※24/25 UEFAヨーロッパリーグ
マンチェスター・ユナイテッドvsトゥウェンテ戦の記事です。
MUTVのフルマッチ配信がかなり遅い(メニューに存在していても動画が開かない)のでいつ公開するか迷っていました。流石にスパーズ戦キックオフまで伸ばされてしまうとたまったものではない為ここらが限界。

【Match Review】

Starting lineup

前半

お互いに4-2-3-1ミラーで始まった今シーズンのヨーロッパリーグ初戦。大会フォーマットの変化で以前のようなグループリーグではなく、年を跨いで来年1月までの長期レンジで一発勝負の勝ち点積み上げ方式からトーナメント進出チームを決めるような変更された。
トゥウェンテは守備時にボールサイドと反対側のウイングが中央まで絞ってユナイテッドの中盤をケアするので人数不足になる事が少なく、逆にまばらに選手が散らばっているホームチームは明確な奪いどころを設定できずに球際の勝負に一度負けてしまうと一気に失点危機という脆い構造。
個の質で上回りながらチームとしての連動性で負け、なおかつ選手たちも気の緩みがトランジションの遅さという形で現れる対戦相手を勝手に低く見て舐めてかかっている悪い時のユナイテッドが時折顔を出し、ポゼッションで優位性を持っていても試合の主導権を確実にしているとは言い難い状況。
インバートWBとして中盤に入るダロトとその代わりに左に流れてミドルサードでのボール保持の起点になるエリクセンの関係性は良かったが、ブルーノのキック精度やチームとしてボールホルダーに対する水平~斜め前方のパスコースを作る意識の低さといったこれまでの試合で見られた課題が未解決のままなのは非常に残念でならない。
34分、マグワイアから左サイドで深さを取るダロトへのロングフィードが通り一気に陣地獲得に成功したユナイテッドは、そこからリチャ-エリクセン-ブルーノのトライアングルでリズミカルにパスを繋ぎ、ブルーノからダロトへの楔のパスがこぼれた所をエリクセンが右足一閃。見事ファー側のサイドネットにボールが吸い込まれホームチームが先制弾をマークした。
Christian Eriksen with a sumptuous strike 🚀#UEL pic.twitter.com/vSyxGkVWf6
— UEFA Europa League (@EuropaLeague) September 27, 2024
やはり得点に結びついたのはロングボールで相手の守備陣形の手薄になる反対側のサイドにボールを供給したところからだったが、ユナイテッドとしてはそこまでのルートと到達してからの味方のオフボールやチームとしての崩しのパターンの共有力の乏しさなどがあって再現性が低かった事が試合結果の原因かもしれない。
後半
ハーフタイムでの選手交代は行われず。
47分、中盤に降りてきたジルクゼーがオナナからのミドルフィードを収め、入れ替わるようにして落としのパスを受けたダロトが中央でボールを運んでいくカウンターの場面があったが、パスの質と判断が低下しているブルーノの状況とジルクゼーのチャンスクリエイト能力を鑑みると、4-2-3-1の際はトップ下ジルクゼー,CFホイルンドの組み合わせを本格的に試してみるタイミングなのだろうと思わされた。
そうなった場合のブルーノはメイヌーの相棒役をウガルテらと争う立場になる。彼の好むクォーターバック的な相手DF裏やサイドを変えるロングレンジのパスを考慮しても、距離が確保される一列下での起用が向いているのではないかと以前から言及していたが、まさに今が丁度いい頃合いかもしれない。
CKについて、最近の試合ではファーサイドにターゲットマン(マグワイア,デ・リフト,ジルクゼー辺り)を配置してそこから逆算したキック・ショートコーナーから継続的にチャンスを作っているが、最後の一押しが足らずシュートが枠を逸れたりGKに吸い込まれるシーンが目立つ。方向性としては間違っていないので批判はしたくないが、ユナイテッドの選手たちのフィニッシュワークが一向に向上しないのは何が要因なのか、外部からは見えない部分も多いのでファン心理としては憤りを感じてしまう。
ユナイテッドは67分に最初の交代枠を消費しアマドを下げガルナチョを投入。毎回疑問に思うのだが何故アマドを一番最初に変えてなおかつポゼッション向きのキャラクターではないガルナチョ或いはラッシュフォードを投入し片方を利き足サイドへ持っていくのだろうか。テイクオンの脅威では劣るもののタメを作れる点で共通するアントニーならばともかく……
交代直後の67分、トゥウェンテは右サイド低い位置でファン・ローイがラッシュフォードの進路を潰すように斜め内側へボールを運んでいき、更にブルーノが全く寄せず勢いが止まる事無くエリクセンと前に出ていたリチャの間も突破され一気に2ラインを破られる。その後ウガルテの見事なカバーリングでボールを奪い返したのだが、後ろ向きでボールを持つエリクセンは背後から近づく相手選手を認知出来ておらず、ボールを得たサム・ラマ―スはそのままオープンなユナイテッド陣内左サイドを進んでいって最後はオナナのポジショニングの悪さも相まって楽にニア側へのショットを決めて同点に追いついた。
Lammers lashing home 💥#UEL | @fctwente pic.twitter.com/iqPi0TN5LC
— UEFA Europa League (@EuropaLeague) September 27, 2024
リードを失ったホームチームは圧力を上げて相手ゴール前に近付こうとするものの、ペナルティボックス内に6~7人を恒常的に配置しているトゥウェンテの守備意識の高さと意思統一に対して短い距離での横パスを連発するに終始し、逆にパスがズレたり出す場所が無くなったりで薄くなっている後方部隊に負担のかかるカウンターを食らうケースが目立ち、しつこいがテン・ハフ政権の限界をひしひしと感じる展開。
ポジティブな要素を探すとすれば後半途中からマウントが出場し戦列復帰を果たしたこと。帯に短し襷に長しという左ウイングの情勢を鑑みると、彼をこのポジションで起用する事も1つの答えになりそうな気がするが果たしてどうだろうか。

欧州コンペティション初戦を勝ち切れなかったユナイテッドは36チーム中22位。次節はボデ・グリムトに敗れまさかの黒星スタートとなったFCポルトとエスタディオ・ドラゴンで戦う予定。
データ

Standard

ポゼッション57:43、シュート数19:7でぱっと見の内容自体はやはり昨季よりも全体的に良くなっている気もするが、単純にボールプレーの精度が低く、さらにゴール前でのアイディアの共有がないので不要に横パスを繋いで後はどうにでもなれというケースが多すぎる。
ペナルティボックスで54回ボールタッチを記録していながら1ゴールというのが1つの答えだろう。
コーナーキックについては今のところチャンスに繋がっているので取りに行く姿勢で間違っては無さそうだ。
記事タイトルにしたブルーノはパス成功率39/52(75%)と主導権を握っていた試合展開の割にかなり数値が低く、一か八かを選ぶ頻度やキック精度そのものの問題が背後に隠れている。一方でサイドチェンジを低い弾道で通せる点は長所であり、ロングボールは3/4と質が高かったのでそれを活かす方に方針転換をするべき。
Man Utd 1 : 1 Twente
— markstats bot (@markstatsbot) September 25, 2024
▪ xG: 1.24 - 0.53
▪ xThreat: 2.44 - 0.88
▪ Possession: 56.8% - 43.2%
▪ Field Tilt: 75.3% - 24.7%
▪ Def Action Height: 56.7 - 34.9#msbot_uel #uel pic.twitter.com/eTCEfvZUY9
markstats算出のゴール期待値は1.24-0.53でユナイテッド優勢。脅威期待値でもトゥウェンテは0点台なので指標上では赤い悪魔が相手を圧倒していることになるのだが、そう見えない理由を探っていく事が今回の試合の肝か。
markstatsでは自陣内でゴールを中心とした半円状に設定された失点に繋がりやすいエリアでのボールロスト数を示すDanger Zone Lossesというデータを算出しているが、ゴール期待値や脅威期待値で圧倒したユナイテッドもこの点においては20:37と割合の差が縮まっていく。更に、そこから相手のシュートに繋がった回数では5:2とユナイテッドが上回る事になった為、やはりボールの失い方とその後のトランジションの強度/速度の緩さが引き分けに持ち込まれた要因なのだろう。
Man Utd 1 : 1 Twente
— markstats bot (@markstatsbot) September 25, 2024
▪ Penbox shots: 16 - 4
▪ Deep Entries: 22 - 9
▪ Buildup completion: 88.1% - 79.7%
▪ PPDA: 9.2 - 12.9
▪ High turnovers: 6 - 5 pic.twitter.com/VLLZbkn3pM
あとがき

真面目にMUTVのフルマッチについては何が起こっているのでしょうか。パブリックサーチをかけてみると同じような声がいくつか上がっているので私個人のトラブルではないらしい。ユナイテッドの試合に関する基本的なスタイルとして、ブログを適当に見てもらいながらMUTVの見返しを観戦する事を想定していたので。。。