※21/22イングリッシュプレミアリーグ
マンチェスター・ユナイテッドvsノリッジ・シティ戦の記事です。
6️⃣0️⃣ (sixty) career hat-tricks 🤯
— Manchester United (@ManUtd) April 16, 2022
🌟 @Cristiano#MUFC | #MUNNOR pic.twitter.com/q0g3kfNf6F
クリスティアーノ・ロナウドのプロキャリア60回目の1試合3得点 ハットトリックで3試合ぶりにプレミアリーグで勝ち点3を獲得したマンチェスター・ユナイテッド。
アーセナル、トッテナムが共に足踏みをしたので順位表の上では再び4位の可能性が見えてきましたが、この試合でも垣間見られた集中力、身体的強さの欠如をどうにかしなければ今後の試合で勝利を積み上げていくのは困難でしょう。最後のその瞬間まで諦める事無く、フルスロットルで目の前の1戦に全力を尽くさなければならない。
プレビュー
マンチェスター・ユナイテッド
ラファエル・ヴァラン
ルーク・ショー
スコット・マクトミネイ
フレッジ
エディンソン・カバーニ
ノリッジ
オザン・カバク
アンドリュー・オモバミデレ
ブランドン・ウィリアムズ
アダム・イダー
ジョシュ・サージェント
スタメン
リンガードが2月のリーズ戦以来約2カ月ぶりの先発出場。
前回はグリーンウッドの件も影響し直前に移籍にNoのサインが出た事もあってかモチベーションを感じられずじまいでしたが、彼自身のキャリアの為にも久々に訪れたチャンスを活かして結果を残したいところ。
報道通りハンニバルとガルナチョがベンチ入りしていますが、出来れば彼らに出場機会が回ってくるような余裕のある試合展開を見せて欲しい。
試合内容
前半
中盤構成は底にポグバが入り、ブルーノとリンガードが脇を支える形で始まりましたが、ブルーノが普段の癖か左寄りに流れ、リンガードはリンクマンとして自由に動き回るので実質4-2-3-1のような形を取る事も多かったです。
また、CBは右にマグワイア左にリンデロフと普段とスイッチし、ヴァラン-マグワイアのユニットで一度試したレスター戦の流れを踏襲。結論から言えば大きな効果は得られなかったのですが、マグワイアのビルドアップ以外にも左右で比べると守備面でより不安のあるテレスのサイドにカバーリングに長けたアイスマンを配置する事でカウンターのケアを図ったのかもしれない。
開始間もない3分に高い位置でボールを奪いきれずカウンターを喰らい、プッキの決定機を許すなどこの日も落ち着きのない守備を覗かせた赤い悪魔ですが、8分には後方でのパス回しでもたついたベン・ギブソンからエランガがボールを奪うと、そのまま中央のロナウドにプレゼントパスを送りミス絡みで先制。
RBがワン=ビサカからダロトに戻り、中盤3枚も攻撃寄りの構成にしたことで事で右サイドからの攻撃の手数もエバートン戦に比べれば大きく増加し、全体的にダイレクトプレーも多く久々に複数得点を期待できるような展開でした。
31分、ポゼッションを続け長い時間ノリッジを低い位置に押し留めるユナイテッドは中央のブルーノ→右大外に張るダロトへのパスで相手DFをずらすと、そこからダロト→エランガ→ロナウド→ダロトのレイオフでボックス内に侵入し、最後は折り返しにリンガードがシュート。クルルが反応しCKに逃れられますが理想的なパターン攻撃でした。
そしてこのコーナーキックからテレスの低弾道のキックにロナウドが身体を小さく折りたたみながらジャンピンヘッドで合わせて追加点!!
Dominant in the air 💥
— Manchester United (@ManUtd) April 17, 2022
👤 @Cristiano#MUFC | #MUNNOR
ボールの軌道に合わせる形でランニングしながらインパクトの瞬間に捻りを入れてファーサイドに強いシュート。正にこれが点取り屋という見事な技術。
30分強で2点リード、後は前に出る相手の隙を待ちながらペースを落として時間を潰せば楽な試合となるはずでしたが、この日のスカッドにはバランサーになる中盤が存在せず、寧ろ不用意に前に飛び出て交わされカウンターの逆起点になってしまう場面が目立つように。36分と43分のピンチはいずれもリンデロフのカバーリングに助けられますが、AT1分には右サイドの守備が崩れボックス内でも人を捉えきれず最後はプッキのクロスがゴールエリアを横切りダウエルのオープンゴール。完全に崩された失点。
🎥 Dimitris Giannoulis nutmeg, Teemu Pukki cross and first Premier League goal for Kieran Dowell 👏#NCFC pic.twitter.com/C60DZvikai
— Norwich City FC (@NorwichCityFC) April 17, 2022
①CBからボールを引き出すために下がってきたノルマンにプレスをかけず楽に前を向かせたこと、②ノルマン→プッキへパスが通る際のエランガの中途半端なポジショニング、③ダロトが1on1であっさり抜かれる、④ポグバorエランガがハーフスペースのプッキへのマークを怠った。
と10秒強のシーンでいくつもの細かいミスが重なった結果で、更に言えば①の前段階でゴールキックからのプレー再開であっさりと所有権を放棄したマグワイアのロングキックも要因の1つ。これはチーム内でビルドアップの明確な決まりが無い事が招いた失点とも言える。
後半
最初の何分かは小気味いいワンタッチパスやダロトの中に切り込むドリブル等から主導権を握ったホームチームだったが、50分を過ぎた辺りからトラップやパスの乱れが目立つように。そして52分、サンチョのテイクオンからロナウドへのスルーパスを相手GKにキャッチされると、その後のネガティブトランジションの遅れから縦方向のパスを連続して通され最後はプッキがインサイドキックでニアポストに当てながらゴールネットを揺らし同点。
🎥 That reverse pass 👏. That finish 😍
— Norwich City FC (@NorwichCityFC) April 17, 2022
Teemu Pukki nets his 1️⃣0️⃣th @premierleague goal of the season!#NCFC pic.twitter.com/2uda4enqIa
何故全力で戻らない……集中力、スタミナのいずれか或いは両方にあるのか。就任してからのラルフの言葉を聞く限りでは後者の比重が大きいように推察されますが、何故この規模のクラブでそのような問題が継続的に起きているのか私には理解できません。思えば、オーレも就任当初にそのような身体的強さの欠如を指摘していた記憶がありますが、少なくともサー・アレックスの時代にこのような事は無かった筈。
失点直後の56分にも敵陣深い位置でボールを失いカウンターからラシツァに決定機を許し、ここは守護神のセービングで紙一重で失点を回避しますが、ノリッジのアタッカーが中央を全速力で駆け上がるのに対しユナイテッドの中盤,前線は中央にポッカリと広大なスペースを空けたまま誰1人として戻ってくる気配がありませんでした。
63分には中央の問題を解決するべくリンガードに替えマティッチを投入。ただ、この日のパフォーマンスで言えば替えるべきは低い位置でのロストの目立つブルーノだったかもしれない。リンガードに関して、守備時のポジションに課題は残ったものの、ようやく彼らしいボール保持者をサポートする動きやフィニッシュワークを一部垣間見る事が出来てまずまずの内容だったと思います。
更に74分にはテレス🔁ラッシュフォード、ポグバ🔁マタと交代枠を使い切ってオフェンスの選手を増やし、これによりダロトがLB、エランガがRBにポジションを変更。
75分、一列下がったエランガのテイクオンで相手のファウルを誘い、ゴールからおよそ24m程の位置でFKのチャンスを得ると、ロナウドの弾丸シュートがシュートストップに優れたティム・クルルの指先に弾かれながらもそのままゴールネットに刺さりハットトリック達成!!
/
— DAZN Japan (@DAZN_JPN) April 16, 2022
さすが、さすが、さすが
クリスティアーノ・ロナウド~~~!!!
\
⚽️ハットトリックの
⚽️仕上げはとんでもない
⚽️弾丸直接フリーキック!
🏴プレミアリーグ第33節
🆚マンチェスター・U☓ノリッジ
📱#DAZN 配信中#PremierLeagueDAZN pic.twitter.com/7axb8tZLO4
まるでモーセの海割りの如く決まっていたかのように丁度壁が間を空けた所を逃さず、キャリア60回目のハットトリックは58回目の直接FKで達成。
マタ、マティッチのベテラン2人が入りバランスを取り戻したチームはその後89分に一度ボックス内に侵入された場面を除きノリッジに大きな得点機会を与える事無くリードを守り切って3試合ぶりの勝利。
ハイライト
選手交代
63分 リンガード🔁マティッチ
74分 ポグバ🔁マタ
74分 テレス🔁ラッシュフォード
73分 K.マクリーン🔁ギルモア
74分 ダウエル🔁プワヘタ
82分 レース=メル🔁ジョナサン・ロウ
データ
シュート数は20。これはゴールレスドローに終わった2月26日のワトフォード戦以来リーグ戦では5試合ぶりの事で、枠内シュートも9本とノリッジのミスに助けられたとはいえ久々に攻撃陣が仕事をした試合でした。
ただ、一方で被シュート15本とディフェンス面では課題も多く、付け焼刃のブルーノ-ポグバ-リンガードの中盤3枚は総じて攻→守のリスク管理の意識が甘く縦のボールが簡単に前線へ供給されていたのでバックスには負担の大きい90分。
秀逸なカバーリングを連発したリンデロフ以外のDFには批判が集まっているようですが、単純な彼らの守備能力を超えた部分で致し方のない要因もあったのでそれを差し引いて評価する必要があるでしょう。
そして、74分よりピッチに入ったマーカス・ラッシュフォードはこれがクラブでの300試合目というメモリアルで、通算ではジョージ・ベスト(23歳149日),ライアン・ギグス(24歳22日)というクラブ史に残るレジェンドに次ぐ史上3番目の達成スピードでした。
この日もパフォーマンスは低調だったとはいえ、彼がクラブを背負う存在になるべきなのは火を見るよりも明らかなので、ここで腐らずもう一度ポジションを奪う意気を見せなければいけない。
𝗢𝗻𝗲 𝗼𝗳 𝗼𝘂𝗿 𝗼𝘄𝗻 🔴
— Manchester United (@ManUtd) April 17, 2022
Saturday's outing brought up a landmark appearance for @MarcusRashford 👏#MUFC | #MUNNOR pic.twitter.com/KzGJ9dPSRW
xG
特にダウエルの得点は完全にゴール前にパスを通されオープンゴールになってしまっているので出場していたすべての選手には気を引き締めて貰いたいところ。
ロナウドはゴール期待値0.83でハットトリックを達成し、特に25m程の位置から決めた3点目の弾丸FKはxG:0.03でした。
因みに、これがチームの今季初のダイレクトフリーキックでの得点で、記憶の限りでは恐らく昨季のFA杯4回戦、リバプールに勝利した試合のブルーノ以来1年3か月ぶりだと思われます。
その時のゴール
No stopping Bruno Fernandes 🔥#EmiratesFACup @ManUtd pic.twitter.com/gOCxdmJbOi
— Emirates FA Cup (@EmiratesFACup) January 24, 2021
あとがき
これはクン・アグエロ以来およそ3年ぶりの記録で、デヘアも含めスケープゴートにされる事の多い2人の活躍がその実チームがこの順位に留まれている最大の要因である事を端的に表している記録です。
1つ発見だったのは途中でRBに回った後のエランガが1on1の守備でほぼ全勝していた事。あくまでサブプラン止まりですが、パワープレーに転じるビハインドの終盤には十分採用圏内に入る水準。
次節はミッドウィーク開催、アンフィールドでのリバプールという最難関であり絶対に勝たなければいけない因縁のライバルマッチです。日程面ではこちらに分があるとはいえ、同じような状況下で行われたエバートン戦のような体たらくを見せた場合、本当に2ケタ失点してもおかしくない。
彼らの攻撃陣を無失点で抑える事は難しいでしょうが、最少失点に抑えてカウンターで沈めて一泡吹かせて貰いたい。