いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

カンセロロール(Cancelo's role)の源流を探る

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どうも皆さんこんにちは、いろ覇です。

何だか言葉だけが先行してしまった感もあるこのワードについて今回は言葉の意味ではなく生まれたキッカケや歴史方面から振り返ってみようという試みです。

 

 

 

はじめに

 

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マンチェスター・シティに所属するポルトガル代表サイドバック ジョアン・カンセロ。

本職は右サイドバックながら高い攻撃性能を持ちアタッカーでもプレー可能。更には反対側のサイドに配置されてもハイレベルなプレーを維持できるユーティリティです。

 

そんな彼の特性を生かした試合中の動きが所謂”カンセロロール"としてフットボール界を席巻している訳ですが、今回はカンセロロール(Cancelo's role)という言葉がいつ誰によって生み出されていったのかを可能な限り探っていこうという企画になります。

 

注意

カンセロ、またはカンセロロールという特定の名詞が何度も出てくるのでゲシュタルト崩壊にご注意いただくようお願い致します🙇‍♂️

 

英語での表現はCancelo's roleとされる事が多く、これはおそらくCancelo roleだと仕事をキャンセルするという意味に勘違いされかねないからなのではないかと推測されます

 

 

Twitter検索

 

Twitterの検索機能で"検索ワード・ユーザー名"  since:始まりの日付 until:終わりの日付で特定期間のそのワードについて条件検索する事が出来るのでそれを活用していきたいと思います。

 

2020年10月以前

 

Cancelo's roleという言葉を現在の意味で使っていると思われる投稿は見当たりませんでしたが、ユベントスの戦術について分析をされている352🅙(@3_5_2J)氏が現在のカンセロロールと似たような動きをアニメーションで説明されているので原型となる概念は2018年夏の時点で存在していたと思われます。

当時ユベントスの監督を務めていたマッシミリアーノ・アッレグリ氏もフットボール界有数の戦術家として知られている人物なので、そんな彼とペップという2人の指揮官が同じようにカンセロという1人のプレイヤーを最大限生かす方法としてこのような役割を与えたのは興味深い事実です。

 

 

初出

 

カンセロロール(Cancelo's role)が図解を伴ってTwitter上に出現したのは2020年10月19日で、こちらはマンチェスター・シティの戦術分析をしているRahul(@rahulmcfc)氏が正しく現在のカンセロロールのようにボール保持ではインサイドハーフのような振る舞いでプレーを行い守備時には通常通り4バックのRBとしてポジションを取るカンセロの動きについて説明しています。(画像は10月17日のプレミアリーグ第5節 vsアーセナル戦)

 

 この動き自体はマンチェスター・シティの指揮官ペップ・グアルディオラバイエルン時代にダヴィド・アラバに与えた所謂偽SB(inverted full back)とさして違いはない様に感じましたが、これ以降、特に年が明けた頃からこのワードを含むTweetが増加しているのでキッカケの1つになった事はおそらく間違いないと思われます。

 

また、日本語で"カンセロロール"を検索するとこちらもCancelo's role同様このアーセナル戦からポツポツTweetが出てくるようになるので暦の上では2020年10月18日(日本時間)がこの言葉の誕生日である可能性が高いです。

 

 

Google検索

 

こちらではTwitter検索とはすこし趣向を変えて過去1年間の検索結果数からどの時期にこのワードが広まり始めたのかを見ていきたいと思います。

Google検索では古い順にソートする事は不可能ですが特定期間の検索結果を調べる事は可能なので今回は2020年3月~2021年2月までの12ヶ月間を調べています。

 

基準はこの表示にある検索ヒット数です

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月日が現在に近づくにつれて検索にヒットしたページの数も上昇している事が分かると思います。

また、Twitter検索と同様にこちらでもアーセナル戦のあった20年10月に一度数字が大きく上がっているので先程の結果と示し合わせてみてもやはりこの言葉が現在の形になり始めたのはやはり10月18日であるという仮定を補強する結果となりました。

 

 

結論

 

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  1. カンセロロール(Cancelo's role)が現在の形で広まるキッカケとなったのは2020年10月18日のプレミアリーグ第5節 アーセナル戦である可能性が最も高い
  2. 概念自体はアッレグリユベントスで既に存在していたと思われる。ペップはそれを発展させた形

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あとがき

 

ここまではカンセロロール(Cancelo's role)に焦点を当てて文章を書いてきました。

しかし、ウエストハム戦や先のマンチェスター・ダービーなどでこの動きは既に対応されつつあるので"カンセロロール"は今後変容していく可能性が高いと思っています。

思えばダビド・アラバもあれ以降常に偽SBをしていた訳ではなく、フットボールはメタゲームとしての側面を持っているので栄枯盛衰は世の習いとも言いますが、対策の対策そのまた対策と繰り返されていくうちにこの役割も数年後には主流から外れているかもしれない。

 

彼の役割について今まさに日本のフットボール界でも1つのムーブメントとして取り入れられ始めていますが、それをある程度のレベルで再現できるようになった頃には周回遅れになる可能性だってあるでしょう。

 

戦術というものは試合に勝利するためという大元の部分やそこから枝分かれしてある1局面での優位を得る為に生まれているものなので、枝葉部分である"特定の戦術"そのものではなく「試合に勝利するために何が必要なのか」という事を多くの視点から見る事が出来る能力をもう少し養っていく必要があるのかもしれない。

 

(自戒の意も込めています)