マンチェスター・ユナイテッドvsアーセナル戦の記事です。
結果的に2006年の加入以来、選手、コーチ、そして暫定監督としてチームを支え続けたマイケル・キャリックのユナイテッドにおける最後の試合となったオールド・トラッフォードのガナーズ戦。
長らく見られなかった前線の複数人が連動する組織的なプレス、何よりボールへの執着心が復活したユナイテッドは課題を残しつつも劇的な試合を制し14試合消化段階で勝ち点は21。
現在4位のウエストハムからは勝ち点差3、なんとか上位戦線に残る事が出来ました。
それでは振り返っていこうと思います。
プレビュー
全くもって見当違いになってしまった予想。
ラルフ・ラングニックの好むウイングプレイヤーを配置しないラインナップを想定しましたが、実際の試合ではこれまで守備の質が課題とされていた選手も見事に組織の一員となって網に参加できていたので、早くもラルフ効果を実感した次第。
マンチェスター・ユナイテッド
ルーク・ショー
アーロン・ワン=ビサカ
ポール・ポグバ
エディンソン・カバーニ
ラファエル・ヴァラン
アーセナル
セアド・コラシナツ
グラニト・ジャカ
スタメン
両フルバックは右ダロト、左テレスという組み合わせ。
出場停止空けのハリー・マグワイア含め、連携面には若干の不安を感じなくはありませんが逆にポジションを奪うくらいの気持ちで2人には頑張ってもらいたい。
フォーメーションは恐らく両者ミラーに近い配置が予想されますが、ピエール・エメリク・オーバメヤンにいまだかつてのような輝きは戻っていないという所はユナイテッドにとって救いとなるかもしれません。
日本では冨安健洋がサンチョをどれくらい1on1で止められるかどうかに注目が集まっていそうですが、ユナイテッドファンとしてはサンチョの勝利を願っています。
試合内容
前半
攻撃時4-2-3-1、守備時4-4-2というシステム自体はこれまでと同じですが、守備の際に左右ウイングがしっかりとアーセナルのCM-SM間に位置取りして横幅をコンパクトに保って守るという中身にはラングニックの指導が入った事を思わせるものでした。
相手はユナイテッドと同じようにアンカーを配置しないシステムなので基本形は相手の中盤4枚の間のスペースを3人で見て、冨安orタバレスにボールが入ると1つずつ横にずれて空いた大外はこちらのフルバックがケアというのが恐らくこの試合の守備の動き方んの決めごとだったのではないかと思います。
ただ、ベン・ホワイトとガブリエウ・マガリャンイスをクリスティアーノ・ロナウド1人でケアしなければならないのでCBの攻撃参加に対して一歩後手を踏んでいた感は否めません。
試合が動いたのは13分。
アーセナルCKはマグワイアが頭で跳ね返しますが、それと同時にゴールエリアではデヘアが誰かと交錯し(フレッジ説濃厚)、脛を抑えたままうずくまってしまいます。
クリアボールを拾ったスミスロウはそのままボレーシュートをノーガードのゴールマウスに蹴り込んでネットを揺らします。
誰かが絶対的に悪いというよりは、宝くじに当たるレベルでほんらい起きようのない珍事が発生してしまった事故と言った方が妥当なプレーでしたが、強いて言えばGKが倒れている段階で直ぐに笛を吹かなかったマーティン・アトキンソンにやや配慮が至らない点があったと私は結論付けています。
信じられない失点でビハインドを負ったユナイテッドはギアを上げて球際の激しさ、攻守のスピードが増し、19分の左サイドからのカウンターではロナウドがホワイトを転倒させるキレッキレのドリブルを披露して身体限界説を一笑させるなど、珍プレーを除けばここしばらくで一番いい内容。
CBのマグワイアまでも30分と37分にミドルシュートを立て続けに放つなどピッチ上の全員がゴールをどん欲に狙う姿勢を見せたこの日のレッズ。同点弾は前半のうちに生まれました。
44分、マグワイアの低い位置からのドリブルで左サイド深い位置に侵入、テレスのアーリークロスは弾かれますがマグワイアがリカバリーしボールはタッチライン際のジェイドン・サンチョへ。
この日、純粋な1on1では冨安に敗れ続けていたサンチョですが、アーセナルのCMがFBとCBの間に出来るスペースのケアにあまり熱心ではない事を見抜いたのか、フレッジにギャップへのランを促し絶妙なパス。そして失点を招いたと言えなくもない17番は汚名返上のラストパスでブルーノの得点をお膳立て。
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— Manchester United (@ManUtd) December 4, 2021
最後のシュートも決して容易ではありませんがそれを全く感じさせないブルーノの技術は流石の一言。チームが連動しなければ生まれる事はなかった見事な得点で試合を振り出しに戻し、前半は1-1で折り返し。
後半
46分、いきなりCKから大きなピンチを招きますがダビド・デヘアが右腕一本でセーブ。
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— Manchester United (@ManUtd) December 3, 2021
守護神のスーパープレーで失点を防いでからしばらく、52分にはディオゴ・ダロトの起点の利いた縦パスからチャンスが生まれ、ラッシュフォードの球足の速いグラウンダーをロナウドがダイレクトでファーに流し込んで勝ち越し!!
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ゴール前で合わせたのは
ロナウド!!!!!!!
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ラッシュフォードの速いクロスを
見事なダイレクトシュートで沈めた👏👏
🏴プレミアリーグ第14節
🆚マンチェスター・U×アーセナル
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ただ、興奮冷めやらぬ直後の54分にこの日パスミスも多かったトーマス・パーテイの見事なサイドチェンジから左サイドを崩され、最後はマルティネッリのグラウンダーをウーデゴールがリダイレクト、先ほどの得点をやり返されたような形でまたもや試合は振出しに戻ります。
2分間に生まれたこの2つのゴール、最後のシュートはどちらも見た目以上に難易度が高く、特にロナウドの方は合わせに行こうと足を開いてインサイドで正直に蹴ろうとするとニアの枠外、GKを気にして強く蹴ろうとすれば空振りや枠上に外れる恐れが十分考えられるシチュエーションなので、あれを何食わぬ顔で決めてしまうCR7は異常。
66分、ダロト→ブルーノのスルーパスが通り、18番のシュートは逆サイドに流れますが、これを拾ったサンチョが冨安を引き付け、1点目同様ポッカリ空いたスペースにフレッジが侵入してパスを入れます。今度はトップ下のウーデゴールがスペースを埋める為に必死に戻っていましたが、そのがむしゃらさが仇となってフレッジを倒してしまい、VARの指示受けた主審はペナルティスポットを指さします。
キッカーは先程プロキャリア通算800点目を記録したばかりのロナウド。
今季ここまでプレミアNo.1の活躍を見せるラムズデールにど真ん中へのキックを選択。弾丸シュートがゴールネットに突き刺さります。
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正にViva Ronaldo!!
70分以降、攻勢を強めるアーセナルにユナイテッドはロングカウンターで追加点を狙う展開となり、78分にはボックス内でオーバメヤンの決定機をデヘアが至近距離でセーブ(仮にネットを揺らしていてもオフサイドだったかもしれませんが)。87分には途中出場ブカヨ・サカのシュートチャンスをフレッジ必死のスライディングで何とか凌ぎ切り、マイケル・キャリックのユナイテッドでの歴史に一区切りをつける事になった負けられない試合は勝利で終える事に成功!!
A 𝒉𝒖𝒈𝒆 block to help secure the victory 👏
— Manchester United (@ManUtd) December 3, 2021
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ハイライト
選手交代
79分 ラッシュフォード🔁リンガード
88分 ロナウド🔁マルシャル
90分 ブルーノ🔁ファン・デ・ベーク
70分 スミスロウ🔁サカ
79分 ウーデゴール🔁エンケティア
79分 オーバメヤン🔁ラカゼット
データ
前半はユナイテッド57%-アーセナル43%
後半はユナイテッド31%-アーセナル69% とエンドが変わった事でポゼッションに大きく変化があったこの試合。
スタッツを見ても分かるように、決して褒められた内容ではありませんが、枠内シュートを二桁に乗せた事はポジティブな要素です。
今季はファウルでしか止められないという局面が多く、既にマグワイアはイエロー5枚で出場停止を消化、ブルーノを筆頭に4枚リーチも4選手いる状況なので、90分間でマクトミネイの1枚にカードを抑えられたことも地味に今後効いてくる気がします。
FBref算出のチーム全体のプレスはユナイテッド105、アーセナル95。
特に1人で26回を記録したフレッジの運動量には助けられていますが、この試合では守備だけでなく攻撃でも1アシスト1PK奪取の高い貢献を記録し、クリスティアーノ・ロナウドと並んでこの試合のベストプレイヤーでした。
🚨 This is a @Fred08Oficial appreciation post.
— Manchester United (@ManUtd) December 2, 2021
Another solid performance 🔥#MUFC | #MUNARS pic.twitter.com/hvgC2xYLS2
xG
許したシュート数の割には被xGは控えめで、78分のオーバメヤン(左下の大きい●)のチャンスは恐らくオフサイドですから、それを引けば1.17-0.43=0.74。
ボックス内にこれだけ侵入されたのは課題ですが最後の防波堤は機能していたのかもしれません。
あとがき
この試合から一夜明けて行われたラルフ・ラングニックのプレス・カンファレンスでも彼の口から言及されたように、決してコントロール出来た試合とは言えなかったガナーズ戦。
それでも、近年勝ち星を挙げられていなかったクラブに対し久々の勝利を奪い、未勝利記録を5で断ち切ることが出来たのは喜ばしい出来事。
また、ラングニックは会見でクリスティアーノ・ロナウドの走力、決定力を繰り返し褒めちぎっており、懸念されていたような衝突は無さそうに思えます。
今週は週末にリーグ戦がもう1試合、中二日でクリスタルパレス戦が待っています。
イーグルス(パレスの愛称)のパトリック・ヴィエラ新監督は大幅なメンバー刷新にも関わらず早い段階でチームを機能させており、特にチェルシーからローン加入のコナー・ギャラガーは現役時代のヴィエラを想起させるような完成度の高いMFに急速に成長。
ラングニック体制初陣を占うには絶好の相手、求められるのは試合をコントロールした上での勝利です。