※24/25 イングリッシュプレミアリーグ
ウエストハム・ユナイテッドvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。
レスター戦の勝利を見てようやくこの試合をオープンに振り返る決心がつきました。
試合翌日にエリック・テン・ハフの解任が発表された事でも明らかであるように致命的な敗戦。今クビにするならば10月の代表戦期間に入った時の方が良かったのではないかと思ってしまうが。。。
⏹️ United fall to a late defeat at the London Stadium.#MUFC || #WHUMUN
— Manchester United (@ManUtd) October 27, 2024
【Match Review】
Starting lineup
前半
4-2-3-1ミラーのロンドン・スタジアムではハイプレスとまではいかないものの相手CBのパスコースを高い位置で潰していくマン・ユナイテッドが序盤からビッグチャンスを作っていく。
ダロトとマズラウィがこれまでと左右が入れ替わっているが、個としての打開能力で上回る前者が利き足サイドでウイングプレイ、中盤に入ってコネクターとなるのが上手い後者がInverted-WB前提のLBというこの組み合わせの方が互いにいい所を発揮しやすいので好ましい。
2分、ホイルンドがキルマンに圧をかけてタッチライン際のエメルソンへの逃げのパスを選択させると、エメルソンからの縦パスをエリクセンがカットしショートカウンター発動。右ハーフスペースでスルーパスに反応したブルーノはグラウンダ―で中に折り返してガルナチョに決定機が訪れるも、ペナルティスポットやや後ろで迎えたこのチャンスを決めきれずシュートはクロスバーを強く叩いた。
更に8分にはホイルンドを経由するレイオフでブルーノからのスルーパスに抜け出してやや角度は厳しいもののGKとの1on1という状況になるが、今度はシュートを枠におさめることが出来ずに先制のチャンスを逃す。
一度自分が前に出て守備対応した後の帰陣の遅さ、逆サイドからのクロスに対する身体の向きの悪さといった元チームメンバー故によく分かっているワン=ビサカの弱点をを突くべく、ガルナチョをロングボールの出口や最終局面でのフィニッシャーに設定した判断自体は妥当だったものの、肝心の背番号17のプレー精度が低く完全に流れを掌握していた開始10分間で先制出来なかった事は最後まで尾を引く事に……
ウエストハムのビルドアップはフルバックが低い位置でタッチライン際まで広がる事もあってプレスのハメどころになっていて、これをCBが察して無理やり中央にいるMFへの縦パスを選ぶため常にリスキーな形と化しており、ユナイテッドは安定して相手陣内でボールを奪う事が出来たものの、ガルナチョだけでなくホイルンドやブルーノも詰めの部分でことごとく精度を欠きゴールを生み出せない。
試合の入り方に失敗したように見えたホームチームは相手の拙攻もあって最初の15分を無失点で乗り切り、ボールキープの無茶が効くアントニオをターゲットにして徐々にアタッキングサードへの侵入回数を増やしていく。
そうなれば背後のケアの甘いウエストハム両フルバックの隙が生まれるのもまた事実であり、32分にはダロトが右サイド高い位置へ上がってブルーノからのロングフィードを引き出して決定機を作った。ファーストタッチでファビアンスキを交わしたまでは完璧だったものの、ダロトの傾向というのか、抜け出したシチュエーションでのシュートで異常にもたもたするケースが多い為、今回も例にもれず肝心のフィニッシュで無人のゴールにボールを蹴り込めず。
ウエストハム視点で勿体なかったのは左サイドのエメルソン-ソレールが完全に消えていてアントニオがこちらへ流れて起点を作り、なおかつ自分でクロスを蹴るところまで担当するのでゴール前にターゲットがいなくなってしまいがちな点。結局ソレールが前半いっぱいで交代しているので指揮官フレン・ロペテギからしてもこれは看過できなかったのだろう。
また、ギド・ロドリゲスとエドソン・アルバレスのダブルピボットは縦関係になって片方がアンカー、片方がNo.8として振る舞うが、アルバレスが底に入るケースでは安定しているものの、ギドが収める場面ではややターンや次のタッチまでのスムーズさに欠ける事があるのでユナイテッドにとっては狙い目だった。
ウエストハムのシュートは枠外1本、対してマン・ユナイテッドは8本放ちビッグチャンス4回と圧倒しながらも全くゴールの気配が無かった前半。ハッキリ言えばこの内容ならば3得点は奪っていなければならない。
後半
アイアンズが3人を一気に入れ替えて始まった折り返しの45分はウエストハムがワン=ビサカの失わないボールキャリー/テイクオンで深い位置まで抉るもクロスの所で質が落ちるというある意味ユナイテッドサポーターの見慣れた展開。
60分にはラッシュフォードを下げてようやくまとまったプレータイムをアマドが得たが、交代するにしてもラッシュフォードではなく幾度となく決定機を外し続けていていた明らかに不調のガルナチョだったのではないかと思う。
ハマーズはギド、マヴロパノス、ソレールと機能していなかった選手を全とっかえした効果もあってか、ある意味ではモイーズ時代のストレングス重視の戦い方に回帰してユナイテッドの苦手なセットプレーでの圧力をもってゴールに段々と近づいていく。
73分、ゴールキックからのリスタートでやや性急さが見られたユナイテッド。ガルナチョが短い距離のパスをミスコントロールで相手に奪われカウンターを食らうと、ボーウェンの折り返しはゴール前でイングスがミスキックしたように見えたが、丁度これがファー側に走り込んでいたサマーヴィルへの絶好球となって途中出場の若手アタッカーが価値ある先制点をマークした。
サマーフィル💫
— U-NEXTフットボール (@UNEXT_football) October 27, 2024
加入後初ゴールでハマーズが先制✨✨
🏆プレミアリーグ 第9節#ウェストハム v #マンチェスター・U
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なかなかないボールの転がり方だったとはいえ、ダロトもここで集中を切らしてはいけなかった場面。疲労はスプリントやデュエルだけでなく思考速度も奪っていくのでとにもかくにも彼を休ませられる選手の出現が待たれる……
このまま引き下がるわけにいかないアウェイチームは81分、CKからの2次攻撃でアマドのフィード→ダロトがボックス内左下で中央へ折り返し、ジルクゼー→カゼミロとピンボールのように頭でボールを繋いでいって同点ゴール!!
頭で繋いだユナイテッド✨✨
— U-NEXTフットボール (@UNEXT_football) October 27, 2024
カゼミーロの今季初ゴールで
同点に🔥
🏆プレミアリーグ 第9節#ウェストハム v #マンチェスター・U
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ダロトがフリーになっているのはワン=ビサカがマークを外しているからで、ユナイテッドファンとしてはなんとも頭の痛くなる失点だったが今回はありがたかった。
ただ、勢いに乗りたい所でマズラウィがタッチライン際のコンタクトプレーで負傷してしまった事で地獄が近づいてしまう。。。
その後の展開については翌日の監督解任も含めて正直振り返るのが億劫なのだが、明らかにイングスが自分からデリフトのクリアに突っ込んでいてこちら側の回避行動が困難であるにも関わらず、いわば当たり屋のような形でファウルを取られてPKで勝ち越しゴールを奪われる、ある意味ではテン・ハフの持ってなさの集大成だった。
データ
Standard
シュート数12:18、ホームチーム4回、アウェイチーム5回のビッグチャンスを作りながら合わせて3ゴールしか生まれていない所に今の両クラブの状態の悪さが表れているが、マンチェスター・ユナイテッドの決定力の低さはもしかするとプレミアリーグ全体でも最低クラスかもしれない。
実際にビッグチャンスでの失敗はsofascoreによるとユナイテッドはトッテナムと同率でワースト(22回)でビッグチャンス自体の数は27回。つまり8割超の確率で決定機を逃している事となり、この試合でも再三に渡り得点機会をふいにしていたガルナチョが個人ではチーム最多の5回、ブルーノとジルクゼーが4回でこれに続いている。
そもそもの問題としてチャンスクリエイト能力の乏しさというものもあるが、そんな中で90分辺りのキーパスでチーム最多のアマドを控えに置いたままだったここ最近の選手起用について、結果として今回の敗戦をもって指揮官が解任されたので最後まで疑問を解決する事が出来なかった。
West Ham 2 - 1 Manchester United (October 27 2024) | EPL | 2024/2025 | xG | Understat.com
誤審と言ってもいいPKのxGを引けばマン・ユナイテッドの方がスコアとしては上回っているものの、それでもまだ被xGが2.00を越えているように守備面の脆さが目立つ。特にこの試合では最後の15分間で一気にウエストハムにチャンスを作られており、彼らの強力なセットプレー攻撃に後手に回ってしまった。
West Ham 2 : 1 Man Utd
— markstats bot (@markstatsbot) October 27, 2024
▪ xG: 3.05 - 2.37
▪ xThreat: 1.69 - 1.57
▪ Possession: 42.4% - 57.6%
▪ Field Tilt: 46.5% - 53.5%
▪ Def Action Height: 38.4 - 41.4#msbot_eng #epl pic.twitter.com/9hcqDGWy9v
PASSING NETWORKはマン・ユナイテッドが押していた前半部分がかなり影響を与えているのでマズラウィ,リチャ中心に綿密なネットワークが作られている左サイドとエリクセンがバランスを取る右サイドでそれぞれ関係性がハッキリと出来上がっている。逆に全体的な距離感の長いウエストハムはアントニオがどれだけボールを収められるかという所がスタートラインになっていて、直接ゴールに関与した訳では無いがその貢献度はチームでも1,2を争うものだった。
あとがき
様々な事情もあって大分疲れてしまい、記事にするのがここまで遅れてしまって申し訳ありません。まさかこの内容で負ける事になるとは考えもしなかったので今でも動揺しています。
後任は暫定でファン・ニステルローイ、本格的な新指揮官としてルベン・アモリムの名前がトップターゲットとして取りざたされていますが、アモリムはフットボールを学問的に解釈している人物であるように見えるので楽しみであると共に、エゴの強いユナイテッドの選手たちと上手くやっていけるか不安でもあります。