※22/23 イングリッシュプレミアリーグ
サウサンプトンvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。
辛勝という言葉が相応しいタフな試合でしたが、セント・メリーズでのサウサンプトンとのアウェイゲームを最少スコアで制したユナイテッドは2試合連続勝ち点3獲得。
実は敵地での勝利は今年2月のリーズ戦(2-4 Win)以来約半年、無失点試合ともなると昨年12月のノリッジ戦(0-1 Win)まで遡り公式戦では14試合ぶりという有り様で、昨季より継続中だったアウェイ連敗を7でストップ!!
We take the three points back to Old Trafford ✔️#MUFC || #SOUMUN
— Manchester United (@ManUtd) August 27, 2022
【Match Review】
リバプール戦でも決勝点のアシストを記録し期待が最高潮に達していたアントニー・マルシャルでしたが、アキレス腱を痛めたとの事で再び故障者リスト入り。テン・ハフの要求に適うNo.9は彼以外に考えられないのでこれは非常に痛手です。
新加入カゼミロの背番号はかつてポール・スコールズが背負い、昨年までブルーノ・フェルナンデスが身に着けた18番に決定。
🥁 Introducing our new no.1️⃣8️⃣ 💪
— Manchester United (@ManUtd) August 26, 2022
🇧🇷 @Casemiro#MUFC
Starting lineup
現地予想は4-2-3-1ミラー。
前節よりもボールを持つ/持たされる時間が増えると予想されるセント・メリーズでの試合でポゼッションに不安要素を指摘されるアカデミー出身達(ラッシュフォード、エランガ、マクトミネイ)は新たな側面をアピール出来たのか、この点に注目しました。
前半
今回も芝と同化して視認性が悪いことでお馴染みのサードユニフォーム。
キックオフプレーから分かりやすくマルティネス-マラシアの左サイドへロングボールを蹴ってきたサウサンプトンは過去の対戦でユナイテッドを苦しめたファーストプレッシング(GKにまで厳しくプレッシャーを与えるようなハイプレス)を採用せず、ミドルゾーンから守備を始めるという事で意表を突いてきた形。
スローインはモハメド・サリスのロングスロー、セットプレーはウォード=プラウズ、ボールデッドからの得点に試合展開を委ねるというセインツ。上手かったのは先述のミドルプレスで一旦は相手バックラインに時間を与える事で最も警戒したいカウンターをケアし、前線でタメを作れる選手がサンチョ1人のユナイテッドは思うように主導権を握れず。また、ブルーノ,ラッシュフォード,エランガは完全にカウンター仕様のプレー選択が目立っていた事もそれに拍車をかけた。
10分、ロングスローを跳ね返しカウンター。味方の上がりを待ちながら左サイドのライン際でサンチョがウォード=プラウズを交わすと、一度後ろに戻し右サイドへ再展開。外で幅を取っていたダロトのクロスは中の選手に合わなかったもののようやくユナイテッドらしい攻撃。
19分から20分にかけてユナイテッドは2列目から最前線に顔を出し、CB裏をとったブルーノへのダロトのクロスをキッカケにゴール前で複数回のチャンスを得るが、いずれもセインツDF陣とGKがブロック。これは決めきらなければいけない決定機でした。
これらのように単発的な得点機会こそ生まれたものの、思惑通りに試合を進めていたように見えるのはボールデッド+ロングパス一本からというパターンを徹底したサウサンプトン。31分にはCKからベラ=コチャプにゴール前でビッグチャンスが訪れるが僅かに枠の上に逸れてアウェイチームは命拾い。全体的に停滞感の強い前半となった。
後半
ハーフタイムでエランガ、ラッシュフォード辺りを下げて手を加えてくるかとも予想しましたが交代無しで残り45分スタート。
メンバーは同じでしたがテン・ハフの助言があったのか前半大外でボールを受けても縦突破しか選択せず手詰まりだった右サイドに改善傾向。スペースが空きがちだった相手の左DM,ロメオ・ラヴィアの脇を有効活用出来なかったエランガはドリブルでもフリーランでも斜めを積極的に使うようになり、ダロトも持ち前の推進力を生かし相手マークを2枚剥がして次の展開に繋げるプレーが飛び出す。
49分のセットアップは最初の縦のボールが入った時点で意識の共有が出来ており、マクトミネイのフィニッシュワークこそ得点に結びつかなかったが横幅をとり相手を絞らせなかった逆サイド含め、チーム全体で生みだした見事な得点チャンスでした。
同様に"斜め"を活用しボックス内に侵入した51分のチャンスはシュート前に潰されますが、3度目の正直とばかりにエランガ斜めのテイクオン→サンチョポストプレーで右サイドを崩し最後はダロトの低く速いクロス,決して簡単なボールでは無かったものの、これをブルーノがダイレクトでネットに沈めユナイテッドが先制!!
Brilliant from Bruno! 👏
— Manchester United (@ManUtd) August 28, 2022
💥 @B_Fernandes8#MUFC || #SOUMUN pic.twitter.com/5Zafese8TP
偶発的な攻撃が目立った前半に対し、先述のように明確な意図を持って得たこのゴールは正に対照的なプレー。まだまだボールプレーの質やトランジションの甘さが見えるものの、中断を挟み修正が出来たという点で私は後半のエランガを評価しています。
ブルーノのシュートは一言、magnifico につきる。
その後は一転してサウサンプトンの圧に押されたユナイテッド。ジョー・アリボの至近距離からのヘディングは紙一重で失点していたかもしれない危険な場面でしたがデヘアの反応が勝った。
ミッドウィークの試合を見越してか早めにサンチョを下げてロナウド、終盤に入るとエランガ🔁カゼミロ、エリクセン🔁フレッジと消耗の激しい選手を入れ替えながらDMを投入していき、最終的にはカウンター要員2枚を前に残し後ろ8枚でセインツのパワープレイを凌ぎなんとか逃げ切りに成功。
データ
Standard
チームスタッツは17本のシュートを浴びせられたアウェイチームの苦戦がよく分かる内容で、ポゼッションを見ても思うようなゲーム展開にならなかった事が伺えます。
ファウル14回及びイエローカード3枚は主審のジャッジにも問題があった結果と考えていますが、それでも早くもシーズン3枚目となったマクトミネイは危険なペース。
Team of the Matchにはサイドに流れたアリボやLBにコンバートされたムサ・ジェネポの仕掛けに粘り強い守備を見せ、攻撃面でも決勝ゴールのアシストやそれ以外にもスイッチを入れる楔のボール等で貢献したダロトを推したい。スタッツでもゴールライン上のクリア1回,タックル+インターセプト6回,地上デュエル6/9と非の打ち所がなく、得点後に連発した低い位置でのミスを差し引いても素晴らしい90分だった。
現在のチーム編成においては左サイドがマルティネス、右はダロトが起点になるケースが多く、彼が不在になった場合を考えると恐ろしくなる。
Southampton 0 - 1 Manchester United (August 27 2022) | EPL | 2022/2023 | xG | Understat.com
ゴール期待値は僅か0.02差。ビッグチャンスの数はユナイテッドが勝っていますが、全て前半の18~19分のゴール前での混戦なので、それを決められなかった事を踏まえると勝ち点3を手にする事が出来たのは幸運だったのかも。
決勝点のxGは0.07、見た目からも分かるように非常に難しいシュートを決めきったブルーノはこれで調子を取り戻してくれると心強いですが……
持ち味の1つでもあった時にギャンブルにも映る奇想天外なパスはテン・ハフのチームでは裏目に出る事も多く、プレースタイルの変化を受け入れる必要に迫られている状況ですが、セカンドストライカーとしての嗅覚が最大の強みだと私は思っているので、また1,2シーズン目の得点ラッシュを見せてくれると信じています。
あとがき
問題点を挙げればキリが無く、ラッシュフォードのCFは間違いなくポゼッションスタイルには不適格でビルドアップを考えればGKのアップデートも必ず必要になってくるでしょう。それでも難しい試合を勝ち切って勝ち点3を加えたという事実がもたらすチームへの好影響は大きいはず。未だ未勝利、現在最下位に沈むレスターとの第5節では快勝に期待したい。