*EURO2020 グループステージ Matchday2 イタリアvsスイス戦の記事です。
今大会オープニングマッチとなった対トルコ戦は相手の枠内シュートを0に抑え、攻撃面ではインシーニェ-インモービレ-ベラルディの3TOPがそれぞれ得点に直結する活躍を見せるなど完勝だったアズーリ。
第2戦の相手はアルプス山脈を挟み隣国同士の関係であるスイス。
マッターホルン山頂にはイタリアとスイスの国境線が通っています
リ・ナティ(スイス代表の愛称)の初戦はウェールズ相手に1vs1の引き分けで、勝ち点ではこの試合を落としても致命傷にはなりませんが得失点差を考慮するとなるべく最小失点で乗り切りたい試合。
距離が近いという事もあってか両チームの対戦はこれまでに58試合行われており、戦績はイタリア28勝-スイス8勝-引き分け22となっています。
スタメン
ホームのイタリアはRBがフロレンツィ⇒ディ・ロレンツォに替わった以外は初戦と同じメンバー同じシステムで挑みます。
トルコ戦でもディ・ロレンツォ投入後の方が安定していたのでここの序列は逆転したのかもしれない。
スイスも第1戦と変わらず3-4-1-2の布陣。
このチームの攻撃はシャキリへの依存度が極めて高いので彼をマンマークで潰されてしまうと手詰まりになる可能性があります。
また、鍵になるのは右ウイングバックのエンバブ。
イタリア左サイドはウイングとフルバックが両方ともかなり攻撃的な選手なので、ヴォルフスブルク所属のこのディフェンダーには攻守両面で高い運動量と集中力が求められます。
試合内容
前半
クラブチームに比べると代表戦は連携が取れず選手間の距離も開いてしまうケースが多いですがアズーリには全くその兆候がみられません。
6分には右サイドをショートパスで小気味よく崩すとロカテッリのランに気付いたインシーニェのループパスでボックス内に侵入。
シュートには至らなかったもののこのワンプレーだけで彼らの完成度の高さを知るには十分な情報量。
10分にはスピナッツォーラの縦の突破からインモービレがヘディング。
今大会ここまで最速となるスプリントを記録しているスピナッツォーラはドリブル時のボールを置く位置が上手く、右利きLBという不利になりがちな要素を逆に生かしてカットインやそれに見せかけた縦の突破など敵目線ではかなり厄介な選手ですね。
イタリアは19分に左からのコーナーキックにてゴール前でボールが二転三転しキエッリーニがこぼれ球を押し込んでゴールネットを揺らしましたが、これはその前のキエッリーニのハンドを取られてノーゴールで試合再開。
続く24分、そのキエッリーニが負傷を訴えてフランシスコ・アチェルビと交代でピッチを退くなど、少し嫌な展開が続きますが直後の26分にはロカテッリのセンターサークル手前からのベラルディへのドライブパスで一気に局面を打開すると、彼はそのままゴール前へ駆け込みベラルディの折り返しに自ら合わせてアズーリ先制!!
A team goal of the highest quality from the Azzurri 🇮🇹
— Optus Sport (@OptusSport) June 16, 2021
𝑻𝒉𝒂𝒕 pass out wide from Manuel Locatelli. Domenico Berardi dominating on the wing.
He returns the favour and Italy score from a brilliant one-two punch.
LIVE | https://t.co/nHorSUXwWs#EURO2020 #OptusSport pic.twitter.com/Yd8CIYah9A
ロカテッリを見ていたのはスイス8番フロイラーでしたがボックス手前からギアを上げたイタリアの新司令塔に反応できずマークを外しています。
スイス最初のチャンスは36分。
右サイドからシャキリにボールが入り前方にスペースのある状態でフリーになったエースはピッチを右から左へ斜めに横断するようにドリブルすると左サイドのリカルド・ロドリゲスへパス。
ロドリゲスのクロスはイタリアDFにブロックされますがようやくゴール前まで侵入する事に成功。
ただ、この後はイタリアの強力なカウンター攻撃に苦しめられて結局前半はITA:7本-SUI:1本とシュート数で大きな差を付けられて折り返し。
後半
47分のイタリアはゴールキックでロングパスではなくCBからのビルドアップを選択。
マンチェスター・ユナイテッドにも見習ってほしいくらいに狭いスペースで見事パスを繋ぎ、プレス耐性の高さも垣間見えるプレーでした。
52分にはバレッラの横パスを受けたロカテッリがゴール右隅に強烈なミドルシュートを沈めてイタリア2点目。
シュートは勿論ファンタスティックでしたがその前のシーンでチーロ・インモービレが目の前のディフェンス2人を釣った事もこの得点を生んだ要因。
2点差を付けられたスイスは64分に途中出場シュテフェン・ツバーのシュートでこの試合初の決定機を迎えますが ボールはドンナルンマの左脚に阻まれゴールとはならず。
その後はアディショナルタイムに1つシュートを記録したのみ。
ポゼッションではイタリアがペースを落としたので優勢になったもののボックス内に侵入することに苦しんだスイス。逆に90分にはこの試合決定機を3度外していたインモービレに名誉挽回のミドルシュートを沈められてチェックメイト。
試合は3vs0でホームのイタリア代表が勝利。
グループAのもう1試合ではウェールズがトルコを0vs2で下したので順位表は以下のようになっています。
1位:イタリア 勝ち点6 得失点+6
2位:ウェールズ 勝ち点4 得失点+2
3位:スイス 勝ち点1 得失点-3
4位:トルコ 勝ち点0 得失点-5
動画ハイライト
選手交代
イタリア
69分 in:キエーザ out:インシーニェ
70分 in:トロイ out:ベラルディ
86分 in:ペッシーナ out:ロカテッリ
87分 in:クリスタンテ out:バレッラ
スイス
46分 in:ガヴラノビッチ out:セフェロビッチ
57分 in:ツバー out:シェア
58分 in:ヴィドマー out:エンバブ
76分 in:R.バルガス out:シャキリ
84分 in:D.ソウ out:フロイラー
データ
イタリアはクリーンかつ相手より5km以上多く走ったという結果が出ており、技術的にも肉体的にもスイスを凌駕していた事がよく分かるスタッツ。
13本シュートを打って枠内が3つというのは少し物足りなさが残りますが、その3本は全て得点に結びついています。
そしてStar of the Match(MoM)は勿論マヌエル・ロカテッリ
🇮🇹 🌟 A classy display from two-goal Star of the Match Manuel Locatelli 👏👏👏@Heineken | #EUROSOTM | #EURO2020 pic.twitter.com/AjDE6eeis5
— UEFA EURO 2020 (@EURO2020) June 16, 2021
誰がみても彼の選出に文句はないと思いますが、ロカテッリは攻撃面だけでなく守備でも優秀な結果を残しておりタックル数暫定1位、タックル成功数暫定2位に位置しています。(2021-06-18時点)
スイスはポゼッションでは若干上回りパス成功率でも相手より優れた結果を残しましたが攻撃の迫力に乏しく、折角のカウンターチャンスでもトランジションが遅く相手に帰陣されるシーンも目についたので残念な結果となってしまいました。
GKのヤン・ゾマーはシュートを1つもセーブ出来ませんでしたが3点目を除けばほぼノーチャンスだったので、彼にとっては受難の一日でした。
因みに、彼はパートナーの出産に立ち会う為に一旦代表キャンプから離脱するとのことで突破がかかる第3戦はシュツットガルトからドルトムントへの移籍が決まったグレゴール・コベルにゴールマウスを託すことになりそうです。
あとがき
前評判ではポルトガルやイングランドと共にフランスに続くTier2の扱いが多かったアズーリ。
2試合をみた段階では彼らが内容的にも結束力でも最も優れたチームである私は感じています。
ただ、一番優れたチームが王者になるかと言えばそういう訳ではなく、近年で言えば2006年ドイツW杯でアズーリが優勝した時は決して順当な勝ち上がりとは言えませんでしたしEUROでも前回覇者ポルトガルはベスト8まで90分間で勝利を挙げることなく勝ち進んでいるのでこういう時に限って予想だにしない敗北の落とし穴があるのがフットボールの常。