エリック・テン・ハフの新体制発足を前に、既存の選手・スタッフ退団の知らせが連日続くマンチェスター・ユナイテッド。
6月に入り新たに2選手の退団がクラブより明らかにされました。
【追記】新たにフアン・マタの退団も発表。
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— Manchester United (@ManUtd) June 2, 2022
年を重ねるにつれコンタクトプレーや運動量の懸念から出場機会が減少していきましたが、そんな中でも不満を漏らすことなく常に模範であり続けたプロフェッショナル。
今でもボール保持の魅力は健在、新たな移籍先でも十分輝けると思います。
8年半、本当にありがとうございました🙇♂️
ポグバ2度目のクラブ退団、リンガードは
Saying farewell 🙏
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I feel privileged to have played for this club. Many beautiful moments and memories but most importantly an unconditional support from the fans. Thank you @ManUtd pic.twitter.com/YLT3lUHOmT
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マンチェスター・ユナイテッドは6月1日、今シーズン限り(正確には6月末)で契約切れを迎えるポール・ポグバがクラブを退団すると明らかにしました。
ポグバがユナイテッドから離れるのはこれが2度目、再獲得には当時のレートで100億円以上かかりながら、またしてもクラブに移籍金を残さない形で次の章を迎える事に。
また、ポグバの退団発表からしばらくの後、ユースから20年間赤い悪魔一筋(ローン除く)で長きに渡りクラブに貢献してきたジェシー・リンガードの退団も発表された。
It was all a dream...
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ポグバとはアンダー世代からチームメイトで、11年前にFA Youth Cupを制した黄金世代の一員ですが、彼ら2人の契約切れによる退団をもってその優勝メンバーは全員クラブ外に出る事になります。
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巡り合わせの悪さでオーレ政権以降は出場機会に恵まれない時間の多かったリンガードに対しては申し訳なさも感じており、新天地では主力選手として多くの試合に先発出場できることをただただ祈っています。
一方、クラブへの忠誠心を疑わざるを得ない言動を度々していたポグバに関しては正直負の感情も抱いていますが、それでもプレーを見ればその都度惚れ直してしまう。そんな特別な魅力が彼には備わっていたと思います。
いずれにせよ、2者の今後の成功を願うばかり。
ラルフのコンサルタント就任は無かったことに
半シーズンの暫定監督を経て、22/23シーズンからコンサルタントを務める予定であったラルフ・ラングニック。
シーズン終盤、プレミアリーグのアウェイ戦6連敗を喫するなど在任中のチーム成績は公式戦29試合11勝9分け9敗、1試合辺り1.45Ptsとプレミアリーグ創設以降8人の指揮官中最低の数字で、これはオーレの21/22シーズン(17試合7勝3分け7敗、PPG:1.41Pts)とも大差ない非常に低い水準。
そんなラルフは4月下旬、突如として今オフからオーストリア代表監督に就任する事を明らかにし、その際にはユナイテッドでのコンサルタント業を続ける意向を表明していましたが、僅かひと月足らずでその発言は反故になりました。
無尽蔵に湧いてくるマンチェスター・ユナイテッドに纏わる報道(ゴシップ込み)に目を通す限り、エリック・テン・ハフ新監督とラルフの間に決定的な亀裂が入ったという訳ではなさそう。
就任中に選手から信頼を勝ち取る事が出来ず、フロントとも衝突があった事を示唆する発言を記者会見で語る(主に冬の移籍ウィンドウについて)など、徐々にクラブ内での居場所を失いつつあった彼が新体制発足を前に自身が論争の種になる事を避けるべくこの決断に至ったというのが個人的推測。
現時点でフロントが悪い、いやラングニックこそ……と結論を急ぎたくはありません。
エド・ウッドワードやマット・ジャッジといったかつての上層部が軒並みクラブを離れジョン・マータフとダレン・フレッチャー中心に再スタートしたばかりの現フロント。本来ならばRBグループでの経験があるラルフにそれを支えてもらいたかったというのが率直な思いですが、、、
Nunez? Timber? Frenkie? 本当に早期の交渉成立が叶うか不安が募るオフシーズン
以前、今オフの補強ポイントに関する記事をupしました
GK:(デヘアのスイーパー適性への疑問、ヘンダーソン退団の可能性)
RB:(ワン=ビサカ退団見込み、パスレンジの広さが最低条件)
DM:(ボールプレーの得意な選手、可能ならば機動力も兼ね添えている事)
RW:(単独でも連携でも崩せる左利きウインガー)
CF:(ポスト役をこなしCR7との補完性高い20代前半のアタッカー)
この5つのポジションに手を加える事が必要なのはフロントもファンダムも理解していると思います。更にパウ・トーレスやユリエン・ティンバー(彼はRB候補の可能性が高いと思いますが)などCBの選手も名前が出ており、テレスに信頼を置けないLBのバップアップ含め恐らく4~6選手程度シニアチームに新たな顔ぶれが加入する事になると考えられる。
また、6月3日現在までに退団が決まっているのはグラント(引退)、マティッチ、ポグバ、リンガード、マタ、カバーニの6名。更にローンに出ている選手等を含めれば合計10人以上クラブを離れる選手が出ると予想され、その中には高額な年俸を支払っていた選手も多かったのでチームの給与体系にも大きな変化が加わる事になるでしょう。
GK
ゴールキーパーに関してはクラブ内育成のディーン・ヘンダーソンで今後5年以上安泰と思っていましたが、今シーズンはデヘアが(特に前半戦)高パフォーマンスを維持し、自身はシーズン序盤のコロナ感染も響き公式戦出場僅か3試合。ニューカッスルを始め国内外の多数のクラブがその動向に注目していると見られ、来期以降の出場機会増加が叶わないと当人が判断すれば早期の退団も。
プレースタイルに関してですが、あらゆる場所で再三に渡って指摘されているようにデヘアはゴールライン上から動く事が他のクラブの選手に比べて非常に少なく、ライバルクラブのGKと比較すると、このようにヒートマップにも顕著な差が見られます。
また、単に縦横の範囲だけでなく高低でもクロス処理という面に大きな課題を抱えており、上述の2名との比較は以下の通り。
エデルソン:16/181(8.1%)
アリソン:21/221(9.5%)
デヘア:10/306(3.3%) 〈data:fbref〉
パスの精度やビルドアップへの貢献度を見てもデヘアは優れているとは言い難く、今季のロングキック(fbrefでは40ヤード以上と定義)成功率はリーグ13番目の36.7%に留まる上に、実際にゲームを見ていてもコースを作る動き直しやプレス回避のパスを通す事は滅多に無い。
一方、ヘンダーソンにスイーパーとしての適性が高レベルで備わっているかと言えば、ハイクロス、ライン外への飛び出しは優秀、対してビルドアップに関しては怪しい部分もあるというのが過去のスタッツやプレーから出した自論。
総合的に見ればデヘアよりは適性がある事は間違いなく、本当に退団となればテンハフは自身の哲学に沿った正GKの補強に迫られるかもしれない。補強するとすれば私が推薦したいのはポルトのディオゴ・コスタであるというのは今のうちに言っておきます。
DF(RB&CB)
退団する可能性がある選手が4人(ワン=ビサカ、バイリー、ジョーンズ、トゥアンゼベ)いるこの2つのポジションも量と質の両面で新戦力が必要なポジション。
個人的にはトゥアンゼベの資質を高く評価しているのでCBの優先順位は低いですが、パウ・トーレス、ゴンサロ・イナシオ、ダビド・カルモ、ユリエン・ティンバーと複数の具体的な名前が挙がっている事を考えればテン・ハフはテコ入れの必要があると判断しているのだろう。特に前の3人に左利きという共通点がある事に着目すると、ペップ・グアルディオラが市場価値の倍近く支払ってでもナタン・アケを獲得したようにテンハフも左右に順足のCBを置きたがっているのだろうか。
RBに関しては上述のティンバーに加え、ジェームズ・ガーナ―らと共にローンプレイヤーとしてフォレストのプレミア昇格に大きく貢献したジェド・スペンスやRBライプツィヒのノルディ・ムキエレに関心という報道がなされている。
テン・ハフのアヤックスにおけるRBの役割としては、大外から積極的にオーバーラップを仕掛けるという旧来のフルバックでは無く中に入って配球役を任せられる事が多かったので、使われる側専門でパスレンジが狭く単騎ドリブル突破以外のパターンに乏しかったワン=ビサカが冷や飯を食うのはある意味必然だろう。
DM
ここでいうDMとは、カゼミロのようなボールハントに特化したタイプではなく中央でバランスを取りつつ、尚且つプレイメイカーの役割もこなせる選手の事。
既存の言葉で表現するならばDeep-lying Playmakerとなり、この位置で使われる事の多いHolding MFよりは少し攻撃的なスタイル。
テン・ハフが4-2-1-3をユナイテッドでもメインに用いた場合、フレッジ(左のDM),ブルーノ(トップ下)が当確と仮定すると動きたがる2名に対し残り1人はバランスを重視する・出来る選手を配置したい。マクトミネイは分類するならば完全にBox-to-Boxの選手で、尚且つパスの精度,視野で不満を抱く場面も多く、現状のままでは新体制のレギュラーとしては物足りない。
この点においてはフォレストへのローンで評価を高めたガーナーに分があり、セットプレーのテイカーを務める等キックの技術も高いが、彼もフォレストではBox-to-Boxのような役割を担っていたのでいきなり動→静に対応できるかは不透明。勿論、プレミアで通用するかもまだ未知数。
まとめると、①組み立ての貢献,②被カウンター時の機動力,③不用意に持ち場を離れない冷静さ,を持った選手が相応しいという事になり、高額な移籍金を支払うならば③に不安要素を抱えているフレンキー・デ・ヨングより既にプレミアでの実績があるデクラン・ライスの方が成功する可能性が高いと思う。
RW
本来ならば10年以上補強の必要が無かったかもしれないポジションですが、ご存知の通りメイソン・グリーンウッドはピッチ外で起こした問題によってスカッドから外れ、復帰はいつになるか、或いは戻ってくる事が出来るのかさえも分からないという状況。
シニアチームにはローン組含め多くのウインガーが在籍していますが、実績の乏しい選手やLWの方が得意な選手ばかりで、彼以外の選手はプレミアリーグのタイトルレースを狙う上で要求される水準を満たしているとは言い難い。
ラッシュフォードのフォームが戻れば獲得前の構想通りサンチョを右に配置する事で表面上は穴が埋まりますが、加入1年目のプレーを見た限り右で起用された試合ではリンクマンとしてのみ機能し、本来の魅力であるテイクオンの質は著しく低下したように見えた。スタッツも明らかにLW時の方が優秀なのでこれも応急処置に過ぎないでしょう。
他のポジションに比べれば優先順位はやや落ちるが、システマティックなテン・ハフ流において数少ないイレギュラーが求められるこのポジション。グリーンウッド次第ではアントニー、ウスマン・デンベレと言った幅を作る事が出来て個の力で局面を打開できるアタッカー(左利きが好ましい)の補強が必要になるか。
CF
エディンソン・カバーニが契約満了でクラブを去る事が正式に決まり、このポジションの選手でトップチームに在籍するのはクリスティアーノ・ロナウドただ1人。
補強候補として既に名前が出ているのはクリストファー・エンクンクorダルウィン・ヌニェスのほぼ2択に絞られており、恐らく後者の加入になるだろうと思います。
セビージャにドライローン中のマルシャル放出が濃厚になった事を除けば、特に状況が変化した訳でもないので話す事もあまりありませんが、どの選手が加わるにしろ頭数自体が足りていないポジションなので加入当初から重宝される事になりそう。