イングランド代表シニアチーム,通称スリーライオンズはトーマス・トゥヘルを新たな指揮官として招聘。リー・カーズリー暫定政権で年内を戦った後、2025年1月1日より新体制が発足する事を発表した。
Thomas Tuchel. Our #ThreeLions head coach from 2025. 🏴
— England (@England) October 16, 2024
新監督を支えるアシスタントには、アイルランド,ベルギー,ポルトガル等各国代表チームのコーチを歴任した後、FCバイエルンでトゥヘルと共に戦ったアンソニー・バリーが就く。
左がバリー、右がトゥヘル
「イングランドDNA」を旗印とし長期目線では体質改善に成功したガレス・サウスゲートの後、最優先に求めたい収穫の時期に、最大のウィークポイントと言われ続けた監督人事の面で遂に旬を過ぎていない国際的な名将を招聘出来た事への喜びでスリーライオンズとそのサポーターからしてみればいっぱいかもしれないが、クラブチーム目線になると各所から怨嗟の声も聞こえてくるかもしれない。
羨ましく思っていると考えられる代表格はエリック・テン・ハフに対するファンダムの不満が膨れ上がっているマンチェスター・ユナイテッド。
結果によっては解任もあるのではないかと囁かれていたFCポルト→アストン・ヴィラの2連戦を2引き分けという何とも言い難い戦績で終え、結局動きのないままインターナショナルウィークへ突入した。
シーズン途中での監督交代を想定するとき、フリーエージェントの上にフランク・ランパードの後を引き継いでチェルシーをCL優勝へ導いた実績もあるトゥヘルはこれ以上ない選択肢だったのだが、あくまでもテン・ハフへの信頼を強調するマン・ユナイテッド首脳陣は一歩出遅れた形。
何故監督交代を望んでいるかといえば、クロスボールに対してボールウォッチャーになる守備の問題が3シーズン目でも改善されない点や選手の創造性を支えるフィニッシュ局面でのいくつかの明確なセットアップがまるで見えてこない点などが挙げられるが、共通しているのは選手個人の質以外のチームとしての上積みが一向に見えてこないという事。
テン・ハフが名声を高める事になったアヤックス時代のスカッドを見ると、その後メガクラブへ移籍し主力として活躍している選手が多数含まれており、なおかつユース出身の生え抜きが要所を抑えている為相互理解が非常に高い水準である事も推測できる。更に国内リーグでは絶対的な戦力をもとにストレスの軽い状態で戦えた為にチャンピオンズリーグでベスト4という成績を残せたのだろう。
正直に言えば、今のユナイテッドよりも全体的な質・バランスで優れているのではというくらいの陣容なので、これを指揮官の才覚によってもたらされたものだと錯覚してしまった事が失敗だったのだろうか。
次に動きがあるとすれば11月の代表戦期間だと考えられる為、それまでの日程を確認しておこう。
EPL 10月19日 23:00 vs Brentford(H)
UEL 10月25日 04:00 vs Fenerbahçe(A)
EPL 10月27日 23:00 vs West Ham(A)
Carabao 10月31日 04:45 vs Leicester(H)
EPL 11月04日 01:30 vs Chelsea(H)
UEL 11月08日 05:00 vs PAOK(H)
EPL 11月10日 23:00 vs Leicester(H)
プレミアリーグ4試合、ヨーロッパリーグ2試合、カラバオカップ1試合の計7戦を予定しているが、特にプレミアで3勝,少なくとも2勝1分け以上をクリアしない限りサポーターを納得させる事は困難ではなかろうか。
チーム戦術・個人戦術の両面で明確な上積みを見せられなければ個人的心情としては解任を望むが、それはそれとしていい加減勝ちを積み上げていかなければ来季の展望すら暗くなっていくのでまずは目の前の試合の勝利に全力を尽くしてもらいたい。