※21/22イングランド・プレミアリーグ
マンチェスター・シティvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。
いよいよやってきた大一番。
エティハド・スタジアムでの近年の好成績に加え、ダービーで士気の上がった状態ならば絶対王者相手にも十分に勝利できると期待していましたが、蓋を開けてみれば戦えていたのはせいぜい60分。3-1になってからは明らかにピッチ上の選手が戦う事を辞めてしまい、交代で入った選手からも情熱は感じられずに4-1の惨敗を喫しています。
— Manchester United (@ManUtd) March 6, 2022
プレビュー
上記に加え、直前情報としてショー、ヴァランの病気による欠場(後にコロナ感染と判明)、ロナウドも股関節の怪我でスカッドに含まれていない事が分かりました。
マンチェスター・シティ
ルベン・ディアス
ナタン・アケ
マンチェスター・ユナイテッド
ルーク・ショー
ラファエル・ヴァラン
クリスティアーノ・ロナウド
スタメン
ラルフは 'didn’t feel quite well enough to play' 調子が良くなかったとその理由を語っていますが、結局次の代表戦までこれが続く気がしてしまいます。
マン・シティは対ワン=ビサカに毎度注目が集まっていたスターリングをベンチスタートにし、フィル・フォーデンかベルナルド・シウバのフォルス9で来る可能性が高いラインナップ。もしかすると偽9番ミラーになるかも。
(一応ポグバ、ブルーノの横並びも可能性としては残っているのでここではそちらにしています。)
試合内容
前半
キックオフ前にはプレミアリーグ全体でウクライナへの支持を表明する時間が取られ、ピッチ上では両クラブの選手が立って拍手、スタンドのファンもこの時だけはライバル関係を越えて共に戦争反対を唱えます。
試合開始と共に明らかになったユナイテッドのシステムは攻撃時ブルーノ偽9番の4-2-3-1、守備はブルーノ、ポグバが最前線に出て4-4-2。プレスの始動ラインは普段よりも高く全体的に前重心でコンパクトな陣形を心掛けているように見えました。
一方、ワン=ビサカ-リンデロフの所、前者が前に釣られやすくそのカバーに後者が向かい陣形が頻繁に崩れる事を完全に見抜いていたマン・シティはこちらの右サイドに人員を集め集中狙い。
この日はLWにスターリングではなく、よりテクニカルで周りの選手を活用できるグリーリッシュを起用した事で1on1以外は脆い部分の多いワン=ビサカを翻弄。僅か4分半で獲得した先制点もユナイテッドDF陣を右へ1つずつズラし、フィニッシャーとなるデ・ブライネをプレッシャーから遠ざけ手にした思惑通りの得点でした。。。
出鼻を挫かれたレッド・デビルズ。
それでも8分にはリンデロフ→ブルーノへのロングパスでスイッチが入り、ブルーノからバックパスを貰ったフレッジが左サイドへ展開。その後テレスのクロスは一度クリアされますが、セカンドボールを回収し再度アタッキングサードに侵入すると、ボックス内でブルーノから縦のパスを受けたフレッジがゴール間近に迫るチャンス。
シティの守備は失った後に狭いエリアで複数人で囲い素早く奪い返すというスタイルなので、今回のようにロングボールを活用するのが切り崩しの糸口となります。
16分、17分と不用意なボールロストから立て続けにシティに自陣ボックス内への侵入を許しますが最後の所で何とか凌ぎ、22分のユナイテッドは自陣ゴールライン近く、ワン=ビサカのロブパスからカウンター始動。
エランガが浮き球をダイレクトではたくと、これを受けたブルーノが意表をつくアウトサイドのパスで前に出ていたロドリ、ラポルトの間を抜く芸術的なパスをポグバヘ通しそのポグバは左サイドのオープンスペースへ展開。丁度アタッキングサードに入る所でボールに追いついたサンチョは細かいステップからのカットインで中央へ進出し右足のコントロールショットをゴール右端に正確に蹴って試合は振出しに!!
普段とは違い少ないチャンスで得点に結びつけた赤い悪魔ですが、その後は再びマン・シティの攻撃をクリアするだけで精一杯という時間が続き、先述のように右サイド集中狙いの彼らの前に有効的な対策を打てずに防戦一方。
28分、自陣でエランガのロブパスが相手にヘディングクリアされると丁度これがグリーリッシュへのパスに。一億ポンドの男からの横パスを受けたフォーデンがシャペウでリンデロフを交わしボックス内に侵入すると、近距離からのシュートをデヘアが一度はセーブしますが、ピンポン玉のように二転三転したボールが再びデ・ブライネの下に吸い込まれこの日2点目のゴールを許します。
• Lindelof and McTominay, uninterested.
— UtdFaithfuls (@UtdFaithfuls) March 7, 2022
• Maguire, shambolic.
This sums up the weak mentality and poor defending in this Man Utd side.pic.twitter.com/VQblCzdQO9
一度自分が抜かれると傍観者になってしまうという今のユナイテッドの悪い体質の典型例といった失点。
41分、リンデロフのロングフィードをブルーノが収めて久々にアウェイチームのチャンス。ボックス内で少ないタッチでパスを繋ぎ、最後はブルーノからラストパスを貰ったサンチョに2度目の得点機会が舞い込むもシュートはゴールマウスの遥か上空。
45分のマフレズ得意のカットインからの左足シュートはデヘアが右腕一本で防ぎ、その後前半最後のプレーとなったCKでマグワイアにボールが通りますが身体に当てただけで有効なシュートにはならず、前半を1点ビハインドで折り返します。
後半
さて問題の45分。
ピッチに立つメンバーも大半が途中で戦意を喪失したかのように走る事を辞めたのでわざわざ語るようなモノではありません。
技術、戦術以前の問題でそもそも心ここにあらず、まるで抜け殻のようになってしまった原因は何なのかを選手自身の口から聞きたいくらい。
文字通りユナイテッドは何も出来ず、そもそもシュートすら1本も打てていないので内容はただただシティに蹂躙され続けるという悲惨な時間でした。
Manchester United's attacking output in the second half today vs. Manchester City. #MUFC pic.twitter.com/Y8psTg6SCG
— The Analyst (@OptaAnalyst) March 6, 2022
それ故1つ1つのアクションは省きますが、個人的に残念に思ったのは64分、1点ビハインドの段階で途中からピッチに入ったラッシュフォードとリンガードの振る舞い。
スタメンの選手に喝を入れ自らが先導してチームの為に走り、戦い、諦めない姿勢をアピールして欲しかったのですが、まるでスタミナ切れかのように投入直後からプレスを怠り自陣に攻め入られる状況でも悠々とジョグで戻ってくる場面が何度もカメラに捉えられていました。
試合の方はマフレズがコーナーキックからボックスの外でダイレクトシュートを決めて68分にマン・シティ3点目のゴールを決めると、ATにもオフサイドラインすれすれを見極めて途中出場ギュンドアンのパスからチーム4点目、自身2点目のダメ押し点を追加し最終スコア4-1でホームチームの圧勝。
データ
トータルのポゼッションで7:3、後半に限って言えば8:2というワンサイドゲームになった21/22シーズン2度目のマンチェスター・ダービー。
ユナイテッドも攻撃の途中までは良い形でアタッキングサードまで進む場面が何度もありましたが、勝負を分けたのはプレーの精度と意識の共有。
これはチームとしての成熟度の差と言い換える事も出来ますが、そのような戦略的な部分だけではなく目の前の試合に対する情熱という意味でもこの日のレッズはライバルに大きく遅れを取っていたように見えます。
xG
xGでも一方的なスコア。
いわゆるビッグチャンスが0のユナイテッドに対し、シティは3つ以上。その他のシュートも大半がボックス内から放たれたものであり、アウェイチームの守備がいかに機能していなかったかがよく分かる結果となりました。
それぞれ2ゴールずつを分け合ったデ・ブライネとマフレズはxG1.03と0.96。
あとがき
ロイ・キーンがShameという強い非難の言葉を使ってこの試合の選手達のプレーを批判したのも共感できるくらい酷い90分。
上手い選手はいても戦える選手はいない。
そんな感覚を強く覚えたのはこれが初めてではありませんが、どの監督、どんな戦術と話し合う前に今の選手達のメンタリティを改善するのがタイトルに一番必要なものなのではないかとも思う。
日曜夜、遅れてきたサザエさんシンドロームに陥らざるを得なかったので正直これを掻いている段階でも自分で何を言っているかあまり分かっていない。
見ている側がこれだけダメージを受けたのですから、コーチや選手達も大分精神ダメージが大きいはずですが、次のトッテナム戦は順位争いの相手でもあり、同時期に新監督になって比較される事の多いクラブなので絶対に勝ってほしい。