いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #MUNWOL 】収穫はデビュー戦で冷静沈着一発回答のFredricson

※24/25 イングリッシュプレミアリーグ

マンチェスター・ユナイテッドvsウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ戦の記事です。

 

この試合のパフォーマンスを継続出来るかどうかは別として、シニアデビューの微かなチャンスに一発回答を出したフレデリクセンの勝負強さと胆力には驚かされた。ヨロ、ヘヴンに続いて若きCBが続々と椅子取りゲームに参加している今の状況は数年前には全く想像できない内容である。

 

 

 

 

【Match Review】

Starting lineup

ベンチ入りマンチェスター・ユナイテッド
5 Maguire, 7 Mount, 8 Bruno, 15 Yoro, 18 Casemiro, 20 Dalot, 22 Heaton, 35 J.Evans, 56 Chido Obi

ウルブス
2 Doherty, 6 Boubacar Traoré, 19 Rodrigo Gomes, 20 T.Doyle, 21 Sarabia, 26 C.Forbs, 34 Djiga, 40 T.King, 59 M.Mané

 

エヴァンスがスカッドに復帰したユナイテッド。テン・ハフ体制では貴重なバックアップとして苦しいCB事情を救ったベテランだが、よりアスリート能力を要求するアモリムが抜擢したのは大怪我から復帰してU-23でプレーするタイラー・フレデリクソン。

 

前半

 

マン・ユナイテッド、ウルブス共に3-4-3を採用するミラーゲームとなったこの試合。ホームチームは大胆なローテーションでダロト、ブルーノの出場時間の多い主力をベンチに置き、ミッドウィークのヨーロッパリーグで殊勲の同点弾を記録したメイヌーをシャドーで先発起用。前3枚はポジションを守るというよりは流動的に位置取りを変え、意識的にホイルンドをハーフレーンでプレーさせるような狙いが見られた。

LyonとのEL 2nd-Leg

irohasesun-fm-foot.hatenablog.com

 

一方のウルブスはクーニャを基準にある程度動きが固定化されている左サイドと可変システムでポゼッション時に反時計回りにポジションを変える右サイドと左右で明確に違いを持たせ、CMデュオはCBからの縦パスの出しどころとしてサポートするアンドレ、ライン間に顔を出しつつサイドに向かいウイング、フルバックとユニットを形成するジョアン・ゴメスときっちり役割分担が決まっていた。

 

ただ、右サイドは火力不足の感もあり、後述するフレデリクソンやアマスの守備対応にエラーが少なかった事を考慮するとしても、大外を取るセメドはウイングプレイでバリューを出せず、更に3,4人のユニットでの連携もそれほど発達していなかったのでクーニャの個人技以外の打開手段が無く、得点に繋がるようなシーンはほぼゼロ。

Embed from Getty Images  

 

 

さて、赤い悪魔の陣容でまず一番に気になる左CBについて、アンダー世代の試合を定期的にチェックしている方でも恐らくこれを予想していた方はほとんどいなかったのではないかと思われるフレデリクソンのスタメン出場。どちらかと言えば怪我の多いタイプで中々継続的な試合経験という点が不足していたものの、前半の10分までにアモリムの決断が間違っていなかったとハッキリ伝わる冷静さ、競り合いの強さ、守備時の予備動作の抜かりなさを見せてとてもデビュー戦とは思えない動きを披露。

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何より素晴らしいのがボールを持っている時の姿勢の良さで、力みなく背筋を伸ばして立っているので視野角が広く、身体の向きもスムーズに切り替えられる為取れる選択肢が多く相手の動きを見たプレーキャンセルもギリギリまで可能。更にボールスピードも速いので楔のパスも苦労せずに出す事が出来た。純粋なフィジカル的資質というよりも立ち回りや予測力で優位性を得るクレバーなタイプなので、圧倒的な個に対しての対処は気になる所だが、少なくともポゼッションにおいてはアモリムの求めるモダンなCB像に十分な適性がありそうだ。

 

なお、加入直後の試合以来久々に逆サイドで起用されたドルグに関して、やはり一番の強みとなるのはクロスの質であり、一方で個で局面を変えられる突破力やボールスキルは無いのでバックパスの受け手になってペナルティボックス角からインスイングクロスを蹴るような立ち回りをチームとして作る必要がありそうだ。恐らくシュート性のボールを蹴ろうとすると力みでバランスを崩したりふかしてしまうタイプなので、最終局面に関与させるというよりはその状況を生み出す側に回した方が良い。

 

この試合ではアモリムがシャドーにシステマチックなプレーを求めなかったのか、ガルナチョとメイヌーはかなり主体的かつ流動的にレーン移動を繰り返しており、そうなると前者は中央にボールをリリースしながらその流れで左サイドへ向かいがちであり、ドルグにミドルサードで孤立から単独での打開を求められやすい展開となっていた点については少し同情的に見ている。

 

そのガルナチョは自由を与えられた割りに得点に直結するようなゴール前での攻防で貢献度を伸ばせないシュート精度の低さという致命的な課題を未だに解決できない為、不慣れかつ出力の問題が付きまとっているとしてもボックス内外から一発のキックで状況を変えられるメイヌーの方が今のチーム状況において価値は高い。

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ユナイテッドが3、ウルブスが1とシュート数は合わせても5を下回る非常に落ち着いた、言い方を変えればスペクタクルに欠けた前半は勿論ゴールレスで終了。ウルブスとしてはユニットでの崩しに期待出来ない以上、ユナイテッドがリスクをかけたポゼッションに出てくれないとカウンターが刺さらないので、クーニャの体力を温存しつつ時間を潰す事が出来たこの内容はある程度狙い通りかもしれない。

 

後半

 

53分、サイドチェンジから右大外のセメドにボールが渡ったウルブス。これに対応した対応したアマスは細かいステップで距離感を保ちながら相手の動きを牽制し、我慢比べに負けたセメドのコントロールが若干乱れたところを見逃さずボールを奪い返してカウンター始動。パスを受けたエリクセンは左サイドに流れていたホイルンドへ縦パスを入れると、相手の3CBの中で最も付け入る隙が大きかったアグバドゥとのデュエルに勝利してそのまま無人の左サイドを侵攻。

 

アタッキングサードに差し掛かったところで逆サイドを走るドルグにパスを出せば決定機は間違いなしだったのだが、ここで強引さを出し自分でシュートまで完結しようとして時間をかけてしまうと、前半から対面で不利だったトティの帰陣が間に合いスライディングで凌がれてしまった。

 

ポストプレーの際にDFと背中を密着させて純粋な踏ん張り力で圧倒していない限りボールを失うようなキープに拘ったり、周りの味方を使えばより簡単かつ効果的に得点に近付く場面で上記のように振る舞ったりとエゴというよりは頭の固さが目立つ今シーズンのホイルンド。昨季は時折ハリー・ケインを思わせるようなビルドアップでの散らしやライン間に降りてのレシーブを見せていたので成長どころか退化してしまっているが、何が彼を悪化させているのか原因は外からでは判断できないので非常に難しい問題だ。

 

先に動いたのはユナイテッド。60分を前にダロト、ブルーノ、マウントを同時投入して陣容は以下のように。

 

64分、左サイドでポゼッションをするユナイテッドはブルーノが後方から配球役となりボックス内でエリクセンがワンタッチではたくと、レイオフでフリーになったガルナチョの折り返しがゴール前を通過してファーポスト側に到達する決定機に。しかし、ホイルンドはこのボールに追いつけずトティに身体を入れられて絶好の機会を逃した。

 

なお、このシーンのウルブス側の守備対応を見るとクーニャはマークの意識が薄く、完全に王様のような立ち回りなので夏の補強候補として名前が挙がっている事について個人的には期待よりも懸念の方が上回っている。アトレティコ・マドリーではハードワークを厭わない選手だったので今は守備のタスクから解放されているだけなのかもしれないが。。。

 

ホイルンドに代わって70分より投入されたチド・オビは既にポストプレーでの身体の使い方に関しては先輩を上回っており、マズラウィの縦パスを受けた71:50~の一幕では半身になって相手DFに近い方の腕を使い距離を確保しつつ、持ち前のリーチの長さも相まってほぼ突っつかれない間合いを確保していた。そして後ろからフォローに入るマウントにシンプルに落としてアタッキングサードへの侵入に大きく貢献。一方でゴール前での立ち回りについてはまだ遠慮が見られるので、彼についてはもう少しエゴイスティックに行くくらいでも丁度良さそうだ。

 

前半に比べれば敵陣深い位置に侵入する回数が増え、ゴールまで数センチというチャンスもいくつか生み出すなど徐々にではあるが得点を期待出来るようになってきたところで、マン・ユナイテッドキラーのあの男がまたしても動く。

 

74分、フレデリクソンとのデュエルに敗れ続けCKからのヘディングくらいしか見せ場の無かったストランド・ラーセンに代わってウルブスはサラビアを投入。出場してすぐに守備意識の高さをアピールするCBへのハイプレスでリンデロフにバックパスを選ばせると、そのままオナナに2度追いして相手目線右サイド深い位置のマズラウィへの横パスを誘導。自陣でのプレス回避に難のあるユナイテッドはまんまとウルブスの網に引っかかってボールロストすると、クーニャの個人突破に苦しみゴール正面でファウルを冒す。

 

すると、フリーキックのチャンスを起点となったサラビアが見事な斜め回転の一撃でモノにしてアウェイチームが先制。

 

GKのポジショニングがニアへの警戒という意味でやや無頓着だったとはいえ、プレミアリーグでの対ユナイテッド戦で2試合連続ゴールとなったこのスペイン代表アタッカーは赤い悪魔にとって厄介極まりない存在であり、ハイプレス耐性の低さを思い出させてくれた点ではある意味感謝もしている。

 

ビハインドを負った終盤、エリクセンと急速にケミストリーが深まっていくアマス、リンクプレイヤーとしてシャドーでの適応力の高さを見せるマウントなどいくつか見どころもあったが、結局のところ最終局面での決定力不足には手立てを打てずにそのまま0-1で敗戦を喫した。

 

データ

 

Standard


シュート数、ポゼッション、パス成功率と主要なスタッツは全てユナイテッド優勢であるものの、12本中たった2本しかオンターゲットが無い事からも分かるようにフィニッシュワークの質はリーグ最低レベルと言っても過言ではない。また、9回のコーナーキックで得点の匂いがしたケースが一度たりとも存在しないようにセットプレーの攻守におけるディテールの甘さも依然として深刻な課題のまま。

 

xG

 

参照:

Manchester United 0 - 1 Wolverhampton Wanderers (April 20 2025) | EPL | 2024/2025 | xG | Understat.com

 

ゴール期待値はユナイテッド1.14、ウルブスが0.19でアウェイチームにはほとんど得点に繋がるようなチャンスは無かったのだが、逆に赤い悪魔の方もシュート数を伸ばしきれずxGも1.00を少し越えたくらいなので物足りないスコアである事は確か。唯一のビッグチャンスは後半の終盤のマウントの近距離からのシュートで、他にもいくつかゴールエリア内でのチャンスはあったもののいずれも活かす事が出来ずに終わった。

 

 PASSING NETWORKを見るとガルナチョとメイヌーが同サイドになっているが、これはセットプレー後のトランジションなどで前者が左に流れる事を好んだのも理由だろう。ただ、彼は逆足側でのボールプレーでどうしても意思決定が悪化し、なおかつプレー選択がレシーブ後から開始されるのでもたつく間にチャンスを逃し相手にボールを奪われるという悪循環に陥りやすい。

 

あとがき


フレデリクソン、アマスといった若い選手の好パフォーマンスに勝利で応えてあげられなかった事をシニアチームのメンバーは後悔するべきだろう。CBという経験や知性がものをいうポジションで一発回答してみせた前者は思わぬ掘り出し物かもしれない。