いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

ジョエリントン ~冴えない点取り屋から頼れる中盤へ驚きの変身。

昨年10月、マイク・アシュリーに別れを告げ、新たな経営陣の下で迎えた初の移籍市場では完全移籍とローンで5選手を獲得し合計移籍金はプレミアリーグで一番の€102.10M(souce:Premier League - Transfers 21/22 | Transfermarkt)、変革真っ只中にあるニューカッスル・ユナイテッド

 

マグパイズの歴代移籍金ランキングTOP5のうち3名は今季に成立した取引ですが、クラブレコードは19/20夏、推定€44Mで加入したジョエリントン。

指揮官のラファ・ベニテス及び当時のエースFWサロモン・ロンドンが共に大連プロフェッショナルFCへ移籍し、質・量ともに不足していると見られたストライカーの後任として期待されましたが、昨季までの2シーズンで奪ったリーグ戦ゴールは僅かに6つ。彼の獲得は失敗というのが大方の見方でした。

 

しかし、今季序盤に解任されたスティーブ・ブルースの後任として新監督に就任したエディ・ハウがこのブラジル人アタッカーを本格的に中盤へコンバートさせた事で彼への評価は180度変化する事になります。

 

 

 

 

9番→10番→8番、遂に輝ける場所を見つける

 

昨年12月初旬、ハウがジョエリントンを評しフォワードよりもミットフィルダーの方が適性があるかもしれないと語った際にはストライカーとしての失格宣言か?とも一部では捉えられていました。

しかし、その言葉に裏は無く本当にそのままの意味であった事が証明されたのが12月28日のニューカッスルvsマンチェスター・ユナイテッド戦。

 

ラルフ・ラングニック就任4試合目、ウイングプレイヤーを配置しない4-2-2-2への適応に苦戦するレッド・デビルズに対し中盤センターを3枚にして4-5-1で対峙したハウは、ジョンジョ・シェルビー、ショーン・ロングスタッフに続く3人目としてそれまでセカンドストライカーとして使っていたジョエリントンを左IHに抜擢。

 

 

 

このド派手な先制ゴールを挙げたアラン・サン=マクシマンに注目の集まったゲームでしたが、ジョエリントンはキーパス4回(ゲーム内1位)、シュートブロック2回(2位)、インターセプト3回(1位)、タックル4回(1位)と正にセントラルハーフの理想とも言うべきスタッツを残し、対面のメイソン・グリーンウッド、マーカス・ラッシュフォードは殆ど見せ場を作れず沈黙。

 

低調とはいえイングランドを代表するメガクラブ相手にお株を奪うプレーを披露した彼は、以後の全ての試合でインサイドハーフ、8番での起用が続いています。

 

 

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参照:https://www.sofascore.com/player/joelinton/560128

これは過去2シーズンのジョエリントンのプレーエリア。

赤くなるにつれてプレー頻度の高い場所という見方をしますが、スティーブ・ブルース時代にはたまに左ウイングとして使われたくらいで、専ら9番として起用されたにしては低い位置、それも中央よりサイドに近いエリアでのプレーが多かった事が分かると思います。

 

更に、彼のFW時代の守備スタッツに着目するとタックル勝率、プレス回数、インターセプトといった代表的なところで、いずれも同ポジションの他選手との比較で非常に優秀な数値を残しており、当初は驚きましたがよくよく考えればハウがコンバート決断に至ったのはごく当然だったのかもしれない。

 

 

勿論、チームが主導権を握る時間が少なかった影響は少なからずあると思いますが、前任の9番サロモン・ロンドンの18/19シーズンと比較するとスタイルの違いは明らか。

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サロモン・ロンドン 18/19
参照:https://www.sofascore.com/player/salomon-rondon/35532

 

ブルース前監督は自分色よりも前任者のラファ・ベニテス路線継承を選択しましたが、ボックス・ストライカーのロンドン基準で組み込まれた戦い方をセカンドストライカー寄りのジョエリントンにそのまま当てはめてしまった事が上手くいかなかった原因かもしれません。とはいえ、2シーズンでリーグ戦10ゴールはいかなる理由があれどFWとしては失格の烙印を押されても仕方のない水準。

 

 

彼のコンバートは本人、クラブにとって正に逆転の一手でした。

 

似たようなケースは過去にも

 

90年代以前のフットボールでは、高齢により運動量の落ちたストライカーを中盤、バックスに落とす事はそう珍しくありませんでした。例えば97/98シーズンにPL得点王に輝いている名ストライカー ディオン・ダブリンはキャリア晩年のレスター時代にセンターバックでのプレーを経験しています。

 

反対に、後ろから前のポジションに移った成功例としてはウエストハムのミカイル・アントニオが挙げられます。彼も30歳でCFに本格的挑戦という珍しいキャリアを築いていますが、既にプレミアリーグにおける通算ゴール数はクラブレジェンドパウロディ・カーニオを抜いてアイアンズ内単独1位の54ゴール。

(加齢による衰えは今のところ感じさせないので、3ケタ到達も夢物語ではないかもしれない。)

 

 

近年で言えば元ベルギー代表でフラム、トッテナムの2つのクラブを跨ぎプレミアリーグで9シーズン活躍をつづけたムサ・デンベレイングランドへ渡る前は主にセカンドストライカーとしてプレーしていました。若い頃の彼は現在知られているような潰し屋ではなく、テクニカルなアタッカーとして評価されていた選手です。

 

 

参考資料として、古い選手名鑑にAZ時代の彼についての紹介文が掲載されていたのでこれを引用します。

卓越したドリブル技術と驚異のスピードを持つリーグ屈指のドリブラー。数人のDFに囲まれても、強引に間を抜けていくスキルは圧巻。昨シーズンはけがの影響で23試合の出場にとどまりながら、得点を二けたに乗せた。突破力を買われ、サイドで起用される事も多い。

出典:【2009-2010 EUROPE SOCCER GUIDE】 

ベルギー黄金世代の1人である彼は、フラム時代の指揮官マルティン・ヨルに中盤適性を買われてコンバートされ、ベテランのダニー・マーフィーとの中盤ユニットは安定して1ケタ順位に推移したクラブの屋台骨となりました。11/12シーズン終了後にはレアル・マドリーへ移籍したルカ・モドリッチの後釜候補としてトッテナムへ引き抜かれ、スパーズでは怪我に悩まされながらも7シーズンで公式戦250試合に出場。

 

MFとしては駆け出しのジョエリントンにとっては正に目標になるモデルケースで、デンベレが本格的にCMに移行したのが24歳~25歳のシーズン。ジョエリントンの場合は1歳遅れですがタイミングとしては十分巻き返し可能な段階。

 

 

今後彼らと同じようにFWからセントラルに場所を移した選手が出現した際に、「あのジョエリントンみたいになれば」と評されるような名選手になる事を願って今回は終わりたいと思います。