またしても日本のフットボールはワールドカップ決勝トーナメントでの勝利を挙げる事が出来ずに大会を終えました。クロアチア戦も試合内容を見れば劣っている訳ではなく拮抗状態でしたが、PK戦になった途端に一気に脆さが出てしまった。リヴァコビッチを褒めるべきと言われればそうなのですが、自信に溢れている訳ではないチームで蹴る順番を挙手制にしたり、キックの威力・コース、助走や間の取り方と細かい部分で多くの差を感じる中身。
日本 vs クロアチア
バスを止めずミドルゾーンから5枚の囲みでクロアチアにプレッシャーをかけて、スペイン戦とは違い真っ向から対峙するような入りとなった決勝トーナメント1回戦。特にモドリッチに関しては彼が自由に動きなおしてもその都度マークを変更する事で上手く試合から消す事が出来ていたと思います。
一方でやや不安を感じたのが右のチャンネル,大外狙いの早めの中長距離のボールで、プッシングのファウルがあっただろうとはいえペリシッチがゴール前に侵入した9分の場面やそれ以外にも危険な構造を作られるケースが幾つか。
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とはいえ、大外の個人の質や中盤のキレで上回っていた日本は良い形で時間を進めており、長友1人に左サイドを任せられるような状況であった事で鎌田はモドリッチの背後や脇、ピッチ中央でボールを受けに行くことが出来た。
先制点はセットプレーから。右サイドのコーナーからのショートリスタートで堂安→鎌田→伊東と斜め後ろにボールを戻しながら、クロアチアがラインを上げて一瞬両足が突いたタイミングで堂安のインスイングクロスからゴール前を転がったボールを最後は前田大然。
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前に出た瞬間にもう一度バックステップを踏んでボールと相手の両方を見なければいけないという守る側としては頭も身体も疲れるようなプレーで、セットプレーコーチを雇った甲斐のあるいい攻撃でした。
前半をリードして終えたサムライブルー。ただ、後半の入り前から来るようになったヴァトレニに対しリードを守りに行くのか追加点を狙うのか少し曖昧な雰囲気。もっとも、ペリシッチの同点弾はDFラインとしてのクロス対応になれていない伊東純也がマークを外された結果なので直接的な関係性はありませんが。
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失点の後にもクリアか繋ぎか曖昧になってからのモドリッチのボレーであったり、クロアチアのペナルティボックス付近での連係から一瞬ボールホルダーに行けないシーンが出てきたりと正直この辺りの時間帯は完全に紙一重。
日本代表 GK 権田修一のスーパーセーブ!モドリッチの強烈なミドルシュートをストップ! @ABEMA で視聴中 https://t.co/xpxAivsnlV #ABEMAでFIFAワールドカップ #本田の解説 pic.twitter.com/8elMnJq85B
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その前に三笘,浅野の今大会のジョーカー2枚を投入しているとはいえ、鎌田を変えて酒井宏樹、堂安から南野と使う側の選手を下げて使われる側の選手を増やした日本は恐らく延長戦前から引き分けからのPK戦を意識していたと思われますが、後から出てきた情報を見ていくとハッキリした指針が見えてこないのが辛い。
結果的にはPK戦になった時点で準備不足からの敗戦は決まっていたと思い知らされるような内容で、延長戦以降を言語化するのは正直まだ難しいのでそちらの分析は他に任せるとして、私はカタール大会で見えた今後の日本に求められる流れの中の要素を考えてみようと思います。
まずは一番上。年々フットボールにおいて組み立ての要を担うポジションは後ろにシフトしており、センターバックやフルバックは最早守っているだけで評価される時代ではない。斜めにつける楔や時に一列前に上がって中盤に吸収されるようなポリバレント性が必要で、それはあのスペインでさえも本来DMのロドリをCBに起用している事にも表れている。
次にユニットでの崩し。所謂ウォールパスやレイオフ(3人目の動き)等で瞬間的な数的優位を作るのが強豪国に比べると日本代表はまだまだ苦手なように見え、(最終的に使いたいスペースから)相手の視点と身体を向きを如何にしてズラすかという部分を根底に置いたコンビネーションを幾つか作っておきたい。例えば、外からの崩しでハーフスペースを使いたいならばサイドから横方向へのドリブルでまず守備ブロックを内側にスライドさせて、中の味方へのパスで今度は視点と身体の向きを前に誘導、最後にロブパスを入れるというような崩し方はヨーロッパのクラブでよく見られる形。
止めて蹴るという言葉が日本フットボール界で一定の支持を集めていますが、ボールも身体も全てが静止してから次のモーションに移る場合も多く、そもそも相手のプレッシャーの格好の的になるので止めてから蹴る場所を考えるようでは遅いです。ボールに触る前に次の数プレーを想定し、止めるのではなく向かいたい方向へ(身体と一緒に)動かすイメージ。スキャンニングや1タッチごとの身体の向きの細かい作り替えというのも同じ考えに基づいたプレーと思いますが、これらの意識が高い個人的な理想例としてリサンドロ・マルティネスを挙げておきます。
パワーカーブという言葉が正しい表現かはさておき、今大会の日本チームで鋭く落ちるようなキックを試合で発揮できたのは堂安律選手ただ1人。大会公式球はよく曲がりやすいという評判だったので少し軸を横にしたトップスピンのボールをもっと活用したかった。そして、PK戦で上手く行かなかった事も、ようは強いキックを試みると浮いてしまうかもしれないという恐怖心から来ていると思っている。それならば、例え高さのないボールであったとしてもハリー・ケインやクリスティアーノ・ロナウドのように手が届いても弾き切れないシュートを蹴り込んでしまえばいい。
ブラジル vs 韓国
オーストラリア,日本と敗戦しながらも一定の収穫を得たであろう接戦2チームとは異なり、完膚なきまでに自信を喪失させられてしまったのが韓国。早い時間にハフィーニャの個人技で守備陣形を崩され最後は逆サイドのヴィニシウスまで手が回らず失点。
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更に10分を少し回った所でボックス内のファウルによるPKを宣告され、ネイマールがタイミングを外すシュートでチーム2点目。トドメはCK後の前残りからリシャルリソンがアシカドリブルでボールを収め、マルキーニョス→チアゴ・シウバを経由したレイオフで30分を前に試合を決めてしまった。
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日本が強くなる為に必要な事として挙げた3,4ユニットでの崩しというのは正にこれの事で、いくつかのパターンを仕込んで誰がどの役でも半自動化したプレーが出来るくらいに習熟させたい。
更にパケタのマークを寄せ付けない後方からの攻撃参加で4点目。
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4点目ーーノンストップブラジル
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ブラジル
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韓国
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多少前掛りな状態でロストしたとしてもカゼミロ-マルキーニョス-チアゴ・シウバは皆無理が効く選手で、アリソンのシュートストップ及びディストリビューションを世界トップクラス。素晴らしいロングシュートによる単発の得点はあってもこの守備陣を複数回陥れる事はそう易々と出来そうにない。
韓国が返した1点、ペク・スンホのミドルシュートのようにセットプレーやその後のセカンドボールからの混乱は数少ない狙い目になりそう。