いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #MUFC 】リーグ戦半分を終えたユナイテッドを振り返る。巻き返しに必要なものは?

厳冬の候、新型コロナオミクロン株の大流行に伴い延期される試合も毎節出てきていますが、スケジュールを見ると3/4のクラブが半分を消化した21/22イングランド・プレミアリーグ

 

前シーズンを2位で終え、オフにはジェイドン・サンチョ、ラファエル・ヴァラン、そしてサプライズのクリスティアーノ・ロナウド帰還とPSGに匹敵する豪華補強で優勝を狙ったはずのマンチェスター・ユナイテッドでしたが、蓋を開けてみるとオーレ・グンナー・スールシャールは成績不振で解任され、既にリーグ戦6敗を喫するなど、非常に不甲斐ないシーズンを送っています。

 

今回はそんな赤い悪魔のシーズン前半を振り返りつつ、後半の巻き返しに何が必要となるかを考えていこうと思います。

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不安定な前半戦、オーレ体制の終焉と大幅な組織改革

 

大まかな流れ

 

12月中旬にチーム内でCovid-19アウトブレイクが起きた事からBrighton,Brentfordとの2試合が延期され、全てのチームとしたわけではありませんが、試合消化の数で言えば2022年最初の試合となったウルブス戦で丁度半分の19試合となったユナイテッド。

 

補強やプレシーズンの戦いぶり等から察するに、今季はカウンターベースのダイレクトな攻撃に加え、試合をコントロールしながらポゼッションスタイルで安定した勝利を積み重ねるという目標があったように思えますが、蓋を開けてみれば"二兎を追う者は一兎をも得ず"、何もかもが中途半端になってしまい、オーレ(スールシャール)はワトフォード戦の大敗から一夜明けた11月21日に解任の憂き目に遭っています。

 

オーレのアシスタントを務め、彼のいなくなった後もチームに残り、次の監督が決まるまで暫定的にチームを指揮したマイケル・キャリックは3試合を2勝1分けの好成績で乗り切りますが、後述する新指揮官の慰留を断わり、家族との時間を大事にしたいということで15年間在籍したクラブを退団。

 

サー・アレックス・ファーガソンの栄光を継承しようとコーチをOBで固めた前体制が道半ばで終わった事で、フロントは大胆なチーム改革に乗り出します。

 

 

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後任に選出されたのはゲーゲン・プレッシング誕生に大きく関与しているとされるドイツきっての戦術家、ラルフ・ラングニック"教授"というニックネームはかつて皮肉を込められて名づけられたものでしたが、ホッフェンハイムライプツィヒと新興クラブを立て続けにトップリーグの常連、タイトルレースにも参加できるレベルに成長させた事で自らがその異名に相応しい事を証明。

 

ラングニックは自身を支えるコーチングスタッフにレッドブル時代のネットワークを駆使して教え子たちを集め、更に来季からの2シーズンは現場を離れクラブのコンサルタントを務めるという事で、単なる助っ人監督ではなくクラブの根幹にまで彼の影響力が及ぶようになると考えられます。

 

調和を重視したオーレから規律を重視するラルフにボスが変わり、早くも練習の厳しさや試合で要求される運動量について不満が様々なメディアから伝わってきますが、The Professorの真価が問われるのは正にここからのリーグ戦19試合+カップ戦。

今後の巻き返しを信じています。

 

 

チーム面

 

オーレ体制4季目(フルシーズンとしては3季目)、ラッシュフォード、マクトミネイ、グリーンウッドといった若い生え抜きが地位を確立しつつある状況にレジェンドのロナウドが組み合わさる事でブレイクスルーを期待したファンばかりでしたが、結論から言えばチームとして一番強かったのは開幕戦のリーズ戦。シーズン最初の試合をピークにその後月日を追うごとにチーム状況は悪化。

 

 

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オーレはブルーノ加入と共に完成に大きく近づいた4-2-3-1をこれまでのシーズンでは好んで使用し、スターティング・ラインナップも殆ど固定メンバー。20/21のデータではリーグ戦の約89%をこのシステムで過ごしています。

 

しかしながら、新シーズンはマグワイア、ショーEURO2020イングランド代表躍進を支えた2名の勤続疲労から来ると思われる不調や離脱期間が長いカバーニ、そして純粋なCFではないロナウドをチームに組み入れようとした結果か、システムもメンバーも毎試合のように変わっていき、解任から3試合前のスパーズ戦ではクラブ伝統の左右ウイングを捨てて3バックを取り入れる程に追い詰められていました。

 

実際に各クラブのフォーメーションについて調べてみたところ、今季のユナイテッドはアストンヴィラとブライトンに次ぐ9種類のシステムを使用しており、1つの形を突き詰めるマン・シティやリバプール、そしてウエストハムといった今季好調のクラブとは対照的な結果が出ています。

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ラルフ・ラングニックが就任してからの試合では、全て4-2-2-2でキックオフを迎えており、新型コロナによる影響で試合やトレーニングが流れたこともあってまだ新システムに選手が慣れておらず結果には結びついていませんが、1つの形を完成させていくという意味ではこれは悪くない傾向だと私は思います。

 

勿論、マンチェスター・ユナイテッドというメガクラブでは成績が伴わなくても猶予が与えられるという事はまず無いのでリミットは迫っていますが、就任最初のパレス戦の前半に見せた高インテンシティのフットボールを理想形として今後もスタイルを貫いてほしい。

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巻き返しに必要なものは?

 

結論から言えば、あれやこれやと付け焼刃を加えるのではなく、1つの武器の完成度を高める、或いは以前から取り組んでいた試みを継続する、つまりは急がば回れ

 

 

それを念頭に置いた上で、まずは過去のチームと今のチームのデータを比較し、問題点を明らかにしてみましょう。(期間は19/20~21/22)

 

得点/試合:1.74⇒1.921.58

失点/試合0.95⇒1.16⇒1.42

 

シンプルに得失点で直近3シーズンを比較すると、1試合辺りの数字でいずれも今季がワースト記録。昨季は12Pts差ながらマン・シティに次ぐリーグ2位、残りの穴を埋める目的でCBリーダーたり得るラファエル・ヴァラン、直線型のアタッカーが多い中でプレイメーカーとしての才能を持つジェイドン・サンチョ、そして世界最高のゴールスコアラーCR7を加えたわけですが、ヴァランは離脱していた期間が2ヶ月弱あり、サンチョもプレミアリーグのスピードに苦しみここまで僅か1ゴール。そしてロナウドは得点貢献に関して未だハイレベルを維持していますが、ポストプレーや組織的プレスはトップクラスとは言えず、昨季エディンソン・カバーニの運動量と献身性におんぶにだっこだったチームは彼不在のダメージを多くの試合で実感する事に。

 

 

セットプレー

 

今季のユナイテッドは19試合30失点。1月8日時点でリーグ10番目とこの規模のクラブとしては守備崩壊ともいえる低水準で推移していますが、ファンの方々ならご存じの通りセットプレー守備に最大の問題を抱えており、FBref.comによれば被SCA(フリーキックコーナーキックゴールキック、キックオフ、スローインといった止まった状態からシュートにつながるプレーを許した数)はレスター(51回)、ノリッジ(42回)に次ぐリーグワースト3。

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一方でその状態からの失点は2つに留まっていますが、試合の流れを紐解くとセットプレー守備でセカンドボール拾えなかった事や陣地を回復出来なかった事によって生まれた失点は複数。更に、紙一重で失点せずに済んだ危険な場面も多く、ファンベースではセットプレーコーチのエリック・ラムジーへの批判が日に日に高まっていますが、いずれにせよ早急に手を打たなければいけないポイント。

 

 

セットプレーの問題は守備だけでなく攻撃にも及んでおり、ユナイテッドはプレミアリーグ全20クラブで唯一止まった状態からの得点が0。

以前、イングランド代表で何故ハリー・マグワイアがCKやFKから得点を量産できるかを考察しましたが、スリーライオンズではマグワイアにヘディングシュートを打たせる為に毎回同じフォーメーションを採用しており、ユナイテッドまずはこの形をそのままコピーしても良いですから、とにかく1つのパターンを極めて欲しい。

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守備的MF

 

ディフェンシブセントラルの質不足はそれこそマイケル・キャリックの引退から3年以上クラブの継続的な課題。

 

SAF時代、4-4-2ベースでポール・スコールズロイ・キーンが10年以上、キーン退団後もキャリックフレッチャーとセントラルMFに関しては怪我人続出の05/06を除けばほぼ悩みと無縁だったユナイテッドですが、2010年代に入ると真ん中の選手の守備の比重が高くなるフォーメーションを多用するようになり、攻守に動き回るBox to BoxよりもDeep-lying playmakerと呼称される守備的MFの役割を果たしながらも中長距離のパスで前線にボールを届けられる選手の需要が高まっています。

 

現在、チームでこの条件をクリアしているのはネマニャ・マティッチとポール・ポグバですがそれぞれ機動力と試合の中の持続性に問題を抱えており、後者に関してはこの欠点を覆い隠すためにアタッカーでの起用が増えています。(ポグバはそもそも負傷離脱中)

 

また、状態が良い日のスコット・マクトミネイもこの条件に一致しますが、彼はロングボールの精度は今季成功率84.0%と高いものの、パスの種類で言えば長いボールを蹴る割合は前2人より低く、積極的には使用しません。フレッジは正にBox to Boxの選手で、本来彼が一番輝けるのは中盤3枚時のIHでしょう。

 

 

仮に、冬の移籍市場で補強を考える場合は"プレミアリーグへの適応力"を前提にして、上述した"Deep-lying playmaker適性"(中長距離パスの質と頻度)や"走り負けしないスタミナ"が要求される事となりますが、その条件に当てはまる選手をピックアップすると、ルベン・ネベスやデクラン・ライスといったクラブが以前から目を付けている選手の名前が挙がってきます。

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ラングニック就任後名前が良く出るようになったアマドゥ・ハイダラは①:未知数,②:△~×,③:○なので求めるポイントとは一致しておらず、個人的にはオススメ出来ない。

やはり、ここでもパニックバイになる可能性もある急な判断より長期間スカウティングを続けた候補を選ぶというのが今後の為になると予想される。

 

 

メンタリティ

 

マーカス・ラッシュフォードの慈善活動はイギリス各地の児童に救いを与え、彼は1フットボーラーの域を超えた英雄になっていますが、彼がみせた助け合い・支え合いの精神はまさに今のユナイテッドに最も必要なもの。

 

例えば、パスを出すとき受け手に優しいバックスピンをかけてトラップしやすいボールを心掛ける、オフ・ザ・ボールでは出し手を助けるランニングでフリーの状態を積極的に生み出す、攻→守の移行では後ろのポジションに戻る時間を与えるためにアタッカーがきっちりプレッシャーをかけるといった細かい親切の積み重ねが勝敗を分ける重要な要素の1つ。

 

また、この親切とは何も他の誰かだけではなく、scanningと呼ばれる頻繁に首を左右に振って周りを確認する動作は数秒先の自分のために行うもので、シャビ、イニエスタモドリッチetc.近年のフットボールを代表するプレイメーカーたちはこの行動を決して怠る事はありません。

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これらの要素は技術的要素として語られますが、本質的には精神的なものから生まれるものだと私は考えています。勝者のメンタリティという言葉は時として解像度不足、あいまいで意味の無いものと捉えられてしまいますが、私はこの言葉を助け合い・支え合いの面から再定義しました。