いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #EURO2020 】優勝候補同士の直接対決はアズーリの勝利

*EURO2020 準々決勝 ベルギーvsイタリア戦の記事です。

 

 

ベスト8では一番のビッグマッチであろうこの一戦。

ベルギーはグループB、イタリアはグループAをそれぞれ全勝で勝ち上がりラウンド16では前者は前回覇者ポルトガルを辛くも勝利、後者はオーストリアに苦戦しながらも延長戦の末に退けてそれぞれこの場所までたどり着きました。

 

こうして今大会の結果を振り返ると共通点も多い両チームですが、過去の戦績はベルギー4勝-イタリア14勝-引き分け4回とアズーリが圧倒的に優勢。

最後に戦ったのは前回EUROのグループステージで、その際もイタリアが0vs2で勝利と赤い悪魔にとっては非常に厳しい対戦相手となっています。

(Belgium - Record vs Italy | Transfermarkt)

 

しかし、ラウンド16で戦ったポルトガルも相性の悪かった相手で、後半は自陣に押し込まれていたとはいえ90分で勝利を収めたので、今の彼らに過去の相性というものは当てはまらないのかもしれません。

 

 

両チームのこれまで

 

 

 

 

 

 

スタメン

 

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ベンチ入りベルギー:4ボヤタ、11カラスコ、12カミンスキ、13セルス、14メルテンス、18デナイエル、20ベンテケ、22シャドリ、23バチュアイ、24トロサール、26プラート

イタリア:1シリグ、5ロカテッリ、9ベロッティ、11ベラルディ、12ペッシーナ、13エメルソン、15アチェルビ、16クリスタンテ、20ベルナルデスキ、23バストーニ、25R.トロイ、26メレト

 

ベルギーは3CBの中央にポルトガル戦でクリスティアーノ・ロナウドを封じ込めたトーマス・フェルマーレンが継続してスタメン入り。

何かと低く見積もられがちなJリーグについても過小評価されていると試合後の会見で語りましたが、イタリア相手にもハイパフォーマンスを見せてその頼もしい言葉を更に補強して欲しい。

 

懸念としてはエデン・アザールポルトガル戦の終盤に負傷してしまい、メンバー外となってしまった事。

ジェレミー・ドクのドリブルは魅力的ですがこのチームの強みは固定メンバーで10年近く戦っている事からくる連携面にあるので、その中心である彼の不在は攻撃力低下につながる恐れあり。

 

 

イタリアはラウンド16でも途中出場から先制ゴールを決めてスタメン待望論が高まっていたフェデリコ・キエーザをRWで先発起用。

 

中盤の充実ぶりは他国を寄せ付けず、グループステージでは決定的仕事を連発したマヌエル・ロカテッリがベンチスタートになる程の陣容。

 

53年ぶりのEURO優勝に向けて特段気がかりな点は見当たりませんが強いて言うならば高齢の両CBの疲労度。

実際にキエッリーニはグループステージ第2戦で足を負傷しこの試合でようやくメンバーに復帰したばかりなのでおそらく万全の状態では無いと思われます。

それでもここまでの戦いぶりを見る限り彼らが優勝に最も近いのは間違いない。

 

 

試合内容

 

前半:新生アズーリの象徴のような先制弾

 

ベルギーは守備時にデ・ブライネが中央、ルカクが右サイドにスライドして5-2-3、あるいは5-2-1-2の形を採用。

イタリアのビルドアップで鍵を握るジョルジーニョにはデ・ブライネがマンマーク気味について縦のボールを牽制する形。

これが機能した最初の10分間はベルギーの作戦通りの展開だったと思います。

 

 

ただ、13分にセットプレーからレオナルド・ボヌッチがゴールネットを揺らし、このチャンス自体はオフサイドで取り消しになったもののその後はイタリアが主導権を握るような展開。

先述したベルギーの守りに対しイタリアはビルドアップ時にRBのディ・ロレンツォを低い位置に下げて3CBにすることで数的優位の状況を作り出し、更にLBのスピナッツォーラが高い位置を取って開けた左のスペースをヴェラッティが利用する事でジョルジーニョ抜きでも組み立ての形を作り出し、結論から言えばこの修正にベルギーは対応し切れたとは言い難かった。

 

 

このような背景からポゼッションはイタリア優勢でしたが得点チャンスに限れば機会が多かったのは寧ろベルギーの方。

22分、低い位置からドリブルでゴール前まで侵入したデ・ブライネの左足シュート、26分にはカウンターから再びデ・ブライネがボールを運びアウトにかけたパスを受けたルカクのシュートがゴール左端を襲いますがいずれも今夏のPSG加入がほぼ確実となっているジャンルイジ・ドンナルンマが好セーブ。

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そして試合が動いたのは31分。

右サイドでイタリアFKのリスタートから始まった攻撃はボックス内でカットされますが、その後すかさずイタリアは4人でボールホルダーのパスコースを封じてヴェラッティバイタルエリアインターセプトに成功すると、最後はパスを貰ったニコロ・バレッラの見事なボールコントロールからのシュートでイタリアが先制。

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*3人に囲まれながら間をすり抜ける見事なドリブルで決定機に繋げた見事なプレーでした。

 

イタリアと言えば元来カテナチオと評される鉄壁の撤退守備が持ち味とされてきましたがこのゴールを生んだのはそれと真逆の高い位置からのハイプレス。

攻撃面でも複数の選手が流動的に位置取りを変えて相手の的を絞らせないような動きを積極的に取りますが、この先制弾は旧来のスタイルから敢えて脱却しより攻撃的な姿勢を貫いてきた今のチームの成果が実った得点だったと思います。

 

 

勢いに乗るイタリアは44分、一度GKまでボールを下げてベルギーの守備を間延びさせるとインシーニェが左サイドハーウフェーライン手前からドリブルでボックス手前まで独力で運び、最後は狙いすましたコントロールカーブをファーサイドに送り届けて2点目のゴールをゲット!!

 

 

ベルギーも直後の45分にジェレミー・ドクのドリブルからPKを獲得してロメル・ルカクが今大会4点目となるゴールですかさずスコアをに戻して前半は1vs2で折り返し。

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後半:ジェレミー・ドク無限の可能性

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後半、ベルギーのチャンスはほとんどがドクのドリブルから生まれたものでした。

試合を通じてドリブル成功8回というスタッツは断トツの数字で、イタリアはチーム全体で5回の成功だったことからもその傑出度が分かると思います。

 

 

まずは56分、ヴェラッティを置き去りにしてゴールライン際から鋭いクロスを上げて口火を切ると61分にはカウンターからデ・ブライネにスルーパスを通しルカクの決定機をチャンスメイク。

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このビッグチャンスはレアンドロ・スピナッツォーラの見事なシュートブロックで防がれ、66分にはそのスピナッツォーラのアンダーラップからイタリアに後半初の決定機。

 

ドクは70分にもディ・ロレンツォを背負った状態でボールを受けるとそこからDF2枚を引き寄せてサイドチェンジのパスを通しシャドリのクロスからルカクのあと数センチで得点になっていたであろうチャンスに繋げています。

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イタリアにアクシデント

 

ようやく持ち前の攻撃性能を見せたスピナッツォーラですが、76分にジョルジーニョのサイドチェンジを受けて頭で前にボールを出しスプリントを試みた際に足を痛めてそのまま負傷交代。

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試合後の報道ではアキレス腱断裂の重傷であった事が発覚し長期離脱が予想される事態になってしまいました。

 

戦術面においても彼はアズーリの核を担う選手だったので本人のみならず代表チーム、そしてジョゼ・モウリーニョが新たな指揮官に就任したASローマにとっても非常にダメージの大きいトラブル。 

 

 

 

試合に話を戻すと、84分のドクの左サイドからのカットイン3連発はディ・ロレンツォ→ジョルジーニョ→クリスタンテ(74分からヴェラッティに替わって途中出場)を立て続けに交わす素晴らしいドリブルで、最後のシュートは惜しくも枠外でしたが今夏世界の名だたるクラブが挙って彼の獲得を目指すのではないかと思わせるには十分すぎるロマンあふれるプレーでした。

 

その後ベルギーは終盤にかけて8割近い支配率を記録し同点ゴールを狙いますが、イタリアもキエーザを下げてフルバックのラファエル・トロイを投入し5バックで守備を固めて結局AT6分40秒を回りタイムアップの笛が吹かれるまで最後の10分はシュートを1本も打つことが出来ずそのままイタリアが1vs2で逃げ切りに成功。

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選手交代

ベルギー

69分 in:メルテンス out:ティーレマン
70分 in:シャドリ out:ムニエ

74分 in:プラート out:シャドリ

 

イタリア

74分 in:クリスタンテ out:ヴェラッティ
75分 in:ベロッティ out:インモービレ

79分 in:ベラルディ out:インシーニェ
80分 in:エメルソン out:スピナッツォーラ

90+1分 in:R.トロイ out:F.キエーザ

 

 

データ

 

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前半からイタリアが主導権を握る時間帯が多く、ベルギーは持ち前の攻撃力を発揮出来たとは言い難い悔しい結果。

それでもxGはベルギー1.83-イタリア1.73と今大会最も評価の高いアズーリを上回った事からも分かるように決して勝てない試合ではありませんでした。

 

ベルギーとしてはデ・ブライネがジョルジーニョをマークするという構造上の問題でイタリアのビルドアップでどうしてもDFが一枚フリーになってしまった事も中々展開を掴み切れなかった要因の1つ。

攻撃パターンはセットプレー後のカウンターかドクの個人技くらいに限定されてしまっていたので、全体の印象としてはかなり窮屈な試合でした。

 

また、70分に投入して直後にはルカクの決定機を演出したナセル・シャドリが僅か5分で負傷交代に追いやられてしまったのも彼らの誤算の1つ。

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トーマス・フェルマーレンはクリア4回、シュートブロック2回、インターセプト5回、タックル4回とこの試合でもベルギー代表のベストプレイヤーでしたが惜しくも奮闘実らず。

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イタリアでは決勝ゴールに加えビッグチャンスクリエイト2回のロレンツォ・インシーニェがMoMに相応しいでしょう。

 

グループステージでは消えている時間も多かった彼ですが、代表チームで再結集したペスカーラ三銃士の連携もあって伸び伸びとプレーしていました。(ヴェラッティ、インシーニェ、インモービレの3人は11-12シーズンのセリエBで名将ズデネク・ゼーマンに率いられ優勝を果たしたチームの中心選手。)