※21/22イングリッシュプレミアリーグ
アーセナルvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。
さよならチャンピオンズリーグ。
残念ながらエミレーツスタジアムで3-1の敗戦に終わったマンチェスター・ユナイテッドの22/23シーズンのCL出場権は事実上消滅しました。
単に最高峰のカップ戦に出る事が出来ないというだけに留まらず、エリック・テン・ハフを招聘しチームを再建を図る上で思い通りの補強が進まない事も十分に想定されますが、マン・シティやリバプール戦のような手も足も出ない試合ではなく、まともなレフェリングならば勝っていても何らおかしくないゲームだっただけに、最初から最後まで今季は本当に呪われているのだろうか。
EL出場権を考えるとウエストハムが迫っているので手を抜けませんが、残り試合は来期以降の編成も考えた選手選考になっていくかもしれない。
ハイライト
プレビュー
アーセナル
トーマス・パーテイ
キーラン・ティアニー
マンチェスター・ユナイテッド
ルーク・ショー
フレッジ
ポール・ポグバ
エディンソン・カバーニ
スタメン
要警戒なのがチェルシー戦で2ゴールを決めたエディ・エンケティア。
ユースレベルで国内随一の実績を残した元ワンダーキッドは今夏にも他のクラブへ移籍すると見られており、自らの評価を高めるべく貪欲にゴールを狙ってくるでしょう。
ユナイテッドは脅迫被害を受けたマグワイアをベンチスタートにする判断。
パフォーマンスも落ちていたのでこれが良い休養になれば……
試合内容
前半
◆この日も自滅から始まる
3分、特にどうという事はないジャカのアーリークロスにヴァランとテレスが立て続けにサボテンダーのような体勢でボールを空振り、外にいたサカへボールが繋がると左足のシュートはデヘアが弾きますがこぼれ球を高い位置にいたヌーノ・タヴァレスに詰められ早々に失点。
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— DAZN Japan (@DAZN_JPN) April 23, 2022
開始3分で先制ゴール🔥
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詰めていたのはタヴァレス👏
ランチタイムのビッグマッチ、勝負の行方は👀
🏴プレミアリーグ第34節
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まさかトッププロがこのようなエラーをするとは想像がつきませんでした。
それ以上でも以下でもない
7分にはこの日も男児を亡くしたクリスティアーノ・ロナウドへのサポートを示す拍手が行われ、11分にはラムズデールのフィードをアタッキングサードでカットしたマクトミネイが目の前のDFの股を抜くパスでブルーノに後を託し決定機を迎えますが、肝心のフィニッシュはゴールマウスを捉える事無く、こちらはミス由来のチャンスを得点に結びつける事が出来ませんでした。
◆Tavalesの裏とレフェリー
システマティックという言葉とは無縁、気の赴くままに5人目のアタッカーとして振る舞うタヴァレスへの対処に苦戦し序盤は自陣に押し込められていたユナイテッド。しかし、その自由の裏側に大きな代償が存在する事に気付いたかのように15分にはロナウドのスルーパスに抜け出したエランガが右サイドをスプリント。ボックス内で何とか背中に追いついたタバレスはエランガの肩を思い切り掴んでなぎ倒しますが主審はファウルを取らず試合続行。
20分にもまるでマン・ユナイテッドの選手を思わせるような曖昧な守備のタヴァレスをワンツーで無力化しロナウドがボックス内からシュートを放つなど、この頃には主導権を奪い返したレッド・デビルズ。ただ、そんなホームチームの嫌な流れを断ち切ったのは12人目の味方と言わんばかりのCraig Pawsonの世紀のミスジャッジでした。
23分、タバレスの外から中へのドリフトを阻止したユナイテッドはそのままカウンター。左へ展開しサンチョはセドリックをてんてこ舞いにさせるテイクオンでペナルティボックスに侵入しかけますが、正にその瞬間、バランスを崩し手を地に付けていたセドリックがボックス内にあるボールを明らかに意図的であると分かるように左手で掻きだしてクリア。
Why wasn’t this a penalty? Easy answer: Craig Pawson. pic.twitter.com/tB0rhP99n2
— Zeus⚡️ (@Zeus1882x) April 23, 2022
当然PKが与えられてしかるべきプレーなのですが、何を思ったか或いは何も見ていなかったのかポーソンは笛を吹きません。これには「彼の中ではセドリックは四足歩行生物なのか?」といった痛烈な皮肉が各所で噴出。PGMOL及びポーソン本人にはこの件やこの後も見られた数々の不審なジャッジについて説明責任が問われます。
それでもアウェイチームの攻撃は続き、24分にはハイラインでCBのパスコースを消し、ボールプレーにややぎこちなさを残すセドリックへの横パスを誘導しサンチョがボールを奪うとバイタルでボールを繋ぎ最後はダロトのドライブ回転をかけたミドルシュートがクロスバーの左端を直撃。パスレンジの広さからこういったショットも打てることは分かっていましたが、このようにミドルがあると相手に疑わさせればプレーの幅も広がるのであまりに結果に繋がっていないクロスもより効果的になる筈です。
◆継続出来ない守備、継続した超一流の点取り屋
アーセナルの2点目は結果的にVAR介入によるPKでの得点でしたが、それに至るまでのユナイテッドの守備はあまりにも杜撰なものでした。1つ目は前に出るのか引いてコースを消すのか曖昧なマティッチの対応とその後の帰陣の遅さ、そしてサカに2枚でつかなければいけないテレスの1on1の信用の無さと斜めのランへの無頓着。
最後のタックルには多少の不運もあったかもしれませんが。
守備がハマっていたパターンはアーセナルのCBと降りてくるエルネニーに全員タイトなマークを付けて狭い位置に五角形や六角形を作りミスを誘うというものでしたが、DM2枚の上下の動きにバラツキがある事と、直近の失敗からかバックスが中々ラインを上げづらいという要素が重なって成立しないケースの方が多かった。フレッジ抜きでも継続して圧縮するプレスが出来るような選手の補強が必要。
(一番良かったのは後述する同点弾の直後、36分のプレー。ラムズデールがボールを持った際に前3枚+DM2枚がボックス内からバイタルまでに集まってコースを全て消す事に成功している。)
2点を追うユナイテッドはダロトのフィードにロナウドが競り勝ちサンチョと2人でボックス内までボールを進めると、サンチョはボールロールを上手く使い味方の上がる時間を作り、パスを受けたマティッチのお手本のようなファーサイドへのクロスにCR7がワンタッチゴール。
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— DAZN Japan (@DAZN_JPN) April 23, 2022
稀代のゴールスコアラー🔴
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息子を亡くし、前節を欠場していたロナウド。
復帰戦で早速結果を残し、プレミア通算100ゴールの偉業を達成した。
🏴プレミアリーグ第34節
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クロスが入るまでの駆け引きに彼がスコアラーとしてこれだけの得点を積み重ねられた理由が詰まっており、ニアからファーへゆっくり流れながらガブリエルが目を離した一瞬で背後を取って勝負アリ。マティッチの配球もGKの動きで分かる通り、一度ゴールへ向かいながらカーブして外へ流れる高さ速さタイミング3拍子揃った見事なキック。
その後、CKからサカに2度近距離のシュートチャンスを許し、こちらもテレスのミドルシュートがラムズデールの好守に阻まれるなど落ち着きのない試合はホームチームの1点リードで折り返す。
後半
マン・ユナイテッドはテレスvsサカ、アーセナルはセドリックvsサンチョとそれぞれ1on1に大きな不安を抱える45分を過ごしHTでの交代も予想したが両チーム同じメンバーでそのまま後半に臨む。
◆次はブルーノにパフォーマンス低下の兆候(勤続疲労から?)
1点差で追いかけるユナイテッドは左サイドのCKからタヴァレスのハンドボールでペナルティキックを獲得。スポットにボールを置いたのがロナウドではなくブルーノだった時点で何となく嫌な予感はありました。
お馴染みのステップを入れたキックは完全にラムズデールの逆を突いたものの、コースを狙いすぎたのかボールは左ポストに当たりまさかの失敗となってしまった。
元より感情の起伏でプレーに波が生まれる選手ではありますが、それ以上にここ最近はボールタッチ、特にトラップやクロスのミスが目立っており、クラブレベルでは2月26日のワトフォード戦以来2カ月近く得点関与が無い。
また、そもそもチーム自体が不当に感じる程PKを獲得出来ていない(昨季18回、今季5回)のでサンプルが少ないものの、これで今季は流れの中のPKで2回中2回失敗とそれまでと打って変わって成果が出ていません。
ブルーノはマグワイアと並んで毎試合のようにスタメン出場、更に運動量の多いプレースタイルもあってフィールドプレイヤーで最も疲労の蓄積されている事はまず間違いなく、統計を取っている訳では無いので正確な事は分かりませんがコンタクトプレーの後に身体の痛みを訴える場面も以前より増えているように感じます。オーレ時代を支えたセンターライン2人が挙って不調に陥っているのは単なる偶然なのだろうか。
◆とどめを刺したのも疑惑の判定
59分のユナイテッドはマクトミネイの縦パスからエランガにチャンス。
ゴールまで20m程の位置から撃った右足の一撃は枠を捉えますがラムズデールのセーブでコーナーへ逃れます。しばらくアタッキングサードでボールを持つ展開が続き、60分にはロングスローからの攻撃で最後はブルーノのヘディングパスにロナウドがボレー。
VARの支持はオフサイドだったものの、背後からのボールをドンピシャのタイミングでシュートに持ち込んだ技術は流石の一言。
63分、今度はロナウドがチャンスメイク。3人のマークを引き付け外のダロトにパスを出すと、ゴールエリアの右角にほど近い位置からニア上を狙ったダロトの一撃はほんのわずかにラムズデールの指先を掠め惜しくもポストに阻まれた。
続く64分、前半のプレーを思い出すようなボックス内でのエランガとタヴァレスのマッチアップ、後者が再び背後からなぎ倒すが当然の如くポーソンが笛を吹く素振りを見せる事はありませんでした。
そして唐突にその瞬間は訪れます。
ニアへのクロスを弾かれ守備に回ったユナイテッド。しかしながら全くボールホルダーにプレスがかからず数十秒に渡ってディフェンシブサードでのプレーを余儀なくされると、テレスのクリアをブルーノがトラップミス。奪ったエルネニーは素早く横にボールを出し、万全の体勢でジャカのキャノン砲が誰にも触れられることなくそのままゴールネット直撃。
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— DAZN Japan (@DAZN_JPN) April 23, 2022
ジャカ打ったぁぁぁ🚀🚀🚀
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得意の左足で貴重な追加点💥
セレブレーションもバッチリ👏
🏴プレミアリーグ第34節
🆚アーセナル×マンチェスター・U
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著作権に引っかかるので直接的な画像は出しませんが、ジャカの左足がボールにインパクトする瞬間、明らかにエンケティアの右手がデヘアの視界を遮っており、丁度数日前に同様の例においてノーゴール判定が下ったケースがイタリアで発生しています。
再三に渡り理不尽な判定に泣いたアウェイチームはこの2点差を覆せずにタイムアップ。そして、ロナウドが猛スピードで入ったばかりの冨安にプレスをかけているにも関わらず、交代で入ったラッシュフォードが悠然とジョグしているこの場面は本当に情けない……
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— DAZN Japan (@DAZN_JPN) April 23, 2022
復帰の #冨安健洋 が躍動✨
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負傷離脱後、約3カ月ぶりのピッチ。
91分に途中出場し、巧みな突破を見せた👏
🏴プレミアリーグ第34節
🆚アーセナル×マンチェスター・U
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選手交代
64分 スミスロウ🔁マルティネッリ
74分 サカ🔁ホールディング
90⁺¹分 セドリック🔁冨安
77分 マティッチ🔁ラッシュフォード
77分 エランガ🔁リンガード
84分 ブルーノ🔁マタ
データ
シュート数は両チーム14本。アーセナルは両サイドに逆利きアタッカーを置き、フルバックも左はクロスよりシュートを優先したがるタヴァレスで右は自重気味のセドリックだった事も影響したかコーナーは僅か1つ。
ポゼッションでは相手に主導権を渡したものの、決定機の数はユナイテッドが相手をウ回っており、更にPKになるべきプレー3度を考慮すれば攻撃面では機能していたと捉えて良いかもしれない。
そして、フィニッシュワークの精度で2回の得点機会を逃したブルーノもキーパス4はピッチに立った選手ので最多、途中交代した後に一気にプレス強度が下がった事を鑑みても不調とはいえ代わりになる選手は今のところ見当たらない。とはいえ、前述のようにこのまま使い込み続ければいずれ今のマグワイアのような状態になってからでは遅いので、残り試合でハンニバルに先発チャンスを与える等代替候補の選定を今のうちに開始したいところ。
💯 @PremierLeague goals for @Cristiano!#MUFC | #ARSMUN pic.twitter.com/MnzqSjtmSd
— Manchester United (@ManUtd) April 23, 2022
ピッチ上で最も眩い輝きを放ったロナウドはこの日の得点がプレミアリーグ通算100得点目、正直にいえば彼に必要以上の批判が集まる理由が分からず、そういった層への理解に苦しむ。試合を見ていないのか或いはうまくいかない理由を考えず目に移りやすい彼に八つ当たりしているのか?
xG
ただ、しつこいくらい言っているように幻のPK3つを足せば逆転し、オープンプレーのゴール期待値はこちらが上回っているのでこれ自体に悲壮感を抱く必要は無い。
ただ、サカとのコンタクトプレーにほぼ負け続け、結局サンチョとの2枚でマークせざるを得ずに他の選手が空きがちになる一因となったテレスのフィジカル面は大きく評価を落とす事になってしまったと思います。一時はショーを控えに追いやる程の勢いだっただけに、こうなってしまったのは残念でならない。
あとがき
EL,ECL或いはそれを逃すかどうかという消化試合とも言い切れない微妙な4試合を戦う今後の赤い悪魔。怪我からの復帰が間に合わないポグバ、代表戦の度に中期の離脱をするカバーニは最早ピッチに立つ姿を見ることが無いと予想されますが、退団の可能性が高い残りの選手達をどうやって送り出すのかという方向に舵を切るかもしれない。
正直今回の敗戦は12vs11で負けたようなものなので怒りが収まらずしばらく冷静に振り返る事が出来ない。試しにブログ内検索でCraig Pawsonを検索してみると、過去の試合でも彼に対する罵声に近しい不満が書き綴られていたので、今後某氏が主審を務めると判明した場合それなりの覚悟を持つ事にする。。。