いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #FCBMUN 】がっぷり四つのファーストレグ、圧巻のラッシュフォード

※22/23 UEFAヨーロッパリーグ プレーオフ1st-leg

FCバルセロナvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。

 

勝てる試合だったような、終盤のバルサの猛攻を見ればイーブンでオールド・トラッフォードに持ち込むことが出来て良かったと思わせられるような激闘の90分、プレミアリーグにあまり馴染みのないラ・リーガフリークの方々にも今のラッシュフォードの飛びぬけた個を見せつけるような結果に。

 

 

 

 

【Match Review】

 

カンプ・ノウはユナイテッドにとっても特別な地であり、マリオ・バスラ―の直接FKで先制され、後半ATまで1点のビハインドを負っていた所にテディ・シェリンガムオーレ・グンナー・スールシャールの立て続けのゴールでバイエルンを下した24年前の奇跡的なCL決勝は今でもサポーターの脳裏に強く印象付けられています。

 

バルセロナとの直接対戦は現在4連敗中と相性の悪い相手ですが、この出来事のお陰でそれほどこのスタジアムへのイメージは悪くない。

 

Starting lineup

 

ベンチ入りバルセロナ
10 A.Fati, 11 Ferran Torres, 15 Christensen, 20 S.Roberto, 24 E.García, 26 I.Peña, 28 A.Baldé, 29 M.Casadó, 32 P.Torre, 36 A.Tenas, 38  Á.Alarcón

マンチェスター・ユナイテッド
2 Lindelöf, 5 Maguire, 20 Dalot, 22 Heaton, 28 Pellistri, 31 Butland, 36 Elanga, 49 Garnacho, 55 Z.Iqbal, 73 Mainoo

 

 

前半


ユナイテッドはリーズ戦の終盤に見せたヴェフホルストのトップ下を継続。

 ビルドアップはこの前と同じく3-2-3-2、ボール保持ではカゼミロがアンカーに入って前にフレッジ-ヴェフホルストの4-1-4-1、フルバックとウイングの縦関係は片方が中央でもう一方が幅を取り、特に左サイドはある程度整理されているように見えた。

 

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反対に右サイドはブルーノとワン=ビサカの距離感や横軸の位置がやや即興的で、守備面でもハーフスペースでプレーするガビとその影響で空いたスペースに進出するジョルディ・アルバのマークの管理もチグハグ。FKやスローイン等、試合が止まったタイミングでブルーノがワン=ビサカに直接コーチングしているシーンも散見されました。

 

バルセロナはお馴染みの4-3-3ですが、LWはセントラルMF主戦場のガビでポゼッションではCB2枚+RBアラウホと中央でタクトを振るうフレンキー・デ・ヨング(時折ケシエ)を除く6人のフィールドプレイヤーがユナイテッドのMF-DFライン間に入り込み3-1-6のような形で圧力をかけていく(場合によってはアラウホも上がって前に7枚)。

 

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クンデとアラウホの位置が入れ替わっている理由としては、中盤が万全ではない状況の中でより重要になるCBからの縦パスの配球能力の差と、ラッシュフォードがLWで起用されると読んだ上の対人守備が主なものだと思われますが、RBで起用されたウルグアイ代表DFはボール保持でほとんど貢献出来ず、尚且つラッシュフォードがCFで先発し自由に動き回った事で完全に思惑が外れる形に。

 

19分、クンデからアルバへのロングボールで一気にアタッキングサードまで侵入されますが、ガビとの細かいパス交換を経てアルバ→デ・ヨングを狙った斜め後ろはフレッジがカット。

 しかし、奪った後にブルーノへバックパスを試みた所をバルサお馴染みのカウンタープレスで再奪取されてカウンターを食らい、ペドリのボレーシュートは枠上で難を逃れたが非常に悪い失い方。

 

他にもスローインからの再開で低い位置でショーがボールを持った際、2-2の四角形で近いパスコースを守備範囲内に入れながら距離を詰めた相手の前線からの守備にまんまとハマった26分の場面など、自陣でボールを持つ際のプレー選択が悪く自滅で相手に得点機会を与える事がしばしばあったのは改善しなければならないポイント。

 

34分、クンデが中央でボールを運びながらパスコースを探すも、右大外でアラウホとハフィーニャが被っているので中々パスを出せず、渋々サイドに預けようとした所をサンチョがカットしてユナイテッドのカウンター。サンチョからボールを受けたラッシュフォードは身体を捻りながら強引に右足でファーポストを狙うがGKテア・シュテーゲンの好セーブに阻まれる。

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一見すればパスカットされたクンデの責任にも見えるシーンだが、仮にアラウホがサンチョの背後を取るようなダイアゴナルラン無人のハーフスペースを突いていればバルセロナの得点チャンスになっていても不思議ではない配置だったので、察知する事が出来なかったアラウホに原因があると個人的には思っている。

自分にマークがついているかどうか、利用できる空間があるかをリアルタイムで頭に入れ続ける事はオフ・ザ・ボールの原点であり最も大切な力。

 

ホームチームにとっての痛手、アウェイチームにとってのツキは動き直しを怠らずリンクマンとして最重要であったペドリが40分を回った辺りで負傷交代した事。筋肉系のトラブルと推察されるのでセカンドレグにも間に合うかどうか分からない。

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後半

 

ワン=ビサカとフレッジのボールコントロールの不安定さに苛立ちを覚えるキックオフ後の危機を凌ぐと、48分のユナイテッドはマラシアのインターセプトから素早く逆サイドに展開。深い位置から折り返したワン=ビサカのクロスがゴール前を通過し、サンチョが左足でゴールを狙うもボールは枠の外。

 

リスタート後、テア・シュテーゲンのロブパスで前線プレスを突破され今度は相手に深い位置まで侵入されCKを与えると、ハフィーニャのキックをファーサイドでマルコス・アロンソに合わせられて失点。

 あっさりマークを交わされたラッシュフォード、その後ファーに向かって来るボールに全く競り合えなかったワン=ビサカ及びフレッジ。やはりセットプレー守備はまだまだ足りていないらしい。

 

ただ、その後のプレーには賞賛を送りたい。ワン=ビサカがこれまでにほぼ皆無だったミドルレンジのロブパスをブルーノに通したかと思えば、フレッジはカゼミロからのパスをフレンキー裏で受けてラッシュフォードへ抜群のスルーパスを通し、バトンを受けた10番は角度の無い所から圧巻の右足で同点弾をマーク。

 

55分、ゴール前に迫りながらフィニッシュワークの精度を欠き、GKにキャッチされてから素早いハンドリングでカウンターを受ける場面があったが、ハフィーニャのミドルシュートを何とデヘアはキャッチ! これは良い意味で驚かされました。

 このように同点に追いついてからは非常に良い空気感で進んだカンプ・ノウでの一戦。

 

CBからの配球にプレッシャーをかけてボールを奪い、そこからのショートカウンターでCKを獲得すると、コーナーフラッグに近い位置でパスを貰ったラッシュフォードは1on1でハフィーニャを豪快に突破してゴール前に混乱をもたらす強烈なキック。

最後はクンデに当たってゴールラインを越え勝ち越し!

 

さて、問題はバルサ右サイドからの攻撃を凌ぎ、前のめりになっていた所にブルーノ→ラッシュフォードへのロングレンジのスルーパスが成立した64分のシーン。後ろから追いかけるクンデはペナルティボックスに入るか入らないかという微妙な位置でラッシュフォードに足をかけて倒したが主審は笛を吹かず。

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ボックス外ならば決定機阻止で一発退場、ボックス内ならば三重罰回避でイエローが妥当と考えられる場面であり、本来レッドカードが想定されるシチュエーションではVARのオンフィールドレビューが為されるはずですが、それすらも無く試合後にテン・ハフが苦言を呈するくらいには理解できない一幕でした。

 

10人になるかPKが与えられるか、いずれにせよ流れが一変する事は間違いなかった大きな機会を奪われたユナイテッド。バックラインからの組み立てで相手のプレッシャーをロングボールではなくダイレクトプレーにより回避しようとしますが、カゼミロのパスがズレて相手にボールを渡してしまい、ノンプレッシャーでパスを受けたハフィーニャのゴールに向かって来る左足クロスは誰の身体にも当たる事無くそのままゴールネットまで到達……

 

幸運にも恵まれた得点で同点に戻したホームチームは息を吹き返し、86分~87分にかけてはゴールまであと数cmという決定機もあったが、途中出場アンス・ファティの近距離のシュートはデヘアのショットストップで防いで何とか最悪の事態は免れた。

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データ

 

Standard

 

シュート数は18:18、非常に得点チャンスの多い試合になり、ポゼッションベースのバルサとカウンターやロングボールで相手の整わない内にゴールまで到達させるユナイテッドの両クラブが真っ向からぶつかったという内容。

 

バルサに負けた過去のゲームでは前線からのプレスを素早いパス回しや背中を巧みに使うボールキープで交わされ続け、更には奪ったとしてもボール保持者を圧縮するようなカウンタープレスで攻撃に転じられず、疲労が溜まった所を畳みかけられるというやられ方が多かった記憶がありますが、それが出来る人員が今の彼らには揃っていなかったというのが実情なのかもしれない。

 

恐れおののいたかつてのブラウ・グラナはここにはいません。

今の力関係ならばホームに戻るセカンドレグでは十分に勝利を手にする事が出来るはず

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xG

 

 

markstats算出のゴール期待値はバルセロナ 1.54 - 1.8 マン・ユナイテッド。

他のモデルを見ても概ねユナイテッドが上回っていたので、五分以上の試合が出来たという肌感覚は決して間違いでは無かったらしい。

 

差を感じたのはGKのプレス回避能力で、右左関係なくミドルレンジのロブパスを通し攻撃チャンスに繋げたテア・シュテーゲンを見ると、ファーストタッチの時点でその可能性を潰してしまう事が多いデヘアのボールプレーは十分とは言えないだろう。コンタクトプレーや50:50のボールに対しての強さ等はこちらが優勢だったと思える部分もある。

 

あとがき


中二日でのレスター戦、更にカタールの投資家グループとINEOSがそれぞれ入札を行ったクラブ買収についてなど、目まぐるしく状況が変わる今現在のマンチェスター・ユナイテッド

 

インフラ整備を怠り役員報酬を吸い取り続けたグレイザーズの支配下からようやく抜け出せるとすればそれは願ってもみない事ですが、取引が本当に成立する場合、新たなオーナーが本当に信用に足り得る人物なのかはしっかりと吟味して17年前の再現だけは何としても阻止しなければならない。