いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #MUFC 】2024年夏の選手補強について考える

マンチェスター・ユナイテッドの24/25シーズンに向けたチーム編成については、アンドレ・オナナ,コビー・メイヌー,アレハンドロ・ガルナチョ,ラスムス・ホイルンドを除くすべての選手について他クラブからのオファーに耳を傾けるという情報がメディアをから一斉に出回り、今季終了後は大変革のマーケットになる事が推測される。

 

今回は上記の報道を参考にしつつ、23/24シーズンのパフォーマンスも考慮しながら来季のスカッドがどのようになって行くのかを希望も踏まえながら少し予想してみよう。

 

 

 

何が何でも絶対に補強が必要なポジションは2箇所

 

まずはデプスを考慮せず純粋にスターティングラインナップについて考えてみよう。

:コアメンバー
:暫定レギュラー
:要補強

 

最初に名前が出た4名に加え、これまでのパフォーマンスの最大出力や継続して試合に出続けられるかどうかをベースとし、更にピッチ上で示すリーダーシップを重視してリサンドロ・マルティネス,ディオゴ・ダロト,ブルーノ・フェルナンデスの3名を個人的な判断でコアメンバーに指定した。オナナ,メイヌー,ホイルンドは年齢面もプレーの質もレギュラー運用に相応しいと思うので省略する。

 

リチャは1シーズン目終盤に中足骨を骨折してからというもの、怪我との戦いが続いてほとんど試合に出場出来ていないものの、今年2月に負った内側側副靭帯損傷はウエストハムのウラジミール・ツォウファルのレイトタックルによるもので自身の故障癖ではないと考えた為、フィットネスを万全に戻した来季は再びDFリーダーとして君臨してくれるのではないかと期待している。

 

ダロトについては説明不要だろう。ボールプレーの質が安定し、更にインバーテッドWBとして中盤に入った際の状況判断能力・プレス回避能力が向上著しく、元々闘志を全面に出してハードワーク出来る選手である事から、どのようなスタイルを採用するにしてもチームにとって必ず需要があるのではないか。

 

ブルーノに関しては正直迷った。絶対にピッチに立っていて攻守で周りに指示して群を作れる牽引力については高く評価しており、アタッキングサードでのアイディアや得点力についても世界有数の力を持っている事は確か。ただ、感情のコントロールが不得手で前線からのプレスを独断専行で行いブロックの穴になる事やイライラして雑なキックが目立つのはマイナス評価。

 

ルーク・ショー,アントニー,ガルナチョはコアメンバーとするにはそれぞれ異なる理由で物足りなさを覚えるが、かといって放出妥当とも思わないのでとりあえず暫定レギュラーとした。

 ショーは加入してからの10年で公式戦の4割以上を欠場しており、継続性に欠けると判断。個人で完結するプレーは非常に高い質を有しているものの、ビルドアップのポジショニングや逆サイドにボールがある際の守備対応など周りとの兼ね合いで答えが変わる部分については未だに課題が多い。

 アントニーのポゼッションにおけるボールキープでの時間作り及びネガティブトランジションの強度については現チームでもNo.1だと思う。しかしキック精度・威力の両方が物足りずフィニッシュワークでの信頼感が皆無に等しいので2番手にいてくれると大変ありがたいという領域から飛び出すには至らず。

 ガルナチョの課題は何といってもボールタッチが荒い事。特にボールレセプション、いわゆるトラップが乱れて相手にボールを奪われた結果失点に繋がるカウンターを招くという場面が目立ち、フィニッシュ局面でのセルフィッシュっぷり以上に1タッチ1タッチを大切に出来ない所が今の彼を見て後の大成を信じづらい理由である。

 

 

以上の9人-9ポジションについては、グレードアップの必要はあれどひとまず埋まっていると判断したが、タフでスピード勝負に強い右のセンターバックとダブルピボットをメイヌーと組ませられる守備強度の高いセントラルMFに関しては今のチームに存在しないので明確な補強ポイント。

 

右CBにスピードを求める理由としては、今季の戦い方を基準にダロトをバックスから一列上げる3-2のビルドアップ継続を考えたとき、このポジションの選手は3CBの右で広いスペースを管理する必要に迫られるから。勿論、プレス耐性やロングフィードで相手DFライン裏へ一発で届けられるレンジも兼ね備えている事が望ましい。

 

DMについても、テン・ハフの進退によるがここ2年は相手を押し込んだ際に2-3-5,2-2-6とかなり前線とそのサポートに人数をかけてきた為、場合によっては1人でバックライン前のフィルター役を完遂出来るような守備のカバーエリアの広さと球際の強さが必須となる。セルジオブスケツやロドリ並みに配球出来れば文句なしだが、ボールプレーについては最低限自分の許容を越えたプレー選択をしない意思決定力があれば多くは求めない。

 

 

具体的な補強候補を考える

 

絶対的に補強が必要な右CBとDMの新たな人材に求める条件を改めて書き出していく。

 

右CB

  • 右サイドの広いスペースをカバー出来る身体能力
  • ポゼッション時のプレス耐性
  • 相手DF裏へ一発で届けられるキックレンジと精度

 

DM

ホールディングMFとしての守備範囲と球際の強度

破綻せずにボールを繋げられる最低限の足元

リスク管理を間違えない状況判断力の高さ

 

これらを前提に獲得難易度やピッチ上での振る舞いから見えるリーダーシップと献身性の有無を考慮して何人かの候補を見出そうと思う。

 

 

右CB

 

ヨナタン・ター(Jonathan Tah)

 

31試合を終えた時点で今季リーグ戦無敗、まるでFootball Managerでマッチエンジンの抜け穴を見つけた時を思い起こすかのような驚異的なシーズンを送るシャビ・アロンソ率いるバイエル・レバークーゼンのDFリーダーは以前から定期的にユナイテッドのレーダーにかかる有望株として知られていたが、20代後半に入り選手としての円熟期を迎え元々の身体能力の高さと経験から来る頭脳を高い次元で融合させている。

参照:Player Radars: Opta's Player Comparison Tool | The Analyst

 

身体能力を掘り下げていくと、今季はブンデスリーガの全体12番目となる35.81km/hというトップスピードを記録しており、22/23シーズンのユナイテッドの面々の記録を比較対象として下記するが、ターの素晴らしいスピード能力がよく分かると思う。

 22/23 Fastest Man United Players
注:ラスムス・ホイルンド: 35.97km/h
1. マーカス・ラッシュフォード: 35.95 km/h 
2. ディオゴ・ダロト: 35.76 km/h
3. アントニー: 35.29 km/h
4. ルーク・ショー: 34.85 km/h
5. タイレル・マラシア: 34.76 km/h
6. アーロン・ワン=ビサカ: 34.42 km/h
7. アンソニー・エランガ: 34.27 km/h
8. ジェイドン・サンチョ: 33.96 km/h
9. アレハンドロ・ガルナチョ: 33.92 km/h
10. アントニー・マルシャル: 33.56 km/h
 (参照:Who were the fastest Man Utd and Premier League players in 2022/23? | Manchester United)

 

また、ターはレンジを問わないパス精度の高さもストロングポイントであり、ブンデスリーガ公式サイトによるとオープンプレー全体でのパス成功率はリーグ全体1位の96.53%。これは同率2位タイの選手たちよりも4%以上高い数字なので、ターの正確性が突出している事を端的に示している。

参照:Bundesliga | Statistics 2023-2024 | Players | Successful passes from open play (%)

 

 

●イリア・ザバルニー(Illia Zabarnyi)

 

完成された戦力として計算がつくターとは異なり、先行投資の側面もある人選ではあるが21歳にしてプレミアリーグのクラブのレギュラーCBに定着しているザバルニーも個人的には好ましく思う選手。ボーンマスでユニットを組むマルコス・セネシのプレースタイルにリチャとの共通点の多さや、アンドニ・イラオラがポゼッション志向を持ちつつカオスを好むというユナイテッドの現状に近い指揮官である事を踏まえるとスムーズにフィット出来る可能性が高い。

参照:Player Radars: Opta's Player Comparison Tool | The Analyst

 

何より、一番魅力的なところはこの年齢にして既にピッチ上でリーダーシップを発揮している点で、チェリーズの戦いぶりをよく見ると彼が中盤や前線の選手に大きなアクションで指示を出してポジショニング修正を指せている場面をよく見るはずだ。

 

Squawca.comによれば、ザバルニーはトップスピードでも極めて優秀な数字を叩き出しており、トッテナムのミッキー・ファン・デ・フェン(37.38km/h)、バーンリーのダラ・オシェイ(36.73km/h)に次ぐプレミアリーグのDFでは全体3位となる36.60km/hというスコアを記録している為、身体能力面も求められる水準を十二分にクリアしている。

 

 

●トシン・アダラバイヨ(Tosin Adarabioyo)

 

今夏でフリーになるアダラバイヨは既にマンチェスター・ユナイテッドとの移籍交渉が水面下で繰り広げられていると見られる選手で、Optaのレーダーチャートでも最も似た選手と算出されているガブリエウ・マガリャンイス右利きにしたバージョンというのが簡易的な説明になる。

参照:Player Radars: Opta's Player Comparison Tool | The Analyst

 

ボールプレーを好む選手で、特に自分で持ち運んで陣地回復をするという意識が高く、196㎝の高身長と四肢の長さを活かした懐の深さや球際で想像よりも脚が伸びてくるボールカットなど、今のチームに欠けている身体的出力の高さを補えるタイプで、勿論空中戦にも極めて強く、失点に繋がるエラーやポゼッションロストが少ない点もポゼッションフットボールを推し進めたい赤い悪魔にとってはポジティブな情報。

 

既にフラムとの再契約を断っているという報道が各方面から出ているため、後はニューカッスルかマン・ユナイテッドかどちらを彼自身が選ぶかという話になりそうだが、CBの人員を見ると明らかにこちらの方が不安定なので出場機会確保の観点から赤いシャツを身に纏ってくれるのではないかと期待。

 

DM

 

●アマドゥ・オナナ(Amadou Onana)

 

フィジカルモンスターという表現が今最も似合う中盤の選手はエバートンのアマドゥ・オナナ。190㎝を越える高身長から放たれるヘディングシュートはセットプレーにおける大きな武器となり、安定感という点ではまだ伸びしろが多いがパス精度やプレス回避能力もまずまず備えている。

参照:Player Radars: Opta's Player Comparison Tool | The Analyst

 

エバートンでは4-2-3-1のダブルピボットで左右問わず多くの試合経験があり、中央の広い空間を1人でカバーしてボールを奪い切ったり、リーチの長さからくるタックル,スライディングで外にはじき出しているので守備面でのフィルター性能も非常に高い。そしてストレングスだけではなく優れたアジリティも有しているのがオナナの特別な所で、プレミアリーグのMFとしては全体3位となる36.65km/hのトップスピードを記録。

 

勿論、このような選手は競合が多く、獲得する場合には5000万ポンドを越える高額移籍金が必要となる可能性も高いが、もしも人員整理が順調に進んでコストに余裕が出来れば、是非ともチャレンジしたい取引である。

 

 

アドリアン・ラビオ(Adrien Rabiot)

 

30歳に程近い、またはその境を越えているビッグネームを大金で獲得するべきではない、ヴァランやカゼミロが辿った軌跡を見てより一層その思いは強まっているが、フリートランスファーで補強できるとなれば全く別の話。ラビオとユベントスの契約は今年6月いっぱいをもって満了となる為、既に契約切れまで半年を切っている現在、国外クラブ(イタリア以外)ならば彼と契約交渉をする事が認められている。

 

今更彼のプレースタイルを説明する必要はないかもしれないが、PSG下部組織出身の長身レフティーであるラビオはリーチの長さを活かしたボールキープ及びボールキャリー、スター選手ありきの特殊な守備構築を採用するチームで多くプレーしてきた事で培われたスライド守備とカバーリングの気の利き方など、ユナイテッドにとって今すぐにでも欲しい要素をふんだんに持っている選手である。

 

懸念材料としては代理人を務める母ヴェロニカの存在で、ユナイテッドは過去にもラビオ獲得に動いたが、いずれも彼女が高額なサラリーを頑として要求した事で折り合いが付かずに話が流れており、仮に獲得に動けばチームトップクラスとなる25万~30万ポンド程度の年俸を求めてくるかもしれない。

 

 

●ウィルフリード・エンディディ(Wilfred Ndidi)

 

アダラバイヨと同様にプレミアリーグへの適応不安が無く、なおかつ身体能力の高いフリートランスファーという事で1シーズンでのトップフライト復帰を決めたレスターで新たな役割を持たされているエンディディも現実的にユナイテッドが取れる選択肢の中では有力候補の1人になり得る。

 

元々は典型的なホールディングMFだったエンディディだが、フォクシーズ現指揮官エンツォ・マレスカが彼をNo.8へコンバートした事で、相手DFのマーク外からペナルティボックスに飛び込んでクロスに合わせるという新たな魅力が発見された。プレーエリアが前方に移った事は過去シーズンとのヒートマップ比較でもよく分かる。

参照:https://www.sofascore.com/player/wilfred-ndidi/787885

 

勿論、アンカーで起用する際の実力については過去の実績が証明しており、心配されるのは毎年のように戦線離脱を繰り返す負傷の多さであるが、フリートランスファーでこのクラスの選手を手に入れられるのならばそれくらいのリスクを許容するべきだろう。

 

 

その他のポジション

 

●ムリーリョ(Murillo)

 

コリンチャンスから1200万ユーロ+300万ユーロのアドオンでフォレストへ加入したムリーリョは多くの南米系選手が苦しむプレミアリーグへの適応も難なくパスして、ダイナミックなプレーと圧倒的なボールキャリー能力を武器にすぐさまサポーターの信頼を掴んだ。

参照:Player Radars: Opta's Player Comparison Tool | The Analyst

 

攻撃性能の高い左利きCBとして2023年夏の人気銘柄になると予想されるムリーリョだが、中央で2CBとして起用する際には上背のなさと空中戦スタッツが気になる事もあって、個人的には1人で数十メートルボールを前進させられる推進力を活かす形として、ショーに代わるLBの次世代レギュラー及びリチャ不在時の左CBとして考えている。

 

先述の通り、ポゼッション時には恐らくLBがバック3の左に収まると考えられ、尚且つ流れの中で大外に入ってもテイクオンやアーリークロスでチャンスを生み出せる力を持っているので怪我がちのショー+いつピッチに戻れるか分からないマラシアが1,2番手のLBの裏事情にはこれ以上ない答えとなる。そして、フォレストが経済的に彼のような高額移籍金を見込める選手の放出に取り掛からなければならないという点もムリーリョを薦める大きな理由。

 

 

●ベン・ブレレトン・ディアス(Ben Brereton Díaz)

 

21/22シーズンは37試合22ゴール、22/23シーズンは43試合14ゴールとチャンピオンシップではリーグ有数のストライカーに成長していたブレレトン。国外挑戦となったビジャレアルでは輝きを失い、僅か半年でイングランドに舞い戻ってくる事になる訳だが、ローン加入のシェフィールド・ユナイテッドでは5月3日現在プレミア11試合5ゴールと見事な復活劇を遂げている。

 

そんなブレレトン、アンダー世代ではイングランド代表の常連メンバーだったが、Football Managerをプレーするチリ人のコミュニティによるキャンペーンの甲斐もあってトップチームでは母方のルーツであるチリ代表ラ・ロハの一員としてキャリアを積み上げている。

Embed from Getty Images  

 

ラ・リーガ挑戦も代表でのプレーを円滑にしたい、言い換えればスペイン語習得の意図があるので本人がプレミアでのプレー続行を望むかは微妙なところだが、イエロー・サブマリン(ビジャレアルの愛称)は新たなストライカーを探している節があるので、クラブ間交渉の難易度だけみれば他の候補よりも易しいのではないか。

 

 

●ガブリエル・サラ(Gabriel Sara)

 

Deep-Lying Playmakerとして起用されれば背後を狙うアタッカーへの正確なロングフィードウインガーへの的確な散らしで攻撃の起点となり、トップ下ではサイドに流れてからの鋭いクロスやペナルティボックス外でも脅威になる強烈なミドルショット、ガッチリとした身体を活かしたボックス内でのポジション取りの強さなど、いい意味でどんな選手として完成形を迎えるのか想像がつかず、とんでもない大器なのかしれないと思わせる底知れ無さを持つノリッジの神も叶う事ならばチームに加えたい人材。

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そのキックレンジを測る要素として、5月3日時点では23/24チャンピオンシップで10ゴールを達成している選手が27名いるが、その中でシュート平均距離が20ヤード(18.288m)を越えている選手はサラとプリマスモーガン・ウィテカーの2名しかおらず、彼の22.9という数字をメートルに換算すると約21m。ショットレンジという点ではプレミアの選手に例えるとコール・パルマーやブルーノに近い。

 

仮に彼が加わると仮定した場合、基本的にはダブルピボットの左に収まる事になると思うが、フットボールそのものが上手い選手なので、ユナイテッドの補強箇所として挙げられるポジションは全て、何ならCBですらそれなり以上でこなしてくれるはず。

 

 

●トライ・ヒューム(Trai Hume)

 

ダロトは「マンチェスター・ユナイテッドに相応しい」と堂々と言える数少ない内の1人で、今シーズンはDF陣の中で唯一フル稼働を続けているが、どんな選手だろうが例外なく疲労は蓄積していくもので、彼がパンクしてしまう前にリプレイスメントとしてある程度信用出来る選手を確保しておきたい。

 

そんな中で補強候補として名前を出すサンダーランドのヒュームは大外を上下動して大粒の汗をかく所謂クラシカルなフルバックではなく、ボールプレーの貢献度の高さとチーム事情でCBを任せられるケースもあるインテリジェンス、そして瀬戸際でのブロック・タックルに優れた選手で、実力はまだまだ大差があるが、タイプ的にはバイエルンヨシュア・キミッヒに近い。

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テン・ハフ留任シナリオで考えた時、フルバックには中盤でのプレーが可能な状況判断能力とプレス耐性が求められ、ポゼッション志向のチームならば多かれ少なかれこの傾向は同じなので、まだ世界的に発見されていない今の内に彼のような実力はありながらバックボーンが薄く市場価値の低い人材を確保しておくというのも進歩的なクラブ運営に必要なものだろう。また、RBを主戦場とするヒュームは北アイルランド代表の一員であり、現時点では空想話に過ぎないが本当に獲得に向けた話が出てきた際にはジョニー・エヴァンスの存在が大きな力になるかもしれない。

 

 

ホームグロウンの確保

 

ここまではなるべく移籍市場の中心になるような選手を避けながら補強候補を勝手に10人挙げてきたが、いざスカッドを組むに当たって障壁になり得るのがホームグロウン及び欧州カップ戦でのクラブ育成選手の確保である。

 

プレミアリーグのみを考えるならば、イングランドウェールズフットボール協会に登録されたクラブで21歳のシーズンを終えるまでに合計3シーズン(または3年間)プレーした選手がシニア枠25人を最大限使用する為に8人必要で、言い換えれば非HG枠のリミットが17人というわけだ。

 

チャンピオンズリーグヨーロッパリーグなど欧州コンペティションで適用されるクラブ内育成選手に関してはHGと同じ仕組みで対象が自クラブに限定される。つまり、国際カップ戦を戦うようなクラブはHG枠8人のうち最低でも半数の4名をアカデミー卒業生で埋める必要に迫られるという事で、それぞれのチームは毎年のようにこの枠組みの中で編成に四苦八苦しながら登録の日を迎えている。

 

さて、HGの説明はこの辺りにするとして、実際にマンチェスター・ユナイテッドの23/24シーズンのリストがどのようになっているかを確認してみよう。なお、今回は1月の移籍市場を終えた最新のスカッドを参照する。

 

 冬にサンチョ、ファン・デ・ベーク、ペリストリ、レギロンと21歳を越えるシニア選手を4名放出した事でシニア登録上限の25枠からは最大4人の空きがあり、レギロンを除くローン移籍の3名を今年の夏で全員放出すると仮定すると、次のシーズンからU-21の対象外となるアマドを加えても3人のシニア選手をすぐに登録可能。とはいえ、現状でホームグロウンの中にいる選手でもオフの放出候補は何人も含まれていると考えられるので、実際にはもっと複雑なプロセスを踏む事になるだろう。

 

試しに先程の補強候補を勝手にスカッドの一員として組み込んだ仮リストを作成してみたが、下記の場合は非HG13人-HG8人(うちクラブ育成4人)-U-21対象3人というバランスになった。

 

 

ここで言いたいのはヴァラン、カゼミロのような非HGのシニア選手については特に気にすることなく純粋な戦力運用の中で処遇を決めていく事が出来るが、ラッシュフォード、マグワイアのようなHGプレイヤーの場合はその後の補強人員の属性との兼ね合いが必要になる可能性が高いという事。

 

よって噂に上がっているアダラバイヨのようなホームグロウンの選手を優先的に確保していくというのが今夏の移籍市場におけるセオリーになり、ミカエル・オリーセやジャラッド・ブランスウェイトといったイングランド人プレイヤーの名前が盛んに出てくるのもある種当然である。

 

 

あとがき

 

ファン目線としては移籍市場での動きについて後追いで一喜一憂する事しか出来ないが、高サラリーかつ稼働率の悪い選手を上手く放出しつつ、最低限右CBとDMの新戦力獲得だけはシーズン開幕までに達成してもらいたい。