UEFAチャンピオンズリーグGL第2節
マンチェスター・ユナイテッドvsビジャレアル戦の記事です。
例年とは違い順調な出だしを飾ったかのように思えた21/22。
しかしながら、ヤングボーイズに敗れからは一気に潮目が変わり直近4試合で3敗と非常に苦しい試合を続けています。
そんな9月最後の試合はEL決勝にて悔しい想いをしたビジャレアルとの再戦。
このマッチアップは流れの中で未だに得点が生まれていませんが、帰還したロナウドは非常に相性が良いので、彼を旗手に大量得点勝利が見たいものです。
プレビュー
これまで一度も得点が生まれていないこのマッチアップ。
以前紹介したようにクリスティアーノ・ロナウドはビジャレアルに非常に相性が良く、共に1戦目で勝ち点0と勝ち点1に留まっている事からもスコアが動く予感はしますが、両チーム主力を欠いており、ユナイテッドはDFラインのレギュラー3枚落ち、ビジャレアルは絶対的ストライカージェラール・モレノが不在の中で試合に臨みます。
▼グループリーグ全体のプレビュー
マンチェスター・ユナイテッド
アーロン・ワン=ビサカ
マーカス・ラッシュフォード
アマド・ディアロ
ルーク・ショー
ハリー・マグワイア
ビジャレアル
ジェラール・モレノ
ダニ・ラバ
サムエル・チュクウェゼ
スタメン
オフィシャルのフォーメーションではユナイテッドが4-2-3-1になっているものが多かったですが、試合後のオーレの談話や実際の動きを見る限りではマクトミネイをアンカーDMに置いた4-1-2-3。
試合内容
前半
中盤構成を普段のDM2枚OM1枚からDM一枚IH2枚へ変更した事からも伺えるように、本来の狙いは相手コートにボールを長く留めてコントロールしながら戦うといったものだったと思いますが、現実はアストン・ヴィラ戦同様2コートを目まぐるしく行き来する消耗戦に。
一応の陣形は先述のように4-1-2-3の筈ですが、実際にはブルーノ、ポグバは非常に高い位置取りをすることが多かったので実質4-1-5となってしまい、この位置での経験の少ないマクトミネイは1人でボールを前へ運ぶ事が中々難しく、結論から言ってしまえば前半のユナイテッドは非常に危ういものでした。
右サイドの攻防ではダロトとダンジュマの1on1が幾度も発生し、昨季チャンピオンシップでブエンディアに引けを取らない高スタッツを残したこのオランダの新進気鋭ウインガーに大苦戦。
ビジャレアルのチャンスはほぼ全てがダンジュマから生まれたもので、10分にはカットインからデヘアを襲うコントロールショット、16分にはヴァランの好対応が無ければ間違いなく失点に繋がっていたスルーパスなどシューター、パサーの両役を担う活躍。
(上述のようにRWグリーンウッドの守備意識がこの日は非常に弱く、ダロトのフォローに回るシーンは殆ど無かったので全責任を負わせるのはよくないとも思いますが……)
攻撃面では43分にポグバのロブパスを防ごうとした相手LBアルベルト・モレノのクリアがオウンゴールになりかけたのが最大のチャンスで、自力でゴールをこじ開けられるようなプレーは明らかにビジャレアルの方が多く、逆に相手のフィニッシュ精度に助けられて何とか0-0で折り返したという45分でした。
後半
明らかに中盤の構成の問題から主導権を相手に受け渡していたので、何か修正を加えてくるかと思いましたが選手・陣形の変更は無しでリスタート。
(気持ち少しだけポグバが低めにいるケースが増加したかな?という程度)
不安が現実になるような形で53分、前線のプレスをあっさり剥がされるとダニ・パレホ→ダンジュマの縦パスでポグバ、マクトミネイ、前に出てきたヴァランの3枚を一気に無効化されて先制点はビジャレアル。
過去数戦と同じ嫌なムードが漂う夢の劇場。
しかし、新たに専門コーチを雇うなど改善に注力していたセットプレーから見事な同点ゴールが生まれます。
59分、グリーンウッドが右サイドの深い位置でFKを獲得すると、ブルーノは中へのクロスではなくサインプレーでテレスにフワッとしたロブパスを送り、ルーク・ショーという絶対的な壁に阻まれて中々チャンスが巡ってこなかったLBは全て計算しつくされているかのような完璧なボレーシュートを遠い方のサイドネットに突き刺し劇的同点弾!!
Goaaaaaaalll @ManUtd #LiveNDirect #CY pic.twitter.com/8jHRpeIz5J
— Usain St. Leo Bolt (@usainbolt) September 29, 2021
(他のどのリプレイよりもこの日会場に来ていたウサイン・ボルトの動画が一番分かりやすかったです😎)
直後の61分にはグリーンウッドの折り返しからサンチョの決定機が生まれますがスリップしてしまい上手くミート出来ず、ようやくサイドでの1on1などで『らしさ』が見え始めた25番はまたしても波に乗れないまま75分にピッチを後にします。
79分にはグリーンウッド→途中出場カバーニへドンピシャのクロスが通るもののエル・マタドールのヘディングシュートは枠を捉える事が出来ません。
86分には久々のビジャレアル決定機。
コートを横幅目一杯使った攻撃からモイ・ゴメスのシュート→こぼれ球に詰めたディアと途中出場組の立て続けのビッグチャンスを我らが守護神が連続セーブ。
ユナイテッドは89分にリンガード、フレッジを投入。
すると、AT5分にフレッジのクロスをロナウドが頭で落とし、それに反応したリンガードがロナウドへリターン。
ほぼほぼラストプレーという攻撃でCR7の類いまれなる勝負強さが見事発揮されて土壇場でユナイテッドがリード!!!!。
𝗧𝗵𝗲 moment 🔥#MUFC | @Cristiano pic.twitter.com/6J9Y4NXCDz
— Manchester United (@ManUtd) September 30, 2021
実はゴールパフォーマンスでユニフォームを脱いだのは今季早くも3度目で、後から冷静になれば無駄なイエローカードに違いないのですがこれは正直致し方なし。
それにしても、JLingz↔CR7のラインは毎試合のようにゴールに関与しているのでもっとこの2人を長い時間ピッチ上で共演させたい。
試合はこのゴールでユナイテッドが逆転勝利に成功。
これまで1度もスコアが動かなかった対ビジャレアルで3つの得点が生まれた転換点とも言えるこの1戦、単なる勝ち点3以上に大きな価値がある1勝です。
ハイライト
選手交代
75分 サンチョ🔁マティッチ
75分 ポグバ🔁カバーニ
89分 フレッジ🔁テレス
89分 グリーンウッド🔁リンガード
58分 パコ・アルカセル🔁B.ディア
61分 M.トリゲロス🔁エストゥピニャン
73分 アルビオル🔁A.マンディ
73分 Y.ピノ🔁モイ・ゴメス
73分 A.モレノ🔁R.ペーニャ
データ
スタッツを見るとどちらに転んでも不思議では無かった試合で、ポゼッションこそユナイテッドが上回ったもののチャンスの質では明らかにイエロー・サブマリンに軍配が上がります。
これはxGでも顕著な結果として表れており、The xG Philosophy (@xGPhilosophy)によればユナイテッド1.34-ビジャレアル2.76と1点以上差を付けられる有り様。
Man Utd (1.34) 2-1 (2.76) Villarreal
— The xG Philosophy (@xGPhilosophy) September 29, 2021
1失点で済んだのはボックス内からのシュートを6本防いだデヘアありきの話で、守備組織は崩壊していたと言っても大げさではありませんから、現状4123は時期尚早かも。
また、クリスティアーノ・ロナウドはこの試合でCL出場通算178試合目となり、かつてのチームメイト イケル・カシージャスの記録を追い越し歴代一位の出場数となりました。
178 - Cristiano Ronaldo is set to make his 178th UEFA Champions League appearance, overtaking Iker Casillas as the player with the most appearances in the competition's history. Domain. pic.twitter.com/DsUn6iHIed
— OptaJoe (@OptaJoe) September 29, 2021
このメモリアルできっちり得点を奪うあたりは流石ロナウド。
あとがき
90分以上ほぼ負けているような試合でしたが、それでも勝ちは勝ちなので今はこの勝利に浸っていたい気分ですが、今週もリーグ戦は土曜日のランチライムキックオフなので一息をつく余裕すらありません。
ベニテス流の手堅いフットボールに変化し、ロングボール割合の増加やよりアスリート能力重きを置いた選手起用に変化しています。
その余波でハメス・ロドリゲスはチームを去りましたが、厄介なアタッカーを依然として多く抱えているので不用意なパスミスからの被カウンターだけは絶対に避けなければいけません。