マンチェスター・ユナイテッドvsレスター・シティ戦の記事です。
ルート・ファン・ニステルローイが暫定指揮をとる新生マン・ユナイテッドの初戦はプレミアリーグ同士の対戦となった国内カップ戦。これまでの決定力不足が嘘であるかのように立て続けにゴールが生まれて快勝している。
A feast of goals at Old Trafford! ⚽️#MUFC || #CarabaoCup
— Manchester United (@ManUtd) October 30, 2024
【Match Review】
Starting lineup
数年後のスタメン定着が期待されるアンカー、ジェイス・フィッツジェラルドがベンチ入り。場合によってはメイヌーのように瞬く間に出世しても不思議ではないくらいのポテンシャルを持っているので今後要注目。
前半
ファン・ニステルローイ暫定監督の下で浮上のキッカケを掴みたいユナイテッドは基本的な戦い方で何か大きく変わった部分がある訳では無いものの、個々のプレス強度が上がっていたりスキャニングの回数が全体的に増えている点は新体制で競争が再び始まった事を思わせた。
なお、中盤はカゼミロ-ウガルテのダブルピボットにブルーノのトップ下だったが、ウガルテがアンカーになる事はあってもカゼミロがCBの前にいる際は必ず1人にはさせないように意識されており、ブルーノがビルドアップの補助に回るシーンも多くなる。
ダロト,リチャの両フルバックについてはどちらも内側に入る動きを多用し、片側だけがInverted-WBだった前体制とは少し異なるルールのもと動いているように見えた。CBが一列前へ上がったりCFが中盤に降りてきたりと状況に応じて必要な箇所の穴埋めに回る意識もテン・ハフ期より高め。勿論これらの変化については解任ブーストによる一時的なものかもしれないが。
15分、リチャからガルナチョへのフィードで一気にアタッキングサードにボールを進めると、ガルナチョはタメを作ってブルーノへバックパスを送りこれをブルーノが華麗にスルー。その先で待っていたカゼミロはノンプレッシャーでファーストタッチを終えると、マークが全く迫っていない事を確認してゆったりとしたフォームで右脚を振り抜き、圧巻のパワーカーブでゴール右上の神コースへボールを突き刺して先制!!
What a rocket from @Casemiro! 🚀#MUFC || #CarabaoCup pic.twitter.com/OfIvc1elEX
— Manchester United (@ManUtd) October 31, 2024
レスターの寄せが甘すぎるのは当然として、それを差し引いても素晴らしいシュートだったのは確かなので、早くもクラブの年間最優秀ゴールの有力候補になる事は間違いない。
続いて26分、4-4-2ミドルブロックでプレスラインをどこに設定するか、またどこでボールを奪い切るかという意思共有があやふやなレスターを尻目にユナイテッドは1点目同様にボールサイドの縦のロブパスで深い位置に侵入すると、最後はダロトの完璧なお膳立てをガルナチョが見事決めきって追加点。
1️⃣5️⃣ 試合
— マンチェスター・ユナイテッド (@ManUtd_JP) November 1, 2024
1️⃣0️⃣ ゴールに関与
このまま突っ走れ @AGarnacho7 👊#MUFC pic.twitter.com/wZETuO9RA1
一方のレスターもセットプレーから反撃。敵陣左サイドやや距離のある所からのFKで味方に合わせたロングボールの競り合い及びその後のリカバリーに勝ってボールを収めると、リカルド・ペレイラのクロスをバユンドゥルがしっかりと処理しきれず、こぼれ球を胸で抑えたエル・カンヌスが2タッチ目でお手本のようなアウトサイドボレーを右ゴールポストへ叩き込んで1点を返した。
少し不穏な空気を感じ始めたオールド・トラッフォードの観衆だが、この日のレッド・デビルズは一味違った。失点後も攻勢を続け、36分にはボックス手前でガルナチョが獲得したFKのチャンスをブルーノがディフレクションの運にも助けられて直接決めて再び2点差。
更に、レスターのボール保持での全体的な縦の距離感の遠さ、特にスマレがボールを持っている時の孤立っぷりを狙う赤い悪魔はウガルテの球際の強さでボールを奪いショートカウンターに出ると、ここで獲得したCKからショートパスを繋いでボックス角付近で待つラッシュフォードの精密なクロスにカゼミロがヘディングで合わせ、ポストで軌道が変わったこぼれ球を自ら詰めて自身2得点目をマーク。
前半終了直前にはまたしてもレスターがセットプレーからの流れでゴールを奪うが、ユナイテッド視点で見ると選手のモチベーションではどうにもならないチームとしての仕込み要素での2失点と言えるため、今後このセットプレー守備、特にクロスボールに対するファーサイドの人員の動きがどこまで改善されるかという観点で後任の監督を評価してみたいと思う。
後半
ボールとマークを同時にチェックする身体の使い方、目線の作り方がチーム全体として苦手なユナイテッドに対してレスターは浮き球を増やしてDFラインの背後を狙い惜しい所までは持っていくがユナイテッドも最後の所での球際の守備は堅く、逆にネガティブトランジションになった時の帰陣の乱れやセットされた守備隊形を作るまでの時間のかかり具合などもあってユナイテッドのカウンターを食らう場面が目立つ。
幾度となくそのせっかちすぎるプレー傾向に批判をしていたブルーノについては、リザーブメンバーも多く守備が緩い相手のチーム事情もあるのか、今回は冷静に味方の動きをチェックして敢えて自分が触らずデコイになって後ろの味方を活かす動きを複数回見せるなど改善が見られた。
そのブルーノがラッシュフォードとのパス交換でボールを繋ぎ、一度ズレた後の相手のバックパスが短くなった所からポジショニングを誤ったGKをキックフェイントで交わして優雅にチーム5点目を奪い試合の大勢は決まった。
キャプテンの華麗な技 💫#MUFC || #CarabaoCup pic.twitter.com/Pvc8jOu1Ny
— マンチェスター・ユナイテッド (@ManUtd_JP) October 31, 2024
セーフティーに時間を進めるだけでいいという絶対的な立場の優位性を作ったユナイテッドはレスターが前掛りになればカウンターを浴びせ、そうでなければ左右にボールを振りながらじんわりと相手陣内に侵入していって追い詰めていく。
早めに交代枠を使いながら疲労のケア、そして終盤にはウィートリーにも出場機会を与えて久々に思い通りに近い試合運びをしたホームチームは3点リードを守って次のラウンドへ進出を決めた。
データ
Standard
シュート数23:9、オンターゲット9:7と守備に関してはお世辞にも褒められたものではなかったが、その一方でファウル数を一桁に抑えてイエローカードが一枚も無かった点については一定の評価をしたいところ。
キーパス数はガルナチョが5本、ブルーノとダロトが4本ずつで左-中央-右でバランスよくチャンスを作り出せていた事も大量得点の呼び水となっている。中でも本職のRBでの起用が増加した一時のプチ不調を抜け出したようにも見えるダロトについてはテイクオン一辺倒ではなくクロスの配球者として新たな一面をのぞかせるラッシュフォードとのスペースの使い分けも日々向上しており、リチャとマズラウィでLBをやりくりできそうな感触も含めて形が見えてきた。
Man Utd 5 : 2 Leicester
— markstats bot (@markstatsbot) October 30, 2024
▪ xG: 2.99 - 1.06
▪ xThreat: 1.41 - 1.19
▪ Possession: 55.7% - 44.3%
▪ Field Tilt: 49.7% - 50.3%
▪ Def Action Height: 46.7 - 48.2 pic.twitter.com/3lU6i9hnGO
markstats算出のゴール期待値はマンチェスター・ユナイテッドが2.99、レスターが1.19でやはり多くの得点を奪ったホームチームがリードを作っている。左右でガルナチョ,ダロトがボールを運び、ブルーノのチャンスクリエイトを中心にゴールへ迫っていくというある程度決まったパターンが作られていたので全体としても迷う場面が少なかったかもしれない。
意外にも守備時のプレスラインが高かったのはレスターの方で、これにディフェンス陣がついていけず中盤を挟んで2つのライン間が常に空いていた事が大量失点の一因とも言える。
PASSING NETWORKを見るとファン・ニステルローイはテン・ハフよりも安全志向を取るタイプである事が推測され、バックス+セントラルMFで数的優位を意識しながらボール保持をした後、隙を狙って両サイドの相手FB裏のスペースをウイングに襲わせるという流れで序盤の2得点は生み出された
あとがき
ルベン・アモリムが11月11日付で後任監督して就任する事が決まったため、ファン・ニステルローイ体制は残り3試合。最高の状態で就いてもらいたいのでまずはチェルシーとのBIG6対決に勝利せねば。
テン・ハフ体制の振り返りとアモリムへの期待については何処かで記事にしたいと思っています。