いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #MUNWHU 】良い意味で待てるようになり始めた結果の快勝

※23/24 イングリッシュプレミアリーグ

マンチェスター・ユナイテッドvsウエストハム・ユナイテッド戦の記事です。

 

 

待つと言ってもその場で棒立ちする方ではなく、味方の位置や全体のバランスが整っていないと感じたら一度後ろに戻してやり直していくというポゼッションフットボールに不可欠な待つがようやく出来るようになってきたように見えたウエストハム戦。

 

 

 

 

【Match Review】

 

Starting lineup

 

ベンチ入りマンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 2 Lindelöf, 4 S.Amrabat, 14 Eriksen, 16 Amad, 19 Varane, 21 Antony, 39 McTominay, 62 O.Forson, 

ウエストハム
1 Fabiański, 3 Cresswell, 11 K.Phillips, 15 Mavropanos, 17 Cornet, 18 Ings, 21 Ogbonna, 45 Mubama, 57 O.Scarles 

 

オナナに続きアムラバトもAFCONから帰ってきてベンチ入り。リンデロフも戦列に戻りようやくスカッドに厚みが出始めている。

 

前半

 

入場してきた際に両指揮官がリースを抱えていたのはこの試合がミュンヘンの悲劇が起きた2月6日から一番近い試合日だったから。この試合はマン・ユナイテッド、ウエストハムの両クラブの選手が腕に喪章を巻いてプレーする。

Embed from Getty Images  

 

 

公式戦3試合ぶりにオールド・トラッフォードに戻ってきた赤い悪魔は試合序盤の主導権を握る。ウルブス戦で言及したブルーノのプレー傾向の好ましい変化はしっかり継続しており、偶然の産物ではなくコーチングスタッフからなにか指導があったのかもしれないという好意的見方をしても良さそうだ。

 

また、カゼミロに低い位置で相手のプレスを受けながらビルドアップに参加させる回数を減らして弱点が出にくくしているように見えたのも変化で、リトリートして時間を稼いで欲しい場面で飛び込んでしまう癖はまだ治りきっていないものの、アンカーというよりはハーフバック的使い方で守備面でのフィルター役の比重が高いこの運用ならば以前よりは試合毎のパフォーマンスが安定しやすいのではないかと思う。

 

なお、カゼミロが後ろ向きでレシーブする状況を苦手にしているのはホイルンドの落とし→中盤に入っていたダロトの散らしで左サイドからアタッキングサードでのポゼッションに移行した12:30~のリスタート後最初のプレーによく現れている。

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 上述のポゼッションの流れから、14分にはやや強引にテイクオンを試みたラッシュフォードがボックス内まで侵入し、アレオラとズマが味方同士交錯しながらもなんとか後者のクリアで難を逃れた場面もあったが、そのアレオラは結局ハーフタイム明けにピッチを退いているので、状況から察するにこのコンタクトで彼は負傷を負っていた可能性が高い。そして恐らくそれは頭部へのダメージと考えられる。

 

 

ウエストハムはやはりセットプレーが驚異的でウォード=プラウズの右足×屈強な選手たちがターゲットに待つというシチュエーションは分かっていても全てを防ぎ切る事は出来ない。11分にはCKからショーが一瞬マークを剥がされてソーチェクにヘディングシュートを許した所からあわやという場面を許しており、ショー以外にもボールウォッチャ―になっている選手が散見された。

 

ビルドアップではエドソン・アルバレスがCBに吸収されてフルバックを前に押し上げる3-3-1-3を前回対戦と同様に採用し、そのアルバレスと左CBのアゲルドはロングフィードの精度も備わっているので、マン・ユナイテッドとしては前線プレスをしっかり行うか或いはホイルンド以外のフィールドプレイヤーがしっかりブロックを敷いてスペースを埋めるかがハッキリしないと即危険な展開に。

 

 

15分にはCKからの2次攻撃でブルーノのドライブショットがゴール右上を捉えていたが、これは反応型GKとしてリーグ有数のショットストップ能力を有するアレオラの好守に阻まれている。ただ、キック自体は良い時の状態を彷彿とさせるものがあり、ウルブス戦と今回のようにオープンプレーでテンポを落としてコントロールを重視するような選択が増えていけば、肉体的に消耗していない状態でのキックも増えて結果的に強みであるチャンスクリエイトにも好影響を与えるのではないだろうか。

 

18分、ズマからベン・ジョンソンへのロングフィードを起点にアタッキングサードに侵入したウエストハムはツォウファルのクロスに対して反応したボーウェンとさらにそのマークに向かったカゼミロがボールに触れなかった事でゴール正面のソーチェクに好機。シュートはマグワイアの足にディフレクトして軌道が変化し僅かに枠を逸れた。

 この場面はウルブス戦でWBの攻撃参加に対するマーク管理が・・・と言及した守備と同じ原理と思われ、ハーフスペースにウインガー、大外にフルバックという状況下でショーとラッシュフォードの連携が上手くいかなかった事が大きな要因だろう。

 

23分、相手陣内でボールを持つ状態から一度オナナまで戻し縦の幅を広く使うユナイテッドは、ウエストハムのMF-DFライン間が間延びした隙を見逃さず1stプレスの後ろでパスを受けたブルーノからラッシュフォードで縦パス投入。更にラッシュフォードからホイルンドへというスルーパスは相手に奪われるものの、クリアボールをすぐさま回収してポゼッションは継続。

 その後ルーズボールの奪い合いになった所でカゼミロの素晴らしいインターセプトからショートカウンターが決まり、左足のミドルを意識させたところからモーションをキャンセルして右足に切り替えるというホイルンドの見事な個人技でホームチームが先制!!

 ホイルンドの獲得が決まった際に書いた記事で彼は右足でも強いシュートが蹴れると触れた記憶があるが、まさにその通りのオールラウンドさを見せる美しい得点だった。

 

リードしたとはいえ試合を落ち着かせるには至らず、セットプレーや低い位置でのインターセプトで何度かウエストハムの得点機会を許したユナイテッド。紙一重のところでリチャの球際の強さや思い切って前に出て潰しきるマグワイアのパワーで凌ぐといった場面もあり、特に相手がサイドからサイドに素早く振ってきた際のスライドの速度には課題が見えた。

 

 

後半

 

前述の通りウエストハムはGKの交代があり、ベテランのファビアンスキを投入。

 

48分、クドゥスのロブパスがミスキックになりマグワイアがこれを収めるが、ダロトとのパス交換の後GKまで少し長めのパスで戻そうとした際の動作があまりにも遅くエメルソンに奪われカウンターを招く。完全に不意を突かれた状況でマン・ユナイテッドのフィールドプレイヤーはリチャを除き対応が遅れていたが、エメルソンが角度のないところから自分でシュートを撃った事で救われた。

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 

後から振り返るならば上記がこの試合のターニングポイントだった事は間違いない。プレー再開後ユナイテッドはカウンター気味にアタッキングサードまで一気にボールを進め、ブルーノからガルナチョへのサイドチェンジで右サイドにボールが入ると、カットインから左足で放ったガルナチョのシュートはアゲルドに当たり軌道が変わってゴールイン!!

 エメルソンの守備対応はかなり淡白だったが、その前の場面で負った精神的なダメージも大きかったであろうことが想定され、だからといって許されるわけではないが心情的には少し同情したくなる。

 

55分には狭いスペースで巧みなボールコントロールを見せたアルバレスのキープからウエストハムにカウンターチャンスが訪れるも、ここでもフィニッシュを担当したのはエメルソンで、肝心のシュートは力なくオナナの正面に吸い込まれていく。正に踏んだり蹴ったり。

 

運も味方につけて時間を費やしていくホームチームだが、揺り戻しと言わんばかりに最悪の事態が訪れる。左サイドゴールライン際でツォウファルとコンタクトプレーを行ったリチャが右ひざに相手の体重をかけられる形で負傷……

Embed from Getty Images  

 

一度はゲームに戻ってきたものの、やはりゲーム続行は難しかったようで足を痛めた状態でカウンター対応をした後痛みに耐えきれず再びその場に座り込んでしまい、ヴァランに後を託しピッチを離れた。退く際は自分自身で歩いていた為、最悪の状態は避けられたのではないかと勝手に思っていたが、現状出ている情報としては膝の内側側副靭帯の故障で8週程度の離脱。いち早い復帰を願うが、過去のケースのように無理をして復帰させる状況は避けたいので、チームメイトは彼が安心できるくらいのパフォーマンスを維持しなければならない。

 

なお、ダロトの素晴らしい対応が出たのも上述の2度目の負傷シーンの直前で、マグワイアがロングボールを処理出来ずに入れ替わられたところから、抜群のスプリントでカバーリングに入りシュートブロックに成功している。唯一注文を付けるとすれば、まだボールがラインを割っていない状態でハイタッチをしている点くらい。

 

リチャの負傷から両クラブの選手交代が相次いだので、それまでの分も合わせて変更後の配置を記しておく。

 

過去2試合は2点差から危うく勝ち点を逃すという展開を続けているユナイテッドは守りに入るのか3点目を狙うかの選択を迫られるが、戦い方を大きくは変えず、84分にはプレスを受けている状況でパスを呼んだカルヴィン・フィリップスに対し、マクトミネイとホイルンドが挟み込む形でボールを奪いカウンター発動。ラストパスを受けたガルナチョは冷静にファーサイドへボールを流し込んで3-0。

 

得点に絡んだホイルンド、マクトミネイ、ガルナチョは勿論素晴らしいが、注目したいのは逆サイドでしっかりとプレゼントパスやこぼれ球が舞い込んできた場合を考慮してラッシュフォードが走り込んでいること。こういった細かい積み重ねが試合の勝敗を左右する要素になる事もあるので、守備面も含めて今後も献身性を見せ続けて貰いたい。

 

戦前予想では苦戦するだろうと思われたウエストハム戦は3ゴール&無失点の快勝で幕を閉じ、負債が膨らんでいた得失点差もようやく-1まで取り戻している。

 

 

データ

 

Standard


シュート数はウエストハムに大きく差を付けられているものの、体感としてはアイアンズが距離や角度の厳しい状況からやや強引に狙っていたケースも多かったのでそれほど劣勢だったとは思わない。オンターゲットで勝っているように、珍しくマンチェスター・ユナイテッドがフィニッシュワークの精度で相手を上回ったという事が良く分かるスタッツでもある。

 

選手個人ではリーグ戦連続ゴールを3試合に伸ばしたホイルンドと今回2得点のガルナチョの活躍が目立った。アルゼンチン代表の先輩であり、記憶からは消えかけているがユナイテッドOBのアンヘル・ディ・マリアから注文を付けられたゴールセレブレーションに関しては引き続きクリスティアーノ・ロナウドに倣ったものを見せつけて観客を大いに沸かせている。

 

 

xG

 

参照:

Manchester United 3 - 0 West Ham (February 04 2024) | EPL | 2023/2024 | xG | Understat.com


ゴール期待値はマン・ユナイテッド0.97-ウエストハム1.18とシュート数の割にロースコア決着。それもそのはずでビッグチャンスと言えるようなシチュエーションはガルナチョのダメ押しチーム3点目くらいでゴールエリアの中から放たれたシュートは両チーム合わせて僅かに1つだった。

 

敢えて言及するとすれば後半始まってすぐのエメルソンのシュート、xGマップではxG0.06となっているが、あの場面で彼が素直にパスを選んでいれば遥かに得点期待値の大きなチャンスになっていた事は間違いない。

 

 PASSING NETWORKをみると全体的なバランスはミドルゾーンでコンパクトにまとまっているハマーズの方が良く見えるが、サイドでのコンビネーションプレーはマン・ユナイテッドに分があるかもしれない。ダロト(20)とメイヌー(37)が被るくらい近いのは状況に応じて彼らが左右前後にポジションを細かく変化させていた事と繋がる。

 

 

あとがき

 

ここまで良いスコアで勝利できるとは正直予想していませんでした。実際、ウエストハムのセットプレーに対してはいつ失点しても不思議ではないという圧がありましたし、カウンターからほんのわずかな掛け違いで失点していてもおかしくなかった場面は複数回と運にも恵まれた事は事実。

 

順位表で競り合う相手を撃破したユナイテッドの次なる相手はこれまた来季の欧州カップ戦出場権を巡るライバルクラブであるアストン・ヴィラ。リチャが2ヶ月ほど離脱を強いられる事はあまりにも大きなダメージですが、彼が万全な状態になるまで復帰を遅らせられるくらいのパフォーマンスを見せてもらわなければならない。何せこのクラブはマンチェスター・ユナイテッドなのだから。