いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #BOUMUN 】一貫性のない主審がゲームを破壊する

※25/26 イングリッシュプレミアリーグ

AFCボーンマスvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。

 

これでボーンマスに対して6試合勝利無し。あまりフォーカスされてきませんでしたが赤い悪魔はチェリーズの大の苦手としているのでこの結果は正直覚悟していました。だた、今回勝利出来なかった大きな原因であるスチュアート・アトウェルの酷いジャッジにはうんざり。

 

 

 

 

 

【Match Review】

Starting lineup

ベンチ入りボーンマス
7 Brooks, 11 Ben Doak, 15 Adam Smith, 18 B.Diakité, 22 Kroupi, 26 E.Ünal, 27 Tóth, 29 C.Mandas, 44 Milosavljevic

マンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 7 Mount, 11 Zirkzee, 12 Malacia, 25 Ugarte, 26 Heaven, 30 Šeško, 33 Fredricson, 39 T.Fletcher

 

 

前半

 

非常に高い強度で進んでいくバイタリティ・スタジアムでのプレミアリーグ第31回戦。そうなってくると個々のトランジションやスペース管理の能力差が嫌でもハッキリとしていき、ユナイテッドが押し込んで最終的にアマドのシュートが弾かれた後のボーンマスのカウンター、04:07~の場面におけるメイヌーの判断は悪い意味でその象徴だった。

 

ユナイテッド視点右サイドペナルティボックス角付近でアミン・アドリにボールが渡る瞬間、メイヌーは距離を狭めてボールホルダーに近付いていったが、前を向く前に潰しきれる距離感では無かったにもかかわらず中央を空けてサイドに出ていった事でアドリは楽に前方の味方へパスを入れられるようになり、無人のスペースをタヴァーニアがキャリー。その後ショーとのロングスプリント勝負に勝ったライアンへのスルーパスが通り、最終的にファーポストを狙ったグラウンダーショットが逸れた為命拾いしたものの、ビッグチャンスまで繋がってしまった。

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判断エラーを足の速さや心肺機能の高さや脚の長さなどから来るカバー範囲の広さといったフィジカル的な資質で取り返せるタイプではない以上、メイヌーは状況判断の正確性を高めていくしかないのだが、現状はポゼッションでもアウトオブポゼッションでもその瞬間にどこに立つべき/動くべきなのかあまり分かっていないように見える瞬間が多い。正直今の彼が不動のスタメンになるようでは優勝は夢物語だろう。

 

劣勢だったユナイテッドは左サイド大外に張るクーニャが相手RBアレックス・ヒメネスとの1on1で質的優位を作れる事に気が付くとポゼッションの中心が右から左に代わり、徐々に試合の主導権をホームチームから奪い返していく。

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チェリーズで気になったのはマン・シティへ移籍したセメンヨの後釜としてヴァスコ・ダ・ガマから獲得した19歳のブラジル人アタッカー,ライアン。180㎝台後半と身長面の弱みがなく、更にこの年齢ながら既に身体の厚みはプレミアリーグ水準程度にはあり、大きなフットワークとそれに見合わぬ柔軟なボールスキルは前任者を思い出させる。更に守備の意識はセメンヨよりも高いように見え、怪我無く順調に経験を重ねればとてつもないところまで到達しそうな期待感を持てるワンダーキッドだった。

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また、彼らの強みは中盤構成にもある。アレックス・スコットは攻守に大きな欠点のないオールラウンダーでパスも正確性重視でエラーが少ない。タヴァーニアとクリスティーは若干プレスバックの緩い場面もあるがパス・キャリーの両面においてビルドアップからチャンスクリエイトまでの幅広いフェーズで貢献出来るプレイメイカー。そして3人ともにそれなり以上に動けるのでトランジションゲームに真っ向から立ち向かうことが出来、カオスを重視するアンドニ・イラオラにとっては欠かせない選手。とくにスコットはボールを持つ際の姿勢が良く、周囲の状況を常に把握しているのでプレス耐性も高い。不安があるとすればハードコンタクトへの耐性と離脱なくフルシーズン戦いきれるかという耐久力くらいで、やれと言われれば10番の役割も完遂してくれるだろう。

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ユナイテッドの前半最大のチャンスは35分。ボーンマス陣内でのポゼッションから、中央でパスを受けたカゼミロが右サイドのペナルティボックス内で待つアマドに斜めのパスを入れ、カットインを意識付けたところでアマドは外側を走るダロトを使う。最後はダロトのゴール前を通過してバックポスト側に落とす見事なチップキックにブルーノがダイレクトボレーで合わせたがシュートはペトロビッチの正面に飛んで得点ならず。ただ、相手の目線・身体を大きく動かすような形としては完璧な攻撃だった。

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10分辺りからは継続的にユナイテッドがゲームの主導権を握る内容だったのでそれでいて得点を奪えずに前半を終えた事は痛かったが、大の苦手にしているチェリーズ相手、しかもアウェイという点を加味すれば悪くない45分。

 

後半

 

ボーンマスのDF陣は単純な競り合いに関してあまり強くなく、前半に引き続きラメンスのフィードをエンベウモやクーニャが収めて定期的に得点機会まで繋げる事が出来ており、ハイプレスでビルドアップに苦しんでいる状況も相まって中盤を省略して手数の少ない攻撃でボックス内を陥れるケースが増加。

 

59分、ラメンスのロングフィードを左ハーフレーンでクーニャがアレックス・ヒメネスとの駆け引きに勝って胸でのファーストタッチで収めると、そのままボックス内へ運んでいき、アレックス・スコットのプレスバックで相手がダブルチームになりかけた中の一瞬の隙、両者の間のスペースを見逃さずにカットインを試みると、たまらずユニフォームを引っ張ったヒメネスの対応によってPKを獲得。

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ペナルティスポットにボールを置いたブルーノは大きく息を吐いて心身を整えると、お馴染みのステップで前半に決定機を防がれたペトロビッチを揺さぶり、我慢しきれずに相手が動いたのを確認した後にその逆方向にボールを流し込んでマンチェスター・ユナイテッドが先制!!

 

リードを手にしたユナイテッドは全体的に前掛りになる+時間経過で足が重くなり、特に守備時のクリスティーの細かいポジショニング修正が遅れるようになった事で生まれたボーンマスの中盤のスペースを起点に積極的に次の1点を狙いにいく。

 

後から振り返った際に試合展開を左右する事象、それも人為的エラーとなってしまったのは67分のユナイテッドのカウンター。メイヌーのパスがイレギュラーしたところを上手くコントロールしたブルーノのロブパスで右サイドのアマドにオープンな状況でボールが渡ると、一番得意なシチュエーションに水を得た魚の如く切れ味鋭いテイクオンを発揮したコートジボワール代表アタッカーのカットインに対して、対面するトリュフォーは先述のヒメネス同様に手を使って対応してしまいこれはPK間違いなしというケースだったのだが、何故か主審スチュアート・アトウェルは一旦笛に手をかけたところで突然動きを止めて試合続行。

 

しかも、完全に呆気にとられたユナイテッドを尻目にボーンマスが直後のカウンターで同点弾を決めるという最悪の結果までついてきた始末で、ハッキリ言ってこのプレーに対してPKを宣告できないのであれば即刻審判を辞めた方がいいレベルのエラー。更に言えばVARもこれに対して正しい助言を出来ないのであれば存在する意味がない。そのVARもあのクレイグ・ポーソンだったので起こるべくした起こった感が強いが、このようにPGMOLは以前からマンチェスター・ユナイテッドに対して不当に厳しい判定を積み重ねており、好き嫌いで判定を変えているような節すらあるのはファン/サポーターならば誰もが知るところ。

 

本来は存在しないゴールではあるが、この同点弾そのものについて触れると、直前のファウル(になるべきプレー)の張本人であるトリュフォーはアンダーラップのタイミングとコース選びが上手く、シューターとなったクリスティは全く予備動作をとらず普通にボールタッチをするような流れから意表をついたインサイドキックでラメンスの手の届かないサイドネットにボールを流し込むという技術力と使い分けられるキックの手数の多さが光った内容。

 

怒り心頭のアウェイチームだが、やる事はそれまでと変わらずボールサイドに人を集めるチェリーズの守備に対してサイドチェンジから一気に攻め立てる、特にクーニャvsヒメネスの盤面を作るという目標を持ちながらチャンスを生み出していく。

 

71分、そのクーニャのテイクオンで獲得した左サイドからのCKでブルーノのバックポストへのインスイングキックに待ち構えていたマグワイアに対し、大きな上半身でブロックされていたジェームズ・ヒルがボールをクリアしきれずオウンゴールで再びユナイテッドがリードを手にした!!

 

元からハイボールに対して付け入る隙があったボーンマスに対し、コーナーキックの直前でエンベウモに代えてシェシュコを投入しダブルチーム前提でマークしなければならないような強力なターゲットがマグワイア,カゼミロ,シェシュコと3枚に増えた事もこのゴールの背景にあると個人的には考えている。

 

なお、失点後のホームチームは一挙3枚の選手交代を行い、クーニャ相手に劣勢かつ時間経過による動きの鈍化も考慮してヒメネスをアダム・スミスに変えた以外はブルックス,クルーピと攻撃の変化を加えるカードを切ってきた。

 

76分、セネシからの縦パスをFW-MFライン間で受けたスコットがスムーズな反転から姿勢を整えて強烈なミドルショットでクロスバーを叩いたシーンがあったが、レシーブ直前のスキャニング、身体をスッと開いてターンを滑らかにする予備動作、蹴り足着地でボールに体重を乗せるシュートと全てが美しく、改めて1人の選手としての完成度の高さを目の当たりに。正直彼が今回のイングランド代表に選出されていないのが不思議でならない。

 

ホームチームの攻勢は続き、78分にはCB前でタヴァーニアの縦パスを引き出し、なおかつボールを利き足側のマイナス方向へ動かすクルーピの実践的なファーストタッチ→咄嗟の身体制御や状況判断の苦手なマグワイアを突くスルーパスで最終的にエヴァニウソンに対するボックス内でのファウルを誘発させてPKを獲得。さらにDOGSO適応のファウルだった為マグワイアは一発レッドで退場となった。

 

正直このファウルはマグワイアが軽率すぎる。何故手で相手を突き飛ばしたのか理解に苦しむ対応で、仮にシュートを撃たれたとしても角度的に簡単ではなく、なおかつ失点したとしても11人ならばまだ3度目の勝ち越しを十分に狙える展開だった。

 PKはクルーピが冷静にラメンスの逆をついてチェリーズが同点に追いつく。

 

10人になったユナイテッドはクーニャとカゼミロを下げてヘヴン,ウガルテを投入。ブルーノを左サイドにスライドさせて4-2-3でカウンターのワンチャンスを狙いつつ、基本的には両ウイングをCMラインまで落とし4-4-1のローブロックで耐え続けるという展開。

 

一方、数的優位となったチェリーズの方は少しペースが落ちてしまい、ライン間やDF裏を取るオフボールが少なく、ポゼッション率だけが上がっていくような手詰まりさを見せてユナイテッドにとっては嬉しい誤算に。最終スコアは2-2のドロー。

 

 

データ

 

Standard

 

最終的なスタッツはシュート数16:14、オンターゲットも5つで並びポゼッションでは終盤にユナイテッドが10人になった影響でスコアに開きが出たがほとんど五分の内容と言っていい。ボーンマスはブロックではなくプレッシングでボールを奪う積極的なスタイルで、特にユナイテッドの左サイドでのビルドアップを徹底して狙っていた。その証拠としてマグワイアとショーのパス成功率は80%を下回っており、彼らにストレスをかけ続けた成果がマグワイアの退場だったのかもしれない。

 

ボーンマスはシーズン単位での空中戦勝率がリーグ全体でバーンリーに次いで低く、セットプレーの失点数もブービーなので、トランジションゲームに付き合う事は出来れば避けたいものの、ロングボールを活用するのは非常に有効的だった。

 

xG

参照:

Bournemouth 2 - 2 Manchester United (March 20 2026) | EPL | 2025/2026 | xG | Understat.com

 

ゴール期待値は僅か0.02差に収まる大接戦で、ホームチームとしては10人の相手に僅かxG0.13しか加算できなかった80分以降の拙攻を悔やんでいる事だろう。ボックス内からのシュート数はユナイテッドに分があるので、アウェイチームとしても本当にあそこでファウルを犯してまで止める必要があったのか、マグワイアには深く反省してもらいたいが。

 

 PASSING NETWORKでも左サイドからのビルドアップに苦労した形跡が現れており、右サイドと比べると明らかに線の数が少なく距離感も空いている。ボーンマスの方を見るとセネシ、スコットの2人がポゼッションのキーマンである事が分かる。この2人はポジション的な希少性を含めて夏のマーケットで他クラブからの関心を集めるのではないかと思う。

 

特にセネシは今夏フリーになる事、そしてDeep-Deep-Lying Playmakerとでも表現すればいいのか、CBながら長短のパス、そしてキックの種類を使い分けて決定的な貢献が出来るので争奪戦になる予感。

 

 

あとがき


インターナショナルウィークを挟むので次の試合までは20日ほど間が空きます。ただ、この試合の先発メンバーで言えばショー,ヨロ,エンベウモ以外は代表戦が待っているのでむしろ疲労を溜めて帰ってくると考えた方がいい。なので、キーマンは名を挙げた3名+同じく代表戦の無いシェシュコ、そして復帰への道筋が見えてきたドルグになるでしょう。

 

 

【 #MUNAVL 】6ポインターを制し3位確保へ大きく前進

※25/26 イングリッシュプレミアリーグ

マンチェスター・ユナイテッドvsアストン・ヴィラ戦の記事です。

 

カゼミロのセットプレーターゲットとしての優秀さ、更にブルーノの魔法のようなチャンスクリエイトで最重要だったヴィランズ戦に勝利しセント・ジェームズでの鬱憤を晴らすと共に3位確保を大きく引き寄せる週末となりました。

 

 

 

【Match Review】

Starting lineup

ベンチ入りマンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 3 Mazraoui, 7 Mount, 11 Zirkzee, 12 Malacia, 25 Ugarte, 26 Heaven, 30 Šeško, 39 T.Fletcher

アストン・ヴィラ
3 Lindelöf, 9 H.Elliott, 14 Pau Torres, 16 A.García, 18 T.Abraham, 21 Douglas Luiz, 22 Maatsen, 31 Bailey, 40 Bizot

 

マウントがマッチデイのスカッドに入るのはキャリック体制2試合目のアーセナル戦以来2カ月弱ぶり。今季こそはと期待を寄せていたが、やはり彼が年間を通して健康な状態を維持するのは難しい。

 

前半

 

プレス隊のリーダーになれるブルーノとエンベウモをOM-CFで共演させている事で前プレのタイミングやプレスラインが明確になり、非常にまとまった守備体制が整ったユナイテッド。カゼミロも週一かつリカバリーの工程を増やしたキャリック体制になって縦のカバー範囲が広がっており、1stプレスの背後やMF-DFライン間でボールを受けようと侵入してくるアストン・ヴィラの選手に対して素早く迎撃する事が出来た。

 

一方アウェイチームはブエンディア,モーガン・ロジャーズと純粋なウインガーではない選手を両サイドに配置しているように狙いは明確に中央からの打開。ポゼッション時にはバークリーがアンカー化してCBからの中継地点となり、LBのディーニュが幅を取る3-1-4-2でアマドゥ・オナナはそのフィジカルを最大限活かすダイナモ運用。守備ではブエンディアがCMラインまで降りて4-3-3で対処し、ワイド攻撃を狙うマン・ユナイテッドに対して面で対応する事を意識していた。

 

ユナイテッドについて、左サイドのバランスが悪くなっていた要因であるフリーダム過ぎたクーニャに関してはキャリックの指示なのか大外に留まるようになり、ショーはワイドCBとして3バック時代の経験を活かしかなり改善した。しかし右サイドはアマドがハーフレーンに入りダロトが大外でウイングプレイというやや本末転倒感もある位置取りが多く、ある意味ダロトが器用過ぎてこれという形にこだわらなくても済んでしまう事もダロト-アマド間の連携がいまいちしっくりこない理由の一端かもしれない。

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全体像で言えば対強豪、特に時間と空間の余裕が少なくインテンシティとインテリジェンスがより重要になる前半はエンベウモ-ブルーノラインを絶対に崩さない方がいい事はこの試合を見てもよく分かり、オープンな状況でよりそのフィジカル的優位性を発揮しやすいシェシュコのスーパーサブ起用とそれがハマっているのも理に適っている。

 

ミドルサードからファイナルサードにかけて、ユナイテッドは積極的にスクエアパス(サイドチェンジ)を用いウイングvsフルバックの1on1を狙っていたが、これはアストン・ヴィラの両サイドが高めに位置取りする上に元々守備対応が甘いディーニュ、本職は中盤でキャッシュ不在のためRBに使われているボガルデという布陣だった事も影響しているだろう。実際にクーニャvsボガルデ対面では、アストン・ヴィラの右ウイングであるモーガン・ロジャーズのプレスバックが緩めな事も作用してかなりホームチーム優位だった。

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ユナイテッドの最初のビッグチャンスはCKから。22分、右コーナーからブルーノの放つファーサイドへのアウトスイングクロスをマグワイアが中央へ折り返し、アマドが合わせたがエミ・マルティネスのファインセーブに阻まれる。

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アバウトに当てさせるならマグワイア、より直接的にゴールを狙うならカゼミロというそれぞれの特徴を踏まえたセットプレーが多いキャリック体制はCKの質を引き上げたアモリム時代を踏襲しつつより個々の特性を重視している印象がある。

 

先述したが基本的には中央でボールを奪いたいヴィラ、対してサイドチェンジから瞬間的な数的・質的優位を生み出して打開を狙うユナイテッドという構図が根っこにある中、38分にはブルーノのロブパスに右大外から斜めに走りこんだダロトがファー側のポケットでボールを受け取り決定機を創出したが、完璧なオフボールからため息の漏れるフィニッシュワークという彼の欠点が出てしまい先制ならず。守備時4-3-3ベースの相手に対し3-2-5で押し込む事で大外がフリーになるという構造上の欠点を突いた良い攻撃だったので本当に勿体ない。

 

ヴィランズの誤算はまずワトキンスがヨロに完封された事だろう。衛星として動くマッギンをトップ下に置き、ワトキンスがハーフレーンで縦パスを収めて少ないパスでゴールまで結びつけるような攻撃を狙っていたと考えられるが、ロングボールでも1on1でもことごとく20歳のCBに対応されシュートも1本たりとも打てなかった。更に、ロジャーズを左ではなく右に配置した事も昨年12月の対戦時に45度からの理不尽なインスイングシュート2発で負けているユナイテッドを助ける結果に。

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後半

 

HTの入れ替えは無く同じ22人で後半開始。右サイドを起点に陣地を獲得していき、タイミングを見計らってクーニャへサイドチェンジという2つの軸でアストン・ヴィラを自陣に押し込んでいくユナイテッド。

 

ヴィランズはロジャーズが下がり目でボールを受けるようになり、彼やバークリーが長い距離を運ぶカウンターに近い展開が増え、試合自体も前半とは打って変わりオープンな打ち合いへ変わっていった。

 

53分、カウンターからのエンベウモのシュートをエミ・マルティネスが見事なセーブで凌がれたユナイテッドだったが、その後のCKでブルーノのアウトスイングクロスに対しメイヌーと縦に並んだところから一気にニアへ走りこんでフリーになったカゼミロが軌道をずらしてファー側のサイドネットにボールを落とす技ありのヘディングを決めて先制!!

 

カゼミロのマークがバークリーだったのがそもそもミスマッチだと思わなくも無いが、ここはスクリーンプレーでターゲットマンを自由にさせて斜め移動でファー→ニアで合わせるというシンプルだが効果的な赤い悪魔のCKのデザインとそれを得点に結びつけられるカゼミロの当て感の良さを褒めたい。

 

ビハインドを負ったヴィラはよりダイレクトにペナルティボックスへボールを入れるようになり、オナナの理不尽なフィジカルとロジャーズのレンジの広さといった個々の強みを押し付けてユナイテッドを追い込んでいく。

 

すると、コーナーキックからの2次攻撃でディーニュのグラウンダークロスが丁度誰もいないスペースを転がっていき先程マークを見失ってしまったバークリーが汚名返上の一撃を決めて同点に。これはアマドがボールの行方を確認せず大外のマークを放棄してボールを奪った後の事に気を取られていたのかフラフラとペナルティアーク付近に出ていった事が直接的な原因だろう。

 

同点になって落ち着くかと思いきや引き続きターンオーバー合戦のオールド・トラッフォード。71分、ヴィラのカウンターをヨロのインターセプトで止めると、マッギンとの交代で入ったレオン・ベイリーやロジャーズは失った後の切り替えが遅く、大きなボディアクションで不満を示すのみ。

 

よって赤い悪魔はミドルサードをほぼノンプレッシャーで侵攻し、左サイドに流れてカゼミロからの横パスを受けたブルーノはその前のエンベウモのランで広がったチャンネル(CB間)を狙うクーニャにキラーパスを送る。そして背番号10はゴールに対してやや角度がきつくシュート体勢を作りづらいという問題を身体を倒して打つ事で解消しゴールキーパーもお手上げというファーポストへのグラウンダーショットで価値ある勝ち越し弾をマーク!!

 

プレミア通算100アシスト目となったブルーノのパスの質、身のこなしの上手さで得点への道を切り開いたクーニャの個人解決能力の高さは勿論素晴らしいが、ここは潰れ役となった後のゴールを演出したエンベウモを褒めたい。彼のランが無ければコンサの集中が一瞬でも切れる事は無かったと思われ、調子が悪くてもその時自分がやるべきことを分かっていてなおかつチームプレーが出来る選手というのは何人いても良い。

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そのエンベウモに代わり75分からはシェシュコがピッチに登場。先発人員が疲労している終盤に理不尽なフィジカルを押し付けるというのはいつの時代でも脅威になる。そして彼はブルーノとコミュニケーションを取る姿が頻繁にカメラに抜かれている事からも分かるように向上心が高く常に何かを得ようとするところも長所だ。

 

80分から81分にかけてのユナイテッドは右サイドタッチライン際から狭いスペースで少ないタッチでボールを繋ぎ、相手を密集させたところで一気に左大外のクーニャにロングパスで解放というこの試合で狙い続けた形からアタッキングサード深い位置に侵入すると、クーニャのクロスはコンサにブロックされるが、それがボガルデにディフレクトして再びゴール前に戻ってきたボールをシェシュコが振り向きざまの反転ショットで決めきって貴重な追加点をゲット!!

 

終盤は正直アストン・ヴィラの拙攻に助けられた部分も大いにあったが、スコアは3-1から変動せずマンチェスター・ユナイテッドは天王山と言ってもいい6ポインターズを制して今季リーグ戦15勝目。

 

データ

 

Standard

 

シュート数は16:9、オンターゲットも6:2でマン・ユナイテッド優勢。他のスタッツは拮抗しているが、おおよそ僅差でユナイテッドが上回っている。(悪い意味ではファウル数も……)

 前半は締まった流れだったが後半に入りプレー強度が落ちていくと徐々にオープンな展開となり、シュート数を前後半で分けると前半は6:2、後半は10:7と全く違う内容が見えてくる。

 

個人に目を向けると、2節前のクリスタル・パレス戦でマンチェスター・ユナイテッドでの公式戦通算100アシストを達成したばかりのブルーノはその後も得点に関与し続け、今回2アシストを記録した事でプレミアリーグでの通算100アシストもクリア!! ユナイテッドではライアン・ギグス、ウェイン・ルーニーに次ぐ3人目のプレミア100G-100Aクラブ入りとなり、名実ともに赤い悪魔を象徴するレジェンドの1人である事にもう間違いないでしょう。

 

また、カゼミロへのキックでデイヴィッド・ベッカムに並んだ後、クーニャへのラインブレイクパスをもってシーズン通算のアシスト数もクラブ記録を更新する16に達しており、更にはプレミアリーグの記録であるティエリ・アンリとケビン・デ・ブライネの20アシストの数字越えすら残り8試合で5アシストと今のブルーノならば決して不可能な数字ではありません。新記録樹立が現実味を帯びてきました。

 

xG

参照:understat.com

ゴール期待値では実際のスコアよりも差が小さく、ユナイテッドのリードは0.5ポイント弱だった。ただ、コンスタントにボックス内での得点機会を作っていて、ゴールエリアの縦軸の延長戦上で殆どのシュートを放っているように内容としては中々良かったのではないか。欲を言うとブルーノのアシストが付きそうなチャンスがあと2,3回はあったのでそれを決めきってアシスト記録に向けて数字を積み上げたかったところではあるが。

 

 PASSING NETWORKを見ると各セクションでのダブりがなく、ダブルピボットもしっかり段差が生まれていて全体のバランスも良い。ポゼッションの質という観点ではやはりエンベウモのCFが現状一番いい選択肢という事は間違いないだろう。また、左サイドもクーニャが外に留まってくれるようになって機能するようになり、両サイドでアイソレーションから強力な個の力で崩すという形を作れるようになったのは成長。

 

あとがき


順位表で並んでいた相手に対して勝つという事は実質勝ち点6を奪ったに等しく、なおかつチェルシーやリバプールも勝ち点を落としたマッチデイだったのでユナイテッドにとってはシーズンを左右する極めて重要な勝利となった。

 

更に言うと次節は苦手ボーンマスとのアウェイ戦なので、そういう意味でもここで一旦リードを生み出せたことは精神的な余裕に繋がってくる。フライデーナイトの試合で勝ち点3を得られればライバルクラブにもプレッシャーを与えられるはず。

 

 

【 #NEWMUN 】遂に敗戦。10人でもSt James'は鉄壁だった

※25/26 イングリッシュプレミアリーグ

ニューカッスル・ユナイテッドvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。

 

いずれこういう試合が訪れる事は内容を見ていても分かっていたのでこの敗戦そのものにそれほど落胆はありませんでしたが、リバプール、アストン・ヴィラが敗れたタイミングでこちらも足踏みしてしまったのは残念。

 

 

 

 

【Match Review】

Starting lineup

ベンチ入りニューカッスル
1 Pope, 4 Botman, 9 Wissa, 18 Osula, 23 J.Murphy, 28 J.Willock, 37 A.Murphy, 61 Shahar, 62 Neave

マンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 2 Dalot, 11 Zirkzee, 12 Malacia, 16 Amad, 25 Ugarte, 26 Heaven, 39 T.Fletcher, 72 Kukonki

 

 

前半

 

ホームのニューカッスルはトナーリを真ん中に置いたCM3枚体制の4-3-3。彼の両脇もジョエリントン,ジェイコブ・ラムジーとカバー範囲の広い2枚で固めており、機動力と体力に隙の多いメイヌー-カゼミロのデュオに対して運動量で優位性を確保しようという狙いが見て取れた。ただ、右サイドはトリッピアーもエランガも外に張ってパスを受けたがるので大外で渋滞を起こしている感もあり、後者はその後斜めにドリブルして一度味方に預けてそのままダイアゴナルランで中央に入る動きを好むので最終的には解消されたが、ミドルサードではチグハグさが拭えず。

 

一方マン・ユナイテッドはニューカッスルの機動力に押されて劣勢の立ち上がりとなり、バックス+CMに高い守備負荷がかかる展開が続く。ビルドアップでもヨロはプレー選択が遅くなおかつスキャニング不足、マグワイアも咄嗟にプレスをいなせるような器用さは無くラメンスがボールを持った時にパスコースに困り、中盤はマンツーマンでタイトにマークされているので仕方なくロングキックというシーンが目立った。

 

キャリックが好成績をマークしている理由の1つとして挙げられていた『試合後のリカバリーの時間を増やした』という点からくみ取る事は出来た要素だが、やはりユナイテッドはシーズン単位での体力不足が著しい。特に精神的に苦しい瞬間にそれが現れやすく、ミッドウィークに試合が入った途端にネガティブトランジションの質が一気に低下する。特にクーニャに至っては酷いときのラッシュフォードを思い出すお散歩具合であり、ニューカッスルが左サイドから攻めている際にはほぼ確実といってもいいほど右大外の選手がフリーに。

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ニューカッスルの思惑通り中盤を封鎖され、淡白なロングボールをひたすら蹴り続けたユナイテッドは落ち着いてボールを動かせた時間が殆ど無く、セットプレーやクロスからのゴール前のカオスで一度シェシュコにチャンスがあった以外には全くと言っていいほどニューカッスルゴールを脅かす事が出来ずに気付けば40分台へ。

 

ここからは個人的な見解だが、今回のように中盤の主導権争いであらかじめ劣勢に立たされることが予想される試合の場合、そもそも前線に質の高いボールが入る回数が少なくなるので、シェシュコよりもエンベウモやクーニャをCFに配置してポゼッションに関与する枚数を増やしていく方がいいと考えている。

 RBも同様に流れの中でスムーズにFB,CM(No.6とNo.8の両方)の立ち回りをこなせるダロトの方が向いている。逆にそこまでせずとも中盤の優位性を確保出来る場合にはマズラウィのボールプレーの巧さやクロスへの入り方が改善されてきたシェシュコの強みが発揮される。

 

試合に大きな動きがあったのはアディショナルタイムのニューカッスルの攻撃。ボールが空中にある安定しない状況でのクリア合戦に勝ったマグパイズはトナーリ→エランガとヘディングで繋いでCB前のゴードンにパスが通り、背番号10を背負うアタッカーは右前のスペースへのキックを選択。これに反応したラムジーが応戦してきたラメンスと接触し転倒したが、リプレイをよく見ると赤い悪魔の若き守護神はコンタクトの直前に手を引っ込めており、ほとんどラムジーのボールプレーに影響を与えていなかった為、VARはホームチームのPKではなくシミュレーションのファウルを採用。更には既にイエローカードを貰っていたラムジーに2度目の警告が提示され、ニューカッスルは10人での戦いを強いられてしまった。

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ただ、元より運動量と献身性の高い選手で固められたニューカッスルはラムジーの抜けた分をゴードンの守備強度増や無理の効くジョエリントン,トナーリらの貢献でカバーし、なんと退場劇から2分足らずで左サイドに流れたゴードンのテイクオンからPKを獲得。これを自ら決めて人数不利のホームチームに先制点がもたらされた。失点のきっかけはアンカー化していたカゼミロのボールロストであり、パスコースを見つけるまでにかかる時間やそもそもの情報取得力やボールスキルの問題などから配球を彼に任せるのはやはりこのレベルだと厳しい。

 

そんなカゼミロだが、良くも悪くも分かりやすい特徴を持っている選手でなおかつセットプレーにおける信頼感はマグワイア以上でおそらくチーム一番。強みが発揮されたのはAT9分の右サイドからのFK。ゾーン・マーク併用のニューカッスルに対しマズラウィとヨロが身体をぶつけに行きながらニア最前のスペースを作り、中央から斜めに入ってきた背番号18はアウトスイングでバックポストへ向かっていくブルーノのキックに対して、カーブキックを蹴るときのように側面を擦るような形で当てる事で元の軌道を活かしつつ僅かにコースを変化させる技ありのヘディングシュートで価値ある同点弾を決めた!!

 

ビデオチェックが入った事もあって当初の予定を大幅に超えた前半は退場者が出てからの怒涛の2ゴールが生まれ1-1のドロー。

 

後半

 

1人少ないニューカッスルの選択は中盤の優位性を維持し続ける事だった。バーンズを下げてウィロックをラムジーの抜けた右CMへ投入し前線はゴードンとエランガの2枚でシステムにすると4-3-2でHT明けの45分に臨む。

 

マグパイズのファーストプレスの強度と枚数が低下した事でユナイテッドのDF陣はようやくビルドアップでボールを前進させられるようになり、ポゼッション率もアウェイチーム優勢に転じていく。ただ、ワイドレーンにボールがある時のブルーノ,カゼミロ,メイヌーのサポートが薄く人数有利を活かせない攻撃も多く、それ以外でも全体的にボール保持の中でのオフボール、とくにデコイランが減って脚が止まってしまっていた。これも紐解いていけば週単位での体力不足に繋がっている要素なので根本的な課題はやはりスタミナか。

 

60分を回りユナイテッドも遂に動いた。2枚の交代を行いショー,カゼミロに代わりウガルテ,ダロトを投入しマズラウィがLBへスライド、エンベウモがハーフスペースに位置取りするようになり、ダロトは幅を取ってウイング化する。

 

個としての強さを全面に押し出してカウンターとセットプレーから定期的にチャンスを生み出すニューカッスルは66分に左サイドからのCKでトナーリのインスイングキックに対してニアからファーに移動したゴードンが合わせる決定機を作る。この際のメイヌーのマーク管理はあまりにも杜撰であり、キャリック体制では全試合スタメンの彼だがこのような攻守での立ち回り粗さの積み重ねで世間での印象と個人的な評価に大きなズレがある選手の1人だ。

 

交代を挟んでも根本的なチームの問題は解消できる類のものではなく、ブルーノの芸術待ちという時間が続く。74分にはそのブルーノのクロスにヨロがゴールエリアで合わせる決定機を作ったがラムズデールの反応の良さで阻まれ一向にリード出来る気配はない。

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なお、ウガルテについてはここ数試合のメイヌーよりは余程見どころのあるパフォーマンスで、持ち前の運動量の多さでブルーノと流れの中で入れ替わってゴール前に進出したり、ワイドレーンのサポートに向かってCKを確保したりと久々に光明が見える内容。

 

残り時間が15分を切ったところでキャリックは再び動きを見せる。フィニッシュワークでの存在感を発揮出来ていなかったエンベウモに代えてアマド、先述のようにプレーの質が低いメイヌーに代えてジルクゼーと2度目の2枚替え。ブルーノを一列落としジルクゼーはトップ下で9.5番として振る舞う。また、先程はウイングになっていたダロトは大外で個人打開できるアマドに前が変わった為ハーフレーンに潜るように立ち回りを変化させている。

 

その後、80分台にユナイテッドは最後のカードを切ってマズラウィ🔁マラシア、前線ではなくバックスの交代になったのはマズラウィが若干脚を気にするような素振りを見せていた事と関係しているかもしれない。ただ、結果論としては途中出場のマラシアはフィジカル、メンタルの両面でこの緊迫した試合展開に求められる水準に達していなかった。

 

問題のシーンは90分。ミドルサードでボールを保持しファイナルサード侵入を試みていたユナイテッドだが、中央に入っていたクーニャの足元につけパス&ムーブを狙ったブルーノの楔に対してのリターンがズレてニューカッスルに奪われると、インターセプトの当事者であるウィリアム・オスラはすぐさまターンオーバーで右サイド前方のスペースに爆走。タッチライン際でパスに追いつくと、シザースで間を作ってからのカットインカーブショットでゴール左隅を陥れなんと10人のホームチームが勝ち越し。

 

大きく分けて問題点は2つある

 

①まずはトリッピアーからの縦パスがスペースに出された段階(89:22~)でボールに対して最も近く身体の向きも良かったマグワイアが処理に向かわず、背走しているマラシアに対処を押し付けた事。これは彼自身のスピード勝負に対しての自信の無さに起因していると思うが、攻撃側と守備側の人数や配置を見れば自分が出ていって外に蹴り出したりまたは少しでも速度を落とさせて時間を稼ぐのがベターというのは分かるはず。

 

②失点に直結したのはこちらが1枚多い状況でクロスに対しては優位に立ち回れる状態ながら、なぜか横,つまりはゴールに近づくルートを切らず縦,ゴールライン側をブロックしていたマラシアの動き。更に言えば、単純なシザースに対して何も制限をかける動作をせずに、更に内側に進まれた後は責任放棄かのようなボールから背を向けてその場に立ち往生する振る舞いでただ傍観者になっており、残念ながら彼のマンチェスター・ユナイテッドでのキャリアはこの一連のプレーで終了したと言っても過言ではないレベルの怠慢だ。

 

最後の場面、オスラがシュートを撃った瞬間はマグワイアのブロッキングはしっかりとゴールマウスを隠しており、これに関しては更にその外側から曲げてきた彼の技術を褒めるしかない。しかもロングスプリントから間を置かずの流れなので素直に尊敬してしまった。

 

スコアはここから動かず2-1でホームのニューカッスルが勝利。

 

データ

 

Standard


シュート数、ポゼッション率は僅かにマン・ユナイテッドが上回っているが後半まるまる10vs11だった事を踏まえれば実質スタッツもニューカッスル優位と見て問題ない。しかも走行距離も3km程度の差しか存在しないのでマグパイズがいかに戦える集団であったかをよく示している。

 

なお、ユナイテッドはこれでニューカッスルとのアウェイ戦4連敗となり、2020年10月のリーグ戦以降5年以上勝ち星から見放されている。かつてはジョゼ・モウリーニョとこのスタジアムの相性の悪さが度々話題に上っていたが、今はマンチェスター・ユナイテッドとセント・ジェームズ・パークにその対象が移っているのかもしれない。

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xG

参照:

Newcastle United 2 - 1 Manchester United (March 04 2026) | EPL | 2025/2026 | xG | Understat.com

 

xGではニューカッスルが逆転、マン・ユナイテッドにおよそ0.15ポイント差をつけて勝っている。その内訳はゴードンのPKに頼る部分も多いが、10人になった後にそのPKを除いても0.7以上ゴール期待値を積み上げているので勝つべくした勝ったと言えるだろう。一方のユナイテッドは試合の半分を1枚多い状態で戦いながらゴールエリアでの得点機会が無かった点などを見てもお粗末な攻撃だった事は確か。

 

 PASSING NETWORKはメイヌーから前に繋がる線の少なさ及びその薄さがまるわかりとなっており、インテンシティの低さや立ち回りの悪さだけではなく、本来ならば強みにしたいはずのチャンス創出の分野でも貢献出来なかった事を示している。ジルクゼーをDMに落としたほうが機能するのではと思ってしまうくらいに直近のメイヌーは存在自体が希薄。

 

あとがき

 

その後のニューカッスルを見るとミッドウィークに10人で戦った後の週末にマン・シティ、さらに翌週ミッドウィークではバルセロナというタフな日程でも高強度の戦いを徹底出来ていたのでこの結果はある種当然のことだったのかもしれない。

 

 

【 #MUNCRY 】遂に3位浮上!! Brunoは100アシストの大台に到達⚽

※25/26 イングリッシュプレミアリーグ

マンチェスター・ユナイテッドvsクリスタル・パレス戦の記事です。

 

アストン・ヴィラがウルブスに敗れていたためこの勝利で赤い悪魔は3位に浮上。 シティ→アーセナルとBIGに会心の出来で連勝した後のゲームでは、内容がイマイチ伴っていない事に少なからず危機感を覚えていますが、アモリム体制の頃にこのような無敗記録が続く未来を予想出来なかったのも事実なので、結果自体は素直に喜んでおきたい。

 

 

 

【Match Review】

Starting lineup

ベンチ入りマンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 3 Mazraoui, 11 Zirkzee, 12 Malacia, 16 Amad, 25 Ugarte, 26 Heaven, 39 T.Fletcher, 48 Moorhouse

クリスタル・パレス
10 Y.Pino, 12 C.Uche, 17 Clyne, 19 W.Hughes, 24 B.Sosa, 29 Guessand, 34 C.Riad, 44 W.Benítez, 55 J.Devenny

 

 

前半

 

マンチェスター・ユナイテッドはブルーノがシェシュコの横に並ぶフラット4-4-2でクリスタル・パレスの3CBに対応し、鎌田-ウォートンのCMデュオをそれぞれが背中で消しながらワイドCBへボールを誘導していく。ただ、どうしても1枚クリスタル・パレスのCBが余るので高い位置でボールを奪いきる事は難しく、ワイドCB→WBと外から前進されて中々思うように主導権を握る事が出来なかった。

 

そんな試合序盤の4分、イーグルスはこの試合最初のコーナーキックからヨロがマークを見失った隙を見逃さずにファーサイドでロブパスに合わせたラクロワが技ありのループ軌道のヘディングで先制。ファウルにならない程度のスクリーンプレーで一瞬の乱れを生み出した鎌田も流石のフットボールIQの高さを見せている。

 

このような場面でボールを確認したい場合、身体の一部分で相手に触れながら触覚で位置を把握するのが絶対条件だが、更に言えば優先順位は人>ボール。ボールの行方が分からなくても最悪自分のマークを妨害出来れば即失点に繋がる事はないので、ヨロはクロス対応のセオリーを身につけて欲しい。(褒められたものではないが、話題になっているARS-CHEのサリバの立ち回りがある意味証明している)

 

システムの相性を最大限活かしつつ、狙い以上ともいえる展開でリードを手にしたアウェイチーム。ウォートンと鎌田はどちらがアンカーになってもおかしな振る舞いをする事がなく、なおかつテンポの調整に長けていてボールを広範囲に散らす能力があるので流れの中で柔軟に立ち位置を変えながらユナイテッドのプレス網から逃れていく。また、3CBもラクロワがボールを持つ際にしっかりと両脇が斜め後ろに立って逃げ道を確保しており、派手さはないが抑えるべきポイントを理解しているという点で流石グラスナーのチームといったところ。

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一方、ボールを持たされる状況が多くなっていくユナイテッドではダロトがある時はペナ幅に立ち3枚目のCB、ある時はカゼミロ脇でCM化、またある時は右大外で幅を取るなど味方の動きに合わせて逐一立ち回りを変化させ、つまらないパスの失敗が時折見られる事で心象は良くなかったものの難しい役割を上手く担っていた。アマドがベンチスタートで雑にアイソレーションから打開できる状況ではないこの試合では普段以上に彼のポジショ二ング面の対応力が重要になる。

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序盤のユナイテッドが苦しんだ大きな要因は左サイドで頻発していたミスマッチ。右サイドではエンベウモがしっかりとプレスバックを怠らずミッチェルのマークをこなしたので対3バックで陥りがちなWB起点のズレが生まれなかったが、左ウイングのクーニャはムニョスの上がりに対して警戒が緩く、ショーがスライドしてDFラインから飛び出して対応しなければいかなかった為ブロックが崩れ、更に空白になったハーフスペースに侵入するイスマイラ・サールを誰がチェックするかも曖昧になり、なし崩し的に打開されるケースが目立った。

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そのような背景も20分過ぎという段階でショーが負傷交代した理由の一端を担っていたのかもしれない。代わって入ったのはマズラウィでポジションはそのままLBに。

 

この日のマズラウィはショーと立ち回りが異なり攻撃でも守備でも外に飛び出していかず、ハーフレーンに留まるのが基本的なスタイル。すぐには変わらなかったもののクーニャが左外に張るような下地が生まれており、ハーフタイムを挟んでいるが交代後にバランスが改善していったのは皮肉な結果である。

 

38分、左外に流れたブルーノのインスイングクロスにシェシュコがヘディングで合わせるチャンスがあったが、シェシュコの落下地点に早く入り過ぎていたゴール前での駆け引きが解消され、助走をつけてジャンプ出来ているのでシュートの勢いを出せるようになっている。これは後の決勝点に繋がる要素と言えるだろう。

 

終盤に向かうところでようやく押し込む時間が増えてきたユナイテッド。セットプレーではマグワイア,カゼミロ,シェシュコと警戒必須な強力なターゲットが3枚いる事でクリスタル・パレスはミスマッチを抱えた中での守備を迫られていた。これは今のチームの明確な強み。

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前半はクリスタル・パレスの1点リードで終了。

 

後半

 

前述した通りハーフタイムを経て大きく変化したのはクーニャが左大外でシンプルに幅を取るようになった点。マズラウィのアンダーラップを促しつつ左サイドでもタメを作れる預けどころが生まれた事でポゼッションの質が向上し、なおかつ相手のワイドCBに外への意識を植え付ける効果もありチャンネル(CB間)を広げる副次的な作用もあった。

 

そんな中で52分のユナイテッドはCKで一度自陣までクリアされた後の2次攻撃において、左サイド低い位置に戻っていたブルーノのラインブレイクパスにクーニャが反応。瞬間的に広がっていたクリス・リチャーズ-ラクロワ間に通った鋭いボールはそのままボックス内まで直通し、背中で相手をブロックしながらスピードに乗った背番号10に対し先制弾の立役者は咄嗟に判断を誤り完全にボールに向かっていない状態でマーク対象を妨害し痛恨のファウルを喫する。

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ペナルティキックを与えるのみならず、DOGSOの条件を満たした事でレッドカードまでついてくるという最悪の結果でクリスタル・パレスは一気に状況悪化。PKは元チームメイトのヘンダーソンとの駆け引きにブルーノが勝利しユナイテッドが同点に!!

 

仮にクーニャにシュートを打たれたとしてもまだGKがスタンバイしており、失点したとしても11vs11で同点ならばいくらでも巻き返す事が出来る、簡単な判断ではないがこのレベルならば瞬時にどの選択が正しいのかジャッジできなければならず、得点以外でもこの出来事まではハイレベルなプレーを続けていただけに何とも言えないもどかしさが漂う。

 

アウェイチームに残された道は10人でローブロックでひたすら耐え抜き、セットプレーからの事故狙いくらい。実際冬補強の新戦力2枚、ブレナン・ジョンソンとストランド・ラーセンを下げて5-3-1のパーク・ザ・バスに移行。

 

思わぬ形で絶対的な優位性を手にしたユナイテッドはファイナルサードでのボール保持が当たり前になり、ボールロスト後のトランジションで気を抜く事もなくフルスロットルで勝ち越し点を狙う。

 

ピッチを広く使って1人少ない相手の消耗を早めようとするホームチームは65分、左サイドタッチライン際でマズラウィとクーニャがそれぞれキープ力の高さを見せて個の力でボールを繋ぎ一気に右サイドへ解放。オープンな状況でブルーノの出したスルーパスは一度クリアされるが、ルーズボールを自ら拾って今度はシェシュコへのアウトスイングクロスを選択。CCBと右CBの2人が丁度お見合いになる絶好の位置へ蹴られたボールに対し、軌道を予測してドンピシャのタイミングでジャンプしたシェシュコの強烈なヘディングがクリスタル・パレスのゴールネットに深く突き刺さり勝ち越し!!!

 

ブルーノはこれで今季リーグ戦13アシスト目、2位に6差と完全な一人旅で早くも今季アシスト王当確ランプが点灯する状態。得点+アシストの合計でもハーランドに次ぐリーグ2番手と完全に在りし日の得点貢献力を取り戻している。

 

リードする展開になるとテンポが落ち、なおかつリスクを冒さずにいこうという意識が強まったのか変に落ち着いてしまい、セットプレーから生まれたカゼミロの決定機はヘンダーソンの正面に吸い込まれるなど停滞の時間がしばらく続く。

 

なお、途中交代の選手に目を向けると、スターターでも脅威なアマドが途中から出てくれば相手目線では理不尽な存在になるのは当然の話で、カットインからのミドルで何度も見せ場を作ったがそこに立ちはだかるはディーノ、そう簡単にネットを揺らせてくれず、数的不利かつビハインドという状況でも最後まで高い質を保ってダメ押しとなる3失点目は許さなかった。

 

 

データ

 

Standard


途中から11vs10になった事もあって90分でのスタッツはユナイテッドがクリスタル・パレスを圧倒。30分以上1人少ない状態で戦いながら走行距離は微差ということでイーグルスはミッドウィークに次のリーグ戦が予定されている中でかなり疲労をため込んでしまったかもしれない。ユナイテッドはコーナーを7回獲得しており、、得点に直接的に繋がりはしなかったものの試合内容にて触れた3人が揃っている状況ならばシンプルにボールを放り込むだけでも十分脅威になり得るというのが分かる内容だった。

 

なお、決勝点となったシェシュコのヘディングを素晴らしいクロスでアシストしたブルーノはこれがマンチェスター・ユナイテッドでの通算100アシスト目のメモリアルに。また、ゴールとアシストを同時に記録した試合の数でも同スコアで並んでいたデイヴィッド・ベッカムを突き放す18試合目となりクラブ歴代3位に浮上と記録づくめ。

 

今シーズンはここまでリーグ戦7ゴール13アシストと得点機会創出の貢献が目立っており、チャンスクリエイトは2位のライスに30差をつける独走態勢でその並外れた能力を遺憾なく発揮している。

 

xG

参照:

Manchester United 2 - 1 Crystal Palace (March 01 2026) | EPL | 2025/2026 | xG | Understat.com

 

ゴール値期待値はマンチェスター・ユナイテッド2.35、クリスタル・パレス0.38でおよそ2.0ポイントの開きが生まれた。ラクロワの退場前まではユナイテッドも0.46で試合そのものが締まった展開だったが、11vs10になった後は流石にホームチームのワンサイドゲームに。ただ、1人少ない相手に対して1ゴールしか奪えなかったという意味では課題の残る試合であり、前半の流れを見てもポゼッションの質は依然として低い。

 

 PASSING NETWORKのバランスが良いのはむしろクリスタル・パレスで、3バックとセントラルMFの接続の強さと階層をしっかり作る事が出来ている点、また両CMがハブとして機能している点など3CBの強みを活かせている。一方ユナイテッドはショー負傷のスクランブルで結果的に形が決まったが、左外に誰が張るかという問題を真の意味で解消し切れておらず、ブルーノへの供給体制が整っていない事で元より消えがちなシェシュコが一層薄くなっている点などを鑑みると、11vs11のまま試合が進んでいたら勝ち点を獲得出来なかったように思う。

 

あとがき

 

現行ルールでは前シーズンのUEFA係数ランキング上位2リーグに翌シーズンのチャンピオンズリーグ出場権5が与えられるため、この調子でいけばユナイテッドの来季CL出場は非常に現実的なシナリオと言えるでしょう。(Optaの予測分析では28節終了時の段階で来季CL出場権獲得が58.54%)

 

とはいえスパーズ戦と今節は相手の退場に助けられた部分も大いにあり、ローブロックに対してまだ明確な答えは見つかっていない。アーセナルのようにセットプレーのルールの穴を突くのもそういう意味では1つの手か。

 

【 #EVEMUN 】鋭いカウンターで4位争いから一歩抜け出す

※25/26 イングリッシュプレミアリーグ

エバートンvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。

 

主導権を握る時間帯では得点が奪えず、逆に押し込まれるようになってからカウンターの一発で得点までもっていく、良くも悪くもマンチェスター・ユナイテッドらしさの溢れる試合でしたが何はともあれエバートンとのアウェイマッチで勝ち点3は立派。

 

 

 

【Match Review】

Starting lineup

ベンチ入りエバートン
2 N.Patterson, 7 D.McNeil, 9 Beto, 16 Mykolenko, 19 T.George, 20 Dibling, 23 Coleman, 31 T.King, 34 M.Röhl

マンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 3 Mazraoui, 11 Zirkzee, 12 Malacia, 25 Ugarte, 26 Heaven, 30 Šeško, 39 T.Fletcher, 48 Moorhouse

 

 

前半

 

キックオフ最初のプレーでバックパスを処理したラメンスのロングキックがプレッシャーをかけに来た相手にぶつかって自陣ゴールライン側へ跳ね返っていく心臓に悪い開幕となったこの一戦。エバートンといえばグディソン・パークというくらいに慣れ親しまれていた前スタジアムから本格的に移転し、ネーミングライツとして地元リバプールに端を発した大手法律事務所、ヒル・ディッキンソンの名を冠した新たな球場で初めてトフィーズと戦うユナイテッドはリチャ・マルティネスが軽い違和感で先発から外れた事も影響しているのか非常に不安定な立ち上がり。

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ポゼッション時の配置には変化が加わり、これまではLBのショーがWB化する左上がりの可変だったが、今回はRBのダロトがカゼミロ-メイヌーのDMラインを追い越して右ハーフレーンで4-3-3のCM、いわゆるNo.8のように振る舞う右上がりかつインバーテッドの可変システムが基本形に。

 

エバートンはオブライエンがサスペンション。空いたRBにはパターソンやコールマンではなくガーナーを選択し、本職が中盤であるだけに守備時の縦横スライドで遅れる事がなく、なおかつボール保持ではタッチライン近くでプレッシャーに晒され選択肢と時間の少ない場面でも斜めのパスでチャンスの起点になれる為フルバックでも非常に高いレベルで安定感を見せていた。

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4分、右に流れたブルーノが逆サイドのエンベウモにロブパスを通し、エンベウモの折り返しと横幅を広く使い視線と身体の向きを大きく変えさせる良い攻撃からユナイテッドはこの試合最初の大きな得点機会を作るが、クーニャのシュート及びその後のこぼれ球のアマドのシュートはエバートンのDF陣が身体で凌いでスコアは動かず。

 

上記のチャンスをモノに出来なかった直後、エバートンのカウンターになりそうな場面があったがユナイテッドの面々の方がトランジションが早くその辺りにはチーム状況の良さが垣間見えた。

 

ボールサイドへの圧縮が強く横方向の幅が狭いエバートンの守備陣形に対してユナイテッドはサイドチェンジからの打開を積極的に狙い、左外もショーでは無くクーニャを中心にアタッカーが取るようになっていたので個人打開も図れる状況。また、ダブルピボットがボール保持で段差を維持し横並びになるケースを極力避けるように立ち回っていたので中央経由でボールを前進させやすくなり、キックオフからの15分はほとんどの時間でユナイテッドがボールを持ちながら試合を掌握。

 

30分(29:13~)のユナイテッドのポゼッションは身体の向きで相手を騙して中央へのラインブレイクのパスを通したダロトの好プレーからアウトサイドパスを挟む事でテンポに変化を加えブロックに一瞬の乱れを生んだメイヌー、フィジカル的資質に優れたブランスウェイト相手に真っ向からの1on1でファウルを獲得したアマドとそれぞれの強みが発揮された内容の濃い攻撃だったが、このようにゲイェ-イロエバナムの相手のDMデュオをズラすオフボール、そしてその後に空いた空間を活用する中央経由の打開の数自体はそれほど多くなく、どうしても外から外で相手に十分な準備時間が与えられている状況が中心になってしまったのはこの試合の反省点。

 

一方でエバートンも左ウイングのハリソン・アームストロングが個でも連携でも厳しく左サイドが停滞しており、デューズバリー=ホールが左に流れた時の方が遥かに機能するという歪さを抱えており、なおかつ最も脅威になるエンジャーイ(エンディアイェ)にはまともにボールが届かないという状態なので頼みの綱はセットプレーとなったが、そこはマグワイアとラメンスを中心にユナイテッドの対応も辛抱強く思うようにゴールに迫る事が出来ない。

 

どちらも決定打を欠いたまま前半は一度もネットが揺れる事無くゴールレスでハーフタイムを迎えた。

 

後半

 

様子見のユナイテッドに対してキックオフからフルスロットルのエバートンは一転して主導権を握り、後半は攻守が逆転する入りとなった。先に動いたのはキャリックで、前述の攻撃のように局所的に勝つ事はあったが、やはりブランスウェイトの身体能力に苦しみ普段ほどの質的優位を発揮出来なかったアマドに代えてシェシュコを投入。屈強なエバートンDF陣に対して真っ向勝負でも高さで上回るポテンシャルを持つ唯一の選択肢が彼なので、この時点で後半はクロスを増やしていく事が想定された。

 

ただ、実際にはエバートンに押されて低い位置からの攻撃になる事が増えたためカウンター主体に。シェシュコは単に高さだけでなくスプリントも極めて優秀なアスリート能力全般の高さであるので、後述するシーンでは正に彼の強みが発揮されたと言ってもいいだろう。

 

そのホームチームについては、しつこいが左サイドが機能しておらず、何ならエンジャーイがセットプレー後の2次攻撃等で左に回っている瞬間がユナイテッドにとっては一番脅威であり、グリーリッシュが戦線離脱している今、彼を無理に右サイドで起用し続ける意図は何なのかと何も知らない相手目線では強く感じる。

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71分、エバートンのショートコーナーからの攻撃を凌いだユナイテッドは左サイド低い位置でパスを受けたクーニャから対角線、右前方に走りこむエンベウモへのロングパスでカウンター始動。走力勝負では厳しいマイケル・キーン相手に十分なスペースと時間を確保したエンベウモは冷静に周囲を確認し、猛烈な速度で駆け上がってくるシェシュコへプレゼントボールを送る。簡単なチャンスを逃して批判を浴びる事も少なくないスロベニア代表FWだがここはダイレクトショットでピックフォードの守るエバートンゴールを破り待望の先制点が生まれた!!

 

ゲームをコントロールしている状況での細かい貢献の積み重ねという点では疑問符が出るクーニャ,シェシュコだがカウンターでの瞬間的爆発力はすさまじいものがある。今季の残りはいかに彼らの個をユニットの中に溶け込ませていくかを考えていく期間なのだと改めて実感するような痛烈なカウンター。

 

ビハインドを負ったエバートンは失点後のタイミングで最初の交代を行い、アームストロングを下げてタイリック・ジョージ投入。恐らく失点に関係なく予定されていた入れ替えだったのでないか。

 

とにかく仕掛けの量を増やして一発を狙うというジョージに対してキャリックはエンベウモを下げてマズラウィをRBへ投入、一列前にスライドしたダロトと合わせてダブルチームも念頭に置いた対応を取る。交代したエンベウモは足が攣った様子で、長期間響くような怪我では無いと思われる。

 もう1つの狙いとしてはセットプレー守備の強化か。この後3つ目の交代がアディショナルタイムに行われたクーニャ🔁ヘヴンだった点を踏まえてもその可能性が高い。

 

セットされた守備に対して大きく視線や身体を動かすような揺さぶりの無いエバートンはある種ユナイテッドと同様の悩みを抱えており、本質的にはどちらもカウンターの繰り出せる展開が理想。そういう点で終盤のユナイテッドは相手のセットプレーを真っ向から弾き返しつつ、どこかでもう一発を待てばいいという目線統一が容易。残念ながらその2発目になりそうなチャンスではシェシュコが普段のモタモタ復活で追加点とはいかなかったが、かといって同点に追いつかれそうな気配もそれほど強くならずに割とあっさりタイムアップの瞬間を迎えた。

 

 

データ

 

Standard

 

シュート数及びポゼッション率も概ね同程度になったが、前後半で大きく試合の性質は異なる。例えば、前半に限ればポゼッション38:62、シュート数2:7と完全にマンチェスター・ユナイテッド優位の展開であり、後半は58:42、10:4とエバートンの一転攻勢。そんな中でユナイテッドが得点を奪ったのは押されている後半だったように、ボールを相手が持つ状況の方がキャリックのチームは強みを出しやすい。いかに自分たちがボールを持つ状況で再現性のある得点機会を作るか考える中で、疑似カウンターを極めるのか、それともポゼッション・コントロールを目指すのか、おそらく前者になりそうなので度々ビルドアップのエラーから失点を喫するかもしれない。

 

決勝点を記録したシェシュコはこれでキャリック体制になってから3ゴール目だが、面白いのはその全てが途中出場から奪ったものである事。彼のフィジカル的な強みは周りが疲労している後半の佳境でより深く刺さるということなのか、精神的な部分で先発起用と途中出場では何か異なる部分があるのか、注意深く観察したいところだが、チームとしては今の彼のようなスーパーサブの存在は何よりもありがたい。それこそサー・アレックスの黄金期におけるオーレ・グンナー・スールシャールのように。

 

xG

参照:

Everton 0 - 1 Manchester United (February 23 2026) | EPL | 2025/2026 | xG | Understat.com


ゴール期待値はエバートン0.56-マンチェスター・ユナイテッド1.45でアウェイチームが1点近くリード。理由としてはメイヌーのGK-DF間を狙った低いクロスにエンベウモが合わせた51分のチャンスのxGが0.61と大きかった事がその1つで、オフサイドになったピンポイントクロス以降彼のクロスの質が高まっているのは喜ばしい変化。

 

 PASSING NETWORKはカゼミロ→メイヌー→ブルーノで中盤3角形の位置関係が斜めの段差になっており、孤立しているポイントも少なく一見すると悪くはない。ただ、クーニャの位置取りに現れているようにポゼッションで左外から質的優位性を押し付けられる選手が不在であるのは依然として続いており、xTではエバートンに上回られている事からも決して褒められるような内容では無かった事を記しておきたい。

 

あとがき

 

エバートンと戦う度に思うのだが、私個人としてはガーナーが毎回欲しくなる。セントラルMFとフルバックを高次元でこなせるという時点で現代フットボールへの適応能力が高いという証明である上に、セットプレーテイカーを務めるくらいにはキックの質も高い。その上クラブ育成選手なのだからマンチェスター・ユナイテッドにとってはこれ以上ない人材に思えてならない。

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【 #WHUMUN 】明確な課題見つかる。幸い向き合える時間は長い

※25/26 イングリッシュプレミアリーグ

ウエストハム・ユナイテッドvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。

 

低くブロックを構える相手に対して有効打を持っているのか、ようやく実戦の中で分かった事は収穫。やはり不安は的中しましたが、FAカップで既に敗退済みのユナイテッドには課題と向き合う時間を多く取れるのでその成果をエバートン戦で見せてもらいたい。

 

 

 

 

【Match Review】

Starting lineup

ベンチ入りウエストハム
2 K.Walker-Peters, 3 Kilman, 9 C.Wilson, 17 Adama Traoré, 23 Areola, 27 Magassa, 30 Scarles, 55 M.Kanté, 63 Mayers

マンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 3 Mazraoui, 11 Zirkzee, 12 Malacia, 15 Yoro, 25 Ugarte, 26 Heaven, 30 Šeško, 39 T.Fletcher

 

 

前半

 

これまではフラム戦も含めて基本的に相手にボールを持たせるような試合ばかりで、スパーズ戦では相手の退場により特殊ケースとなった為結局分からずじまいだったポゼッション時の姿。懸念していたのは自由に動き過ぎるクーニャと何処に居れば良いのか分からずさまよう事の多いメイヌーのポジショナルプレーだったが、やはりそのまま不安が的中した。

 

メイヌーが前線へのジョイントになれない分は上述したフリーロールのクーニャが中央でボールを受け取りに来る事である程度はフォローできるが、今度はその背番号10が居なくなった左サイドの問題が起こる。これまで同様にショーがWB化して幅を取るのだが、彼は1人で局面を打開出来るタイプではなくあくまでワンツーやクロスなど味方とのコンビネーション主体かつパスを受ける側というより出す側なので、右サイドにアマドという絶対的なウイングがいるのとは対照的に左サイドの崩しは明確な形が見えて来ない。

 

更に、メイヌーのポジショニングの悪さやクーニャが近くにいないといった事象も連鎖的に影響し、ただでさえ純粋な1on1に滅法強い上に元チームメンバーで勝手知ったるワン=ビサカを攻略しなければならないタフな条件なので完全にこのサイドの主導権は相手に握られてしまった。

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故に、大分気が早いが今夏のマーケットでどのタイプの選手が欲しいかと問われると守備面である程度のセオリーを分かっている事が前提で左大外からテイクオンで個人打開出来る右利きのウインガーと答える。チームプレイヤーであったりプレミアリーグ経験者なら更に良し。これらの条件を統合すると、三笘薫があまりにも完璧に合致しているので度々噂に上がる彼の獲得が是非とも現実になって欲しいと個人的には願っている。

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ショートパスで始まるゴールキック以外ではとにかく低いブロックでライン間や背後のスペースを消し、純粋な対人に持っていけばフィジカル的資質に優れた選手で封じ込める、基本的にヌーノ・エスピリト・サントがマン・ユナイテッドに対して取る策は決まっているが、分かっていてもこちら側にはそれに対する明確な解答が存在しないのでいつまで経ってもカモにされ続ける、直近5戦1勝1分け3敗と滅法相性の悪い指揮官のチームに対して今回も同じ倦怠感漂う試合展開に。

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更に連勝で少し気が緩んでいるのか各々トランジションや細かい位置取り修正も甘くなり、なおかつボールに絡めない時間が続いたアマドは右外を離れて中央から逆サイドまで流れるようになってユナイテッドは基準点になる場所もあやふやになっていく。前半のアディショナルタイムが全く取られなかった事からもいかにヌーノの術中にはまって試合を塩漬けにされていたかが良く分かる。

 

ちなみに、スタッツではウエストハムが前半のxG0.04、マン・ユナイテッドが0.20、シュート数も両クラブ合わせてようやく5本というあまりにも静かな45分間だった。

 

後半

 

49分、久々にオープンな状況でウエストハム陣内に侵入したユナイテッドだが、カウンターをディウフに防がれてしまい、ホームチームは自陣深い位置からそのディウフが前線に大きくクリア。このボールをボーウェンがショーとの競り合いに勝ってソーチェクへ落とし、外に広がりながらリターンを貰うとゴールキーパーとDFの間にグラウンダークロスを入れる。これに対しメイヌー-カゼミロ間のマーク管理の甘さを見逃さなかったソーチェクがスルスルっとスペースに侵入し左足で僅かに軌道を変えてスコアが動いた。

 

一連の流れを見るとメイヌーのスキャニング不足が招いた失点と言えるので彼がアモリム体制で試合に出られなかった理由の1つが現れている。どうしても攻守で当事者意識が薄くなって漂っているだけの瞬間が他に比べると多く、圧倒的なボールスキルを真に活かしきれていないのが勿体ない。

 

この試合のウエストハムのソーチェクの運用をユナイテッドはカゼミロで出来るようになればボールを持つ時間の長い場合でも得点機会を増やせるのではないか。例えば、アマドが深く抉って一度ペナルティボックス角付近に待つ味方に戻してバックポストへクロス。直接カゼミロがターゲットになるでもいいしそこから更にゴール前に折り返すでもいいがこのように相手の視野の外を使う攻撃のパターンをもっとチームとして植え付けていって欲しい。

 

そんな思いが実現したのは失点に絡んだメイヌーの汚名返上とばかりのピンポイントクロスにクロス対応の苦手なワン=ビサカの前に入っていたカゼミロが反応した63分の一発だったが、VARはオフサイドを支持し得点取り消しの憂き目に。ただし内容自体はゴールと考えていいので、相手の特性を上手く利用した良い内容。何ならもっと早い時間帯からワン=ビサカにクロス処理を押し付けていくべきだった。

 

ビハインドの終盤、勿論勝利を見たい気持ちが一番だがキャリックがどのような策を見せてくるのかという点にも個人的に注目していた。マグワイアの負傷交代は誤算だったと思うが、代わりにヨロが入り80分を越えると更にダロトに代えてジルクゼーを投入しディフェンダーが3枚に。その際に指揮官はピッチに向けて3本指と1本指を連続して掲げていたため、恐らくは3バックの前にアンカーカゼミロで前線は4枚、3-3-4をベースにしたと考えられる。

 

そして中盤はブルーノやメイヌーも特にビルドアップでは底に入ってカゼミロを一列前に押し上げ、ファイナルサードでは更に流動性が高く選手の即興に任せていたように見える。アマドの左ウイングは彼の最大出力からは大きく落ちるものの、ようやく左外に留まって仕掛けていくウインガーが配置されたので全体のバランスで言えば良化した。

 

また、ローブロックのアイアンズに対してバックスは3でも十分という割り切りも個人的には評価したい。3バック経験という点ではアモリム体制での経験が活かされるので、決して前政権も無駄ではなかった。

 

エンベウモは献身的に走り続けて守備時にはほとんどフルバック化して攻撃ではウイングプレイとハードワークを続けたが、流石にこのシステムは後ろが薄くなるのでハマーズのカウンターを何度も許したが、途中出場のヨロが久々に力強い守備対応で危機を凌ぐなどDF陣とラメンスの踏ん張りで失点を回避し続ける。

 

すると、いよいよタイムアップが目前に迫って後が無くなっていた後半アディショナルタイム6分、右大外でボールを受けたエンベウモのインスイングクロスをシェシュコがピンポイントで合わせてワンタッチゴール!!

 

引いて守る相手に対しての有効打という明確な課題を残し、連勝はストップしてしまったが最後に同点に追いついてキャリック就任後の無敗記録を5に伸ばしたユナイテッド。そして、今のウエストハムはこの試合を含めて直近5戦3勝1分け1敗と18位という順位より遥かに強いチーム。 ショーン・ダイチが解任され3度目の監督交代となるフォレスト、トーマス・フランクが席を失ったトッテナムと順位の近いクラブはどん底なので、すぐに降格圏を脱するのではないだろうか。

 

データ

 

Standard


オンターゲットが共に3本、シュート総数も合わせて16本なのでそもそも得点機会の数が少なかった試合だが、ポゼッション率65%とボールを長く持つ展開だったユナイテッドはより不完全燃焼感の強い内容。クロス本数は14:20だったが、赤い悪魔としてはバックポストをもっと狙う、特に右サイドからのクロスでワン=ビサカにプレッシャーをかけ続けていった方が良かったのではと思う。スペースの無いゲームでどう相手の姿勢を崩していくか、次の試合では進化と真価が問われる。

 

xG

参照:

West Ham 1 - 1 Manchester United (February 10 2026) | EPL | 2025/2026 | xG | Understat.com

 

ゴール期待値はウエストハムが1.31、マンチェスター・ユナイテッドが0.74と実際のスコア通りの低ポイント決着。ただ、内容をよく見るとホームチームはチャンスの数が少ないだけでビッグチャンスを複数回創出した一方、アウェイチームはxG0.10未満のシュートが目立ち、後半アディショナルタイムに突入した時点では累積の期待値が僅か0.35しか無かったようにほとんど相手ゴールを脅かすようなチャンスに持っていけていなかった。

 

 PASSING NETWORKを見ていくと左で密集を作り右はアマドの打開力に委ねるという形が顕著だが、深堀りするとショーよりエンベウモの位置が低く、更に彼とクーニャのケミストリーが薄く右サイドもダロト→アマドへ前進する線が無いようにブロック守備を崩すディテールが足りていなかった。

 

あとがき

 

丁度試合のない期間がオリンピックと重なっているので正直に言うとそちらに浮気しています(笑)。まだ残っている競技だとスキークロスはタイムを気にしなければ数少ない自分でもやれそうな気がする種目かつ、視覚的な分かりやすさもあって楽しみにしています。フットボールにリンクする戦術的な要素のあるホッケーやカーリングもついつい見入ってしまいがち。

 

願望としては押し込む展開が予想される際に、一度クーニャに外に張っていろと指示してみて欲しい。彼の能力なら強引にテイクオンで打開できるはず。

 

 

【 #MUNTOT 】4連勝!!!! 苦戦予想がまさかの退場者発生で一転

※25/26 イングリッシュプレミアリーグ

マンチェスター・ユナイテッドvsトッテナム・ホットスパー戦の記事です。

 

クラブ上層部への批判と受け入れられる投稿をソーシャルメディアで行ったクリスティアン・ロメロが足裏を見せるタックルで退場、トッテナムの混沌がこちら側にも伝わってくるような流れで赤い悪魔は苦せず4連勝。

 

 

 

【Match Review】

Starting lineup

ベンチ入りマンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 3 Mazraoui, 11 Zirkzee, 12 Malacia, 15 Yoro, 25 Ugarte, 26 Heaven, 30 Šeško, 39 T.Fletcher

トッテナム
3 Drăgușin, 8 Bissouma, 11 M.Tel, 31 Kinsky, 38 Souza, 39 Kolo Muani, 52 Olusesi, 67 Byfield, 68 Williams-Barnett

 

 

前半

 

ミュンヘンの悲劇があった2月6日から最も近いマッチデーの今節では、キックオフ前に事故で犠牲になった選手・スタッフや関連する方々への哀悼をスタジアム全体で捧げた。

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開始30秒でいきなりロングカウンターからヴィカーリオを脅かすなど試合は連勝の勢いそのままユナイテッドペースで進んでいく。引き続きフリーロールで中央に移動していくクーニャが空けた左サイドのスペースに関しては、ショーの持ち上がりだけではなくエンベウモが外に流れる回数を増やして穴埋めしする事でフラム戦で垣間見えた左サイドの問題に対しての解答とした。

 

ある種想定通りスパーズはボールをこちらに持たせてカウンターからの一発を狙ってきた為、ユナイテッドのポゼッションとなり、ミドルサードからアタッキングサードでプレーする時間の長い展開の中で、何度か不用意なロストから素早くソランケをCB裏に走らせる相手のカウンターを食らったが精度が伴わず致命的な場面は作られず。

 

スパーズの布陣を見るとRBに本職セントラルMFのアーチー・グレイが入り左ウイングにはハーフレーンでのプレーを好み内に入っていくシャビ・シモンズがいるため、アンジェ・ポステコグルー時代にインバーテッドWBとして評価を高めたウドジェは外幅を取る一般的なフルバックとして立ち回っていた。

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アウェイチームは前線守備において右CMのギャラガーがソランケ横まで上がり1stプレス隊となり、全体的な傾向としては右サイドの強度が高い一方で左サイドはシャビ・シモンズのプレスのムラが大きくスライドが間に合っていないケースも多かったため、ユナイテッドとしてはダロトのロングキャリーで直接的に前進したり、リチャの相手のベクトルを折る持ち運びやブルーノ,エンベウモ,クーニャらの即興であえて左から攻略して手薄になった右サイドにボールを送ったりと、スパーズの守備の欠点を徹底的に突いていく。

 

それが分かりやすいのはクーニャのミドルで攻撃を完結まで持っていった20分のチャンス。ボックス外の方がむしろ脅威になるシュートが多いという彼はやはり特異な存在である。

 

また、ギャラガーやロメロは球際に強く行こうとし過ぎるあまり逆に交わされやすくなったり、或いは警告を受けるようなタックルになってしまう事があり、これらの特徴が後の展開の伏線に。

 

29分、リチャのロングボールで中盤を飛ばし一気に相手CBにプレッシャーをかけていくユナイテッドはセカンドボール回収から高い位置での攻撃に移行。ボールを持つクーニャに激しいプレスをかけて一度はボールを奪ったロメロだが、素早く3枚でカウンタープレスを行うユナイテッドは彼にクリアの余裕を与えず、ゼロ距離まで寄せたカゼミロを確認できないままインサイドでボールを蹴ろうとしたところ丁度足裏が脛に入る形になってしまいレッドカードが提示されてしまった。

 

10人になったスパーズは右ウイングのオドベールを下げてロメロが消えたCBにドラグシンを投入。4-4ブロック+ソランケも低い位置で守備に参加しながらワンチャンスが巡ってくるその瞬間まで耐え続ける事に。

 

数的優位になったユナイテッドは被カウンターの脅威が大幅に減少し、精神的に楽な状態で臨めるようになっただけでなく、火曜日に次節が予定されているという久々の過密日程が待っている中で選手の消耗を抑えつつ戦えるという願っても見ない状況に。

 

そして38分、左サイドで獲得したコーナーキックでバックポストから大きく動いてニアポケットまで移動したメイヌーへのグラウンダーパスを出すというトリックプレーからエンベウモが針の穴を通すように慎重にコースを狙いすましたパターショットを決めてマンチェスター・ユナイテッド先制!!

 

GKの動きを制限するフィールドプレイヤーというトレンドを逆手に取り、誰にも真の狙いがニアサイドでのレシーブとは気づかせなかった見事なコンビネーションであり、それだけでなくダイレクトで斜め後ろへの落としという難しいパスを決めたメイヌーの技術力も光った。

 

ズルズルと無得点のままで行かずに早い段階でリードできたのはまずまず。欲を言えば追加点を決めた状態で前半を終えたかったが、次の得点はお預けとなり最初の45分が終了。

 

後半

 

11vs10になった時点でユナイテッドがいつ確実に勝利を手中に収めるか、スパーズはセットプレーやカウンターからの一発を作れるかという完全なワンサイドゲームに移行しているため展開の流れとしてはほぼ止まっている状態。敵陣内でボール保持を続けるホームチームは49分にファーサイドへのクロスからもう一度ニアに折り返してフィニッシャーはアマドという理想的な崩しでネットを揺らしたがこれはオフサイド。やや大事に持ちすぎているきらいはあったがジワジワと真綿で首を締めあげていくような試合運びでスパーズを追い詰めていく。

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また更にアウェイチームにとっての痛手は後半始まって10分と経たずウドジェが負傷しスクランブルで交代枠を消費してしまったこと。代わって入ったソウザは冬のマーケットでサントスから獲得した2006年生まれのフルバックで、これがトッテナムでのデビュー戦となった。

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なお、スパーズのプレスラインは意外と高めに設定されている事が多く、瞬間的に1stプレスと2ndラインとの間、言い換えればFW-MFライン間が空きやすいので主にエンベウモがここに入って縦パスを引き出して攻略のキッカケとなっていく。

 

61分にはCK後の2次攻撃でボックス外に留まっていたダロトが左斜め45度から鋭いカーブショットを繰り出す場面があったが、彼は試合単位でのキックの質のムラが大きい上にかなり分かりやすいタイプなので、低く抑えられてなおかつ威力も伴っていたこの一撃が後の結果を示唆していたと見てもいいだろう。

 

68分にはヴィカーリオのミスコントロールからショートカウンター、最終的にアマドのプレゼントボールをクーニャが決めたがその前段階でオフサイドがあり、マン・シティ戦の前半を彷彿とさせるような流れに。数的優位を活かして確実な得点機会を作ろうとし過ぎる傾向が見られるが、ボックス内への侵入回数自体は多いので後は事故を回避しつつ次の一点を出来るだけ早く加算するという勝負に。

 

そろそろ2点目を奪えないと怪しくなってくるという80分を迎えたところで、ダロトの低弾道の高速クロスに対してクーニャに変わり途中出場しているシェシュコがニアで潰れ役となり、ファーサイドでマークの背後からスッと抜け出していたブルーノはハーフバウンドに対して足では無くあえて上から被せる為に脛にボールを当てて難しいシチュエーションを簡単にみせる技術の詰まったゴールが生まれた!!

 

グレイのRBは基本的にはそつなくこなしていたと思うが、この逆サイドからのクロスにおけるボールとマークを同時に管理する対応は経験を積んでも対処できない選手も多く、ましてやマークする対象がオフボールの超優秀なブルーノという事もあって19歳の若者にとってはタフな条件だったので責める事は出来ないだろう。

 

試合終了前のラストプレーではブルーノのクロスにノンプレッシャーのシェシュコがゴール前で合わせるというダメ押し点かつ個人成績を上積みする絶好機もあったが中途半端なシュートに終わりスコアは2-0から変動せず。

 

データ

 

Standard

 

マンチェスター・ユナイテッドは対トッテナムの未勝利記録を8でストップし、2022年10月、ホーム開催のリーグ戦以来9試合ぶりの勝ち星を手にした。いつの間にかここまで負の記録が積み上がっていたとはつゆ知らず、後からデータを見て驚いている。

 

スタッツに関してはロメロの退場が30分と早い段階だった事もあってユナイテッドが一方的に支配していたという内容。走行距離を約106kmと低く抑えられた点は日程の厳しさを考えれば大きなプラス要素だ。

 

 

xG

参照:

Manchester United 2 - 0 Tottenham (February 07 2026) | EPL | 2025/2026 | xG | Understat.com

 

ゴール期待値は2.17-0.59でユナイテッドの完勝。ロメロの退場以降、スパーズは2度しかxGが加算される攻撃を行っておらず、ほとんどディフェンシブサードで耐え続ける展開だったのでこの結果は当然のことだろう。個人的に最も難しいゲームになるのではないかと予想していたので、数的優位が生まれ比較的に楽に勝ち点3を手にいられたのは幸運だと思っている。

 注文をつけるとすれば、後半アディショナルタイムのシェシュコの決定機は流石にしっかりとシュートを打ちきって終わってもらいたかった。

 

 

 PASSING NETWORKはスパーズが10人になった事が影響を与えているので参考外な部分も多い。ただ、ショーが左外で幅を取ってクーニャのフリーマンという枠組みは変わらず、リチャのビルドアップでの貢献度の高さも引き続き反映されている。また、カゼミロの位置がメイヌーと同じ高さにある点もこれまでの試合、特に前節のフラム戦のデータと比較すると大きく異なり、数的有利の特殊ケースだった事がよく分かる。

 

あとがき


シャビ・シモンズはトーマス・フランクのように規律と守備強度を強く求めるチーム作りで結果を残した指揮官とはあまりあっていないような気がした。少し前まではトッテナムと似たような状況だったので正直謎の親近感が湧いている。

 

 

【 #MUNFUL 】3戦3勝!! 不安要素を見せつつも連勝街道続く

※25/26 イングリッシュプレミアリーグ

マンチェスター・ユナイテッドvsフラム戦の記事です。

 

全体を通せば悪い試合運びでは無かったのですが終盤の相手の押し込みに屈して同点に追いつかれ、アディショナルタイムに決勝点。3連勝という結果は見事ですが、スカッドの厚みと試合の中での体力という部分には不安も垣間見えた。

 

 

 

 

【Match Review】

Starting lineup

ベンチ入りマンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 3 Mazraoui, 11 Zirkzee, 12 Malacia, 15 Yoro, 25 Ugarte, 26 Heaven, 30 Šeško, 61 Lacey

フラム
2 K.Tete, 3 Baccey, 6 H.Reed, 10 Cairney, 18 Kusi-Asare, 22 Kevin, 23 Lecomte, 24 Josh King, 30 R.Sessegnon

 

ユナイテッドは3試合続けて同じラインナップとなり、一方コテイジャーズはチュクウェゼがウイングで得点に絡むようになったのと時を同じくしてイウォビがセントラルMFに専念するようになり、両者がAFCONから帰ってきた後もそれが継続。

 

前半

 

ドルグの負傷離脱を受けて再編を迫られた左ウイングには途中出場から決定的な仕事をこなしていたクーニャが順当に選ばれた。ワイドレーンでのプレーを好む前任者と異なり、背番号10はハーフレーンからセンターレーンに入っていく為、キャリック就任後の2試合とは異なり、CB横に残ってポゼッション時3-2-5の3を形成するフルバックはショーからダロトへ。ショーの縦の位置取りはおおよそダブルピボットと同じ高さで、自陣ではFW-MFライン間、敵陣ではMF-DFライン間に立ち高過ぎず低すぎず丁度いい位置に収まった。

 

一方のフラムはスミス・ロウ,ベルゲ,イウォビの3枚がフレキシブルに入れ替わりながらCBからのパスを受け取り、必ず1人はブルーノ-エンベウモ間かつ1stプレスと2ndプレスの狭間に立つので、マン・シティやアーセナルでも苦戦した前線守備を上手く往なす事が出来た。それ故、戦前の予想とは異なり試合序盤の主導権を握ったのはアウェイチームである。

 

ただ、フラムのCBはバッシー-アンデルセンのファーストチョイスではなく、後者の相方にホルヘ・クエンカが選ばれており、彼はマーク管理が甘くなおかつボールウォッチャーになって視野が狭くなりがちで、そのような立ち回りをカバー出来るバッシーのような身体能力があるわけでも無かった為エンベウモにとっては格好の裏抜けの的。

 

9分、リチャがプレス網の外で余裕を持ってボールを持てたシーンでエンベウモはそのクエンカの背中側からDFライン裏へ走りこむと、そこに完璧なロングフィードが飛んだ。ただ、ペナルティボックスに入ろうかという所で戻ってきたクエンカの背後からのタックルで倒され、なおかつこのプレーに対し笛が吹かれる事はなく試合続行、ユナイテッドにとっては余りにも不運な結果に。

 

アーセナルのような脱法的CKではなく、真っ向からやり合っても選手のサイズやストレングスが優れているのでセットプレーが脅威になるコテイジャーズ。上記のピンチを乗り越えた数分後にバックポストでクエンカが折り返しゴール前でアンデルセンというビッグチャンスを作ったものの、ラメンスの素晴らしい反応が得点を許さなかった。

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17分、フリーマンとして攻撃時の制約が無く実質的な2人目の10番として自由に動くクーニャが右サイドに流れ、アマドとの連携で大外からボックス内へ抉っていくと、またしてもクエンカのラフな対応で姿勢を崩され今度は主審も笛を吹いたが、VARはボックス外でのファウルを支持しPKではなくFKで試合再開。もしもクエンカがやたらとPGMOLに敵対視されているマン・ユナイテッドの選手だったならばもうこの時点で退場していてもおかしくないくらいに手癖やアフターが目立った。

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そのFKではマグワイア,カゼミロの2大巨頭をファーサイドに配置し、ゾーン・マンマーク併用の相手に対してマグワイアがファウルを取られない程度に壁役を務めながら最後はカゼミロが豪快に叩き込む!!丁度クエンカの上からヘディングを決めたという意味ではホームサポーターのフラストレーションも多少は解消される得点だった。

 

その後しばらくはユナイテッドが主導権を握る時間が続いたが、追加点は生まれず徐々ににらみ合いのような状況へ変化していく。その頃になるとフラムはプレスラインを引き上げてGKラメンスまでプレッシャーをかけるようになったが、彼のディストリビューションの優秀さやチェイスがチュクウェゼ単騎で組織的な囲い込みが少なかった点などもあってホームチームにとって大きな障壁にはならず。ただ、決定的な得点機会を作るまでには至らずそのまま1-0で前半終了。

 

後半

 

後半始まって間もない48分には中盤にスライドしたダロトがボールを運んでエンベウモにスルーパスを通し決定機を演出したシーンがあったが、キャリックのこれまでを見るとフルバックにこのようなポリバレント性を求めている為、今ダロト,マズラウィとフットボールを理解しているRBが2人いるのは指揮官にとっては運がいい。特にクーニャがいると中盤以降の流動性が更に高まるのでトータルフットボール的な適応能力はより一層要求される事だろう。

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引き続き制約なくピッチを動き回るクーニャが右サイドに腰を据えていた56分、カウンタープレスが早くフラムに大きなクリアをさせず敵陣でボールを奪い返すと、前に出ていたロビンソンと左CBクエンカの間のスペースでカゼミロからスルーパスを受け取った背番号10がニアハイに強烈な一撃を突き刺して追加点ゲット!!

 

クーニャは守備面でサボらなければオンボールの自由を与えるというシンプルな運用法が最も力を発揮出来るタイプなので、キャリックが彼よりドルグを優先したのはジョーカーとして使いたかったのだろうと推測している。ここからは先発起用となるわけだが、持ち場を離れている最中でチームがボールロストした際の立ち回りをどうするのかが今後の勝敗を変える要素になるかもしれない。

 

追いつきたいフラムはFKのディフレクションからある意味この試合一番のキーマンであるクエンカがネットを揺らすもオフサイドにより取り消し。セレブレーションでリチャに対して挑発するような行動を取り、プレーの粗さ以外にもいろいろとツッコミどころの多かったこの男はここでも悪目立ち。

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75分からクーニャに変わって登場したシェシュコにはアマドのインスイングクロスからいきなり決定機が舞い込むもヘディングシュートはポストに阻まれダメ押し点とはならず。後の展開を考えるとこれが決まっていれば遥かに楽な試合だったのは間違いないが、動き自体に悪い部分は無かったのでこればっかりはどうしようもない。

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ユナイテッドの誤算は2-0で迎えた80分台に立て続けに失点したこと。そのうち1つ目は試合単位での判定の公平性や基準の不安定さなどをツッコミたくなるようなPKだったのでまだ致し方のない部分もあるが、

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プレスラインが瞬く間に下がっていきなおかつ守備強度も低下してフラムにノンプレッシャーでクロスを入れさせてしまっていたその後の流れはいただけない。特に交代出場のシェシュコやウガルテはせめて前向きでアプローチ出来る守備局面ではもう少し力強さを見せて欲しかったところ。

 

そして、アディショナルタイムに突入して1分ほど経過した頃、セセニョンを壁にしたワンツーで大外から斜めにボックスへ侵入したケヴィンのスーパーゴールを食らって遂にリードを失うまでに至る。

 

責めるつもりはないが、ラメンスもこの斜め45度のカーブショットに対してはアストン・ヴィラ戦でモーガン・ロジャーズに決められているようにやや不得手にしている印象があり、距離があるからといって楽に打たせていると今回のようにしっぺ返しを受ける可能性がある。

 

失点前からフラムに押され続けていた事もあり、オールド・トラッフォードは一気に重苦しい雰囲気に変わっていったが、そんな鬱屈とした感情を消し去ったのはキャプテンの状況判断能力だった。AT4分、リチャの対角線のフィードを右大外でアマドがコントロールすると、バックパスを受けたマズラウィはダイレクトで前方のブルーノの足元目掛けて強めのパス。これに対してブルーノはトラップではなくスルーからの反転を選択し、純粋なフィジカル勝負では叶わないバッシー相手に一瞬の間を生み出すと、タイミングを外したアーリークロスで後ろ向きに戻りながら対応するアンデルセンの逆を突き、最後はゴール正面でボールを収めたシェシュコが汚名返上の一発!!

 

表示されたアディショナルタイム9分を越えても中々タイムアップの笛が吹かれる気配がなく不安に駆られる瞬間もあったが、なんとか土壇場で奪い返したリードを守り切りマンチェスター・ユナイテッドマイケル・キャリック体制で3連勝を達成。

 

データ

 

Standard


トータルのポゼッションは42:58でフラム優勢。前半は48:52と五分五分だったが、後半は主導権を明け渡す時間が長く、シェシュコの勝ち越し弾の一瞬を除けば80分以降はほとんどフラムが押し込んでいるような展開だったため、逆に言えばよくこの内容で勝てたとチームの勝負強さに関しては評価。ジャッジに苦しめられる試合が続く中でキャリックは3戦3勝と見事な結果を残している。

 

選手個人のスタッツを見ていくと、カゼミロとメイヌーのダブルピボットがそれぞれ地上デュエルで5/7、6/7と素晴らしい結果を叩き出しており、なおかつカゼミロは空中戦でも圧巻の強さを見せて先制ゴールを記録した。エンベウモ-ブルーノのラインに始まり、中央の選手たちのパフォーマンスが高レベルで安定しているのが連勝の大きな理由だろう。

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xG

参照:

Manchester United 3 - 2 Fulham (February 01 2026) | EPL | 2025/2026 | xG | Understat.com


ゴール期待値はユナイテッド1.84、フラム1.72で僅かにホームチームがアウェイチームを上回った。PKを除けば更に差は広がるので見た目ほど赤い悪魔の内容は悪くなかったのだが、ペナルティスポットよりゴール寄りの位置から流れの中で5本シュートを打たれている事は改善点。また、最終的にヒーローになったので帳消しだがシェシュコも投入直後の場面のような決定機をコンスタントに得点に結びつけられるようになってもらわねばならない。

 

 PASSING NETWORKではユナイテッドのフルバックの役割に変化が生じた事が一目瞭然で、クーニャがフリーマンになった分ショーが左外で幅を取るようになっている。ただ、アマドで質的優位が確保出来る右サイドに比べると左は計算しづらい要素も多く、誰がサポートに入るのかを煮詰めていく必要がありそう。

 

あとがき


次の相手はチームキャプテンクリスティアン・ロメロが不満を公にするなど統制が乱れているトッテナム。ただ、今節ではマン・シティに引き分けているようにタフなカードになる事は間違いなく、元々トーマス・フランクは守備構築に長けた監督なので相性としてはこれまでの中で一番悪い相手と言っても過言ではない。

 

 

【 #ARSMUN 】組織的で献身的な守備が爆発的な個の力の下地に

※25/26 イングリッシュプレミアリーグ

アーセナルvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。

 

マン・シティに続いてアーセナルも撃破!!

上位2チームを立て続けに破る最高のスタートとなったマイケル・キャリック体制のレッド・デビルズは今シーズンのプレミアリーグ勝戦線にも影響を与える存在になってくるかもしれません。

 

 

 

 

【Match Review】

Starting lineup

ベンチ入りアーセナル
3 C.Mosquera, 4 Ben White, 10 Eze, 11 G.Martinelli, 13 Kepa, 14 Gyökeres, 20 Madueke, 23 Merino, 49 Lewis-Skelly

マンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 3 Mazraoui, 7 Mount, 10 Cunha, 12 Malacia, 15 Yoro, 25 Ugarte, 26 Heaven, 30 Šeško

 

 

前半

 

ユナイテッドは前節と同じで4-2-3-1をベースに守備ではブルーノとエンベウモがプレスラインやコースブロックを先導しながら選択肢を狭めていく4-4-2ミドルブロック、ポゼッションでは一方のフルバックが中盤に吸収される3-2-5。

 

一方、ホーム、エミレーツ・スタジアムで迎え撃つアーセナルは攻撃時の流動性が非常に高く、ビルドアップでは2CB以外は大きく動いて瞬間的に相手のブロックを剥がして縦パスを付けようという意識が強かった。ただ、これが敵陣でのボール保持に移行すると傾向が大きく変わり、ユナイテッドの2ndラインと3rdラインの間、いわゆるMF-DFライン間に入ってボールを引き出す選手が居ないため後ろの前が分断され外回りのパスが目立つU字のポゼッションが目立ち、サカ,トロサールの両翼も個の質で打開出来なかった事からボックス内侵入やゴール前の攻略に苦戦。

 

更に、シティ戦でも勝利の要因の1つとして挙げたウイングの守備貢献、3-4-3でWBとしてプレーしていたアマドとドルグはこの点においてどう立ち回ればいいか、サボるとどうなるかという部分を身をもって理解している為、アーセナルが大外のウインガーに素早くボールを振っても直ぐにユナイテッドのマークが追いついて楽に前進させなかった事が効いていた。

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ただ、今季のアーセナルはオープンプレーよりも圧倒的にセットプレーから得点を奪ってきたチームであり、特にルールの穴を突くようなコーナーキックにおけるGKの周囲を固めて事故を狙うポジショニングは今やプレミアリーグ全体の流行といっても過言では無く、他クラブはキーパーの手前に邪魔役を1人配置する程度だが、ガナーズの場合は前横後ろ3方向全てを塞いで完全に閉じ込めるような置き方も少なくない。彼らのアイコンであるアーセン・ヴェンゲルはおしくらまんじゅうのようなこのスタイルを嫌っている様子。

 

私個人の考えとしてもGKの動きを制限する事を主目的とした動きについては早急にルールを整備して反則を取れるようにするべきだと思っているが、このようなメタを発見して勝利を得ている観察眼に関しては評価している。

 

18分、正にそのセットプレーからビッグチャンスを生み出したホームチーム。ただ、ここではラメンスの驚異的な反応が上回りユナイテッドは失点危機を回避した。

 

ウイングが大外を締めてアーセナルの攻撃をよく凌いでいたユナイテッドだったが、サイド散らされた後の横方向へのスライドやDFライン裏への飛び出しへの反応と危機感にバラツキの多いメイヌーを突かれるような形で30分手前に失点。ただ、完璧に崩されたというよりはサカのパスが良かった+不運なディフレクションだったので以前を思えばチームとしての成長を感じる。

 

ある程度決まったポジショニングでビルドアップをするという訳では無く、ティンバーを起点に複数の選手が同時多発的にスライドする事でマークから逃れてフリーになるというやり方を採用するアーセナルは上手くハマれば一気にプレスを無効化出来る半面、意図が噛み合わなかった時のカウンターのリスクが高い。

 

過密日程の中で肉体だけではなく状況判断にも疲労の影響が出るという点が分かりやすく現れたのが37分のボール保持だった。バックラインでパスを回すホームチームに対し、ユナイテッドはエンベウモとブルーノでパスコースを限定しつつ網を狭めていきプレッシャーをかけていく。すると、サリバがやや慌てて右外に降りたスビメンディに出した横パスが乱れ、更にあらかじめGKへのバックパスと決め打ちしていたスビメンディは咄嗟にプレーキャンセル出来ず、結果的に後ろに戻したキックはエンベウモへの絶好球となってしまいユナイテッドが追いつく!!

 

全体的に変わったのは意味のない横パスが減った事。次を見越して三角形を意識しながら近くの味方にボールを預けて自身は動き出す、パス&ムーブを徹底しているので無茶な縦パスに頼らずとも前進させられるようになり、リスクマネジメントを行いながらなおかつ効率的に深い位置へ侵入出来るようになった。特にリスキーなプレーを選ぶ事の多かったカゼミロやブルーノといった中盤の選手に焦点を当てていくと分かりやすい。

 

後半

 

両クラブともに同じラインナップのままで入れ替えはなし。

 

後半始まって間もない50分、アーセナル陣内でボールを持つユナイテッドはリチャが左外を意識させる身体の向きからハーフレーンに立つドルグへフェイクを入れたパスを通し攻撃のスイッチを入れると、ドルグはブルーノを壁役に使ったパス&ムーブで中央へ進出。身体の反応が追いつかないスビメンディをよそにペナルティアークへ侵入すると、思い切り左足を振り抜き強烈なボレーシュートがゴール左上隅へ吸い込まれていく!!

 

強いて言えばサカの外側への誘導が緩くリチャの縦パスを許してしまった事が若干甘かったくらいで、アーセナルの守備自体にほとんど攻められる点は無い。足元から少しズレた難しいボールをアウトにかけて浮かし、立体的なボールプレーで一瞬の間を作りつつ意表を突いたブルーノ、そしてリターンを貰ったあと流れるように前進しながら小さいシュートモーションで弾丸のような一撃を突き刺したドルグとユナイテッドの個の力が爆発した得点だった。

 

勝ち越しに成功したユナイテッドは競り合いに負ける事を念頭に置いてセカンドボール回収を組織的にデザインするGKからのロングボール、そんな中でも身体を斜めにしてボールキープ出来る間合いを作るのが上手いエンベウモという組み合わせで直線的にアーセナルゴールを脅かし、サカに対してはドルグとショーがスイッチしながら常にタイトにマーク、逆サイドのトロサールにも仕事させずリードしても緩む気配なく試合を進めていく。

 

先に動いたのはアーセナル。60分を前にしてアルテタは大胆に動き、FW並みに得点に絡むジョーカーのメリーノら一気に4人の選手交代を行った。ティンバーが左に移動し、No.8により攻撃的な2人が収まった事でスコアリングポジションに顔を出す選手が少なかった部分は改善されたものの、一方で前線プレスの先導をするウーデゴールが消えた事で守備強度は低下した。

 

サイドに流れてボールを受ける事を好むギェケレシュのスペースをエゼやメリーノが使用し、薄くなる中盤はティンバーやベン・ホワイトがインバーテッドWBとして振る舞う事でカバーする。

 

71分にはメリーノのシュートをスライディングブロックしたマグワイアというプレーでマグワイアの支え手にボールが触れ、アーセナルはハンドを主張したがこれが取られるようだとスライディングという技術そのものが根幹から揺らぐので判定は正しい。

 

ユナイテッドは70分手前にクーニャ、アーセナルは75分にマドゥエケを投入しホームチームは交代枠をすべて消費。マドゥエケは右サイドに収まり、サカを左にスライドさせていたが正直この意図はよく分からない。クロス乱打にしても、カットインからペナ角インスイングクロスという形の方がシュートとの2択を常に迫られるので守りづらい。

 

想定通りに試合を運んでいるのは明らかにマンチェスター・ユナイテッド。ただ、DFライン裏へのロブパスに反応したドルグがベン・ホワイトと競いながら走りこんでいる最中に右太もも裏を痛め負傷交代を迫られ暗雲が立ち込め始める。

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84分、ホームチームは今季の象徴とも言える脱法的なコーナーキックからメリーノがこぼれ球を押し込んで同点に追いつく。シェシュコは何故ゴールラインの内側に立っているんだと一瞬思ったが、彼が器用な選手ではないのは今更語るまでもないので致し方が無い。対アーセナルではCKの事故1回はあるものと想定する必要があると思っていたので、逆に終盤まで凌ぎ続けた事を評価したい。

 

同点に追いつかれても気落ちしなかった赤い悪魔に歓喜の瞬間が訪れるのは失点から3分後のこと。ラメンスのゴールキックをシェシュコがフィジカルの優位性で収め、落としのボールをメイヌーが回収し、ブルーノ,クーニャとの連携で小さな三角形を作り狭いスペースを突破すると、MFラインの後ろでフリーでパスを受け取ったクーニャがゴールから25mほどの地点から右足一閃!!

 

テイクバックでは股関節を開かずインステップキックのアプローチで入り、更に上半身を瞬時に前傾してタメを確保しつつインパクトでは蹴り足に体重を乗せた事で、インサイドながらボールスピードの速いシュートが実現しラヤの反応が全く追いつかない結果となった。

 

言葉は悪いが、らしくない小賢しい戦い方をするガナーズに対して真っ向からスペクタクルで打ち勝ったこの試合の価値はマンチェスター・ユナイテッドそのものにとってもただの1勝では収まりきらないモノであり、BIG6直接対決2連戦を2勝で終えたユナイテッドの順位は4位にアップ。巻き返しでのCL圏確保に向けてこれ以上ない滑り出しとなった。

 

データ

 

Standard

 

シュート数は15:10、3:2の割合だがオンターゲットでは4:3とユナイテッドは枠内シュートを全て得点に繋げるという結果となった。支配率は意外にもホームチームのパーセンテージが60に満たず、ユナイテッドは守備一辺倒になることなく五分に立ち回る事が出来た。また、両チームの傾向が顕著に表れたのがクロスの本数であり、アーセナルが25回上げたのに対してユナイテッドは5回。スカッドに沿った戦い方を採用するという意味でキャリックを評価できる部分。

 

xG

参照:

Arsenal 2 - 3 Manchester United (January 25 2026) | EPL | 2025/2026 | xG | Understat.com

 

ゴール期待値は1.42-0.64とホームチームにしてみれば不運な試合だったという内容。ボックス内からのシュートを3本に抑えながら3失点、うち2つはボックス外からのゴラッソという事でユナイテッドは薄い勝ち筋を逃がさずに結果を出した勝負強さについて評価出来るものの、今後自分たちが押し込んでいく展開で得点力を維持できるかどうかはまだ不明だ。

 

 PASSING NETWORKでは、時間をかけたポゼッションよりもセカンドボール回収や奪ってからの素早い攻撃が多かった事もあって形が崩れているが、大まかな流れとしては左サイドで密集、右サイドはアマドの打開力を活かす為にアイソレーションというのがキャリック政権でも継続される可能性が高い。

 アーセナルの方はライスとスビメンディが重なっており、彼らはビルドアップで最も情報負荷の高い役回りとなるため、元々要求される処理能力が高いだけでなく、使い詰めによる影響も受けやすいポジション。実際、この試合で2失点に絡んだスビメンディは欧州トップリーグのフィールドプレイヤーで一番を争うレベルに出場時間の長いプレイヤーである。

 

あとがき

 

キャリック体制の2戦で鮮烈な輝きを放ったドルグはハムストリングの負傷で2ヶ月半程度の離脱を要すると一部で報道されており、彼にとってもクラブにとっても残念なニュースとなってしまった。ウインガーの押し込まれる局面でのFB化という意味ではアモリム時代にWBを経験していた選手に一日の長がある為、今後の試合でその部分がどうなるかは少し不安に思うところがある。

 

 

【 #MUNMCI 】Carrick!! 短い準備期間で強度と献身性を大幅に引き上げる

※25/26 イングリッシュプレミアリーグ

マンチェスター・ユナイテッドvsマンチェスター・シティ戦の記事です。

 

実際にキャリックがトレーニングで指導出来た期間は2~3日だったのではというくらいの急ごしらえで迎えたマンチェスターダービー。まさかこれほど見事な完勝劇を見せてくれるとは思っておらず驚愕しています。Theatre of Dreamsが名前負けしない素晴らしいゲームをありがとう!!

 

 

 

 

【Match Review】

Starting lineup

ベンチ入りマンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 7 Mount, 10 Cunha, 12 Malacia, 15 Yoro, 25 Ugarte, 26 Heaven, 30 Šeško, 38 J.Fletcher

マンチェスター・シティ
1 J.Trafford, 4 Reijnders, 10 Cherki, 13 Bettinelli, 21 Aït-Nouri, 33 O'Reilly, 56 McAidoo, 63 Mukasa, 91 Mfuni

 

 

前半

 

インテンシティがフレッチャーでの2試合とは明らかに異なりそれこそサー・アレックス時代の戦う集団っぽさも垣間見られた立ち上がり。バックポストに配置するマグワイア、シンプルながら強力なコーナーキックでいきなりクロスバー直撃のチャンスを作る等ユナイテッドの思惑通りの時間が続いた。

 

ハイボールのターゲットになるCFはいないが、それこそテベス-ルーニーの2トップだった07-08シーズンをロールモデルにしたかのようなコンパクトかつ攻守にプレー強度の高い集団で相手にボールは持たせても主導権は渡さない試合運びはクラブカラーにも合っている。

 

 

守備についてはブルーノがエンベウモの横に立って4-4-2になり、ファーストプレスの2人がいずれもサボる事無くコース制限も上手く先読みしながら誘導出来るため、基本的に3-1-5-1で2ライン目が薄くかなり前掛りなビルドアップを採用するシティに対して、CBが外に持ち運びながらパスコースを探す状況を作り出して一気に複数人で囲い込んで奪いきり、ショートカウンターで得点機会を生み出すという戦略が完全にハマっていた。

 

もちろん、シティがボールを保持する時間の方が圧倒的に長く、ユナイテッドはミドルサード自陣側からディフェンシブサードにかけての守備対応が中心となったのだが、上述した3-1-5-1に対して4バックのままだと2枚の不足が出てしまうところ、ドルグ,アマドの両ウインガーフルバックの脇を埋めて6バック-ダブルピボット-前線2枚という6-2-2の形を取る事でこれに対処。

 ウイングの選手はどうしても守備意識が低くなりやすいのだが、ユナイテッドは直前までアモリムの下で3CBを採用していたこと、アマドとドルグはいずれもWBメインだった為守備時に大外を埋める意識と守り方の知識の部分をクリアしていた事もキャリックの船出をバックアップした。一番分かりやすいのはセメンヨやドクに対してフルバックが対応に出たシーンでしっかりその分のスペースを埋めに戻っている瞬間だ。(例:13:57~のショーvsセメンヨ1on1におけるドルグのプレスバック)

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また、フルバックの絞り、DFとのライン間を閉じるダブルピボットのプレスバックとCBの縦横を巡るユナイテッドの守備の課題がこのマンチェスター・ダービーでは一気に改善されており、特に押し込まれた際のペナルティアーク付近の空白が無くなりマイナス方向のクロスに無防備だった欠陥が消えたのは試合の流れに絶大なる影響をもたらした。この部分に無頓着だったメイヌーもしっかりとスペースを潰すように変化していて、エンベウモ-ブルーノのファーストプレスから最後の球際まで含めピッチ全体でユナイテッドの守備はシティの想定をはるかに上回るものだったに違いない。何より、キャリックのスタメン選考もボールを持っていない時の立ち回りを一番重視していた印象を受ける。

 

大外のウインガーで質的優位を作り出せないシティはユナイテッド守備網に綻びを入れる手段を見出せず、かといってシンプルにハーランドを狙ってクロスを入れるのはプライドが許さないのか或いは彼もまたマグワイアとの競り合いには劣勢だからか絶対的スコアラーも存在感ゼロのまま時間が過ぎていく。

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すると、33分のホームチームはラメンスを起点にカゼミロ→エンベウモと縦パスを連続で通し、2つのライン間を最少の手数で突破しながらエンベウモが右外でDFライン裏を狙うブルーノにダイレクトで繋いでカウンターチャンス。キャプテンからスルーパスを貰ったアマドは上体を起こして冷静にGKドンナルンマの挙動を確認しながらタイミングを外し、無人のゴールにボールを蹴って先制弾……かと思われたが僅かにオフサイドラインを飛び出ていて得点は幻に。

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シティが前半で唯一得点に近付いた37分のコーナーキックではラメンスと交錯しながらもダロトがライン上でボールをブロックし、逆に41分にはまたしてもオフサイドだったものの先程より更に僅かなラインからの飛び出しで取り消されたブルーノの得点など、ポゼッション,カウンター問わず相手の守備を間延びさせた状態からのチャンスクリエイトで終始ユナイテッドペースで前半は終了した。

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ポゼッションでは2タッチ以下でのプレーを目標としているように見え、中でも43分の右サイドでのパスワークはその後のメイヌーのプレス回避の美しさも含めて見る者を魅了する、まるでショートフィルムのようなプレー。ただかご回しをしているだけでなく最終的に逆サイドに展開してボックス内への侵入まで繋げたという点も評価できる。

 

前半を終えた段階でほとんどゴール前でのチャンスまで到達出来ていなかったシティに対して傍から見た印象として受けるのは、ロマンに魅せられてリスクマネジメントが疎かになっているのではないかという点。

 3-1-5-1のボール保持は3-1部分にかかるプレス耐性,パス能力,被カウンターでのスピードとアスリート性とボールスキル及びインテリジェンスといったフットボールの上手さの両面がハイレベルで要求されるが、果たしてこの日のラインナップでそれが本当に合っていたのかと言われると個人的には否だと思う。例えば、3ライン目まで上がるリコ・ルイスをロドリ脇で留めて3-2-5にするだけでも内容が大きく変わっていた可能性がある。

 

後半

 

ペップ・グアルディオラはハーフタイムで2人の選手を入れ替え、アドリブで創造的なボールプレーからチャンスを生み出せるチェルキ、そしてビルドアップで狙われていたアレイネに代えてニコ・オライリーを投入し修正を加えた。徹底してスペースを潰しなおかつローブロックで背後の空間も狭くライン間でのボールレシーブやそこからの裏抜けを封じられたフォーデンは全く存在感が無かったのでいずれの交代も妥当か。

 

ただ、ユナイテッドの守備強度と奪ってからのカウンターでCB前から瞬時に降りて間合いを確保し縦パスを受けられるエンベウモ、そしてそこからスイッチが入るスピーディーな攻撃への対応は依然として間に合っておらず、後半始まって早々にダロトのクロスがゴール前を通過しバックポスト側で待つエンベウモにあと少しで届くという危険な場面を許すなどホームチーム優勢の流れは変わらない。

 

個人的に驚かされたのは57分のユナイテッドのカウンター。左外でボールを持ったドルグが顔を上げて逆サイドを確認すると、アマドへのサイドチェンジを通してボックス内への侵入をアシストした点。アマドのパンチショットのリバウンドに詰めたカゼミロはドンナルンマの素晴らしいブロッキングに阻まれ得点を奪えなかったものの、もしこれが再現性を伴って出来るようならドルグの選手としての幅は大きく広がる。

 

65分、シティのFKをマグワイアが弾いてルーズボールがエンベウモの元に収まると、FKテイカーだったチェルキの寄せを交わしてロングカウンター始動。クサノフとベルナルド・シウバの2枚が残っている相手に対してユナイテッドはエンベウモ,アマド,ブルーノ,ドルグが素早いトランジションで駆け上がっており、アマドとドルグはワイドレーンで相手の意識を釣りストライカーの得点機会を補助。最後はブルーノのラストパスをエンベウモがファーサイドに沈めて赤い悪魔に遂に先制点が生まれた!!

 

攻撃面では細かい約束事で縛らない代わりにとにかくチームのために汗を流せ、決してトランジションで負けるなというサー・アレックスの頃を思い出す高速カウンターがSAF体制第二の黄金期を支えたキャリックの下で再現されている事に思わず感動を覚えた。チーム内で最上位の地位にブルーノとエンベウモという賢くて走れる選手が軸として存在している点がこれを実現させたとも言える。

 

これまでのユナイテッドならばリードを得た事で勝手にギアを下げて緩んだところをつけこまれるのが常日頃だったのだが、この日はまだ目に炎が灯ったままで、76分にはエンベウモと交代で入ってきた背番号10、絶対的なスタメンとは言えない状況になっているクーニャがオライリーとの1on1からグラウンダークロスを上げきると、マーク管理の甘いリコ・ルイスの背後からゴール前に一気に現れたドルグがこれに合わせて追加点!!

 

先述したロングフィードでも見られたが、ヘッドダウンで周辺視野が弱かったドルグが急に目線を水平に保って周囲の状況を確認しながら取るべき選択を間違えにくくなっているのはキャリックの指導なのか、今までには見られなかった傾向なので今後注視していきたい。もしそうだった場合、個人戦術を教えられる待望のコーチという事になるので彼の指揮官としての価値も大きく上昇する。

 

終盤に入ってもカウンター時のトランジションは鋭く、とりわけアマド,ドルグ,ブルーノにはガス欠の気配が見られない。90分にはドルグがコンタクトプレーに勝って繋げたボールをブルーノが拾い、左サイド大外からスルーパスに抜け出したアマドがアケを交わしてゴール正面に進出してシュートがポスト直撃。

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更にアディショナルタイムにはカウンターからクーニャのプレゼントボールにマウントが合わせてダメ押し点かと思われたがこの日3度目のオフサイドによる得点取り消し。過去2回と異なりリアルタイムのCG合成による映像が出ないモヤモヤの残る結果となり、後出しで得点の前段階におけるクーニャのオフサイドがあったと提示されたものの90分を通したマン・シティ寄りだったアンソニー・テイラーのジャッジも背景にあってユナイテッドサポーターにとっては納得の行かない終わり方に。

 

ただ、ライバルクラブを文字通り完封してなおかつ複数得点を奪った快勝の価値が落ちる事は無いので、たった数日でここまでチームを引きあげたマイケル・キャリックには本当に称賛を送りたい。そして選手たちにはこれが出来るなら普段から強度と献身性を保ってくれとも。

 

データ

 

Standard

 

シュート数11vs7、一方でポゼッションは32:68という珍しいスタッツが現れた今回のマンチェスター・ダービー。ユナイテッド視点から見ればシティのオンターゲットを僅か1つに抑える完勝であり、6回のオフサイドのうち3回はゴールネットを揺らしているので内容比較では実際のスコア以上に赤い悪魔が一方的に得点機会を創出していた。

 

ファウルはユナイテッドの方が5回多いが、正直アンソニー・テイラーの判定基準の問題にも思えたのでこちらがダーティーだった訳では無い。ダロトのファウルがレッドカードだとペップは負け惜しみを言っていたが、それならばベルナルド・シウバのこのプレーはどうなのだろうか。

 

xG

参照:

Manchester United 2 - 0 Manchester City (January 17 2026) | EPL | 2025/2026 | xG | Understat.com


ゴール期待値はより一層ユナイテッドのワンサイドゲームとなっており、試合開始早々のマグワイアのヘディングからアディショナルタイム直前のアマドのポスト直撃のシュートまでコンスタントにポイントを積み上げていったユナイテッドのxGは実際の得点よりも1.0以上高いスコアだった。1試合1得点ペースだったハーランドに対しても被xG0.16とほぼ近い結果となり、これほどまでにユナイテッドがシティを圧倒した試合は正直近5年では記憶にない。

 

 PASSING NETWORKを見ると両クラブ共にRBが内側を取る右上がりのバック3可変でボール保持している事が分かるが、ダロトとリコ・ルイスでは取るポジションの高さが異なり、前者はあくまでCB前のラインがベースになっているのに対し後者はほとんどNo.8といってもいい所まで上がっていくため、これが被カウンターにおける守備強度で差が出た一因だろう。また、カゼミロと重なる位置にマッピングされているエンベウモはブルーノと並んで攻撃時にライン間でパスを受けて更に少ないタッチで失わずに味方に繋ぐ重要な役割を担った。

 

あとがき

 

次もエミレーツアーセナル戦という非常にタフなカードが予定されており、ベースとしては今回のように相手にボールを持たせて高速カウンターでゴールを狙う形になると思います。なのでキャリックの対応力が問われるのはその次、オールド・トラッフォードで行われる2月1日のフラム戦でしょうか。