*EURO2020 グループステージ Matchday2 イングランドvsスコットランド戦の記事となります。
クロアチアにラヒーム・スターリングのゴールが決勝点となり1vs0で勝利し、10度目のEURO本大会で史上初となる初戦勝利を飾ったスリーライオンズ。
第2戦はスコットランドとの因縁の対決が予定されています。
いかなる結果に終わるにしろ激しい球際や時には1つのプレーを巡って乱闘騒ぎになるようなことも想定されますが、選手達は熱くなるあまり不必要なカードを貰って退場するという事だけは避けなければいけません。
イングランドは勝てばグループステージ突破決定、スコットランドは勝ち点1以上で第3戦に臨みを繋ぎたいところ。
スタメン
イングランドはフルバックを入れ替えた以外は前節と同様のラインナップでスタート。
クロアチア戦では予選で全体の最多得点者だったハリー・ケインが中々思うようなプレーを出来ませんでしたが、システムもプレイヤーもあまり変更が無いのでこの試合でもケインが消える時間が増える可能性は高いです。
スコットランドはマクトミネイを3CBの右で起用し、第1節は怪我の影響でスタメンから外れていたキーラン・ティアニーも先発出場。
この3-5-2はロバートソンとティアニーの共存を図る為にたどり着いた策ですが、各レーンにディフェンダーを配置できるので非常に安定感の高い形が出来ました。
試合内容
前半
序盤はスコットランド優勢でイングランドはフィリップス-ライスの3列目がやや鈍重という印象。
4分にはスコットランドが右サイドを崩してオドネルのクロスにチェ・アダムスが合わせてイングランドゴールへシュートは飛んでいきますがこれはジョン・ストーンズが足でブロック。
イングランド最初の決定機は11分。
スターリングのドリブルを起点に得たこの試合最初のコーナーキックでストーンズがポスト直撃のヘディングシュート。
ニアサイドで彼のマークを外してしまったダイクスにとっては命拾いというシーン。
13分にはスコットランドのビルドアップでマクトミネイからボールを奪取したスターリングの股抜きラストパスにメイソン・マウントが合わせますが少しタイミングがズレて2度目の決定機も得点には至りません。
ここまでのイングランドは両フルバックをあまり効果的に使えておらず、左サイドはスターリングとマウントがスペースを潰してしまいルーク・ショー得意のオーバーラップ・アンダーラップの機会に恵まれず、右サイドのリース・ジェームズも中々相手ゴールへ近づくパスを入れられない時間が続きます。
RWのフォーデンが守備面であまり効いていないこともあって攻撃参加の好きなジェームズとしては窮屈な展開だったことでしょう。
それでも19分にはようやく得意のワンツーからショーがチャンスを演出し、直後に食らったカウンターでもマクレガーとの1vs1に勝利して未然に危機を摘み取るなど徐々に本領を発揮。
イングランドの攻撃は大部分が左サイドからでマウントとショーは執拗に裏のスペースへ浮き球を配球し続けますがスコットランドはサイドアタックに対して中盤2枚が素早くスライドする事で見事に対応。
元々最終ラインは5バック気味で守りスペースが少ないのでイングランドの手詰まり感が目立つように。
30分にはロバートソン-ティアニーの縦の連係で左サイドを崩してティアニーのクロスにオドネルがボレーで合わせますが、味方DFがブラインドになっている難しい局面にピックフォードのスーパーセーブが飛び出し何とかコーナーへ逃げる事に成功。
スコットランドはポゼッションこそ宿敵に主導権を握られていたもののゲームプランとしては明らかに相手より想定通りに遂行出来ているように見受けられ、43分~44分にかけての長いボール保持からの攻撃は思わず拍手を送りたくなる完成度でした。
後半
最初の5分は正にLuke Shaw's show。
ワンツーからアタッキングサードに侵入してチャンスクリエイトしたかと思えば前半に続きコーナー後の被カウンターで1vs1に勝利する攻守両面の大活躍に思わず【なぜサウスゲートは初戦で彼を先発起用しなかったのか】と嘆きたくなったのは内緒。(国際舞台の経験の乏しいミングスの隣にベテランを配置したかったという理由があったそうですが)
スコットランドも50分にはここまで攻撃参加を控えていたマクトミネイが得意のスペースへ持ち上がるドリブルからようやくらしいプレーが見られました。
3CBだと彼のダイナリズムが失われてしまうので持ち味を発揮できているかと言えばNoですが、第1戦のヘンドリーのパフォーマンスを考えればこれ以外に選択肢を取れないのも事実。
ここまで一度も名前が出てない事から察する事が出来るかもしれませんがクロアチア戦に続き試合から消えていたハリー・ケイン。
55分にはリース・ジェームズのシュートをお膳立てするパスでようやくチャンスに顔を覗かせますがこの試合ではオフサイドになった前半のダイビングヘッドとこのプレーくらいしか彼の見せ場は無かったです。
60分辺りからはようやくオープンな展開になり始めたこのライバルマッチ。
恐らくこの試合最大の得点チャンスだったプレーは62分スコットランドのコーナー。
右サイドからロバートソンのインスイングのボールが入り、中央で競ったハンリーが横に頭で落とすと最後はダイクスのボレーシュート。
コース的にはポスト直撃かやや枠外かという際どいシュートでピックフォードも反応出来ていませんでしたがライン上でリース・ジェームズがスーパーブロック。
イングランドは63分にフォーデン🔁グリーリッシュ、74分にケイン🔁ラッシュフォードと残り時間が少なくなってきたところでようやく攻撃のカードを切り始めますが残念ながら機能したとは言えず、後半はシュート数でスコットランドに上回られる始末。
肝心の試合展開も枠内シュートは1つしかなくAT1分にはリース・ジェームズのクロスからゴール前でまるでラグビーのような肉弾戦が繰り広げられますが、これはある意味この試合のイングランドの連携面の薄さと個人能力頼りのプレーの象徴とも言えるシーンだったと思います。
逆にスコットランドは全員守備で粘り強く身体を張り、この場面ではマクトミネイが頭から飛び込んでおりまるでジョン・テリーやフィル・ジョーンズを思わせるような熱の入り様でこの試合にかける情熱の差は歴然でした。
試合はスコアレスで終了
動画ハイライト
選手交代
63分 in:グリーリッシュ out:フォーデン
74分 in:ラッシュフォード out:ケイン
76分 in:アームストロング out:ギルモア
86分 in:ニスベット out:チェ・アダムス
データ
イングランドはボールを保持しているというよりは持たされている感の強い試合で実際にシュート数がスコットランドより少ない事もそれを裏付けるような結果。
SofascoreのxGはイングランド:1.45-スコットランド:0.66とビッグチャンスの差でスリーライオンズが優勢だったようですが、大会屈指のタレントを集めながらこのフットボールというのではガレス・サウスゲート監督に対する不信が強まっていても仕方のない結果だと思います。
そして、CL決勝まで戦った疲労が抜けきっていないのかフィル・フォーデンは1試合スタミナが持たないので彼の交代要員は大切なカードですが何故かジェイドン・サンチョは一向に使われず。
状態が悪いのであればこの試合もクロアチア戦同様にベンチ外にすればいい話で、ベンチにいるアタッカーでは彼が最も右サイドで脅威を与えられる選手なのでこの部分はかなり不可解。
また、デクラン・ライスとカルバン・フィリップスの同時起用だと攻撃面では物足りなさが目立ち今回のように主導権を握れる見込みの高い試合ではどちらか一方を控えにしてよりプレイメーカー寄りの選手を使って欲しいですね。
という事で第3戦はこんな感じのラインナップを見てみたい
本音を言うならばウォード=プラウズがいれば右IHで抜群にフィットしそうだったので彼を招集しておくべきだったと今でも思ってしまいますが、現状のスカッドで判断するならばこの陣容が一番魅力的だと考えています。
スターリングは2試合出ずっぱりで疲労が溜まっているでしょうからベンチスタート。
ケインも今のフットボールだとキャルバート=ルーウィンの方が適合しそうですがエースなので1点はグループステージの内に決めておいて欲しい。
あとがき
スタメン起用に関しては一旦置いておくとしても明らかに攻めあぐねている試合で交代カードを2枚しか切らない判断の根拠は何だったのか謎。
特に後半のフィリップスは存在感が0に等しかったのでいの一番に手を加えるところだと思っていましたが……