いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #UELFinal 】やはりクロス対応……。改めて、最優先はCB補強なのではないか

※24/25 UEFAヨーロッパリーグ決勝

トッテナム・ホットスパーvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。

 

タイトル通りクロスボールに対しての守備対応の悪さが原因でカップファイナルに敗れ、何もかも失った状態で来季を迎える事になった赤い悪魔。本当にアタッカーに高額を投じている場合なのか。

 

 

 

 

【Match Review】

Starting lineup

ベンチ入りトッテナム
4 Danso, 7 Son, 11 M.Tel, 14 A.Gray, 24 D.Spence, 28 Odobert, 33 Ben Davies, 40 B.Austin, 41 Whiteman, 44 Scarlett, 47 M.Moore, 63 Ajayi

マンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 2 Lindelöf, 11 Zirkzee, 14 Eriksen, 17 Garnacho, 20 Dalot, 25 Ugarte, 26 Heaven, 35 J.Evans, 37 Mainoo, 41 Amass, 43 Collyer

 

 

前半

 

マディソン、クルゼフスキとチャンスクリエイトの大半を担ってきた両雄を欠くスパーズはホールディングMF3枚で中盤を構成するかなり守備的な選手構成。これに対してマンチェスター・ユナイテッドはヨロがこのビッグゲームに間に合ってスタメン入りし、3CBの並びは左から順にショー-マグワイア-ヨロとなったが、ハッキリと言えばこの選出の段階で歯車は狂い始めていた。

 

本来はWBにワイドレーン、シャドーにハーフレーンでプレーさせたいはずのアモリムだがアマドを右シャドーに起用している際はどうしても彼が大外に流れ、マズラウィが合わせる形で内側に入るためボールを失った後の形が崩れやすく、更に左サイドではワイドCBのショーが開きすぎるせいでドルグと縦の位置取りが被ることが常態化。もしアマドをWB、ショーではなくマズラウィを3人目のCBにはめていればこのような事態は回避できたはずで、カップ戦で好感触を得ていたカゼミロ-ウガルテのCMデュオも無理なく採用可能だった。

 

スパーズはポゼッションを放棄してカウンター狙いを徹底しており、ソランケが多少厳しいパスでも収めてくれるという信頼感もあって少ないパスでゴール前までボールを供給。とくにアーリークロスはヨロとマズラウィの右サイド以外にボールとマークの同時管理を苦手にする選手ばかりのユナイテッドに対して非常に効果的であり、もう各チーム赤い悪魔に対してはこのアプローチがセオリーになっているらしくこの日の彼らも例外ではなかった。

 

更にドルグとショーは相手のプレスに相対した際に咄嗟に右足を使えないのでスパーズからすると容易に前線からの守備で自分たちに優位な状況を作り出せる上に、程度に差は有れどマグワイアも逆足には不安を抱えているため左サイドのビルドアップは機能停止。更にブルーノもここしばらく出ていなかった自陣でのリスキー過ぎるプレー選択が顔を覗かせてしまった為、ゲームチェンジャ―として期待されたマウントには満足にボールが到達せずユナイテッドの攻撃手段はセットプレーとアマドの個人技に限られた。

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また、オナナのコーチングの少なさも守備の問題を大きくしており、例えばウドジェのクロスが上がった27分の場面ではゴール前に待つスパーズの選手を越えてシュートの危険性のない状況にも関わらずゴールラインにへばりついたままドルグに処理を任せた結果CKを与えており、ここで自分が出ると大声でアピールすればマイボールに出来てカウンターのチャンスにもなった筈。あまりにも本能に頼ったプレーが多く味方を動かせないというのがオナナの課題であり、更にはディストリビューションの範囲が狭くなっている事やポジショニングの悪さも含め、彼はGKとしてはかなり早いタイミングでピークアウトを迎えてしまう恐れがある。

 

41分、先述した通りブルーノのプレーの正確性が欠けている懸念が悪い結果を招く。マズラウィからパスを受けたキャプテンは前進方向に相手の意識を寄せてノールックで近くに位置取りするカゼミロにパスを狙ったが、パぺ・マタル・サールに完全に読まれてインターセプトされると、プレスバックの遅いユナイテッドをよそに丁寧にアタッキングサードまでボールを運ばれ、再三に渡りインスイングクロスを蹴っていたリシャルリソンがここぞとばかりにニアポケットに走るベンタンクールへスルーパスを通し、深い位置でタメを作った後バックパスを貰ったサールがニアポストに向けて鋭いクロス。これに逆サイドからゴール前に絞っていたブレナン・ジョンソンが反応して先制点はスパーズに。

 

これ以前からトッテナムは幾度となく左サイドからのクロスでマークの管理が甘いショーとドルグの穴を突こうとしていた為偶然ではなく必然の結果であり、失点シーンではショーからジョンソンのマークを受け渡されたにもかかわらず全くもってチェック出来ていないドルグのインテリジェンス不足が目立った。やはり、ワイドCBとウイングバックの両方を使われる側の選手で固めてはいけない。また、自身のマークをしっかりと捕捉可能な位置に置いているヨロはやはりコンプリートCBとしての素質が高い。

 

 

後半

 

ビハインドでハーフタイムを迎えたユナイテッド。見るからに機能していない左サイドのテコ入れは必須かに思えたもののアモリムは動くことなく同じ11人で後半開始。

 

唯一にして最大の警戒が必要なアマドに対しては常にウドジェ+リシャルリソンの2人体制が敷かれ、更にサールやビスマも加わって3人でマークするなどリソースを惜しみなく投入するスパーズ。ユナイテッドは彼が生んだ局所での数的優位を活かせない事が多く、選手間の距離が空いているため素早いパス交換は叶わない。

 

それでもエンジン全開でハイプレスを敢行していた相手の疲労が見えてきた60分過ぎからは徐々にファイナルサードへの侵入回数が増え、68分には遠距離からのFKからヴィカーリオのパンチングが半端になったこぼれ球にホイルンドが合わせて決定機。しかし、ファ・デ・フェンの身体を投げ出したスーパーなクリアとその後のリバウンドもロメロのブロックに阻まれて得点とはならず。

 

ようやく交代が行われたのは70分過ぎ。しかしショーでもドルグでもなくマウントが下がり代わりにガルナチョを投入と全くもって問題解決の一手にはならない入れ替えであり、仮にガルナチョを投入するならば何もせずとも大外でプレーしやすいWBへ、例えばドルグとの交代で左WBに入れるか、あるいはマズラウィをCBに落として右WBに起用するかなど、よりアグレッシブかつ選手の個性に合った運用が見たかった。

 

 

その一方、ホイルンドに変わってジルクゼーが入った事はポジティブな変化で、彼が大一番に間に合った事とそのプレス回避能力及びチャンスクリエイト能力の高さで明確にミドルサードまでのボール保持の質が向上。ただ、シーズンを通して苦しめられてきた前線の決定力不足はこの日もチームを苦しめ、その象徴であるガルナチョはやはりフィニッシュワークで周りが見えていないように見えるパス・シュートを連発。

 

終盤に入ると困った時のプランとしてもやは当たり前になっているマグワイアFWをこの日も試み、サイドにボールが入るとすぐにゴール前へのクロスを狙うように。ユニットでの崩しやデザインされた攻撃が非常に少ない現状のユナイテッドではこのパワープレーが最も相手に脅威を与えるというのも何たる皮肉か。

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それでもヴィカーリオの安定したショットストップとファン・デ・フェンの圧倒的な身体能力、ロメロのゴール前での粘り強さを最後まで崩せなかった赤い悪魔は完封負けを喫し、来シーズンの欧州コンペティション不参加が決まってしまった。

 

当然のように予算が大きく減少する為、今夏のマーケットではスカッドの縮小路線に向かう事は避けられず、ブルーノのような絶対的主軸やガルナチョ,メイヌーのように若く高い移籍金収入の見込めるアカデミー育ちの売却の可能性が上昇する。特に後者は3-4-2-1に未だフィット出来ないというチーム事情もそれを後押しするかもしれない。

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データ

 

Standard

 

シュート数は3:16とユナイテッドがスパーズを圧倒しており、マディソンとクルゼフスキを欠くという事態の深刻さがある意味伝わってくるスタッツ。哲学と心中するようなシーズンを送ってきたポステコグルーがここにきて現実的なプランを採用したというのが彼らの勝利を引き寄せた大きな要素かもしれない。

 

ユナイテッドとしてはポゼッション率7割でパス成功率が84%に留まっている事からも伝わってくるようにオンボールでの精度で他に置いていかれている現実を直視しなければならない。特にパス成功率69%のブルーノはメンタルの上下に連動してプレー選択の質が乱高下する悪い癖をいい加減改善してもらいたいものだ。

 

xG

 

 

markstats算出のゴール期待値はスパーズ1.11、マン・ユナイテッド1.14と拮抗している。時間ごとで見ると前者はブレナン・ジョンソンの先制弾以降ポイントの積み上げが無く、正にカウンターからのワンチャンスを活かして逃げ切ったという内容。逆にユナイテッドはボックス内で二桁の得点機会がありながら一度もネットを揺らせなかったという点で深刻なゴール欠乏症の最中にある事がよく分かる。

 

PASSING NETWORKではショー-ドルグの被りとそこから前進する線が1つもない点から左サイドの機能不全がハッキリと表れていて、本当に交代するのはマウントからだったのかという疑問が常に脳裏をよぎる。

 

あとがき


ルーク・ショーとドルグ、インテリジェンスの部分に課題を残す選手を同サイドで2人並べるとこうなるという結果。ヨロが復帰出来たならば彼とマズラウィにワイドCBを任せて、右WBにアマドというのがどう考えても正解だったと思うのでアモリムの采配にも大いに疑問が残った90分間だった。