度にパフォーマンスを向上させており、ショーのスタメンも安泰とは言えなくなるかもしれない。
今となっては£15Mの移籍金はバーゲンにすら思える価格。
アレックス・テレス Alex Telles
採点:6.0/10
ショー、マラシアの出来が良く、構想外に近い立ち位置となってしまったが、それでもめげずに本職以外にCBやDMにも挑戦。 結果としてそのプロフェッショナルな姿勢がセビージャへのローン移籍を勝ち取ったとも言える。
ラ・リーガとの相性は抜群だと思うので新天地で居場所を掴んで欲しい。
ハリー・マグワイア Harry Maguire
採点:8.5/10
昨シーズンは心身ともに入団以降ワーストと思えるほどの状態で出場すれば毎試合のように致命的なエラーを重ねていましたが、心機一転の今プレシーズンは最後の壁として失点を直接阻止したシーンや持ち前のフィード力を取り戻しMVP候補の1人に。
テン・ハフ体制ではそれまでの左ではなく右のCBとして固定される。
ヴィクトル・リンデロフ Victor Lindelöf
採点:7.0/10
ユナイテッド加入前は攻撃センスの高さを買われていたアイスマン。マグワイアとの兼ね合いで左に配置転換されましたが何らパフォーマンスを落とすことなく安定したプレシーズンを送った。 若干の気がかりはマグリンデユニットの機動力の低さと時折出る彼自身の勇敢さに欠けたプレー。
リサンドロ・マルティネス Lisandro Martínez
採点:7.0/10
出場したのは最後の1試合のみだが、想像以上に低く見える身長のデメリットを覆い隠すパス能力の高さやカバーリングを見せる。綺麗なバックスピンをかけたロングレンジのパスはアタッカーにとって次のプレーに移行しやすい最高のプレゼントになり得る。
ラファエル・ヴァラン Raphaël Varane
採点:5.5/10
自陣深い位置でボールを保持している際の縦パスをカットされピンチに繋がった場面が何度もあり、守備面でもらしくない対応が散見されるなど大きく評価を落としてしまった選手の1人。今のままでは出場機会は激減してしまうだろう。
エリック・バイリー Eric Bailly
採点:7.5/10
リバプール戦、メルボルン・ヴィクトリー戦と連続でアシストを記録し後方からの大胆な攻撃参加でアピールに成功。ただ、それが赤い悪魔での今後に繋がるのかと問われると微妙なところで、恐らくは現在も換金候補の1人としてみなされているだろう。
ウィル・フィッシュ Will Fish
採点:4.0/10
短い出場時間だったが、トゥアンゼベ負傷によってチャンスを得た試合で一発レッドカードを提示され退場するという悪夢を経験。ストックポート・カウンティへローンした昨季前半は全く出場機会を得られなかったが、20歳も近づきそろそろプロフットボールで経験値を積まなければいけない。
MF
ジェイドン・サンチョ Jadon Sancho
採点:9.0/10
最後の2試合は病気で欠場したが、文句なしでプレシーズンのMVP。右サイドでどれだけやれるのかという疑問があったが、ダロトとのユニットはリーグ1番の縦関係になれるポテンシャルを感じる程。昨季のプレーを見るに最大限の力を発揮できるのは左サイドだが、補強がうまく進まない場合はこのままRWに落ち着く予感。
ファクンド・ペリストリ Facundo Pellistri
採点:6.5/10
プレーの幅は広くないが、リバプール戦で見せたようにフィニッシュワークの落ち着き様には大物感。それ故にラ・リーガへのローンで全くゴールが生まれていない事が不思議なくらいだが、このクラブで生き残るには大外からの斜め侵入以外の得意パターンを確立したいところ。
タヒス・チョン Tahith Chong
採点:4.5/10
RWとして自身に求められている事が何なのか分からないといった印象で、単純なトラップのズレなど粗が目立ってしまった。1人のプロフットボーラーとして岐路に立つ年齢でもあり、今後のキャリアを考えるとバーミンガムでプレーしたBox-to-Boxへの本格転向も手段の1つ。
スコット・マクトミネイ Scott McTominay
採点:6.5/10
控えにいてくれると心強いがレギュラーとしては物足りない、そんな評価を覆すことは無かったが、現スカッドでは彼が最も右DMのスタメンに近い事は確か。ウォールパスを使った攻撃参加や時折見せる中央でのキャリーは魅力だが、ビルドアップ時には2列目に配置されるように組み立て能力には現状期待できない。
ドニー・ファン・デ・ベーク Donny van de Beek
採点:6.0/10
どのポジションで使われても気づくと中央やや左に寄っている、そんな印象を受ける選手で、確かにボールプレーの得意な選手が周りに集まった際のダイレクトプレーは他にはない長所なのだが4-2-3-1の2としては使いづらいのが正直なところ。
また、攻→守の切り替えで手を抜くケースにちらほら出ているのもマイナス。
ジェームズ・ガーナー James Garner
採点:6.5/10
本来ならばもっと多くの時間を使ってチームに残すかローンかを判断したかったであろう選手ですが、小さな怪我もあって思うようなプレシーズンとはいかなかった。
ラージョ戦では闘志溢れる守備で一定のパフォーマンスを発揮したが、フォレストで見せた得点に直結するようなパスは見られなかった。ガーナーの実力はまだまだこんなものでは無い。
フレッジ Fred
採点:8.0/10
豊富な運動量は勿論のことですが、このプレシーズンではロブパス一本でチーム2点目のゴールをお膳立てしたように得点に直結する貢献が目立つ。ビルドアップではサリーダして最終ラインに入りボールを前に運ぶ役目を担い、これまでに見られた突発的なエラーも殆ど無かった。
ジダン・イクバル Zidane Iqbal
採点:7.0/10
物怖じせず積極的にドリブルでボールを運ぶ度胸とそれを可能にする技術の高さ、トップチーム定着を狙うアカデミーの選手ではガルナチョと並び自己アピールに成功した選手の1人。strengthの面で更なる向上は必須だが、フレンキー・デ・ヨングの加入が見込めなくなりそうな気配を感じる右DMにおいて推進力の高さを買われ抜擢される可能性も十分にありそうだ。
チャーリー・サヴェージ Charlie Savage
採点:6.0/10
リバプールの主力組に対峙しても平静さを失わない10代らしからぬ肝の据わり具合は魅力的。出来ればチャンピオンシップかリーグ1のクラブへのローンでプロフットボールの出場経験を積ませていきたい。
イサク・ハンセン=アーロン Isak Hansen-Aarøen
採点:none
僅か10分足らずの出場だった為採点は無しとしたが、出場直後にスルスルっとボックス内に進出してハンニバルのパスからシュートを放つなど才能の片鱗を見せる。何と言ってもボールを持っている際の間合いが良い。
ブルーノ・フェルナンデス Bruno Fernandes
採点:7.5/10
ブルーノ依存からの脱却はマンチェスター・ユナイテッドの1つのテーマだと考えているが、プレシーズンを見る限りビルドアップ~フィニッシュワークまで全てに関与させるという状況は解消されつつあると思う。スペシャルでは無かったが相変わらずパスのアイディアには度肝を抜かされる場面が多く、今季も10G10A以上を期待したい。
クリスティアン・エリクセン Christian Eriksen
採点:7.0/10
低弾道でどこまでも伸びていきそうなポール・スコールズを彷彿とさせるロングパスでデビュー直後から観客を沸かせたエリクセン。彼に関しては10番でも6番でもコンディションさえ整っていれば何の心配もなく、このレベルの選手をフリートランスファーで獲得出来たのは本当に幸運だと思います。
ハンニバル Hannibal
採点:5.5/10
彼に関してはプレー面よりも感情のコントロールが一番の課題。熱くなる事は一概に悪いという訳ではありませんが、U-23でもカードコレクターっぷりを発揮しているようにこのままでは必要以上に審判からも警戒されて毎試合のように警告が積み重ねってしまいかねない。プレイメーカータイプにしては守備も懸命にこなす部分は長所。
アマド Amad
採点:6.5/10
アマドもラージョ戦で一気に評価を取り戻した選手で、先制ゴールは勿論のことですが自身でボールを奪ってから相手のタックルを受け流しペナルティボックス手前でFKを獲得したプレーが本当に素晴らしかった。フォルスナイン起用が多かったですが、左利きのアタッカーという事でRWのバックアップにハマってくれるとチーム事情的にはありがたい。
ショラ・ショレティレ Shola Shoretire
採点:5.5/10
14歳でUEFAユースリーグのリストに入り、ここまで順調に各カテゴリーをパスしてきた期待の選手でU-23ではエース格だが、プレシーズンではイクバルやガルナチョの後塵を拝してしまった。これは昨年から考えている事だが、パサーとして資質が高いので後ろのポジションにコンバートしても面白いと思う。
マーカス・ラッシュフォード Marcus Rashford
採点:7.5/10
シーズン前のEURO2020のPK戦に始まり、リーグでも4ゴール2アシストに終わった悪夢の1年から再起を図る我らが10番。身体のキレはコンディション良化を伺わせるもので、プレー選択の甘さはありますが昨季のような体たらくに終わる事は取り敢えず避けられそう。クラブを今後10年背負って立つべき存在なのは明らかなので、サンチョを左に回す必要がないくらいの活躍を見せて欲しい。
アンソニー・エランガ Anthony Elanga
採点:5.5/10
使われる側かつオープンな試合展開で輝く選手で、今のところポゼッションでは消えてしまう時間帯が多く出場機会の確保に苦戦すると考えられる。持ち前のスピードと献身性は残しつつ、ボールプレーの改善に期待できる環境にローンさせたい。
アレハンドロ・ガルナチョ Alejandro Garnacho
採点:7.5/10
正にワンダーキッド。先発したラージョ戦では対面のRBを手玉に取るかのようなテイクオン(仕掛けのドリブル)を連発しオールド・トラッフォードのユナイテッドサポーターを魅了させた。この逸材をクラブに残す為に必要なのはトップチームでの出場機会、早急に契約延長を成立させつつ将来のプランを綿密に練り上げなければいけない。
FW
アントニー・マルシャル Anthony Martial
採点:8.0/10
セビージャへの半シーズンローンでも結果を残せず、放出が既定路線と思われていたがプレシーズンの活躍で信頼を勝ち取ったように見える。安定してゴールを奪いポストプレーもよくこなし、課題の守備でも今のところ精力的。一先ずは合流の遅れたロナウドを差し置いてNo.9のファーストチョイスに収まる事はほぼ間違いない。
クリスティアーノ・ロナウド Cristiano Ronaldo
採点6.0/10
フットボール史上最高の選手でもいきなり新体制に適応する事は難しいというのが良く現れたラージョ戦。パサーとしての資質をアピールするスルーパス等もあったがライバルとなるマルシャルの出来が現時点でより優れている為昨季リーグ18得点を挙げたエースも無条件のスタメン確保とはいかない。