※24/25 UEFAヨーロッパリーグ
フェネルバフチェvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。
ヨーロッパリーグはこれで3試合連続ドロー。全体的に混戦なのでまだまだ悲観的になる必要はないものの、3試合5ゴール5失点という得失点については不満しか残らず、内容も押されているケースばかり。
We're held to a draw in Istanbul.#MUFC || #UEL
— Manchester United (@ManUtd) October 24, 2024
【Match Review】
Starting lineup
フレッジ、アムラバト、そして監督にモウリーニョとマンチェスター・ユナイテッドに縁の深い者たちが多い事もあって手の内はある程度読まれているように見えた。
前半
ホームチームはアムラバトをアンカーに置く4-1-2-3をベースに、ポゼッションではCB2枚とLBのミュルドゥルで後ろ3枚を作りそのサポートにアムラバト。左CMのシマンスキは空いた左の大外にスライドし、右はRBのオサイ=サミュエルがウイング化する可変を見せており、選手それぞれの特徴に基づいて効果的に役割を与えられていた印象。
また、中盤ではフレッジが持ち前の行動範囲の広さで攻守に存在感を発揮し、サン=マクシマンの個人技やタディッチのチャンス創出力なども油断すると失点に繋がりかねない脅威だった。
一方のアウェイチームはマズラウィをトップ下に起用するサプライズである意味度肝を抜いてきたが、攻守に相手の後手に回っている感は否めずチーム全体を考えたときにこの判断が正しかったかと問われると首を横に振らざるを得ない。
守備時の形はジルクゼーとマズラウィが横並びで相手CBからの縦のパスコースを塞ぐ4-4-2ミドルブロックを採用。ただし相手DFライン3枚に対してこちらの1stラインは2枚と枚数差があり、なおかつアムラバトやフレッジがボールホルダーに対して斜め前をしっかりと取っているのでボールを奪うまでに時間がかかってしまい中々思い通りの展開にはならず。
主導権を握られていたユナイテッドだが、潮目が変わったのは15分のこと。フェネルバフチェのポゼッションでアムラバト→フレッジへの斜めのパスが少し乱れたところでウガルテがボールを掻きだしショートカウンター。ジルクゼーがMF-DFライン間でボールを引き出すと素早く外のガルナチョへリリースし、スピードに乗るガルナチョのカットバックをマズラウィ,ジルクゼーの2人で収めて最後はタイミングを遅らせてボックス内に走り込んだエリクセンのダイレクトショットがネットに突き刺さった!!
Pick that one out 🥵#UEL pic.twitter.com/0QQ8tRqtQf
— UEFA Europa League (@EuropaLeague) October 24, 2024
今季はワンテンポ待ってマークされにくい状態でチャンスに顔を出すエリクセンをフィニッシャーにする形がある程度再現性を持っており、ブルーノ不在時には彼を中心にどれだけ負荷を減らしながら長時間活躍出来る状況を保ち続けられるかというのが課題になるのかもしれない。それゆえ、守備の仕事が多いダブルピボットではなくトップ下起用を強く推したい。
得点が生まれた後も全体的な主導権をフェネルバフチェが握りユナイテッドは中央を固めたブロックからのカウンターを狙うという構図に変化は無く、あっという間に時計の針は前半残り10分程度というところまで進んでいく。
37分、左サイド深い位置でボールを回すフェネルバフチェは外に流れてフリーになっていたシマンスキのクロスをニアポケットでタディッチが逸らし、ゴール正面でストライカーのエン・ネシリに決定機到来もユナイテッドの守護神オナナの反応の鋭さがその上をいきアウェイチームは何とかギリギリの所で失点を凌いだ。
Outstanding from André Onana 🥵@ManUtd | #UEL pic.twitter.com/CVb9bZ2otJ
— UEFA Europa League (@EuropaLeague) October 25, 2024
モウリーニョも思わず笑うしかないスーパーセーブ2連発で無失点を継続出来たユナイテッドは、サイドにボールを振られた後の対応の遅れと事前準備の悪さに不安を残しながらも1点リードで前半を折り返す。
後半
HTでの入れ替えはなく両チーム同じ11人のままキックオフ。
後半開始から数分、自陣深くで相手のファウルからリスタートしたフェネルバフチェは守備陣形が整わないうちにミドルサードまでボールを運び、サン=マクシマンのアーリーインスイングクロスをエン=ネシリがドンピシャのヘディングで合わせて同点弾をマーク。
En-Nesyri👊 pic.twitter.com/jfqvTdA8TF
— Fenerbahçe SK (@Fenerbahce) October 24, 2024
失点の前段階で簡単にエン=ネシリに背中を取られた上にクロスに対するジャンプもせずにただ見送ったリンデロフの対応はあまりにも杜撰であり、ハイボールに対する準備、力強さ、相手との位置取りの駆け引きの全てにおいて要求水準に達していない最悪のプレーだった。
長年指摘され続けるリンデロフのクロス対応でリードを失ったユナイテッドはこの試合で初めて前から相手を捕まえにいこうとするものの、今季序盤の大不振の主要因でもある連動性のない前線プレスは機能する筈もなくすぐに元のミドルブロックに。
55分と早めに交代策を打ってきたテン・ハフは戦い方と特徴があっていなかったジルクゼーに代えてホイルンド、致命的な空中戦対応を犯したリンデロフに代えてカゼミロを投入し謎に包まれたマズラウィトップ下もここで打ち止めとなっている。
デ・リフトが明確に外方向へ広がるようになった事でダロトも位置取りに迷わないようになり、そのダロトがタイミングよく相手DFライン裏へ走りカゼミロのミドルキックに反応した59分のチャンスは僅かなズレで惜しくもシュートに至れず。
交代までに比べれば明らかに高い位置でのプレータイムが増えたユナイテッド。ただ、ボックス内を崩しきるチームとしてのパターンの共有や個人のアイディアは依然として乏しく、そのままこの試合3個目のゴールが生まれる事は無くタイムアップ。
試合結果もそうだが、スカッドの層という点で痛手になったのはラッシュフォードに代わって入ったアントニーが僅か10分足らずの出場で脚を痛めて後退を余儀なくされた事。ロングフィードを処理した際におそらく足首をやってしまったと思われるが、捻挫なら下手をすると今年いっぱい復帰出来ない可能性もあるので本当に誤算。
データ
Standard
スタッツは五分五分で明確な決め手のない試合となっており、相手を警戒して入った指揮官の判断はある一面からみれば正しかったのかもしれない。両チーム共に前半は大人しく、特にマズラウィをトップ下で起用し明確に受けの体勢で入ったユナイテッドは僅かにシュート2本だった。
ブルーノ不在時のトップ下で何故エリクセン,ジルクゼー,アマドらを差し置いてマズラウィになるのかは考えるだけ時間の無駄だろう。ただしマズラウィ自身の中盤適性はやはりフルバックの選手の中では秀でており、もう1人の相方とユニットを組ませる形ならば十分に機能する可能性がある。
Fenerbahce 1 : 1 Man Utd
— markstats bot (@markstatsbot) October 24, 2024
▪ xG: 1.68 - 1.28
▪ xThreat: 1.35 - 0.93
▪ Possession: 51.8% - 48.2%
▪ Field Tilt: 56.9% - 43.1%
▪ Def Action Height: 42.0 - 48.6#msbot_uel #uel pic.twitter.com/umyga3LeRe
markstats算出のゴール期待値はフェネルバフチェ1.68に対してマン・ユナイテッド1.28と大観衆のホームサポーターに支えられたトルコの強豪がリード。xTでも上回っているので内容的にも彼らに分があったのは明らかだろう。
この試合のユナイテッドはクロスからほとんどチャンスを創出出来なかったが、ブレントフォード戦でラッシュフォードが見せたファーのゴールエリアへ落とす鋭いクロスという守る側にとって対処しづらいパターンを何故継続出来なかったのか。。。
あとがき
モヤモヤしたまま週末を迎えるのが当たり前になっているマン・ユナイテッドのファン/サポーター。不振のウエストハムに対して快勝する事でこのフラストレーションを晴らしてもらいたいものである。