※22/23 UEFAヨーロッパリーグ
マンチェスター・ユナイテッドvsオモニア・ニコシア戦の記事です。
相手のゴールキーパーが大当たり状態。10本以上のシュートを防ぎいつの間にかゴールレスドローのまま後半アディショナルタイム突入。完全に引き分けになりそうな流れでしたが最後の最後、マクトミネイがゴールをこじ開けて辛くも勝利。赤い悪魔のファンでダビド・デヘアが自身のアイドルだと言うオモニアの守護神 フランシス・ウゾホのパフォーマンスには敵ながら深い感銘を受けました。
🎥 Watch the key moments from Thursday's #UEL win.
— Manchester United (@ManUtd) October 13, 2022
🎯 @McTominay10#MUFC
【Match Review】
プレスカンファレンスでテン・ハフはマグワイア,ファン・デ・ベーク,ワン=ビサカが帯同しない事を明かしており、全く情報の無かった後ろ2人に関してもそれぞれ負傷中であると判明。頭数の揃っているセントラルMFはともかく、RBは現状ダロト1人になっているので早急な対策が求められる。
Starting lineup
ホームチームは先週の対戦から1人だけ入れ替え、連続出場が続いていたエリクセンを休ませてフレッジが久々のスタメン起用。アウェイチームも恐らく前回と同じ5-3-2ベースで来るので、そのままフルバックを前線に上げたポゼッションが有効的に機能すると思われる。
前半
エバートン戦で課題として挙げた右へのサポートの薄さについて、この日はブルーノが意識的に右ハーフレーンにポジションを取る事である程度改善が見られ、ダロト-アントニーの縦関係についても前者の追い越し頻度が上がってより良く見えた。
オモニアに関しては前回よりも両サイドのウイングバックが高めまで上がってくるようになり、5-3-2の基本形は変わらないものの全体の位置が少し前にシフト。特に右のマシューズは攻撃時積極的に上がってくるように。
2分、左CKでブルーノは中ではなくペナルティボックス角に立つラッシュフォードへのパスを選択。ラッシュフォードはそのまま右足パンチショットをファーポスト目掛けて狙いますがGK:ウゾホが片手でパンチングクリア。これ自体はオモニアのCK守備が完全にボックス内に偏っていたが故に通ったプレーですが、セットプレーでただゴール前に蹴り込むだけでは得点チャンスにならないので、パターンは多ければ多いほど良し。
9分、オモニアのビルドアップでミスが生じ、ラッシュフォードにボールが流れて決定機。ボックス内左端でパスを受けたロナウドのシュートはニアサイドネット直撃で得点にはならず。
10分にはマラシアがハーフウェー付近からアタッキングサードまでボールを運び大外のラッシュフォードに預けると、数回のパス交換を経てボックス内にグラウンダーの速いボールを送る。これをトラップした10番のシュートは枠を捉えないが、攻撃全体のパススピードやオフザボールは良い。
22分、Cassamaのバックパスをロナウドがインターセプトし、ブルーノを経由してラッシュフォードにボックス内でGKとの1on1のチャンスが巡ってくるも、股下を狙ったであろう左足のシュートをウゾホがブロック。対応が良かったとはいえ決めなければいけない決定的な得点機会。
20分~40分までユナイテッド陣内でのプレーが2,3回、シュート数は10:0という一方的な支配が続きますが憑き物があるかの如く得点は生まれない。33分にはカゼミロの強烈なミドルシュートがクロスバーに直撃する場面があったが、膠着状態やバスストップ相手にこの飛び道具は役に立つだろう。
運も味方に耐え続けたオモニアは残り5分を切って反撃。2TOPの左ブルーノ・フェリペとリンデロフのスピードで勝るマッチアップをカウンターで作るが、右足インステップキックは枠を捉えず。結局オモニアは45分でシュートはこの1本に留まった。
それにしてもリンデロフ、以前はここまでスピード不足が目立つ事はなかったと思うが加齢によるものなのか、或いは慢性的なトラブル等で全力スプリントが出来なくなっているのか、今の状態ではハイライン守備にかなり不安が残る。
後半
開始直後カウンターからアントニーに決定機もウゾホが早速セーブを記録し、こぼれ球を拾ったラッシュフォードのシュートも防がれる。
攻撃時の陣形を2-3-5から3の1つを落としてカウンター対策に回した3-2-5気味に変えたユナイテッド。マラシアorカゼミロが降りてきて攻撃性能の高いダロトは引き続き高めの位置取りする事が多かった。
59分にはCK後相手のクリアボールに対しフレッジが時間をかけて浮き球を処理しようとするが、ブルーノ・フェリペにボールを先に触られあわや失点というカウンターを許す。最終的にフェリペのクロスに合わせたカコウリスのハンドに救われるが、やはり上背の低さは気になる。
直後、素早いリスタートからラッシュフォードが完全に抜け出してGKとの1on1を迎えるがウゾホの神がかり的反応はまだまだ留まるところを知らず。
60分のホームチームはショー🔁マラシア、サンチョ🔁アントニーの2枚替え。押し込んだ状態が続いているので見た目上のシステム自体に大きな意味はありませんが、形としてはアントニーの場所をブルーノが使うようになって4TOPに。
66分、オモニアが珍しく高い位置からプレッシングを行いユナイテッドバックラインは苦しいパス回しを余儀なくされますがこれを回避。カウンターに移行すると、ダロトがボックス手前,右ハーフスペースから右足クロスを送ってラッシュフォードがハーフボレーを試みるもDFに当たってボールは枠の外。
入れ替えた左サイド2人の縦関係、ショー-サンチョ間のコンビネーションで再三に渡り左サイドを崩す場面が見られ、やはりアタッカーとの連携においてはマラシアを大きく上回っている事がハッキリしました。更に70分にはフレッジに替えてエリクセン投入。より圧力をかけてファーストゴールを奪いに行きますが、本当に最後の局面だけが伴わずボックス近辺でプレーを続けながら一向に得点が生まれないまま気づけば試合はアディショナルタイムに突入。
AT3分、右サイドのブルーノからサイドチェンジが通りこれをトラップしたショーがキャリー。その後サンチョにボールを預けると、不振が続いた25番は持ち前のボールスキルでボックス内へのテイクオンに成功しラストパスを受けたマクトミネイ(83分 カゼミロと交代で投入)がワンタッチ入れて眼前のエクトル・ユステの重心を逸らすと、股下を通してゴール左下にボールを力強く蹴り込んだ。
遂にウゾホの壁を乗り越えたユナイテッドはそのまま1-0で勝利。10本のシュートを放ったラッシュフォード、7本のロナウド、2度の決定機を逃したフレッジ辺りは反省が必要な内容だが、得点機会の一歩手前まではチーム全体のパススピード、細かいランニング等非常に良くなっていた。年に1度はある厄日だと思いたい。
データ
Standard
スタッツは言うまでもなくユナイテッドが圧倒的優勢で、決定機も7~8回作っていたので決して攻めあぐねた訳ではありません。スコア上の接戦はフィニッシュの精度が甘かった事と、何といっても人間離れしたオモニアの守護神 フランシス・ウゾホのスーパーセーブ集によって作られたモノです。
You've got to feel for the lad.
— The Analyst (@OptaAnalyst) October 13, 2022
Saves the first 12 shots on target faced, concedes the final one in the 93rd minute. pic.twitter.com/zetjwsN21D
そのウゾホですが総セーブ数は12回。うち9つからペナルティボックス内からのショット。細かい内訳を見ても得点期待値の高い近距離や四隅へのシュートを幾つもストップしており、結果としてアディショナルタイムに失点を許したものの、文句なしでこの試合のプレイヤー・オブ・ザ・マッチです。この試合がプレミアリーグではなくて良かったと心の底から思う。
Man Utd 1 : 0 Omonia Nicosia
— markstats bot (@markstatsbot) October 13, 2022
▪ xG: 4.66 - 0.07
▪ xThreat: 3.02 - 0.39
▪ Possession: 77.9% - 22.1%
▪ Field Tilt: 94.2% - 5.8%
▪ Def Line Height: 58.5 - 34.1#msbot_uel #uel pic.twitter.com/Xm26PWb6RJ
わざわざスタッツを見るまでもなくユナイテッドが試合を支配していた事は明らかですが、markstatsがTwitter上に公開しているデータを見てもxG4.66というホームチームの数字は並外れています。とはいえ、こんな日に限って試合をギリギリまで決められない事もあるのがフットボール。ポゼッションの質、及び実戦を通してより洗練されたであろう選手間のケミストリーを週末の試合に活かして欲しい。
あとがき
これでヨーロッパリーグは3連勝。第5節も引き続きオールド・トラッフォード開催で今度はシェリフとの対戦ですが、ここを勝てば2位以上は確定します。今季はCLのグループステージで大物が続々と3位からELトーナメントのプレーオフに進出しそうな情勢なので、最終節,レアル・ソシエダとのリベンジマッチに2点差以上で勝利し1位突破を狙う必要がありそう。
そして、週末のプレミアリーグはホームでニューカッスル戦。オールド・トラッフォードでは2013年12月の対戦以降7試合無敗中で、同期間内では1試合平均3.0得点を記録している相性のいいカード。是非とも安心できる試合運びを求めたい。