※24/25 イングリッシュプレミアリーグ
ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。
半年の間に公式戦で3回退場するキャプテン、いい加減にアンガーマネジメントを身につけるべき。
United are beaten at Molineux.#MUFC || #WOLMUN
— Manchester United (@ManUtd) December 26, 2024
【Match Review】
Starting lineup
前半
3-4-2-1ミラーとなったモリニューパークでのアウェイゲームはいきなりユナイテッドがウルブス側のボックス内に侵入してチャンスを作るがマズラウィのカットバックにブルーノ合わせられず開始早々の得点機会をフイにした。
ウルブスの守備は内側を強く警戒していてウイングバックもボックス端の延長線上あたりまでしぼるため、前線から一列降りてハーフレーンでパスを要求するブルーノに対し右WBセメドがしっかりと付いていく事も相まってユナイテッド目線では左大外のダロトがフリーになるシーンが多く、サイドチェンジ自体は有効だったものの、いざ通った後のダロト個人の打開力や周りのサポートが乏しかった事もあって結局はタッチラインへ追い込まれるシーンが目立った。
また、メイヌーに関して、単純なキックの技術は素晴らしいものを持っているがミドルサードでの陣取り合戦の中で相手選手を背負ってボールを要求する味方に対して安易にロブパスを選ぶ傾向が強く、パス&ムーブやレイオフに繋げづらい上に相手のプッシュでバランスを崩しボールを奪われカウンターを招く遠因にもなっている為"Decision Making"の改善は急務。足元に中途半端な自信をもってその他がおろそかになるという過去数多の選手が消えていった失敗を絶対になぞらないで欲しい。
Decision Makingについてはメイヌー以外にもチーム全体の抱える大きな課題であり、例えば右から相手が寄せてくる状況なので左側にパスをする、出そうとする相手が利き足が右なので右足に出すといった細かい思いやりに欠ける選手がほとんどであり、クリアしているのはリチャ,マズラウィ,アマドくらいしかいないかもしれない。この雑さがユナイテッドのポゼッション・コントロールへの適応を妨げている大きな要因で、残念ながらテン・ハフ体制では最後まで手が届かなかった分野でもある。
19分にはボックスまでボールを進めながら結局シュートで終われず、逆にウルブスのカウンターを食らいこの流れでブルーノがイエローカードを貰っているが、守備時にコンタクトプレーを過剰に嫌がり球際で足先だけをちょんと出す対応が癖になって余計な警告を増やしている。一過性のものではないので彼自身が克服しない限り今後も同様の事象は継続してしまうだろう。
Matheus Cunha dancing ‘round defenders.
— Wolves (@Wolves) December 28, 2024
🇧🇷😍 pic.twitter.com/zVuQ7mlrKR
一方、相手のイエローを誘ったクーニャに関してはスキャニングの多さ+耳が良いのか視野外からのプレスに対しても背中でボールを隠すようなキャリーが出来るので中々ボールを失わず狭い空間でも個の力で打開する突破力があり、ウルブスのようにカウンターは彼によって支えられている。
先述したワンプレー毎の意図の不明瞭さや雑さについて、傾向としてはクラブでの在籍期間が長ければ長いほどより悪目立ちしているように見え、例えばマグワイアはルーズボール処理の際明らかに横の味方に繋げられる場面で適当に前にヘディングをして相手に所有権を明け渡す事が多々ある。ブルーノにしても一か八かのロングフィードに逃げるのは日常茶飯事であり、このような凝り固まった思考パターンを解きほどいていくのは非常に苦労するだろう。
批判的見地が続いたのでポジティブな点を語ると、34分のFKは完全に注目の外れたファー側の大外にいるダロトをターゲットにしてバックポストからの折り返しでゴールを狙うという明確な意図が見えるデザインされたセットプレーで煮詰めていけば得点パターンに出来そうな期待を覗かせた。
ユナイテッドは瞬間的なコンビネーションでボックス付近までは度々ボールを進めたものの、ウルブスのセントラルMF2人(アンドレ-ジョアン・ゴメス)の献身性の高さやサイドでの1on1を作れない、或いはそうなってもデュエルに負けるようなケースが続き、なおかつフィニッシュワークの精度不足を継続させて前半をノーゴールで終える。
後半
後半始まってすぐ、ユナイテッドは左サイドから敵陣内を侵攻しアタッキングサードでのポゼッションとなったが、ダロトからの横パスを受けたブルーノは相手のプッシュでボールコントロールが乱れ、追いかけた先でセメドと交錯し先述した足先から入る印象の悪いタックルで残念ながらこの日2枚目のイエローを提示され退場処分……
審判のジャッジがホームよりだった事もまた事実ではあるが、これに関しては単純にブルーノが軽率だったと言わざるを得ず、昨季までは何だかんだ退場0回だった彼が半シーズンで既に3回レッドカードを提示されているという点については深刻に捉えている。
10人のユナイテッドは4-4-1のミドルブロックと5-3-1のローブロックの2軸で耐え凌ぎながら、カウンターからの一発狙いに切り替えたが、ジリ貧だったのは明らか。
58分、左サイドでCKを得たウルブスはキッカーのクーニャがインサイドでボールの側面を強く長く擦るような独特の蹴り方でカーブボールをゴール前に上げ、GKオナナに対してドハーティとブエノの2人で前後を挟みファウルを取られても不思議ではないダーティーな動きでパンチングの為の予備動作を許さず、ボールは誰の身体にも触れることなくそのまま直接ネットを揺らした。
マテウス・クーニャ🤩💫
— U-NEXTフットボール (@UNEXT_football) December 26, 2024
今季のプレミア10ゴール目は
CKからの”オリンピック・ゴール”🥇
🏆プレミアリーグ 第18節#ウォルヴァーハンプトン v #マンチェスター・U#年末年始はプレミアリーグ
📺https://t.co/IQcfgHPywb pic.twitter.com/2PxRVGY67m
そもそもGKに対して相手を2人自由にさせていること自体が失策であり、マグワイアやヨロは一体何をしていたんだという疑問とそれ以外にも相手マークを外してしまっている選手が何人もいるのでどちらにせよという杜撰なセットプレー守備だった事は間違いない。
63分にアモリムはヨロ,ウガルテ,メイヌーを下げてアントニー,エリクセン,カゼミロを投入しているが、一番負荷のかかるセントラルMF2枚を同時に交代させた所を見るとこの時点である程度この試合の勝敗については割り切っていたようにも思う。
またこの入れ替え後は完全に左サイドからのチャンス創出に見切りをつけてマズラウィ-アントニー-アマドの右サイドでカウンターからのワンチャンスを狙うようになり、この割り切りもあって10人ながらワンサイドにはならなかったのでアモリムのその場の対応力の高さも表れていた。
ただし、そもそもの数的不利を覆すような圧倒的な制圧力はユナイテッドに無く、アマドも80分前にはピッチから退きその後は相手の視線を外すような一ひねりのない凡庸なクロス続きで時間を浪費し、アディショナルタイムには交代で入ったガルナチョのあまりにも状況を理解できていない謎のドリブル及びボールロストからオープンなカウンターシチュエーションを作られてファン・ヒチャンがダメ押し弾。
Wrapping up the points late on 🤌 pic.twitter.com/SJrGlNXkwB
— Wolves (@Wolves) December 27, 2024
データ
Standard
両チーム合わせてもシュートは18本で3CBミラーらしい締まったゲームに。勝敗を分けたのはブルーノ退場とクーニャの個人解決能力の高さ、そしてマン・ユナイテッドのセットプレー守備における約束事の無さだった。
ブルーノはこれで9月のスパーズ戦(これは誤審だったが)、翌週のELポルト戦に次ぐ今季3度目のレッドカードであり、つま先を出して相手を引っかけるファウルとカッとなって審判に怒りをぶつける2パターンであまりにも数多くの警告を受けている点について、当人がどのように考えているのか一度聞いてみたいところだ。。。
ゴール期待値は両クラブ1.0未満のチャンスに乏しい内容となっており、ウルブスもガルナチョの稚拙な状況判断およびボールスキルで降ってわいたアディショナルタイムの決定機を除けばxG:0.19とむしろユナイテッドよりポイントが低かったくらい。
アウェイチームはフィニッシュワークで相手の目線を複数回振り回すようなボールの左右の移動を全く出来ていなかった事もあって正面から相手が対処できるシュートシーンが大半だった。
Wolves 2 : 0 Man Utd
— markstats bot (@markstatsbot) December 26, 2024
▪ xG: 1.33 - 0.4
▪ xThreat: 0.93 - 1.09
▪ Possession: 50.6% - 49.4%
▪ Field Tilt: 44.6% - 55.4%
▪ Def Action Height: 42.6 - 47.9
Donations https://t.co/nlgfzDqqrU pic.twitter.com/OzrEBsVCkD
PASSING NETWORKを見るとアンドレ,ジョアン・ゴメスのCMデュオがいずれもポゼッションの中継地点として強くリンクされているウルブスに対し、ユナイテッドはメイヌーが消え気味になっており、なおかつそれぞれの一番の強みであるクーニャ、アマドについてもウルブスはそこに至る明確なルートが複数存在する一方でユナイテッドはマズラウィからの線ただ1つ。やはりアスリート能力とDecision Makingが足りていない。
あとがき
先述したアスリート能力と意思決定の2つで線引きしていくとほとんど現有戦力から入れ替えなければいけないのではないかと悲観的にならざるを得ないモリニューでのあまりにも救いのない敗戦でした。