※22/23 イングリッシュプレミアリーグ
レスター・シティvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。
サンチョのシーズン2ゴール目でフォクシーズに勝利!!
しばらく苦手としていた相手に勝ち点3を得たという結果は好意的に受け止めたい。ただ、明らかに何かがおかしかったレスターに1得点止まりで楽な試合運びが出来なかった事に関して不満は残る。
Three points in the bag 💪#MUFC || #LEIMUN
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【Match Review】
🔊 @Antony00's pledge. #MUFC pic.twitter.com/Spyap88Ujo
— Manchester United (@ManUtd) September 1, 2022
意中のアントニー獲得を決めて夏の補強に一区切りをつけたアウェイチームに対し、中々新戦力到着の報もなくウェズレイ・フォファナの移籍を認めざるを得ない状況に陥るなど苦しい移籍ウィンドウを送るホームチーム。レスターはシーズン初勝利、ユナイテッドは3連勝を狙って試合に挑む。
Starting lineup
負傷により戦線を離れていたリンデロフがベンチ入り。一方でフルバックがベンチに1人もおらず、両サイドの疲労をケア出来ないのは痛い。カードコレクターでもあるダロトには普段以上に球際でのプレーに最新の注意を払ってもらう必要がある。
レスターはフォファナの退団で空いてしまったCBの一枠に本職DMのエンディディを当てはめ、中盤もセントラルの選手を多く配置した独特のラインナップ。開幕からの戦いぶりにかつての姿はなく、苦しいシーズンが想定されるが……
前半
レスターは4-1-4-1、マンチェスター・ユナイテッドのトップ下(ブルーノ)に自由を与えさせない為のスマレアンカーとも思いましたが、それ以前に攻守の切り替えや然程難しくないパスでもエラーが目立ち、メディアに報道されているブレンダン・ロジャースの求心力低下が概ね事実なのではないかと思わせる立ち上がり。
しかしながらユナイテッドもそんな相手に付き合ってしまったのか、序盤は非常にスローなテンポで効果的なパスも入らずただただ時計の針が進んでいく。
8分、ヴァラン-ダロト間でボールをやり取りしながら相手のブロックが崩れる瞬間を伺い、ダロトの楔からチャンス。ペナルティボックスの角付近からラッシュフォードが反対サイドを狙ってグラウンダーのクロスを上げてブルーノにパスが通るも、折り返しはジェームズ・ジャスティンの足に当たってラインを割る。
さて、中央での起用が続く我らが10番ですが、CFとしてはまだまだマルシャル,ロナウドと比べてDFを背負いながらのキープやGKからのフィードに対する競り合い等に課題が多いものの、周りとプレーの意図が全く合わないという場面は少なってきました。
おおよそ開始10分以降は両チームフィルターがあまり機能しなかった事もあって比較的オープンな展開で進み、レスターのGK ダニー・ウォードのクリアボールを拾ったダロト→前線に残るブルーノへの縦パスで一気にアタッキングサードに入ると、普段はラッシュフォードの冷静なラストパスに反応したサンチョがウォードを交わして無人のゴールへ流し込んで先制!!
Let's keep this going, Sanch 🌟
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🧊 @Sanchooo10#MUFC pic.twitter.com/6rRtdwGPsd
関与した選手が皆エゴを抑えた事で生まれた見事なチームプレーだったと思いますが、ここはシュート欲に打ち勝ってDFの位置を見定めパスを選んだラッシュフォードに拍手を送りたい👏
相変わらず選手間の距離が極端に狭かったり縦に間延びしがちで、それに起因する被カウンターも多かったですが、特にヴァランの走力とカバーリングに救われ失点に直結する危機はさほど多くなかった。前線の守備構築が進まない内はマグワイアの出番は無いかもしれません。
前半をリードで折り返したユナイテッドですが、仮に相手がマン・シティであったり次節戦う好調のアーセナルだった場合を考えると複数失点を喫しても不思議ではないという決していい内容ではない45分でした。
レスター視点で振り返ると、ボールに多く触れさせたいマディソンがサイドに居る事で中々プレーに関与できず、スピードで違いを生み出す選手でもないので彼の使い方が良くなかった事もこの何とも言えない停滞感の一因だったと思います。
後半
両チーム交代なしで迎えた後半、レスターはデューズバリー=ホールとマディソンの役割を入れ替え背番号10を中央へスライド。相変わらず立ち上がりにミスの多いユナイテッドはブルーノのミスから名手マディソンにFKを与え、右足から放ったカーブショットはゴールマウスの角、所謂神様ゾーンを捉えますがここはデヘア渾身のスーパーセーブに救われる。
🙅♂️🚫 @D_DeGea said not today!
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そのすぐ後、ユナイテッド陣内でボールを持つレスターは右サイドへ移動したデューズバリー=ホールのインスイングクロスで逆サイドのバーンズがフリーになる決定機を得ますが、鋭いボールに頭でタイミングを合わせられずにゴールキック。ここのダロトはマークをあっさり外してしまい迂闊だったと思います。空中戦勝率の高さを生かす為にも、そもそも競り合えないという機会は極力減らしていきたい。
ラッシュフォード,エランガ,サンチョ,エリクセン辺りは前半で大分体力を消費していたのかトランジションの緩さが顕在化するようになり、59分にエランガに替えカゼミロ、68分にはサンチョを下げてロナウドを投入し中央を強化しつつ守備を重視した配置に変更。アーセナル戦を考えるとエリクセンを最優先で休ませたかった所ですが、彼がいない時のボール回しを見るとそれは出来ないというのがテン・ハフの判断だったのかもしれません。
対するレスターは76分にティーレマンスを下げてFWのイヘアナチョを投入。前線の圧力を強めたかったのだと思いますが、中盤を1枚減らした事でユナイテッドのカウンターに再び苦しめられるようになり、82分~84分にかけて連続してゴール前の侵入されるなど交代策が機能したとは言い難い。中でもロナウドのバイシクルは紙一重という惜しいシュートでした。
ユナイテッドはガス欠で守備人員としてはカウント出来なかったラッシュフォードを終盤87分に下げ、最後のカードを切って逃げ切りを図る。このフレッジ-カゼミロ-マクトミネイの3センターはブロックを敷いて守る場合頻発しそう。
アディショナルタイムには追加点のチャンスをロナウドのセルフィッシュにも見える強引なシュートで逃してしまうがレスターの反撃を許さずそのまま0-1で勝利。課題も多かったがとりあえず勝てた事は悪くない。
データ
Standard
マンチェスター・ユナイテッドはこれでチームのパス成功率が80%を切る事になりましたが、それは丁度GKからのビルドアップを諦めロングレンジのゴールキックを始めた所とリンクしており、テン・ハフにとっては苦肉の策だと思われますが低い位置でロストする機会が減った事で失点の減少に繋がっているのかもしれない。
しかし、真に強いチームを目指す,言い換えれば膠着状態を自ら打破するには無条件にボールの所有権を確保できるゴールキックからのリスタートに関して突き詰めていく必要があり、移籍期間最終日にマルティン・ドゥブラフカをローン加入させた事を踏まえてももう一度ビルドアップを再構築する意思があるだろうという事は分かる。
個人に注目すると前節に引き続きダロトが高パフォーマンス。実は昨季から守備スタッツの良い選手でしたが、この日は過去に何度も苦しめられたハーヴィー・バーンズに殆ど仕事をさせず、特に彼がドリブル突破を試みようという際の対応が悉く見事でした。攻撃面でも大外からハーフスペースに入れる斜めの楔はすっかりチームの武器になりつつある。ようやく日本のファンにも正当な評価をされ始めた印象。
このキャラクター性も彼の魅力。
Fight for every ball 👊
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両チームペナルティボックスに入る前に自滅に近い形でボールを失ったり、ビルドアップもスムーズにいかなかったという全体の低調さがそのまま表れた結果。
レスターはボックス内からのシュートが僅か2本に留まり、52分のデューズバリ―=ホール→バーンズのヘディングを除けばオープンプレイから有効的な攻撃を完了させる事が出来ませんでした。
一方、勝利したユナイテッドと言えど攻撃の停滞は同じで、特に前線の運動量が著しく低下した後半のパフォーマンスには不安材料も多い。ゴールシーンはサンチョが冷静にGKを交わした後にシュートを放った事でxG:0.62という高い得点期待値が記録された。
あとがき
5試合消化段階で未だ未勝利継続となってしまったレスター。陣容だけを見ればシュマイケル,フォファナ以外の主力流出はなく、前者は衰えが顕著で後者も昨季の大半を故障者リスト入りで過ごしたという事情を鑑みればここまで負けるスカッドではないと思います。
しかし、今回の対戦では明らかに選手のメンタルヘルス悪化やモチベーション低下が画面越しからも伝わってくる状況で、まるでラルフ末期のユナイテッドを見ているかのような強い既視感。ブレンダン・ロジャースという指揮官を私は比較的優秀な人材だと考えていますが、こうなってしまうと解任は避けられないだろうというのが過去の多くのケースから得た知見。
まあ、マンチェスター・ユナイテッドも決して他クラブを心配できるような楽観的状況では無いのですが……