いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #Euro2024 】前回優勝国のDFラインの完成度の高さ

 

まだ控えにボンジョルノやカンビアーゾがいるイタリア代表のDFの層の厚さを見ると、少しばかりイングランドに分けて欲しいとスリーライオンズのファンは嘆きたくなるかもしれない。

 

 

 

【Match Review】スペインvsクロアチア

 

前半

ベンチ入り

スペイン
1 Raya, 5 Vivian, 6 Merino, 9 Joselu, 10 Dani Olmo, 11 Ferran Torres, 12 Grimaldo, 13 Remiro, 14 Laporte, 15 A.Baena, 18 Zubimendi, 21 Oyarzabal, 22 J.Navas, 25 F.López, 26 Ayoze Pérez

クロアチア
5 Erlić, 12 Labrović, 13 Vlašić, 14 Perišić, 15 Mario Pašalić, 17 Petković, 18 Ivanušec, 19 B.Sosa, 20 Pjaca, 21 Vida, 22 Juranović, 23 Ivušić, 24 Marco Pašalić, 25 Sučić, 26 Baturina

 

共にポゼッションのベースは4-1-2-3だが、守備で違いが現れる。

 

スペインはロドリとファビアン・ルイスのダブルピボットで相手のCB2枚をモラタ1人でリトリート気味にチェックし、出来るだけ左CBのポングラチッチに誘導しようという意図が見えた。

 

クロアチアはスペインのビルドアップに対して、より積極的に前からプレッシャーをかけていき、モドリッチが中盤から1stプレスに参加する事で1トップvs2CBの数的不利の構図を対策。一方で中盤が1人減る事でファビアン・ルイスやペドリのマークが間に合わない瞬間も生まれており、そんな中でファビアンの状態が過去一番なのではないかという位に絶好調だったのは不運というほかない。

 

相手が積極策を取った事でスペインとしてはスペースのゆとりがある状況下でポゼッション出来る時間が多く、なおかつティキタカに魅入られて足元ばかりに終始する事なく左サイドで積極的に裏を狙うニコ・ウィリアムズ、右外で幅を取るヤマルの両ウイングを活かしたダイレクトな攻撃も織り交ぜてバランスの良さが目立った。

 

ラ・ロハの先制点はニコのオフボールにシュタロが一瞬釣られてポングラチッチとの間に広い空間を作ってしまった事が原因で生まれており、正確なスルーパスを出したファビアンやそのお膳立てをしっかりと得点に結びつけたモラタも勿論見事ではあるが、やはり大事なのはオフボールの継続性という事がよく分かる一幕だったと思う。

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ただ、スペインの守備は全くもって堅牢とは言い難く、再開直後にはぽっかり空いた中央をコバチッチ得意のボールキャリーで単騎侵攻されてペナルティボックス内まで侵入されたようにダブルピボットの機動力とCBの純粋な弾き返しがやや弱い為、年齢層の若くスピードのあるカウンターが持ち味のチームと対した際にはあっさりやられてしまうようにも見える。

 

しかし、この試合では先制3分後にファビアンがまるでボックス内でボールとのワルツを踊るかの如く軽快な身体さばきで相手のプレッシャーを往なし自らシュートを放って追加点を挙げ、不安を顕在化させる前に勝利を一気に手繰り寄せている。

 

更に、アディショナルタイムにはヤマルの職人技のインスイングクロスに対し、体格差を活かして完全にポングラチッチの背中に隠れてボールにアプローチしたカルバハルの円熟味溢れるシュートが決まり3点差、前半の内に安全圏までリードを広げた。

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前半終了時点でのスタッツはポゼッション、シュート数、パス成功率でクロアチアが上回っていたように見かけ上はこちらもそう悪くはないが、実際にゴールになり得るチャンスは先述したコバチッチのシュートくらいだった事、チーム全体の走行距離でスペインに1キロ以上差をつけられているように中身が伴わなかった。

 

ただ、ブロゾビッチに対しペドリがマンマーク気味についていたところからピッチ上の判断で彼が前に向かい代わりにコバチッチがアンカーに入った変化のように中盤の息の合い方とそれぞれの修正力の高さについては流石である。

 

後半

 

後半最初のピンチをリヴァコビッチのスーパーセーブで凌いだ後、スペインのMF-DFライン間が広がり始めている所を突いてチャンスを生み出せるようになったクロアチア。ただ、55分のチャンスをククレジャの身体を投げ出したブロックやウナイ・シモンのセーブに阻まれてからはトーンダウンしてモドリッチ,コバチッチを早々に下げて次の試合を見据えた。

 

不意に訪れた得点機会は77分。スペインのバックラインでのパス回しの最中、マイェルが中盤から飛び出てファビアン・ルイス→ル・ノルマン→ウナイ・シモンとボールホルダーに連続してプレスをかけ続けた事でエラーを誘い、敵陣ボックス内でボールを奪うとそこからパスを受けたペトコビッチ(クラマリッチに代わり途中出場)がロドリに倒されて主審マイケル・オリバーはペナルティスポットを指さす。

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肝心のペナルティキックはペトコビッチがシモンにコースを読まれてセーブされてしまい、こぼれ球をペリシッチが拾って折り返しにPK失敗の当人が合わせて何とか面目躍如……かに見えたが、PKでペトコビッチがボールにインパクトする前にペリシッチ含むクロアチアの選手の何人かがボックス内に侵入していた事でゴール取り消し。

 

このPKではロドリのファウルがレッドカード相当だったのではないか、そしてクロアチア代表内でのPKキッカーの優先順位を無視してペトコビッチが蹴ったなどいくつかの火種が生まれており、試合中の得点チャンスだけでなくチーム内のルールも決めきれなかったというある意味でクロアチアのオチが付いてしまうような一連の流れであった。

 

 

【Match Review】イタリアvsアルバニア

 

前半

タイトル

イタリア
4 Buongiorno, 6 Gatti, 11 Raspadori, 12 Vicario, 13 Darmian, 15 Bellanova, 16 Cristante, 17 G.Mancini, 19 Retegui, 20 Zaccagini, 21 Fagioli, 22 El Shaarawy, 24 A.Cambiaso, 25 Folorunsho, 26 Meret

アルバニア
1 E.Berisha, 2 Balliu, 7 Manaj, 8 Gjasula, 12 Kastrati, 13 Mihaj, 14 Laci, 16 M.Berisha, 17 Muçi, 18 Ismajli, 19 Daku, 22 Abrashi, 24 Kumbulla, 25 Aliji, 26 Hoxha

 

得点が生まれたのはキックオフから僅か30秒足らずの事だった。アルバニアはロングボールを右サイドに送り、これがラインを割って深い位置でイタリアボールのスローインになると、ディマルコが送り先とボールの強さが完全にミスマッチとなるスローインを行ってしまい、ボックス内のエアポケットに落ちたボールをバイラミが素早くシュートまで持って行ってドンナルンマもあまりの急展開に対応出来ずニア上に強烈な一撃が刺さった。

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イタリアはLBのディマルコがWBタイプなのでキャラクター性を活かして左大外を取らせ、逆サイドのディ・ロレンツォはバストーニ,カラフィオーリとバック3を形成してバランサーとしてプレーする4-1-2-3↔3-2-5可変。どこまでシステマティックに設計されているかは不明だが個々のプレースタイルに合わせたストレスの少ない戦い方なのでビハインドになったとは言え逆転できそうな気配は常に漂っていた。

 

アルバニアは両サイドのウイングが守備時にWB化してディフェンシブサードでスペースを与えない事を最優先とし、カウンターやセットプレーから少ないチャンスを決めきって試合を塩漬けにして逃げ切ろうという意図。プレスラインはハーフウェーを越えた辺りと完全に割り切ったブロック守備で複雑な関係にある隣国を待ち構えた。

 

スコアが再び動いたのはイタリアの左からのCK。キッカーのペッレグリーニにディマルコが近づいていってショートコーナーで始めると、リターンを貰ったアズーリの背番号10は小さいキックモーションでタイミングをズラしてファーポスト前の味方にドンピシャのクロスを通し、バストーニがヘディングで合わせて同点弾。

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16分には左サイドで押し込んだ状態から中央のジョルジーニョを経由し素早くスペースのある右へボールを移し、ディ・ロレンツォ→相手CB前でボールを要求するフラッテージへの楔のパスで一気にスピードアップ。スカマッカのシュートは相手にブロックされるもディフレクトしたボールをヒサイがクリアした先に待っていたのは国際大会で無類の強さを発揮するニコロ・バレッラ。漫画のようなダイレクトショットでイタリアが5分間で2ゴールを奪い一気に試合をひっくり返す事に成功。

 

 

後半

 

ビハインドになったアルバニアミドルサードの入り口くらいからプレッシャーをかけ始めるようになり、4-4-2のコンパクトな守備と奪ってからの手数をかけない攻撃で同点弾を狙い行くがイタリアのボール保持は配置や選手個々のプレス耐性が非常に安定しているので中々大きなチャンスを作り出す事が出来ないまま時間を奪われていく。

 

前大会王者は無理して追加点を狙うというよりは相手が前掛りになった所を突くという戦い方なので13本のシュートを放った前半に比べて締まった展開で、フィニッシュワークで準備不足を感じるケースの多いスカマッカをこのままCFの一番手にしていいのか疑問を抱きつつも、危なげなく1点リードで試合を終えた。

 

カテナチオという言葉は過去のものとなり、すっかりモダンなディフェンダーが主流になった現代フットボールだが、ここにきて最先端がもう一度イタリア発信というフェーズになっている事は何とも感慨深い。若いカラフィオーリやバストーニに注目が集まる中、個人的にはFB↔CBをスムーズにこなしつつコーチングが盛んで短・中距離のパスも正確なディ・ロレンツォに好感を持った。

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