いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #MCIMUN 】Amorimがファンの信頼を確固たるものとしたマンチェスター・ダービー

※24/25 イングリッシュプレミアリーグ

マンチェスター・シティvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。

 

プルゼニ戦で見えたクロス対応の課題を解決し、守備の連動性も出てきたアモリム体制のユナイテッドはエティハドで劇的な逆転勝利!!!!。SAF以降の新監督最初のマンチェスター・ダービーでは勝ちが無かったので正直驚かされている。

 

 

 

 

【Match Review】

Starting lineup

ベンチ入りマンチェスター・シティ
5 Stones, 8 Kovačić, 10 Grealish, 18 S.Ortega, 26 Savinho, 66 Simpson-Pusey, 67 D.Mubama, 75 N.O'Reilly, 87 J.McAtee

マンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 2 Lindelöf, 11 Zirkzee, 12 Malacia, 14 Eriksen, 15 Yoro, 18 Casemiro, 21 Antony, 37 Mainoo

 

例えアカデミー出身でもえこひいきはせずあくまでもピッチ内外での行動によってのみ評価するという姿勢を明確にするうえで今のラッシュフォードやガルナチョをベンチ外にするのは正しい判断だと思う。私は全面的にアモリムを支持したい。

 

前半

 

4-1-4-1を基準にグヴァルディオルのリベロで中盤の厚みを増やしていくマン・シティに対してユナイテッドはいつもの5-2-3ブロックよりも両ウイングのライン設定を低めにしてサポートにいける距離感を意識した5-2-2-1で対応。シティのビルドアップは選手間の距離が広いので難易度が高いかつ1エラーが即命取りになるが、それでもパススピードが速く精度も高いのでプレスを嵌めきるのは難しい。

 

ただ、元から前線で奪いきろうとしていなかったように見えたのでそれ自体はさほど問題ではなく、逆にプルゼニ戦で見られたファーサイドへのハイクロスに対してのポジショニングの課題を短い期間で解決してきた事でリチャ周辺を狙ってきたハーランドに対し空中戦で決定的な仕事をさせなかった。

 

右サイドはマズラウィのWBとアマドのウイングという組み合わせになったが、守備強度に気をかけながらも狭いスペースでの息の合ったコンビネーションや2者のボールプレーの精度の良さに加え、アマドに大外を解放して自身はNo.8化するマズラウィの受け身のポジショニングの良さなどもあって対強豪ではこれがベストの並びなのかもしれない。

Embed from Getty Images  

 

11分30秒頃のスローインの際に一旦試合が止まり、何事かと思えばなんとメイソン・マウントが芝生の上で体育座りをしていてプレー続行不可のサインを自ら発信していた。流石にこれほど故障が癖になっていては戦力として計算が出来ないので立場的にも苦しい。

Embed from Getty Images  

 

想定外のカードを切らなければいけなくなったユナイテッドはメイヌーをピッチに送り込み、マウントの消えたLWにはブルーノをスライドしてシステムはそのまま3-4-3。

 

ブルーノLWでもコンセプトとしては変わりないので影響は最小限にとどめる事が出来、メイヌーも復帰から試合を重ねてフィットネスについては改善傾向にある為この交代で不利に陥る事は無かったのが不幸中の幸い。

 

マン・シティはビルドアップからアタッキングサード前までのギュンドアン依存が高く、周りの選手のオフボールが少ないので多少彼が強引にボールを運ぶかリスキーなパスを選ばざるを得ないシーンが目立っており、特にデ・ブライネやベルナルド・シウバは何か故障を抱えているのかというくらいに足が沈んでいるように見えた。

Embed from Getty Images  

 

また、サイドの1on1で優位性を作りたかったであろうドクvsマズラウィの所でもむしろ後者の方がデュエルで優勢なので思うように起点を作る事が出来ず、なおかつ全体のスペースメイクや裏抜けが少ないため怖さがなく、逆に味方のカバーで前に出てくるグヴァルディオルの背後には常に失点の香りが漂っていた。

 

このように試合の流れとしては五分五分か若干ユナイテッドの方が上手くいっているような雰囲気すら漂わせていたが、セットプレーによってこの関係性に変化が生じる。

 左サイドでCKを得たシティはショートコーナーからリターンを受けたデ・ブライネがダイレクトでクロスを蹴り、ミートの瞬間にアマドの足にぶつかった事でイレギュラーな軌道を描いてゴール前に入ってきたボールをグヴァルディオルが叩き込んで先制。

 

予想だにしない軌道になった事でダロトとホイルンドの対応が一瞬遅れ、なおかつインスイングでゴールに向かう回転を想定していた為に重心も逆をつかれる形になってしまうという不運もあったが、失点は失点なので引き続きセットプレー守備についてはトレーニングで重点的に向き合ってもらいたい。

 

 

後半

 

ハーフタイムの入れ替えはなく後半開始。一番良かった頃と比べると明らかに上下左右の細かい動き直しが減った今のハーランドに対してはマグワイアで十分対処可能であり、彼をターゲットにしたロングボールはさほど脅威にはなり得なかった。更に言えばマグワイア自身も無駄にスピードを上げてタッチライン際へ追い込まれるボールキャリーや身体の向きがロックされているようなパスレシーブが減少傾向で、持ち前の空中戦の強さ含めこの試合ではなくてはならない存在だった事も触れておきたい。

Embed from Getty Images  

 

ユナイテッドの安定した試合運びを支えているのはマグワイアを含め3CBのパフォーマンスであり、63分のリチャのプレスのいなし方には思わず実況も感嘆の声を上げるほど。

 また、シティの横スライドが遅い事もあってリチャ,マグワイア,デ・リフト,ダロト辺りのサイドチェンジは非常に刺さっていた印象。

 

ピッチ上の事象だけ見ていればスコア0-0に見えるくらいに拮抗していたマンチェスター・ダービーだが、ホームチーム視点に立つとその停滞の大きな要因になっていたのがデ・ブライネで、実際にペップが一番最初に切った交代カードも彼だった。

Embed from Getty Images  

 

適性からは遠い4-1-4-1のアンカーで球際の強度や個としての推進力を要求されながらもポゼッションで頻繁に味方のサポートに顔を出していたギュンドアンがNo.8になり、運動量の少なかった選手が1人減った事でマン・シティが徐々に主導権を奪い返し始めていく。

 

ここまで触れてこなかったホイルンドに1つ注文を付けるとすれば、相手CBに張り付いて駆け引きする時間を減らして欲しいという点。例えば、背後のスペースにボールを要求する際にDFラインとの距離感が近いまま、デスマルケのように助走区間を確保する動きをする訳でも無くそのまま走りこもうとするとどうしてもオフサイドに引っかかりやすく、なおかつ足元でパスを受けるにしても後ろからプッシュされて体勢を崩しやすいのでミドルサードでの立ち回りについてはジルクゼーを見本にもう一段洗練が必要。

Embed from Getty Images  

 

話は変わるがアモリムの良いところの1つは交代策の理由がハッキリと伝わってくる点であり、シティがドクを引っ込めて個としての局面打開力では彼に劣るグリーリッシュを投入すると2分後にすかさず右WBへアントニーを入れて攻勢を強める意思をピッチ上に伝えている。

 

終盤に入りもう一度主導権を取り返したユナイテッドはメイヌーがMF-DFライン間でのレシーブ及びそこからクロスターゲットとしてDFライン前に飛び出していく前のオフボールを増やしていき、同時にCFがジルクゼーになった事で一列降りてボールを引き出す動きを彼が多用するのでスペースメイクの循環が良くなっていった。

 

85分、ウォーカーの安易なライン際の味方への横パスでユナイテッドはプレスのスイッチを入れ、更にボールを受けたヌネスのバックパスが短くなった所を逆サイドから猛然と追い込んできたアマドがインターセプト。自分のエラー由来のピンチだと慌てたヌネスはボックス内でアマドに対して完全にファウルを取られるタックルに及んで倒してしまいアウェイチームにペナルティキックのチャンスが与えられた。

Embed from Getty Images  

 

このPKをブルーノが冷静に沈めてユナイテッドは試合を振り出しに戻す。

 

元々流れを掴んでいた上に振って湧いた同点弾で尚更勢いづく赤い悪魔。メイヌーがグヴァルディオルの注意を引いて背後への警戒を甘くしている所にリチャから完璧なロブパスが送り込まれてこれに応えたのはまたしてもアマド。ファーストタッチでGKエデルソンを交わすと、やや左に流れて角度の厳しくなった状態から針の穴を通すようなコントロールで反対側のサイドネットへボールを届けて値千金の勝ち越しゴールに!!!

 

アマドの始動地点はほぼメイヌーと同じ高さであり、トップスピードで裏抜けが出来ている上に距離の余裕がある事で一旦横方向のランを入れてタイミングを調整する事も容易になるという文句なしのオフボール。これを恒常的にどの選手も出来るようになれば確立されたゴールパターンになるはず。

 

この直後、逆転の立役者となったアマドを下げてすかさずクローザーとしてリンデロフを投入しているようにアモリムの采配に抜かりはなく、新体制になって始めての、それもエティハドでのダービーにユナイテッドは勝利した。

 

データ

 

Standard

 

シュート数及びオンターゲットが同じでポゼッション率も差がない正に拮抗した試合展開だったが、オフサイド数6回のユナイテッドはこの数字に表れているようにDFラインの背後を取る意識が非常に高く、序盤は勢いをつける距離を確保せずに裏抜けを狙っていたのでオフサイドに引っかかる事が多かったが、最後の最後で完璧なオフ・ザ・ボールが出た事が勝敗を分けた形。

 

また、ファウル14回ながらイエローカード自体は一枚なのでフェアなタックルで対処出来ていたと評価しても良いのではないか。

 

MOTMを選ぶとすれば決勝弾のアシストに代表されるようにミドル・ロングレンジのパスで幾つもチャンスを作りつつパス成功率60/61、ポゼッションロスト4回と圧巻のボールプレー制度を誇ったリチャだろう。本当にケチの付け所が1つもない完璧なスタッツだった。

Embed from Getty Images  

 

 

xG

 

参照:

Manchester City 1 - 2 Manchester United (December 15 2024) | EPL | 2024/2025 | xG | Understat.com

 

ゴール期待値はマン・シティ0.64に対しマン・ユナイテッド2.05とアウェイチームが圧倒する結果に。理由としてはシンプルにビッグチャンスの数の差であり、ユナイテッドは2ゴール含め3度の決定機を創出している一方、ホームチームは一度もなかった。

 

 PASSING NETWORKを見るとホイルンドが孤立しているように見えるが、ゴール前やファイナルサードに関しては周りの問題があるにせよ、ミドルサードでは彼自身のポジショニングやボールを受ける為の瞬間的なオフボールが少々不足している感もある。3CBの距離感は今回が一番良かったかもしれない。

 

あとがき

 

エティハドで勝利したユナイテッドは勝ち点20を突破しCLラインまで5ポイント差となった。一方でシティは直近5試合1勝1分け3敗と未だ不調から抜け出せず、個々の動きをみても明らかにチーム内で異変が生じているのでまだまだ暗闇から脱するまでには時間を要しそう。