いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #UCLfinal 】感想。オールラウンダーを求める動きは更に加速する

インテルマンチェスター・シティが対決した22/23UEFAチャンピオンズリーグ決勝。結果はペナルティボックスのラインより内へ6人を配置するような押し込みからこぼれ球に更に後詰めとして入ったロドリのシュートでマン・シティが勝利し、プレミアリーグ,FAカップに続く3つ目のタイトルを獲得。

 

ペップ・グアルディオラの戦術は時代の最先端を行っているという評価が更に固まりそうな結果ではあるが、寧ろ個人的にはインテルの方がチャレンジングな試みをしていたように見え、これはここ最近のセリエA自体への印象とも繋がる部分がある。

 

例えば、以前"カンセロロール"について調べた際も名称が付けられていなかっただけで、マッシリミアーノ・アッレグリのもとにいたユベントス時代に似たような役割を与えられており、ペップが真に優れているのは既存の概念から自身の哲学にあったものを取捨選択し、それをチームの強みになるまで昇華させられる点なのだろう。

 

勝戦で真っ先に感じたこととしては、CB↪DM→CMを自由に使い分けるストーンズ、WBから前線へ吸収され、更にはロングボールのターゲットにもなるダンフリースのように従来のポジションの概念を越えてスペースを作り出し、スペースに走り込む為にシームレスにピッチ上を移動する選手/役割が更に勢力を伸ばしている事。

 

CBの間に中盤の選手が降りて数的優位を作る動きはサリーダ(La salida laviolpiana)として日本でもそれなりに浸透していますが、CBが中盤へ上がる事で前方向のパスコースを増やすと共に、マークを引き連れていくことでバックスへの守備密度を下げるサリーダとは対になるプレー(なにかいい名称を募集中……)が現在ポゼッションフットボールを採用するクラブでは増えている。

 

全てをゾーンディフェンスで賄うのではなく、前線~ミドルサードでのプレッシングがマンマークであることが近年は当たり前になり、余程整備されていないチームで無ければ○○が△△を担当、特にDMやCMに対しては上下動の動きにもついていって絶対に自由にさせないという約束事が基本的に徹底されている。これに対し攻撃側としては中盤の選手が外に開いたり、フルバックの選手が中盤に入る等従来のポジションの垣根を越えた動きを入れることで能動的に守備側の陣形を崩し、自分たちのボール保持を滑らかにしようというのが現在の情勢。

 

突き詰めていけば、ピッチ上の何処にいても、或いはどんな状況になってもその場の適切なプレーを選択できるインテリジェンスと、それを可能にするボールプレー及びオフ・ザ・ボールのテクニックが根幹。また、1つの生き物のように動く集団の中で、綻びを作らない為の身体的な強度も重要になる。

 

ここまでの流れで気づいた方も多いと思いますが、この流行の行きつく先はトータル・フットボールに他ならない。違いがあるとすれば、"Wunderteam"や"リヌス・ミケルスアヤックス"のように個人に依存度が高く長続きしなかった過去の名チームとは異なり、上述の水準をクリアする選手なら誰でもある程度こなせるように完全に体系化されるのだろうという点くらい。

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その際に重要になるのがプレーの原則で、例えば、ボール保持者に対してゴール方向に□□人,水平~後ろに▼▼人、クロスを上げる際はニアのDF裏とファーポストに人員を配置し中央に◆◆人といった特定の選手だけでなく全体に当てはめられるルールを、余程の例外が無い限りは徹底させる事になる。よってその場に相応しい姿に自身を変化させる事が出来ない選手は淘汰されるのでは。

 

フットボールの性質上、セットピースやアタッキングサードで相手を押し込んでいる時には配置が流動的になる事が多く、そこからボールを失いネガティブ・トランジションに移行した(してしまった)際の不安定さとその対策というのは永遠のテーマ。トータルフットボール的な思想が完全に定着し、尚且つ献身性のある選手でイレブンを構成するチームが出現したとき、私はこの問題すら解決してしまう新たな革命がおこるのではないかと予想する。