いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #PremierLeague 】レスターの不振、ブレンダン・ロジャースは期限切れなのか?

新シーズンが始まって1ヶ月半、プレミアリーグの各クラブは6~7試合を消化していますが、9月19日時点で20チーム中唯一勝ち星が無いのがレスター・シティ

(直近2節はエリザベス2世女王の崩御に伴う試合延期を含む) 

 

ブレンダン・ロジャースが指揮官に就任してからの3シーズン半、安定して欧州カップ戦争いの一角を担っていたフォクシーズが何故ここまで急速に悪化の一途を辿っているのか、複数の面から今回は調べてみようと思います。

 

 

 

 

【チーム運営】主力流出の穴埋めのみに終わった移籍ウィンドウ

22/23プレミアリーグ 夏の移籍収支
参照:Premier League - Transfers 22/23 | Transfermarkt

今シーズン、イングリッシュプレミアリーグの20クラブは平均すると約€112Mの金額を選手獲得の移籍金に使用していますが、レスターは20/20位,最少額の€17Mに留まり、ローンバックを除いた新戦力の人数2人というのもリーグ最少。更に細かく内訳を振り返っていくと、チームの象徴的存在だった守護神カスパー・シュマイケル退団により頭数の減ったゴールキーパーにEFL中心にキャリアを築いてきたアレックス・スミシーズ(Alex Smithies)、デッドラインデーにチェルシー加入が決まったCBウェズレイ・フォファナに対する補充人員としてリーグ・アンスタッド・ランスからヴァウト・ファース(Wout Faes)を閉幕間際に完全移籍で獲得とあくまで放出したスタメン級の穴埋めで手一杯になってしまいスカッドの上積みは現状ほぼありません。

 

そのファースが早々にプレミアリーグに順応しつつある事はせめてもの救いですが、最低でもボールプレーで貢献できるアタッカーが1人は欲しかったところ。

Embed from Getty Images  

RW関してはU-21→EFLリーグ1とカテゴリーを上げながら順調に結果を残し、プレシーズンでも印象に残るプレーを見せたカラム・ライト(ブラックプールに完全移籍で放出)にチャンスを与えるべきだったという声も大きいが、今となっては後の祭りになってしまった。

 

 

実際にロジャースもマンチェスター・ユナイテッド戦の後に補強が思うように進まなかった事に対して嘆くような発言を残しており、ここまでの不振の大きな理由の1つ。確かにフォファナの高額移籍金のお陰かジェームズ・マディソン、ユーリ・ティーレマンスといった他の人気銘柄をチームに引き留める事に成功したものの、チーム自体の士気が低下しているのか? 集中力を欠いたようなシンプルなエラーが上述のユナイテッドとの試合を見ても目立ちました。

 

 

安定して1ケタ台の順位で推移し、欧州カップ戦の常連でもあったフォクシーズが何故唐突にこのような状況になった理由について、選手賃金の肥大化やスタジアム・練習施設への投資で負債が増し、更には新型コロナパンデミックの影響でマッチデー収入が一時激減した事なども原因であるとクラブは発表しており、オーナーであるタイの免税店大手 キング・パワーの財政状況との関連については否定している。

 

 

【試合面】大幅な失点増が深刻。守備悪化の兆候は以前から

 

今シーズンのレスターはゲームの後半に5ゴール15失点と大きくスコアの動くケースが多く失点数はリーグワースト。得失点-10というのもノッティンガム・フォレストの-11の次に悪い数字で、攻守で比較すると守備の面により大きな問題を抱えている事が分かります。(ちなみにフォレストは前半の得失点が±0で、同区間だけを抜き取ればリーグ4番目の勝ち点を獲得している計算になります。)

 

そして失点増の兆候は今シーズンからではなく、21/22時点で目に見える形として表れていました。

ロジャース体制下のチームデータ

 

ロジャースがフルシーズン指揮している19/20シーズン以降のスタッツを見ていくと、20/21→21/22で試合辺りの被シュート数が4.89本増加。それでも昨季は被オンターゲット(枠内シュート)率が現体制で最も低い32.60%だった為に失点増は9、シーズンを通した得失点差は辛うじてプラスで済んでいますが、今季ここまでの被枠内率はリーグ下から3番目の40.00%と高い数字が出ており、年々試合平均シュート数が低下していくのと合わせて今季の決壊に繋がったとも言える。

 

更に、今季から正GKに昇格したダニー・ウォードもEURO2020で見せた好パフォーマンスの印象を打ち消して尚余りある悲惨な出来で、fbref.com算出の※PSxG±やPSxG±/90で断トツのリーグワーストとなっている。

※ PSxG:キーパーがシュートをセーブする可能性に基づいた得点期待値。PSxG±はPSxGから実際の失点数を差し引いたもので、PSxG±/90はその名の通りそれを90分ごと、つまり1試合単位で割った指標。

 

そして過去シーズンと比較すると、今季のレスターはショートパス比率を高めポゼッション・フットボールへの転換を図っているようにも見えますが、採用フォーメーションの4-1-4-1で1Pivot(アンカー)を任されるウィルフレッド・エンディディやブバカリ・スマレは典型的なホールディングMFであり、CBと2列目以降を繋ぐ中継点の役割を求めるのは酷。3センターバックにして後ろのパスコースを増やし安定感を上げるか、4-2-3-1の2Pivotにして隣にパス能力の高いティーレマンスを置く既存の戦い方に戻すのが手っ取り早い改善案だと考えられます。

 

 

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また、2019年夏に記録的な高額移籍金でマンチェスター・ユナイテッドへ加入したハリー・マグワイアを歯切りに、20/21にはベン・チルウェル(チェルシーへ完全移籍)、そして今夏のフォファナとレスターはここ数年ディフェンダーの主軸放出も目立っており、いくらスカウティングに定評があるとは言えこのクラスの"個"をそう何度も見つけ出す事はそう容易ではないはず。

 

現在までに22/23シーズンのイングリッシュプレミアリーグでは3クラブの監督が変わっていますが、このまま行けば次のクビレース最有力候補が彼である事を否定は出来ない。解任に伴う違約金がネックとなって決断に踏み切れないでいるという現地報道も出ているが、流石に限界が近そうだ。