いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #FACupFinal 】優勝!! Glory Glory Man Unitedと高らかに歌おう

※23/24 FAカップ決勝

マンチェスター・シティvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。

 

"Wembley, Wembley,
We're the famous Man united and we're going to Wembley,"という一節がクラブのアンセムである「Glory Glory Man United」にありますが、そのウェンブリーでこれこそがマンチェスター・ユナイテッドだという情熱にあふれた試合をシーズンの最後に見せてくれた事に感動しました。ありがとう!!!!!!

 

 

 

 

【Match Review】

 

2年連続でFAカップファイナルが同一カードになったのは1883-1884,1884-1885のブラックバーンvsクイーンズ・パークFC(スコットランド)以来およそ140年ぶりの事で、世界最古のプロフットボールリーグであるイングリッシュ・フットボール・リーグが生まれるよりも前の時代。FAカップイングランド国内で特別な意味を持つコンペティションという事が分かるデータかもしれない。

 

Starting lineup

 

ベンチ入りマンチェスター・シティ
3 R.Dias, 10 Grealish, 11 Doku, 19 J.Álvarez, 25 Akanji, 27 M.Nunes, 33 S.Carson, 52 O.Bobb, 82 R.Lewis

マンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 2 Lindelöf, 7 Mount, 11 Højlund, 14 Eriksen, 16 Amad, 21 Antony, 35 J.Evans, 53 Kambwala 

 

当初、メンバー表に名前があったカゼミロはウォームアップ中に筋肉の張りを覚えたとの事で急遽カンブワラがベンチメンバー最後の1枠に入った。

 

前半

 

ホーム扱いのマンチェスター・シティはグヴァルディオルがポゼッション時にフルバックウインガーに可変する3-2-5。フォーデンはハーフスペースや場合によっては反対サイドまで広い範囲に顔を出し、ロドリ-コバチッチのダブルピボットは頻繁にバックスのサポートに入るが、コバチッチが最も活きるのは相手がプレスラインを高めに設定していて中々パスを繋いでいくのが難しいケースでの単独での陣地獲得、つまりボールキャリー能力の高さを発揮する場合なので、今回のようにミドルブロックとローブロックで苦労せずともある程度ボールを前に進められるケースではむしろ最終局面での頼りなさの方がクローズアップされてしまう。

 

一方、ライバル相手に2年連続で決勝戦の敗北を喫すわけにはいかないマンチェスター・ユナイテッドは結果の出ているブルーノフォルスナインを継続し、これまで以上に横幅を狭く縦もコンパクトに圧縮した4-4-2ベースのブロック守備で中央のスペースを潰し、相手がサイドにボールを展開するならば右ではグヴァルディオルvsワン=ビサカ、左ではベルナルド・シウバvsダロトのデュエルでそれぞれ優勢に進める事が出来たためにほとんどシティに思うような攻撃を許さずに序盤を凌いだ。

 

相手のゴールキックルーズボール処理の関係で高い位置から前線プレスを仕掛ける際にはブルーノが指示を出して1stプレス隊を左からラッシュフォード-ブルーノ-マクトミネイ-ガルナチョと4枚横に並べる4-2-4で相手DFラインから一発でアタッカーに繋がる縦パスを絶対に許さないという姿勢。こちらの後方部隊はリチャがひっきりなしにコーチングを飛ばして修正してくれるため、前後に守備体形をコントロールするリーダーを有する結果として全体の連動性も高い。

 

9分、シティのウォーカー→ハーランドへのロングスローをリチャが突っついてボールを奪うと、左サイドの狭いスペースでラッシュフォードのヒールフリックやダロトの身体の向きで騙すパスなどでプレスを突破し、ブルーノから右サイドのガルナチョへ展開してシュートで終わった一連の攻撃は共通認識の取れた即興があたかも精密に仕込まれた攻撃のように見えるノっている時のユナイテッドらしいスペクタクルなものだった。

 

ユナイテッドの攻撃パターンは基本的にカウンター。ディフェンシブサードでブロックを組む際にはブルーノとマクトミネイもかなり低い位置に留まってハーフスペースや裏に走り込む相手を警戒するため、守→攻のトランジションではラッシュフォードとガルナチョが実質的な2トップのように役割を請け負い、パスの最優先は彼らのスピードを活かす相手FB-CB間やその背後へのロングボールで統一されていた。

 

また、ウォーカーは細かい部分で気が利くタイプでは無いのでパスコース作りや連続性のあるプレーの中で一瞬気が緩む瞬間があったりと隙を見せて度々ユナイテッドは左サイドでのプレスから相手ゴール前であわやという場面を作り、右サイドもグヴァルディオルが攻撃時に高い位置を取る分、余裕のない状態での守備対応を迫らせる事が出来るので両サイドでこちら側の思惑通りの展開になりやすい。

 

29分、シティのパスが流れたところをアムラバトが拾い、前に運んで視線を集めた所でダロトに戻す。するとダロトはグヴァルディオルの背後を狙うガルナチョへ高弾道のフィードを蹴り、ヘディングでGKオルテガに戻そうとしたグヴァルディオルと彼に身体を入れてもらって自分でボールをクリアしようとしたオルテガで意思疎通が乱れ、結果的にプレゼントパスになったボールをガルナチョが無人のゴールネットに送り届けて先制ユナイテッド!!

 

エラーと一言で済ませてしまえばそれまでだが、伏線としてLB→LWという攻守の役割の変化は継続的に考えるとターンオーバーの負荷の高さで肝心の守備対応がおろそかになる事もあるというある意味でペップの采配がもたらした結果だろう。ユナイテッドもダロトに似た役目を負わせて同じような失点をしている経験があるのでよくわかる。

 そもそもこの場面はオルテガペナルティボックスから出た事の方が問題だったとも思うので仮にグヴァルディオルが批判を集めるのであれば少々同情したくなる。

 

また、グヴァルディオルの負荷が高まる要素としてフォーデンがポゼッション時に自由に動き回る故にトランジション時に左サイドにいない瞬間が多いこと、コバチッチが守備面で味方の空けたスペースのカバーリングや危険な場所にあらかじめ守っておくといった配慮の得意な選手ではないという周辺の味方の動きも大きい。

 

38分にはオフサイドだったとは同じような形でヴァランのロブパスからガルナチョの裏抜け→ラッシュフォードがパスに合わせてネットを揺らすというやられ方をしていて、この左サイドの修正が遅れた事はユナイテッドの勝利にかなりの影響を与えている。

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 

そして上記のプレーのすぐ後、ロドリがボックス内まで攻撃参加してきたシティの押し込みを弾き返したユナイテッドは試合序盤からアウトサイドでクルっと向きを変えるターンを上手く流れの中で使えているブルーノがコバチッチを剥がすと、メイヌーを経由して左サイドでパスを受けたラッシュフォードが素晴らしいサイドチェンジをガルナチョへ通し一気にスペースの広い右サイドへ展開。

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 

ガルナチョがゴール前に走り込む味方の状況を確認しながらボールを運ぶ中で、ワン=ビサカがグヴァルディオルとアケの視線を集める最高のタイミングでデコイのアンダーラップを行い、フリーでパスを受けたブルーノはノールックでメイヌーへお膳立てのボールを送り届け、少し足元に入るボールで合わせる難易度は高かったが印象的なゴールをよく決めている若き才能はものともせずにインサイドで丁寧にボールを押し出して見事ゴール!!

 

直前にオフサイドディレイで無駄走りをさせられていたからなのか、最終的にシュートを放ったメイヌーをフリーにしたウォーカーや先程同様に守備のアンテナの感度の悪さをにじませるコバチッチを筆頭に全体的にシティの戻りが緩慢。得点シーンだけではなく少し長い目で試合を見ていくと改めて全ては繋がっているのだと実感させられる。

 

前半、ポゼッションはシティに75%と完全に明け渡したものの、シュート数では3:5でユナイテッドの方が多く、尚且つ2つの得点はいずれもビッグチャンスだったので内容としては完全にこちらの思い通りだったと断言してもいいだろう。選手個人のパフォーマンスを見てもユナイテッドには少し前まで消えかけていた目の前の試合に対する強烈な勝利意欲とそれがもたらすチームへの献身性が11人全員から溢れ出ていた。

Embed from Getty Images  

 

 

後半

 

2点ビハインドのシティは2人の選手交代を行い、コバチッチ,アケを下げてドク,アカンジを投入。

 

これに伴いそれぞれの役割に変更もあり、前半はターンオーバーの過負荷からか裏を取られるケースが多かったグヴァルディオルを自重させ、代わりにバックスの攻撃参加はストーンズリベロに変化。そして左サイドでワン=ビサカ相手のアイソレーションで陣地獲得及び突破からの崩しを担ったのはLWに入ったドク。フォーデンもNo.8にポジションを変えた事でポゼッションからボールを失った後の守備隊形のバランスの悪さが改善され、ユナイテッド視点としては少し戦いづらくなった。

 

55分には浮いたルーズボールを相手に処理され、中央にスペースが出来たところを運ばれると、ドクがワン=ビサカ+アムラバトの2枚を引き付けてラストパスを送り、ゴール前を通過したボールに合わせたハーランドの左足の強烈な一撃がクロスバー直撃でヒヤッとさせられるシーンも。

 

ドクのステップワークの細かさ及びタッチ数の多いドリブルを1on1で100%完全に防ぎ切るのはワン=ビサカでも厳しく、ガルナチョやアムラバトがサポートに入るがむしろそれで他の選手がフリーになる事の方が危険というどっちを取ればいいかの判断が難しい対応が増加していく。ただ、救いだったのは上記のシーンのように適度な所でボールをリリースする事は少なく、ムキになって対面の突破を試みるケースの方が圧倒的多数だった事。この辺りは若さなのかもしれない。

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 ペップは更に動きを見せ、57分にデ・ブライネ🔁フリアン・アルバレスでこの日3枚目の交代策。ユナイテッド目線で言えばアルバレスよりもデ・ブライネの右足一発の方が怖かった上に、シティはゴール前をこじ開ける為にサイドでの押し込み→後ろに戻して素早くクロスという攻撃を多用していたので、この交代は果たしてどうだったのだろうかと少々疑問に残る。

 

58分、ベルナルド・シウバのルーズボール処理が乱れてシティDFライン裏へのパスになった所でガルナチョとグヴァルディオルの競争になったシーンがあるが、後者が冷静に身体を入れてGKにバックパス。相手の目線で考えるとLBのロールを変えた効果が出た典型例だろう。

 

デ・ブライネ→アルバレスの変更で対処が難しくなったのはユナイテッド視点の左ハーフスペースの管理で、ギャップを突いていくのが得意な彼のオフボールで生まれた64分の被決定機はほんの僅かな差で失点になっていても不思議では無かった。

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70分を過ぎた所でリチャが脚をつったような仕草を見せ、一応プレーは出来そうにも見えたがこれまでの故障歴を考慮したか、ここでエヴァンスにバトンタッチ。そして運動量低下が顕著だったラッシュフォードもホイルンドと交代でピッチから退いた。

 直後のCK守備の連続を無失点で切り抜けられた時点で大分勝利が近づいたのではないかと個人的には思っている。

 

シティの波状攻撃が終盤になるにつれて勢いと頻度を増していく中、ホイルンドのボールキープや全くスタミナ切れの気配がないアムラバトのタフネスっぷりなどで無失点のまま85分まで耐え抜いたユナイテッド。

 

しかし、ドクに対してガルナチョ-ワン=ビサカのツーマンセルで対応した87分のシーンでは、ドクの外にポジショニングしてワン=ビサカの意識をある程度自分に寄せたベルナルドのインテリジェンスによって1on1のマッチアップがドクvsガルナチョになってしまい、ボックス外から思い切って振り抜いた右足のグラウンダーショットをオナナが弾く事が出来ず失点。

 

CLのバイエルン戦でサネにやられた形と似ているが、オナナは自分の手が届く範囲でもニアに向かってくるゴロの処理を全般的に苦手にしている傾向があると考えられる。

 

終盤の一点差は些細なエラーが即失点に繋がりかねない緊張感をもたらすが、この日のユナイテッドはいつものようなバタバタ感を見せず最後まで集中力を保っていた。後半アディショナルタイムも指定の7分を回った最終盤でホイルンドが魅せた魂のチェイスとそのサポートにダロト,アムラバト,メイヌー,ブルーノと相手を上回る数で一気にトランジションを行っていたのが正に象徴的な事柄。

 

上記のプレーでファウルを獲得し、再開後ボールを外に蹴って試合終了のホイッスルが鳴ると選手たちは感情を爆発させて喜びを全身で表現し、ウェンブリ―に駆け付けたユナイテッドサポーターも大歓声で勝利を祝福!!

 

 

データ

 

Standard


最終的なシュート数はシティがシュート19本、ユナイテッドが11本と終盤の展開もあってライバルに上回られたが、オンターゲットでこちらが勝っているように完全に崩されたシーンは見た目ほど多くない。ポゼッションについては最初から捨てていたので全く問題ではなく、強いて言えばもう少しコーナーを獲得出来ていればダメ押しの3点目が生まれる可能性を高められていたかもしれないといったところ。

 

決勝点のアシストを記録したブルーノは地上デュエル8/11と課題であったコンタクトの面で非常に健闘しており、キーパス5回と持ち前のチャンスクリエイトを決勝の舞台でも発揮。ビッグマッチでの活躍が少ないと言われる事も多かった中で、試合数日前にソーシャルメディアへ投稿したユナイテッドへの深い想いを伺わせる文章が真実だった事を改めて証明している。

 

今のシティといえば1にも2にもロドリ、彼が出場した試合ではこれまでに74試合というとてつもない連続無敗記録を積み上げていたが、遂に記録が止まりこれをユナイテッドが成し遂げるというのもフットボールのストーリー性を感じさせる。これと同時に、ペップの35試合連続無敗記録もストップさせる事に成功した。

 

xG

 

 

markstats算出のゴール期待値は1.25-1.1と僅差でシティ優勢。他のデーターベースではユナイテッドが上回っているケースもある為、ゲームプランの遂行という意味でいかにこの試合の赤い悪魔が秀逸だったかがよく分かる。恐らく真っ向からぶつかっていればこのようなスタッツと試合結果では済んでいなかっただろう。

 

また、PASSING NETWORKではユナイテッドの両翼が丁度相手のCB-FB間に布陣していてロングボールでどこを狙っていたのかが反映されたような結果。同時に前半のシティの左サイドの役割の持たせ方が失敗だった事も示唆している。 

 

あとがき

正直リーグ戦の戦いぶりをみればEtHとは今季限りで別れる方がいいと思っていましたが、オールド・トラッフォードでの最終戦となったニューカッスル戦勝利後、現地サポーターに向けたマイク・パフォーマンスで公言した「ブライトンで勝ち点3を取って、ウェンブリーでタイトルを勝ち取ってもう一度この場所に帰ってくる」という約束をしっかり果たしてくれた事を評価してラストチャンスで3年目を与えるべきなのではないかとファン心理では気持ちが揺らいでいる。

 

フルメンバーのマン・シティ絶対王政を破って獲得したFAカップのタイトルにはそのくらいの価値があると私は思っているので、かつてのサー・アレックスのように解任寸前からカップ戦タイトルを機に上昇気流に乗って強いチームを作り上げるというストーリーも悪くない。