*イングランドプレミアリーグ第33節、リーズ・ユナイテッドvsマンチェスター・ユナイテッドの記事です。
どうも皆さんこんにちは、いろ覇です。
プレミアリーグも今節を含めて残り6試合、終盤戦に入り順位争いが激化していますがユナイテッドはCL出場権という意味では3位以下との勝ち点に開きがあり、逆に首位マンチェスター・シティとも勝ち点が離れている状況。
当面の目標は奇跡の逆転優勝という形になりますが、そんな中で行われるダービマッチ2連戦。
1戦目は中世の貴族同士の領地・主権争いを端に発しているリーズとのローズダービーです。
両チームの顔合わせは今シーズン2度目。
1試合目となるオールド・トラッフォードで開催された第14節はマンチェスター・ユナイテッドが前半開始早々にマクトミネイの2ゴールで大勢を占めるとその後もゴールラッシュが続き、大量リードでやや気のゆるみが見られたところでリーズも得点を奪いましたが結果は6vs2と一方的なものになっています。
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試合プレビュー
European Super Leagueの激震が走った先週末から今週にかけてのフットボール界。
リーズはその当事者12クラブの1つであるリバプール相手に熱戦の末ドローに持ち込んで意地を見せました。
話題になったのが試合前のウォーミングアップでリーズの選手が来たこのTシャツ
試合が行われた日本時間4月20日朝方の段階ではまだプレミアリーグの各クラブはESLに参加中だったのでその愚かな判断を批判し『フットボールはファンと共にある』と記されたこのシャツを着て抗議の意思をアピール。
アウェイのマンチェスター・ユナイテッドは先週末のバーンリー戦で苦手にしているクラレッツ相手に6年ぶりのホームでの勝利を果たしメイソン・グリーンウッドはプレミアリーグここ3試合で4ゴール1アシストと絶好調。
一方でピッチ外ではかねてより溜まっていたグレイザーファミリーに対する不満の声がESL騒動をきっかけに遂に爆発し、現地時間土曜午後3時のオールド・トラッフォードには地元のファンを中心に多くの人が詰めかけてGLAZERSOUTの大合唱。
彼らが持っているタオルや着ている服の黄色と緑という2色のカラーリングはマンチェスター・ユナイテッド設立当初のチームカラーで、当初のチーム名はニュートン・ヒースFC。
このニュートン・ヒースが1902年に破産し、地元の醸造業オーナーであったジョン・ヘンリー・デイヴィスという人物がクラブを買収し再建に着手すると共に現在のマンチェスター・ユナイテッドFCというクラブ名が誕生しました。
赤いユニフォームが定着したのはサー・マット・バスビー就任以降の事で、それまでは白メインだったり縞々模様を取り入れたり頻繁にユニフォームデザインの根幹部分が変わっていたようです。
リーズの欠場者はマンチェスター・シティ戦でレッドカードを提示され3試合出場停止中のCBリアム・クーパー。
そして年明け以降は攻撃の要となっているMFハフィーニャ、クラブレコードの移籍金で加入したロドリゴも怪我の影響でこの試合に間に合うか微妙なところです。
マンチェスター・ユナイテッドはアントニー・マルシャル、フィル・ジョーンズが欠場
スタメン
リーズ・ユナイテッド
ベンチ入り
5コッホ、7ポベダ、13カシージャ、19P.エルナンデス、28G.ベラルディ、38サマーフィル、42S.グリーンウッド、43クリヒ、46シャッケルトン
リーズは前回対戦同様に4‐1‐4‐1。
怪我人の影響でメンバーこそ変わっていますがコンセプト自体は同じだと思います。
奇才マルセロ・ビエルサが何も対策を打ってないとは考えにくいので今回は苦しい試合になると思いますが。
マンチェスター・ユナイテッド
ベンチ入り
1デヘア、3バイリー、6ポグバ、7カバーニ、8マタ、27テレス、31マティッチ、34ファン・デ・ベーク、38トゥアンゼベ
こちらもお馴染みの4‐2‐3‐1。
代表ウィークに新型コロナウイルスに感染したエリック・バイリーが遂にスカッドに復帰を果たしました。
プレミアリーグでも重症化して苦しんだ選手がいたので比較的軽い症状で済んで本当に良かったです。
スライドが早く90分を通して高い運動量を維持するリーズ相手という事で右サイドにはダニエル・ジェームズが起用され、全体的に走り負けしない選手を意識的に選択しているように感じます。
やや不安材料なのはブルーノの得点関与率が著しく低下している事。
プレミアリーグで最後にゴールを奪ったのは3月7日のマンチェスター・ダービーまで遡る必要があり、この得点はPKだったのでオープンプレーに対象を絞るとなんと2ヶ月以上前の第24節WBA戦になります。
それまでは1試合1つペースで積み上げていたゴール&アシストも今では32試合16G11Aと試合数との開きが生まれています。
尤も、同ポジションの他プレイヤーと比較すればこの成績は十分にリーグトップレベルなのですが疲労なのか相手の対策が進んできたのか彼が思うようにプレー出来ていないのは事実なので早急に手を打ちたいところ。
試合内容
最初のチャンスはマンチェスター・ユナイテッド。
1分、左サイドで得たFKのチャンスからグリーンウッドがヘディングシュート。
勢いはなくGK正面でしたがアウェイでのダービーはまずまず幸先のいいスタートを切る事に成功しました。
7分には最近頻度が挙がっているリンデロフ→ラッシュフォードのロングパスが通りカウンターの大チャンス。
ラッシュフォードはシュートのタイミングやや逸してしまい決定機には至りませんでしたがリーズにほぼ良い所を見せずに自分たちの長所を出せていたので序盤は完全にユナイテッドペース。
普段以上に球際が激しくダーティー・リーズと呼ばれた頃を思い出させるようなホームチームは11分にも先程と同じような位置でファウルを与えてFKではマグワイアをフリーにするなどやや気持ちが空回りしているような素振りも見られました。
16分にはブルーノのスルーパスがダニエル・ジェームズに通りますがボールは僅かにジェームズのコントロール範囲から逸れて惜しくもビッグチャンスにはならず。
リーズが初シュートを記録したのは20分~21分にかけてのカウンター。
一連のプレーで右からのクロスに対しルーク・ショーが腕にボール当ててルール変更前の基準ならばPKを取られていたであろう場面もありました。
その後もマンチェスター・ユナイテッドの攻撃は続きますがラストパスの乱れ、或いは受け手側のトラップミス等が相次ぎシュートまで持っていけない場面が続きます。
29分にはブルーノがペナルティボックス右手前の直接狙うには丁度いい位置でFKを獲得しますがシュートは枠のはるか上空。
36分にはマグワイアが持ち上がって左サイド前方のスペースにスルーパスを出すとこのボールに追いついたラッシュフォードが後ろからリーズRBアイリングに削られる危険なプレーもありましたが主審クレイグ・ポーソンの判定はイエローカード。
決定機阻止と見られても不思議ではないファウルで、尚且つ斜め後ろから足首目掛けてタックルしているのでレッドカードでも何ら問題無かったとは思います。
前半最大のチャンスは44分のFK。
先程よりややゴールまでの距離が遠くなったのでラッシュフォードがキッカーを務めました。
ナニを参考にしているとSNSで答えたお馴染みの無回転シュートはゴールマウス左上を襲いますがリーズの守護神メリエが左手一本でパンチングするスーパーセーブで得点を阻止。
🔥 Youngest ever Premier League keeper to keep 10 clean sheets! pic.twitter.com/2ieUBqY6V4
— Leeds United (@LUFC) April 25, 2021
直後のコーナーキックではマグワイアがフリーになりますが溜めて打ったヘディングシュートは枠の上。
前々から思っていますがマグワイアは味方に合わせるヘディングは滅法上手いのですが事シュートとなるとやや苦手にしているように感じます。
イングランド代表では専らヘディングで折り返す役なのでクラブでもあのやり方を増やすと効果的かもしれません。
後半最初のビッグチャンスは49分。
グリーンウッドのパスに反応したのはブルーノとジェームズ。
しかしながらお互いに譲り合ってしまいこの決定的場面を逃してしまいます。
プレーが切れた後のブルーノの憤怒の表情が象徴的でしたがジェームズは自分でボールを触るならばもっと明確にシュートの意思を見せて欲しかったです。
リーズも54分にユナイテッドの右サイドを崩しエウデル・コスタから危険なクロスが配給されますがあと一歩ゴールには届かず。
57分にはワンビサカが珍しく縦ではなくカットインを選択してDFの意表を突いて突破。
クロスにまたもジェームズとブルーノの2者が反応しますが先ほどのプレーの影響かジェームズは自重してブルーノに任せる判断。
肝心のシュートは枠外でした。
61分にはフレッジとグリーンウッドの阿吽の呼吸で完璧なスルーパスが完成しますが3戦連続得点中の11番は功を焦ったか距離と角度の条件が整っていないタイミングでシュートを選択し得点は奪えず。
周りのDFはマークに付いている21番ストライクのみだったのでここは冷静にカットインを選択して中央に侵入して欲しかった。
この試合でリーズが最も得点に近かったシーンは62分のプレー。
ブルーノのロングパス一閃から始まったユナイテッドのカウンターが不発に終わるとすかさずカウンター返しでカルヴァン・フィリップスの対角線ロングフィードが左サイドのエウデル・コスタへ。
コスタのシュートはワンビサカの足に当たり強烈なドライブ回転が掛かって落下していきますが僅かに枠の上に逸れました。
その後はお互い目立ったチャンスを生み出せず結局試合はスコアレスドローに終わっています。
両チーム合わせて8点が動いた前回対戦と比較すると大分締まった試合になり、リーズはマン・シティ、リバプール、マン・ユナイテッドとのビッグ6、3連戦を1勝2分けで乗り切る事に成功。
一方のマンチェスター・ユナイテッドは逆転優勝を掲げる上では手痛いドローとなり、5位ウエストハムとは勝ち点12、4位チェルシーとは勝ち点9の差があるので翌シーズンのCL出場権という面では相変わらず大きなリードがありますが目標設定が難しくなりました。
動画ハイライト
交代選手
68分 in:ポベダ out:ジャック・ハリソン
72分 in:クリヒ out:エウデル・コスタ
77分 in:コッホ out:T.ロバーツ
76分 in:ポグバ out:ダニエル・ジェームズ
86分 in:カバーニ out:ラッシュフォード
89分 in:ファン・デ・ベーク out:フレッジ
データ
シュート数は6:16。
マンチェスター・ユナイテッドはリーズよりも倍以上シュートを放ちましたが枠内シュートは僅か1つしか差がありません。
誰がというよりチーム全体として最終局面でのプレーが振るわなかったのでやはりESL騒動の影響がメンタル面に出ているのでしょうか?
アタッカーは褒められる出来では無かったのですがバックス4人はソリッドなパフォーマンスだったと思います。
特にRBのアーロン・ワン=ビサカはこの試合のMVP候補。
守備スタッツ
- クリア4回
- シュートブロック1回
- インターセプト5回
- タックル1回
守備は元々文句なしのワン=ビサカですが、この試合ではドリブルが冴えわたり7回中5回突破に成功するなど攻撃においてもチーム随一の存在感を放っていました。
流石にこの試合でチーム最多キーパス5回を記録したルーク・ショーと比較すると見劣りしますが 、今回の出来を継続出来るのであればユナイテッドの右サイドの攻撃はウィークポイントとは言われなくなるはず。
xデータ
(参照:Leeds 0 - 0 Manchester United (April 25 2021) | EPL | 2020/2021 | xG | Understat.com)
xGは0.22:1.12。
スコアレスドローで終わった試合を象徴するような低い数字となりました。
それもそのはずこの試合では両チーム合わせてビッグチャンスが0。
個別で見た時のxG最大のスコアはリンデロフのロングパスから生まれた7分のチャンスと61分のグリーンウッドのシュートでそれぞれxG0.11でした。
最多となる5本のシュートを記録したブルーノ・フェルナンデスはxG0.44、5本のキーパスを生んだルーク・ショーはxA0.35。
時々あるアタッキングサードに入るとてんでプレーの質が低下してしまうパニック的な試合だったというのが個人的な雑感。
あとがき
この試合を見てビエルサのリーズはプレミアリーグの常連になるであろう事を実感しました。(ビエルサ自身が1つのクラブに長くとどまるタイプではないのでそういう意味では不安定さも残っていますが)
ダービーマッチとしての格がやや落ちていたこのローズダービーも今後ファンがスタジアムに足を運べるようになればフレッジが話していたように『イングランド版クラシコ』として最高にタフで熱い試合が見られると思います。
さて、マンチェスター・ユナイテッドの今後1週間の日程を見ていくとミッドウィークにはヨーロッパリーグベスト4のローマ戦、週末にはリバプールとのノースイーストダービーとビッグマッチが連続しています。
まずは木曜日のローマ戦。
今季のユナイテッドではほぼ唯一タイトル獲得の可能性が残っているこのUEFAヨーロッパリーグ。
スーパーリーグ騒動により一時はこの1戦に関して不戦敗になるのではという報道もありましたがその後ESLは頓挫し、試合は現地時間4月29日20:00より予定通りキックオフされるでしょう。
ローマは直近のリーグ3戦未勝利で先週末のカリアリ戦も2vs3で敗れるなど調子は下降しています。
昨シーズンは往年のセリエAレジェンド パオロ・マルディーニにちなんでスモルディーニという異名を付けられる程に絶賛の嵐だった元ユナイテッドのクリス・スモーリングも今シーズンは公式戦18試合の出場に留まっており、同じくユナイテッドOBのヘンリク・ムヒタリアンも1月31日のセリエA第20節エラス・ヴェローナ戦を最後に3ヶ月近くゴールから遠ざかっているという状況。
近況を比較するとユナイテッドに分があるマッチアップなのでここは是非とも大勝して決勝に駒を進めたいですね。
それこそ06‐07シーズンのCLベスト8セカンドレグのような試合が理想。