いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【England DNA】選手育成の面から見たサウスゲート

*EURO2020決勝戦から2日、正直な気持ちを言えばイングランドは自ら勝利を手放したような試合であったと今でも考えていますが、ガレス・サウスゲートという監督を評価する際には試合での采配に焦点を当てるのかイングリッシュフットボール全体の底上げに成功した実績を重視するかどうかで大きく見方が変わると個人的に考えています。

 

今回は先日、ブライトンのTD ダン・アシュワース(Dan Ashworth)について☈戦から2日、正直な気持ちを言えばイングランドは自ら勝利を手放したような試合であったと今でも考えていますが、ガレス・サウスゲートという監督を評価する際には試合での采配に焦点を当てるのかイングリッシュフットボール全体の底上げに成功した実績を重視するかどうかで大きく見方が変わると個人的に考えています。

 

 

 

今回は先日、ブライトンのTD ダン・アシュワース(Dan Ashworth)について触れた際にも単語だけ登場したEngland DNAという2010年代に入って彼らが打ち出した新たなチーム哲学について、育成という面でのサウスゲートを見ていきたい。

 

 

 

England DNAとは

 

England DNAは大きく分けて5つのコアから構成されており、シニアレベルでイングランドのチームが勝利を収める為の取り組み。

  • WHO WE ARE(文化・価値観)
  • HOW WE PLAY(プレーの原則)
  • THE FUTURE ENGLAND PLAYER(未来の代表選手育成)
  • HOW WE COACH(コーチングの手法)
  • HOW WE SUPPORT(身体的・精神的サポートの方法)

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 この計画が始まったのは2014年の事で、当時FA(イングランドサッカー協会)でDirector of elite developmentという役職に就いていたDan Ashworth、パフォーマンス部門の責任者Dave Reddin、そして当時U-21の代表監督を務めていたガレス・サウスゲートらが中心となって国際大会において勝ちきれない歴史が長く続いたイングランド代表を育成年代から見直して真の意味で強いチームを作り上げるというのが目的。

 

 

Ashworthはフットボール強豪国の選手はジュニア年代で50~60回の代表キャップを記録してシニアの代表に到達するという調査結果を指摘。その頃のイングランドフル代表では35回前後の選手が多かった為に新たにU-15、U-18というカテゴリーを新設し、結果として高レベルの試合の経験を増加させることに成功しました。

 

 

実際に2015年以降のイングランド年代別代表を見ると2017年にはU-17、U-20と2カテゴリーのワールドカップで優勝を経験し、この2チームからはEURO2020に4人のプレイヤーが招集されています。(ディーン・ヘンダーソン、フィル・フォーデン、ジェイドン・サンチョ、ドミニク・キャルバート=ルーウィン)

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フォーデンはU-17W杯MVPを獲得。育成年代のエースからそのままフル代表に定着しつつあり、この計画のモデルケース。

 

17年は世代別のEUROでもU-17準優勝、U-19優勝と素晴らしい結果を記録しており、U-19からは3選手(アーロン・ラムズデール、リース・ジェームズ、メイソン・マウント)がEURO2020メンバー入り(ラムズデールは途中で負傷離脱したディーン・ヘンダーソンの代替招集)

 

既にフル代表の一員だったので招集されなかったマーカス・ラッシュフォードも含めればこの世代は正しくイングランドDNAの成果であり、EURO2020出場選手の平均年齢はウクライナ、トルコと並び25.9歳で最も若いという結果が出ています。

(data:UEFA Euro Player Stats | FBref.com)

 

 

そして、着実に結果を出しているEngland DNAにインフラ面で欠かせなかった要素が2012年に設立したセント・ジョージズ・パーク(St. George's Park)

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66年W杯優勝のチームの中心選手サー・ボビー・チャールトンの名が刻まれたウェンブリーと同じ仕様のピッチやマラドーナのあの試合の当事者でもある伝説的GKピーター・シルトンの名を冠したGK専用練習場を完備。

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屋内施設も充実しており、イングランド代表の選手がユニコーンの浮き輪に乗っている動画がよく流れてくる例のプールも同施設内のものです。

 (何故毎回ユニコーンの浮き輪なのかについて詳しい方がいたらおしえてほしい😉)

 

 

この地では選手のみならず指導者のライセンス講習も行われ、近年の攻撃的フットボールを志向するイングランド人若手指揮官の増加と隆盛にも大きく関与していると考えられます。

更に敷地内に併設されているヒルトンホテルで一般観光客の宿泊も可能となっており、日本でいえばJヴィレッジのような複合施設。(Jヴィレッジの名付け親がサー・ボビーなのも何かの因果か)

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スリーライオンズの長期目標

 

現在のイングランドには2013~2016年の間にFA会長を務めたGreg Dykeと彼の意向を受けたReddinによって導入されたカウントダウン時計があります。

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このカウントダウンでは2020年EUROで準決勝進出、そして2022年カタールW杯で優勝というのを大目標として置いていたので、そこに基づけば2018年ロシアW杯でベスト4、EURO2020準優勝というガレス・サウスゲート監督のこれまでの結果は想定以上。

 

イングランドフットボール識者の中でサウスゲートに対し非常に高い評価を与える方が多い理由もこのような背景があると知れば理解出来る。

 

試合単位で見て先発メンバーの選出や交代策に不満を抱きそれを理由に不支持を表明するのか、England DNAの中心人物かつメジャー大会で優秀な結果を連続している事を評価し長期目線で支持するのかどうかで彼に対する印象が180度変わるのかもしれない。

 

私も含め、日本のフットボールファンの中でメジャー大会以外のイングランド代表や年代別も含めマクロ視点でスリーライオンズを追っているファンはそれほど多くないというのは想像に難くない(そもそも見る手段が限られている)ので、どうしてもトーナメントで上手くいかなかった策にフォーカスしてしまいますが、改めてDevelopmentという方向からサウスゲートを評価してみると確かに彼以上にスリーライオンズの指揮官に相応しい人物は見当たりません。

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今大会はラッシュフォード、サンチョとユナイテッドのアタッカー2人にとって辛い結果となってしまったので、その当てつけではありませんがどうしても辛辣な見方になってしまっていたのはその通りなので自省しよう……