11月中旬のインターナショナルウィークにて多くの選手が代表に招集されているなか、居残り組を中心にトレーニングを始めているルベン・アモリム新監督。
いくつかのセットアップをまとめたハイライトがクラブ公式にてアップされているが、どれを見てもそのトレーニングの真ん中に入って選手目線で指導を行っているのが特徴的であり、これは代表レベルの選手として現役時代を過ごしまだ40歳手前の若さであるというアモリム自身の強みを生かしているとも言える。
また、ボールレシーブ時の姿勢や身体の動かし方をメイヌーに事細かく教えている場面にも見られるように細部へのこだわりも強く、就任インタビューを見るに英語でのコミュニケーションを滞りなく行えそうなのも心強い。
さらに、ブルーノ、ダロト、カゼミロ、アントニーとクラブ内にはポルトガル語話者も多く、中でもチームキャプテンと密接に連携を取れるというのが何より安心できる要素であり、解決しなければならない課題であったブルーノのプレースタイルの転換という事柄についてもディテールを詰めやすい点は非常に頼もしく思う。
上記のインタビューでも繰り返しのように選手に対して明確なメッセージを発信していく事の大切を説いていて、その言葉はマンチェスター・ユナイテッドにいながら負ける事になれてはいけないという姿勢の部分と実戦の中でどのような立ち回りを監督が求めているのかという実践面の双方にかかっている。
なお、このトレーニングにて3-4-3システムを使用してミニゲームを行った事でアモリムはユナイテッドでも3バックを本格運用するのではないかと囁かれているが、個人的な感覚としてはポゼッション時のそれぞれの動き方を理解させる上でスペースの区分が分かりやすいこの形を使ったと考えている為、一時的にそうなる事はあっても最終的には3でも4でもシステムありきではなく選手の特徴に合わせて柔軟に対応するのではなかろうか。
インテリジェンス不足の感をひしひしと感じる場面が多々ある今のユナイテッドにとってはフットボールを体系化出来得るアモリムは需要を満たす指揮官である事は間違いなく、シーズン途中の就任という難しいプロジェクトに彼のようなどこからでもオファーが届くような新進気鋭の監督がやってきてくれた縁に感謝すると共にサー・ジム・ラトクリフ体制への信頼も高まった人事である。