マンチェスター・ユナイテッドvsクリスタルパレス戦の記事です。
The Professorの指揮する新たなユナイテッドの初陣は近年苦手にしているイーグルスをオールド・トラッフォードに迎えての試合。
数日のトレーニングを経てどんなチームになっているか楽しみでもあり、多発している怪我人を考えると少し心配な面もありますが、昨季一度も勝てていない(1分け1敗)クラブにどれだけ主導権を握る試合運びが出来るかどうかを中心に見ていこうと思います。
プレビュー
マンチェスター・ユナイテッド
ポール・ポグバ
ラファエル・ヴァラン
エディンソン・カバーニ
ルーク・ショー
ジェシー・リンガード
クリスタルパレス
ネイサン・ファーガソン
ジェームズ・マッカーサー
ジョエル・ウォード
ヨアキム・アンデルセン
スタメン
ユナイテッドは前回と同じメンバーで現地予想は4-2-3-1。
ラングニックカラーがどこまで出ているかはこの時点では全く想像もつきません。
パレスはジョエル・ウォードの欠けたRBにナサニエル・クラインが入り今季リーグ戦初出場。試合勘の無いであろう彼の所をレッズは積極的に突いていきたい。
試合内容
前半
アーセナル戦とメンバーは変わりませんがフォーメーションは4-2-2-2、前の4枚は攻撃時にかなり自由なポジション取りをするオーレ体制の攻め方ですが、違いが現れたのはボールを失った後のプレスの連動。
ブルーノがGKにまで牽制を入れるのは今までもそうでしたが、この試合ではその動きにロナウド含む他のアタッカーも追随し、サイドに追い込んだところでマクトミネイとフレッジがボールを奪取する形でこれが綺麗にハマったのが5:10~5:15秒にかけてのプレーとなります。
また、プレス始動ラインを高く設定した事に伴ってDFラインも中盤のスペースを埋める為にこれまでの試合ではMcfredが担当していたエリアに位置取り、前から積極的に相手の攻撃に対処する新方針に非常に良くフィットしたのがアイスマン ヴィクトル・リンデロフでした。
不意なパスのズレからカウンターを食らうシーンはやはり出てしまいますが、それでも全体のネガティブトランジション(攻→守の切り替え)が格段に向上したことで決定機になる前に素早くウィルフリード・ザハを囲んで選択肢を削り、ミドルシュートを打たざるを得ない状況に持って行った9分の守備などは早速新監督の指導の効果が表れた場面だと思います。
攻撃面ではパスの出しどころに困った際の優先順位に変化の兆しがあり、これまでならば取りあえず間近の選手に横パスを出していたところでもゴール方向に近づく縦・斜めのロングボールを蹴る意識が高くなっていました。一概に良い悪いを判断する事は出来ませんが、少なくともカウンターベースで結果を残してきて前線のスピードが持ち味である今のチームにはこちらの方が合っているのではないでしょうか。
これが!!という決定的なチャンスこそ作れなかったものの、前半30分までに10本のシュート、CK6本、ポゼッションも65%超と試合をコントロールしていたのは完全にホームチームで、この部分に関してはラングニックも試合後にポジティブなコメントを残しています。
テンポの速いフットボールにやや判断の遅さが目立つ場面もあったスコット・マクトミネイとハリー・マグワイアは若干の危うさを感じますが、個人的感覚でいえば慣れる事で改善可能な部分だと思うので試合を重ねればそのうち適応出来ると思います。
そういう意味では、似たプレースタイルのユルゲン・クロップ就任初期のリバプールに今後の展望のヒントが隠れているかもしれない。
前半はゴールレスで折り返しますが、ATのディオゴ・ダロトのディフェンス2人を背負いながらのドリブル突破→カットイン左足シュートの一連の流れには大きなロマンが詰まっていました。
あれはワン=ビサカにはないプレーなので、今後も持ち味を発揮して彼からポジションを奪うくらいの好調持続をお願いしたい。
後半
中二日の疲労はやはり残っていたのか、或いはハイプレスの反動なのか後半はトーンダウン。
どちらかと言えばパレスの思う通りに時計が進み、56分の相手FKでは190㎝越えのシェイク・クヤテに181㎝のテレスが付くミスマッチが起きてしまい、クヤテにヘディングシュートを許すなどやはりセットプレーの甘さは1日2日では改善出来なかった。
新しいチームのキーマンと予想されるジェイドン・サンチョは左サイドから複数回カットインでボックス内に侵入しチャンスを作りましたが、負担も考えてか62分と早い段階で新型コロナから復帰のメイソン・グリーンウッドに後を託してピッチを去ります。
67分、ブルーノのロングパスを受けたラッシュフォードが右サイド深い位置でFK獲得。
テレスが直接ゴールを狙った斜め回転をかけたキックはクロスバーを掠め惜しくもゴールとはならず。
逆に75分にはパレスCKからファーサイドのボールをトムキンスが折り返し、ジョーダン・アイェウがフリーでボールを受けますがやや角度の厳しかった決定機に9番のシュートはゴールネットを揺らすことなく最大のピンチを何とか無失点で終える事に。
ピンチの後にはチャンスあり。
77分、リンデロフ→グリーンウッド→マクトミネイ→ロナウド→ダロト・・・と2タッチでテンポよく右サイドの深い位置まで侵入。一度後ろまでボールを戻しますが、再びダロトの仕掛けからボックス内のグリーンウッドに斜めのボールが通り、11番のバックパスを右足ダイレクトシュートでゴールにデリバリーしたのはなんとフレッジ!!
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— DAZN Japan (@DAZN_JPN) December 6, 2021
フレッジ 右足で
芸術的決勝ゴール⚽
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ラングニック初陣は白星発進✨
🏴プレミアリーグ第15節
🆚マンチェスター・U×クリスタルパレス
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ファン・サポーターは勿論のこと、ピッチ上の選手や指揮官に至るまで皆一様に驚かされたに違いないフレッジのビューティフルゴールで手詰まりになっていた試合を動かしたユナイテッド。その後マグワイアが相手選手と頭同士で接触するアクシデントもありましたが、何とかクリーンシートのまま試合終了の笛を聞く事が出来ました!!
ハイライト
選手交代
62分 サンチョ🔁グリーンウッド
76分 ラッシュフォード🔁エランガ
86分 ブルーノ🔁ファン・デ・ベーク
84分 J.アイェウ🔁M.オリーズ
84分 クヤテ🔁エゼ
データ
ポゼッション6割超、シュート数も倍の差がついて久々にこちらが優勢と自信をもって言えるような試合運び。
ファウル数に出ているように激しさを要求される戦い方なので今後の怪我人増加が心配ではありますが、縦に速く貪欲にゴールを狙うサー・アレックス・ファーガソンの頃の試合を思い出すような魂を揺さぶる選手たちのプレーが見れたのは本当に嬉しい。
共にタックル数7のフレッジ、テレスのブラジル人プレイヤー2人、元ユナイテッドでもあるプレミアリーグ有数のドリブラー ザハに殆ど仕事をさせず攻撃でも引き続きドリブル突破やチャンスメイクのパスで印象を残したダロト辺りがMVP候補。
また、ラングニック流への適性を疑問視されていたロナウドも90分で11回のプレスを記録し、勝率も45%と上々の内容でその批判が見当違いであった事を証明。
非常に収穫の多い試合でした。
xG
一度も決定機が無かったこの試合のユナイテッド。
xGは0.87とかなり抑え目の数字で決して満足できるものではありませんが、守備面では被xGを0.52に抑え、その内半分以上はセットプレー関連ですからオープンプレーの守備は見事ハマっていたと言えます。
今季はプレスが単体で終わってしまい、逆に空いてしまったスペースを相手に使われるケースが頻発していましたが、この日はラングニックの哲学に則った全体で圧縮してサイドに追い込みボールを奪うといういわばところてんのような守備でパレスに時間を与えず、彼のパス成功率が71%に終わったところを見てもその効果は一目瞭然。
あとはこれを継続できる時間を増やす事が今後の目標か。
あとがき
まだ未完成感の強い新スタイルでしたが、試合後の会見によればラングニックはまだほとんどトレーニングを見る事ができておらず、時間が足りなかったので指導はプレスのかけ方に注力したとのこと。
4-2-3-1から4-2-2-2にフォーメーションは変化しましたが、攻撃に関してはシステマチックではなく選手の個人能力を活かしたやり方で言うなれば4-2-Fantastic。
ミッドウィークのCLはターンオーバー可能なので、この1週間で主力組のケミストリーをどれだけラルフが高められるかが非常に楽しみ。
また、ヤングボーイズ戦ではBリスト相当でいつでも追加できる若手選手の抜擢も期待されており、アルバロ・フェルナンデス、アンソニー・エランガ、ショラ・ショレティレ、ハンニバル・メイブリらはスタメン出場も十分考えられます。
プレミアリーグの日程も年内はノリッジ→ブレントフォード→ブライトン→ニューカッスル→バーンリーと全勝を狙えるカード。
最低でも4勝はクリアして欲しい水準。