いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #FACupFinal 】カップ戦2冠目ならず。13秒の失点で計算が狂う

※22/23 FAカップ決勝

マンチェスター・シティvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。

 

ライバルクラブとのカップファイナル、これ以上ない最高のシチュエーションで戦ったFAカップ決勝はイルカイ・ギュンドアンのスーパーゴール2発が重くのしかかり2-1でユナイテッドが敗戦。どれだけチームコンセプトをピッチ上で体現出来ているか、"なんとなく"が少ない方が最終的に勝利した試合だったように思う。

 

 

 

 

【Match Review】

 

Starting lineup

 

ベンチ入りマンチェスター・シティ
4 K.Phillips, 6 Aké, 14 Laporte, 19 J.Álvarez, 26 Mahrez, 31 Ederson, 47 Foden, 80 C.Palmer, 82 R.Lewis

マンチェスター・ユナイテッド
5 Maguire, 12 Malacia, 20 Dalot, 27 Weghorst, 28 Pellistri, 31 Butland, 36 Elanga, 39 McTominay, 49 Garnacho

 

 

前半

 

マンチェスター・シティは4-1-2-3ベースでポゼッション時にストーンズがロドリ横へ上がりDM化する3-2-2-3可変という最近ではすっかりお馴染みになったシステム。基本的にロドリはアンカーとしての振る舞いを間違う頻度が少なく安定している為、ストーンズは前線の6人目としてハーフスペースに走り込んで相手の守備ブロックを混乱に陥れた。

 

一方のマンチェスター・ユナイテッドは中央を固くする3-1の前線プレスで相手の3-2ビルドアップに対応し、人数が1枚少ないのでボールサイドと反対側のバックスにはマークを付けられませんが、代わりに普段は前目にいる左のDM(今回はフレッジ)がデ・ブライネをマンマーク気味に見ることで最も警戒しなければいけない配球元に対しては自由を与えない。

 

ただ、そんな試合の入り方を語る前段階であっと言う間にスコアが動いてしまったのですが……

 

キックオフでシティはギュンドアンがGKまでボールを下げ、オルテガが右ハーフスペースに流れたハーランドへロングキック。カゼミロとの競り合いに勝利すると、リンデロフとフレッジは丁度真ん中に落ちたルーズボールにほんの一瞬だが譲り合ってしまうようなアクションを見せ、ボールがバウンドした後にアプローチせざるを得なくなった事で強いクリアが出来ず、更にデ・ブライネに前へ入られてしまったので中途半端なクリアになった所に最後はギュンドアンの漫画のようなボレーシュートがネットに突き刺さった。

 

ブルーノをRWに起用した事を考えれば、恐らく少ないチャンスをカウンターから仕留めていわゆる塩試合に持ち込む事を狙っていたと思われるが、流石に最初のプレーでこうなってしまってはどうしようもないというのが指揮官としての本音なのでは。 

 

4分にもFKからニアでロドリをフリーにしてヘディングシュートを許すなど、序盤のエンジンのかかりが遅い点は結局シーズン最終戦まで足を引っ張っているユナイテッド。デヘアのキック精度・飛距離と強さに欠けるターゲットマンではロングフィードからチャンスが生まれる訳もなく、仮にボールを奪ってカウンターが決まりそうな場面に見えたとしても相手の素早いカウンタープレスとボールホルダーのファーストタッチに対してのタイトな寄せでミスコントロールが増え、更にユナイテッドにはパス&ムーブの意識が弱い/動き出しの遅い選手も多い為にそもそも満足なサポートが得られていないケースも目立つ。

 常に2手3手先を見据えてプレーしている相手とはポゼッションの質に差が出るのも当然だろう。

 

また、後ろ向きでボールを受けることが多くなったブルーノはハーフウェーライン少し手前でのボールロスト及びパス失敗が頻発し、リズムが悪い事を悟ったのか気が付くと中央や反対側のサイドに移動してボールプレーに関与するという場面が増えていた。

Embed from Getty Images  

 

15分にはGKからのフィードにサンチョが潰れ役となってボールが前へ流れると、DFライン手前のスペースでラッシュフォードがこれを収めてカウンターのチャンスになるが、チーム全体のトランジションの差で直ぐにシティ数的優位の状況を作られてこの機会を活かす事は出来ず。

 

24分、久々にアタッキングサードにボールを運んだユナイテッドは左でタメを作ってからエリクセンを経由し、右サイドで張っていたワン=ビサカにロブパスを入れると、後ろに落としたボールをカゼミロがダイレクトクロス。ラッシュフォードのヘディングシュートは枠を逸れているが、カゼミロがアウトスイングのキックを右斜め45度から配球するこのような形は偶然ではなくチーム全体のセットアップに昇華させたい。

 もう1つ、アタッキングサードでのワンビサカの前線上がりと裏を狙う意識というのは後に大きな収穫をもたらすので注目しておきたいポイント。

 

29分、ミドルサードでボールを回すユナイテッドは、バックスが内に絞り外の守備が降りてきたグリーリッシュという付け入るスキのある状態をブルーノが見逃さずに浮き球のスルーパスで一気にボックス内を陥れ、ワン=ビサカが頭で中に折り返したボールにグリーリッシュの掲げた腕が当たった事でVARはハンドによるPKを支持。グリーリッシュ側にしてみれば納得いかない裁定だと思うが、最初に腕を上げたのはジャンプの予備動作としても、着地の所で左手が高い位置にあるのは自然な動きには見えなかった。

 

幸運な形で得たペナルティキックをブルーノがキッチリGKの動きを見定めてから反対側へ蹴り込んで試合は1-1の同点に。なお、ゴールセレブレーションの際にスタンドから投げ込まれた物がリンデロフの顔に直撃した件に関しては、愚行に及んだ人物を特定し厳正に処分してもらわなければならない。

Embed from Getty Images  

 

38分、シティは右CKでショートパスでのリスタートからリターンを受けたデ・ブライネがアウトサイドキックでゴール前にクロスを送り、カゼミロがこれをクリアしたが、ここはデヘアが主張してボールに対処(出来ればキャッチ)してその後のカウンターに繋げて欲しかった場面。クロスボールへの対応があらゆる面において悪い。

 

41分、相手のパスが流れた所からヴァランがダイレクトでエリクセンへ縦パスを通してカウンター始動。右サイドで3~4人のユニットを作りながらボールを運んでCKを獲得すると、カゼミロがニアで軌道を変えたボールがゴール前を通過しファーサイドのヴァランの足元へ入るが、ワンタッチシュートは残念ながら枠外へ逸れる。

 

 

後半

 

HTの交代は両チーム行わず。シティが比較的ゆったりとゲームに入りプレッシングの始動位置が低かった為、ユナイテッドは後ろを1つ減らし2-3でビルドアップを行う。

 

50分過ぎのシティ、デ・ブライネがタッチライン際でファウル誘いFKを得ると、ボックス内へのカーブキックではなくストレート気味にペナルティアーク内で構えるギュンドアンへロブパスを送る。ギュンドアンのダイレクトボレーは威力に乏しかったが、ブラインドになっていたのに加えコースが良かった事もあってそのままゴールイン。

 

ただ、ハッキリ言ってこれはデヘアのエラー。巷ではGKにとって難しいシチュエーションだったと擁護されているが、デブライネのパスは滞空時間の長いキックで十分にポジションを修正出来る時間があり、受け手ギュンドアンに対しての正しい位置に守っていればそう難しくないシュートであった筈だ。

 このプレーで私は彼との別れが確信に変わったとすら思っているが、これで契約を延長する様ならばフロント陣への疑念を抱く事になるだろう。

 

ユナイテッドは60分を少し回った所でエリクセンに替えてガルナチョ投入。怪我から戻って以降のエリクセンは以前にも増してトランジションやコンタクトプレーといった強度が求められる部分での不足を感じるシーンが多く、チェルシー所属の某選手がテン・ハフの要望する補強ターゲットとして目されている理由もここにあるのだろう。

 

69分、リンデロフが自分で持ち運びながら相手の1stプレスを突破し、ボールを預かったブルーノがキックフェイントで一度間をおいて最後はラッシュフォードがミドルシュートでゴールを狙う。

 彼がよく使うこのアウトにかけた無回転キックはこぼれ球を狙うような場面では有効的だが、コントロールが難しいので直接得点を奪いたい時にはインフロント気味に親指の根本で蹴るようなシュートを選んで欲しい。

 

また、この直前にはカゼミロの楔から ワン=ビサカが外でボールを運ぶカウンターのチャンスがあったものの、アカンジの背後を完全に取っていたブルーノへのスルーパスを出せずに結局サンチョへの苦しいショートパスを出したというシーンが挟まれており、使う側になると何も出来なくなるという彼の攻撃貢献の低さが垣間見えてしまった。

 

71分、オルテガのロングボールをハーランドがヴァランを強引にねじ伏せて収めると、左サイドで幅を取っていたグリーリッシュはワン=ビサカの広い間合いを利用するようなテンポをずらすアウトサイドパスでニアのポケットへ走るギュンドアンへパス。

 一度目は防がれたものの、こぼれ球を回収すると再びゴール前へ決定的なボールを送り、最後はハーランドのシュートのこぼれ球にギュンドアンが詰めて3点目か…と思われたがオフサイドによって無効となった。ユナイテッドは命拾い

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プレー再開後のプレー、左サイド奥へのゴールキックで陣地回復に成功すると、ルーズボールを回収して3ユニットでの連携から、最後はガルナチョがコントロールショットをファーポスト目掛けて蹴り込むが、カーブがかかりきらず僅かに枠の外。

 得点にはならなかったが、相手を選ばずこの形を実戦の中で再現出来ているので、彼に関しては来期以降のゴール数増加を見込めるのではないかと期待している。

 

終盤に入るとユナイテッドはリンデロフを下げてマクトミネイを投入し、CBを減らしてパワープレーに出る。不足する最終ラインに関してはフレッジの縦移動でカバーし、とにかくボックス内に入り込める人員を増やして同点弾という明確な姿勢。

 

アディショナルタイムに入り92分、ショーの高いクロスをマクトミネイがファーで触り、ゴール前に転がったボールに対しヴァラン,マクトミネイと連続して決定的なシーンが訪れるもゴールラインを越える事が出来ず。

 

終盤の猛攻撃には心躍るモノがあったが、結局前後半ゲーム開始直後の失点を取り返す事が出来なかったユナイテッドは目の前でライバルの戴冠を許してしまった。

 

 

データ

 

Standard

 

シュート数は1点差ゲームで終盤を迎えた事もあってユナイテッドが最終的に相手を上回った形で、スタッツを見れば十分に勝ち筋の見えた試合と言える。とはいえ、地上でのデュエルやパス成功率で劣っている上に、真の意味でシティの最大値を引き出し崖際まで追い詰められたかと言われると残念ながらそうは見えなかった。

 

ユナイテッドはコアメンバーの怪我人が多く、完全なスカッド同士でぶつかった訳ではないので何とも言い難い部分があるものの、左右それぞれに確立された攻撃パターンが存在する相手に比べるとこちら側は選手の即興に依存する場面がまだまだ多く、それがポゼッションやパス成功率の差として表れているのだろう。

 恐らく、考えるより前に半自動的に各々が適切なボールプレー及びオフボールの動きを行っているという次元まで行かなければ彼らを圧倒する事は出来ないので、テン・ハフ率いるコーチ陣がそれをチームトレーニングでどこまで仕込めるかがカギになる。

 

 

xG

 

 

markstats算出のゴール期待値は0.85 - 2.00でユナイテッド優勢。PK分のxG:0.76を差し引いても赤い悪魔の方が高スコアというのは意外だったが、時間ごとの経過を見ると期待値の大半は終盤のゴール前での連続するチャンスで得たものだったので納得。

 

あとがき

 

国内カップ戦でいずれもウェンブリーのピッチに立てた事については成功と言えるでしょう。同じ街の名を冠するライバルクラブに目の前でタイトルを掻っ攫われた屈辱を来季への原動力に変換させて、テン・ハフ体制2年目は3冠,いやそれ以上を獲得出来るようなシーズンにしてもらいたい。

 

 

そういえば、日本の種牡馬,ディープインパクト産駒のAuguste Rodinが勝った事で注目された英ダービーはこのFAカップ勝戦と開催時刻が被ったために普段よりも前倒しになっていたそう。競馬といえば日本で唯一定着しているファンタジースポーツであるPOG(Paper Owner Game)がありますが、丁度フットボールがオフシーズンに入るので気が向いたらやってみようと考えている。