いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #WorldCup 】Quarterfinal、PK巧者クロアチア。もう1会場ではマテウ劇場

 

 

大会も佳境に入ってくると大きな実力差のあるカードはほとんど無く、準々決勝1日目の2試合は共にPK戦での決着となりました。試合展開から言えばリードした後に追いつかれる形となったブラジル,アルゼンチンの南米勢にとって苦しい展開だったと思いますが、特にブラジルがここで姿を消したのは驚き。

 

 

 

 

クロアチア vs ブラジル

 

右利きのダニーロは大外でプレーさせず、カゼミロと一列前でMFとして中に入って所謂Inverted-Full Backsの動き。ブラジルとしては意図的にLWのヴィニシウスが孤立するようなシチュエーションを作ってドリブル突破からの崩しを狙っていたところでしたが、逆にクロアチアRBユラノビッチが積極的に攻撃参加する事で左サイドでの主導権を握る事が出来ず。

 

クロアチアは特定の形を取らずその場の状況判断重視というのはこれまでと変わらないものの、相手がモドリッチにそれほどマークを付けて来なかったのでお馴染み中盤3枚で位置を変えながらボールに多く絡むことが出来た。前半は互いに大きな守備の乱れを作らずポゼッションも50:50と均衡状態が保たれた。

 

動き始めたのはセレソンがハフィーニャに変えアントニーを投入した所から。クロアチアLBボルナ・ソサとアントニーの1on1が生まれるとほぼアントニーが勝利するような有利対面になった事でクロアチア守備組織全体にも乱れが生まれ始め、ブロックが崩されながらGKのファインセーブで何とか窮地を凌ぐシーンが増えていく。

 更に自分のサイドが崩され始めた事でペリシッチも守備への比重を高めざるを得ない状況で、後々考えればこの圧倒していた時間帯に得点を挙げられなかった事が後々の劇的な結果の呼び水だったとも言えるでしょう。

 

リシャルリソンを下げて84分から投入したペドロはヴァルディオルを背負いながらボールキープ出来る屈強さとフィニッシュワークでの怖さを持っていたのでもう少し早い時間帯から起用しても良かったと個人的には思う。

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ゴールレスのまま延長に入ると103分のクロアチアはロヴレンのスライディングカットからカウンターのチャンス。途中出場ペトコビッチがカゼミロとミリトンを突破しボックス内に侵入すると最後はブロゾビッチがダイレクトでシュートに向かうも疲労からか弾道を抑えることが出来ず。

 

延長前半ATのブラジルは前線から降りてきてマルキーニョスからのパスを受けたネイマールの連続ウォールパスでMF間とチャンネルを連続突破。最後は飛び出てきたリヴァコビッチを横へのワンタッチでずらしてニア上に蹴り込んで遂に得点を奪う。

 

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運命の分かれ道はこの後のブラジル交代策。後半に入る所でチッチはルーカス・パケタに変えてフレッジを投入しますが、失点しない事が最優先の状況で攻守において前に出る意識の強いフレッジを選択したのは最善とは思えず、彼を入れるならネイマールを下げて守備的トップ下として起用する、或いはパケタを変えたかった場合はベンチ入り選手の中でいえばファビーニョのようにより後ろ重心の選手を選ぶべきだったのでは。

(フレッジが悪いという話ではなく選手の特性をもっと鑑みる必要があったという趣旨です)

 

116分のブラジルは前線からの守備でフレッジがボールをカットしカウンター。5枚の選手が高い位置に上がったものの、ヴァルディオルのスライディングでクロアチアがボールを奪い返し逆カウンターに出ると、バランスの崩れたブラジル右サイドを駆け上がり最後はペトコビッチのシュートがマルキーニョスに当たってそのままゴールラインを越える劇的な同点弾となった。

 

PK戦に関しては既知の通りブラジル1人目のロドリゴがリヴァコビッチにストップされ、更に4人目のマルキーニョスがポスト直撃で4-2でクロアチア勝利という結果に終わっていますが、PK戦を念頭に置いていたような戦い方を途中からしていた日本のケースとは違い、セレソンは明らかに流れの中で勝負を決めようという采配,ピッチ上の動きだったので最後の所だけをフォーカスして敗因とするよりもゲーム中の要素に改善点を見出す方が建設的だと思います。

 

 

オランダ vs アルゼンチン

 

オランダの3-4-1-2に対しアルゼンチンも3CBの3-5-2で普段とは異なるシステムを用い対応してきました。メッシの運動量に関しては縦横のカバーエリアが広い中盤3枚で巧みにカバーし、攻撃時はエンツォ・フェルナンデスをアンカーに置いた3-1-5-1のような形で中盤に人数を割いてオランダのプレッシングを機能させず、守備時は前から2-3-2-3の4ラインで守ると戦術面ではこちらが完全に思惑通りの形だったでしょう。

 

また、鍵を握るダンフリースとアクーニャのサイドの主導権争いに関しても後者優勢の前半で、素早くサイドからサイドにボールを動かしていく事でアクーニャのドリブルを最大限生かす形が作れていた。一方のオランイェはバック3の裏に早めからロングボールを入れて背走させる事を意識するが、彼らからすれば地上戦よりも空中戦の方が遥かに嫌であったろう事は後半終盤の展開からも強く伝わってくる。

 

序盤から球際は激しく、更に最初のイエローカードがアルゼンチン指揮官リオネル・スカローニ(当初はコーチを務めるあのワルテル・サムエルのイエローと伝えられたが後に修正)であった事にも表れているように両ベンチからの口撃もひっきりなし。

 

35分のアルゼンチンはミドルサードの右ハーフスペースからドリブルを開始したメッシが中に進みながら3枚のマークを引き寄せて絶妙としか言いようのないラストパス。最後は前線に上がりファンダイク-ブリント間に入っていたナウエル・モリーナがアウトサイドでネットを揺らす。

 細かく言えば最初にブリントの所で取りきれなったこと、メッシに対しアケが出るのかフレンキー・デ・ヨングが付いていくのか中途半端になった事などオランダの守備に失敗があったとはいえ、このゴールに関してはメッシ図抜けていたというのが一番の理由でしょう。

 

殆ど良いところの見えなかったオランダはHT明けにベルフワイン,デ・ローンに変えてベルフハイス,コープマイネルスを投入。ガクポを前線に上げてトップ下にベルフハイスが入り中央の3枚が流動的にポジションを入れ替えるようになり、ビルドアップも後ろを削って前に選手を増やし特に左のアケが高い位置を取り始めた。

 

前述のアケの働きでこのサイドの主導権を握れると判断したでろうファン・ハールは更にブリントを下げて上背のあるルーク・デ・ヨングを前線に入れ、ガクポを左ワイドに置いた攻撃的なフォーメーションに変更。アルゼンチンも同じタイミングで万全ではないデ・ポールに替えてレアンドロ・パレデス、エンツォを一列上げてパレデスがアンカーに収まる。

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71分のアルゼンチンは中盤でルーズボールを収めたアクーニャが左サイドを縦に突破。ベルフハイスを交わした後にボックス内でダンフリースと接触してPK獲得、前半のイエローカードで準決勝出場停止となった分のマイナスを奪い返す大仕事を果たした。

 

開き直って高身長の選手目掛けたクロスに全てをかけたオランダ。バックス陣の上背が無いアルゼンチンとしてはこの雑にも思える攻撃が嫌なパターンで、ベルフハイスのインスイングクロスにニアで合わせたヴェフホルストが一点を奪い返す。

 

3つ目のゴールが生まれ1点差になってからの試合は些細なコンタクトプレーでも一触即発の様相を呈す荒れ模様、すぐにカードを出すマテウ・ラオス主審の特性もあって瞬く間にブックが選手名で埋まっていく。特にパレデスの2連スライディング→オランダベンチへのキックで完全にスイッチが入ってしまった。

 

アディショナルタイムのアルゼンチンは自陣バイタルで途中出場ペッツェッラが不要なプッシングでファウルを与え、オランダはトリックプレーからヴェフホルストが2点目のゴールを奪い劇的同点弾で延長戦へ。因みにこの時点で既に両チーム合わせて11枚のイエローカードが提示されている。

 

延長に入ると平静さを取り戻したのか一転して大人しい展開が続き延長前半はシュート数0。このままPK戦かと頭によぎったが、怪我明けのディ・マリア(この時間まで投入しなかった事を見るにまだ影響はあるかもしれない)が入ってからアルゼンチンが再びチャンスを増やす。

 延長後半だけで7つのシュートを記録したアルゼンチンだが、エンツォ・フェルナンデスのミドルシュートはポストに阻まれやはりこちらもPK戦へ。

 

オランダ1人目のファン・ダイクの強烈な右足はいきなりGKがセーブ。

 キッカーとゴールキーパー、11mの真剣勝負においてアルゼンチンは大きく勝利を引き寄せるエミ・マルティネスのシュートストップで終始戦いを優勢に進め、最終的に3-4で勝利するわけだが、この戦いの最中でダンフリースが度重なる暴言で2枚のイエローカードを貰うなど最後まで荒れた試合をマテウ主審は収める事が出来なかった。

 

この画像に関してはオランダもその前に散々応戦しているので一方が悪いという話ではない。それだけこの試合にかける両者の想いが強かった証左

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