いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #Euro2024 】後半アディショナルタイムにドラマあり

 

初戦を見てイタリアが強いと思ったのも今では遠い昔のように感じる。ちなみにCalafioriの表記・発音については「カラフィオーリ」と書いて「カ(ッ)ラフィオリ」と読む派です。何を言っているのかよく分かりませんがそんな感じでよろしくお願いします。

 

 

 

 

【Match Review】スコットランドvsハンガリー

 

ベンチ入り

スコットランド
9 Shankland,11 Christie, 12 Liam Kelly, 16 L.Cooper, 17 S.Armstrong, 18 L.Morgan, 19 Conway, 20 R.Jack, 21 Z.Clark, 22 R.McCrorie, 23 K.McLean, 24 G.Taylor, 25 J.Forrest

ハンガリー
2 Á.Lang, 3 Balogh, 4 A.Szalai, 5 Fiola, 7 Négo, 8 Á.Nagy, 9 M.Ádám, 12Dibsuz, 15 Kleinheisler, 16 Gazdag, 18 Z.Nagy, 22 Szappanos, 23 Csoboth, 25 Horváth, 26 M.Kata 

 

前半

 

スコットランドはチェ・アダムス1トップの下にマクトミネイとマッギンを置いた3-4-2-1でゲームに入ったが、初戦、2戦目と全て違う前線の組み方になっている事から分かるようにアタッキングサードにどのように侵入するか、オープンプレーからどうやって得点に結びつく攻撃を完了させるかという点において非常に苦しんでいる印象を受ける。

 

一方、ハンガリーは相手チームの流れの中からの局面打開力の低さを念頭に置いたか、ポゼッションを譲って5-2-3ローブロックで待ち受ける形。プレスラインはハーフウェーラインを越えてからなのでスコットランドの得意なオープンな展開をそもそも生み出させず、尚且つ5-2の部分をコンパクトに圧縮して背後やライン間のスペースを徹底的に潰した。

 

よってボールを保持出来てもブロックの外側を回すに終始するスコットランドと相手のエラーが出るまでじっと耐えてカウンターやソボスライのプレースキックから一発を狙うハンガリーの構図が45分を通して続き、何とスコットランドは前半の間に1本もシュートを打てずに折り返す事になった。

 

ハンガリーの方はソボスライのフリーキックに合わせたオルバンの大きなチャンスを含めて5本、こちらも決して多くは無いが2チームを比べるならば圧倒的に得点の匂いが漂っていたのは間違いない。

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後半

 

スコットランドのポゼッションがアタッキングサードに入る前で手詰まりになる理由の1つにFW-MFライン間でパスコースを作りつつ、相手のセントラルMFを釣り出してよりバリューの高いMF-DFライン間を広げられるような選手がいない事と、中盤で創造性を発揮するプレイメイカータイプの不在があると個人的には考えているが、ボーンマスでダブルピボットとして新境地を開いたライアン・クリスティ―こそその答えになり得る選手だと思っているので、彼を左サイドでの1試合でベンチに落とすのではなく今の状態に適したポジションで先発起用された姿を見てみたかった。

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後半に入っても相変わらず煮え切らない展開が続く中、衝撃的な出来事が起きてしまったのは68分のハンガリーFK。ソボスライがGKとフィールドプレイヤーの間に蹴ったロブパスに対しスコットランド守護神アンガス・ガンとハンガリーFWヴァルガがスピードに乗った状態で交錯。特にヴァルガは顔面を強打し意識を失っているように見え、それこそEUROでは前回大会でもエリクセンが心臓のトラブルに見舞われて生死の境をさまよったという背景もあった為、今回の件でも命にかかわる問題になってしまうのではと選手たちの表情や会場の雰囲気は絶望に包まれた。

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ただ、試合後に入ってきた情報でヴァルガの容態は命に別状なく、顔面骨折と脳震盪という診断で決して軽い怪我ではないが、骨折に対する手術は既に現地時間6月24日午後に無事成功したとの事で本当に良かった。1日でも早く日常生活、そしてフットボールへの復帰が出来る事を願う。

 

この中断の影響もあってアディショナルタイムの提示は10分という長さとなり両チーム突破の可能性を繋げるには勝ち点3が欲しい中でリスクをかけた攻撃が増えていく。左サイドではロバートソンが完全にウイング化している事で帰陣が間に合わず、空いているスペースを使うハンガリーのカウンターはAT2分のチョヴォトのシュートがポストに直撃したように、今すぐにでも得点に結びつくのではという位にチャンスを生み出していた。

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スコットランドもAT8分に前線まで上がってきたハンリーがボックス内のゴール正面でシュートチャンスを得るがグラーチの範囲内でゴールネットを揺らすに至らず、引き分けのままタイムアップを迎えるのかと思われたAT10分、ハンガリーは時間的にも最後のチャンスになるカウンターアタックから、先程悔しい思いをしたチョヴォトがロランド・シャッライの折り返しを決めきって劇的なゴール!!

 

戦術的な観点で言えばいくらでもこれよりレベルの高い試合はあったものの、最後に勝敗を分けるのは疲れている状況でどれだけ無理を利かせられるかという精神的強さであり、ハンガリーはヴァルガのアクシデントを経てより一層結束が固まったように見えた。出場する権利を得られるかどうかはこの後のグループE,Fの結果次第ではあるが、もしかするとトーナメントでも波乱を巻き起こす存在になるかもしれない。

 

【Match Review】クロアチアvsイタリア

 

ベンチ入り

クロアチア
5 Erlić, 7 Majer, 12 Labrović, 14 Perišić, 16 Budimir, 17 Petković, 18 Ivanušec, 19 B.Sosa, 20 Pjaca, 21 Vida, 22 Juranović, 23 Ivušić, 24 Marco Pašalić, 26 Baturina

イタリア
4 Buongiorno, 6 Gatti, 7 Frattesi, 9 Scamacca, 12 Vicario, 13 Darmian, 15 Bellanova, 16 Cristante, 17 G.Mancini, 20 Zaccagini, 21 Fagioli, 22 El Shaarawy, 24 A.Cambiaso, 25 Folorunsho, 26 Meret

 

前半

 

 

イタリアは前線のラインナップを大きく変えてライン間でのボールレシーブが得意なラスパドーリとひたむきさが持ち味のレテギの2トップでグループステージ最終節に臨む。クロアチアの方はグヴァルディオルをLBに再び移動し、1試合目のスペイン戦から3トップの陣容をテコ入れした形。

 

引き分けでも突破を確定させられるアズーリは5-3-2ベースで後ろの枚数を確保し、ポゼッションではボールに関与しないサイドのWBが大外で相手フルバックを釣り出しつつ、サイドチェンジからスペースのある状態でボールを受けてフィニッシュワークに繋げるというパターンをチーム戦術として狙っており、こうなると個での打開力が高くないディ・ロレンツォにはどうしても不満が溜まりやすい構造。

 

27分にはCK後の2次攻撃から、バレッラのアウトスイングクロスにファーでバストーニがドンピシャのタイミングで合わせるもリヴァコビッチのスーパーセーブに阻まれ得点ならず。この試合、バストーニの空中戦の打点の高さはイタリアにとって重要なチャンスの源となっており、後半にもCKからビッグチャンスを作っているがそれ以上にクロアチア最終防波堤の反応速度が圧倒的過ぎた。

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クロアチアは2CBにモドリッチ,ブロゾビッチ,コバチッチのいずれかがサポートに入ってビルドアップを行うが、イタリアは前線が2枚なのでバレッラ,ペッレグリーニのうちボールサイドにいる側がスライド。ただ、バレッラが前に出ている際にその分ポジショニングを内寄りにしなければならない所でペッレグリーニは細かいポジショニング修正に無頓着な部分もあり、このような守備スライドで発生する細かなズレの積み重ねもあって主導権はヴァトレニが握る展開に。

 

また、守備面ではドンナルンマ→ディ・ロレンツォへのロブパスを前線プレスにおける奪いどころとして設定しており、グヴァルディオルがディ・ロレンツォに対しタイトにプレッシャーをかけ、近くの選手も一気に密集してボールを奪い切る。但し、イタリアのカウンタープレスや奪われた後の全体的なポジショニング修正も速く、なおかつクロアチアの前線に一気に押し切れるようなアタッカーもいない為得点チャンスに直結させる事は中々出来なかった。

 

 

後半

 

 イタリアは守備面でスライドの遅さが気になったペッレグリーニを下げてフラッテージ、クロアチアはほとんどボールに絡むことなく前半を終えたマリオ・パシャリッチに変えてCFのブディミルを投入とそれぞれ1枚ずつ交代カードを切って後半開始。

 

クロアチアは前半よりもモドリッチが右外に流れてボールを受ける頻度が高くなり、右サイドを起点にポゼッションが安定しキックオフからイタリア陣内に押し込んだ時間が続く。

 

51分、イタリアのゴールキックに対し、ボールサイドでのマンツーマン守備からインターセプトに成功すると、モドリッチが前線守備に参加した穴埋めとして右寄りにポジションを取っていたブロゾビッチがスタニシッチにボールを預けてからのアンダーラップで相手左WBディマルコの背後を取ってリターンパスを引き出すと、そのままゴール前にクロスを送る。最初のフィニッシュワークではタイミングが合わなかったものの、流れたボールをクラマリッチが拾いチャンス継続、インスイングクロスに対してフラッテージが手を挙げて対応してしまいイタリアはハンドボールの反則でPKを与えてしまう。

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ただ、歴戦のモドリッチと11mの間合いで対峙したドンナルンマを見事コースを読んでPKストップに成功しイタリアは最悪の状況から脱した。しかしながら、PK後のオープンプレーでボールを失う事無く右サイドから再度ゴール前にクロスを放ったクロアチアは、ブディミルのシュートのこぼれ球をモドリッチが詰めて先刻の損失を補う先制点をマーク。

 

グループステージ突破をこの試合で確定させる為には得点が必要になったイタリアは早速交代カードを使い、ディマルコに変えてフェデリコ・キエーザを送り込んで右ワイドに起用。これに伴ってディ・ロレンツォが右CB、ダルミアンが左WBへ移動したが、ディ・ロレンツォが右大外取る事による打開力不足という前半の課題がダルミアンで繰り返される事となった為、攻撃的にいきたいのか失点を最小限でとどめる事を優先したいのか分かりにくい中途半端な交代だった。

 

また、今大会のイタリアのスカッドを見ると個で攻撃を完了させられる左利きの右ウインガーが不在であり、代表チームで柱の1人となっていたドメニコ・ベラルディの長期離脱、代替役として一定の貢献を期待出来るリカルド・オルソリーニ,マッテオ・ポリターノ辺りの中から誰1人としてリスト入りをさせなかったというアズーリのコアなファンが大会前から懸念していた要素がどうやら現実にチームの選択肢を狭めている様子。

 

中盤の選手を中心に運動量が落ちた選手を変えていきながら逃げ切りを図るクロアチアを前に、スカマッカ、ファジョーリ、ザッカーニと交代枠を全て使い何としてでも同点に追いつこうとするアズーリだが、90分の中では得点を奪えず残るはアディショナルタイムのみというところまで追い詰められる。

 

AT8分、カラフィオーリが低い位置からボールを運び、潰れながらも何とかバトンを繋いだフラッテージとのパス&ムーブでアタッキングサードまで進出すると、ペナルティアークまで来たところで左サイドにパスを送る。最高のお膳立てを得たザッカーニは迷うことなく右足を振り抜き、美しいカーブ軌道を描いたボールは右サイドネットに吸い込まれていって劇的同点ゴールに!!

 

トータルで振り返れば問題が増えただけで何ら課題が解決されている訳ではないものの、尊敬するアレッサンドロ・デルピエロの得意なゴールパターンを再現したかのような左45度からのコントロールショットを一発回答で決めて見せたザッカーニの強心臓っぷりはアズーリに新たな風を吹かせた。

 

一方、寸前で勝利から引き分けに結果が変わってしまったクロアチアは3試合で2分け1敗の勝ち点2という事で翌日の他グループの試合結果を待ってグループステージ敗退が決定。スペイン相手にポゼッションでリードするなど相変わらずの技術の高さを見せたが、グヴァルディオルの起用法や短い試合間隔でより顕在しやすい主力の高齢化問題に飲まれてしまった印象。