いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #FULMUN 】敵将にも指摘された、あからさまな弱点とは

※25/26 イングリッシュプレミアリーグ

フラムvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。

 

ブルーノをCMで起用する上でのデメリット、それは守備時の背後のスペース管理がずさんになりやすいという点であり、デュオで成立させるには相方にそれを補えるようなカバー範囲と危機管理能力の両面に長けた選手が不可欠という客観的事実を敵将にまで指摘される始末。

 

 

 

 

【Match Review】

Starting lineup

ベンチ入りフラム
6 H.Reed, 7 R.Jiménez, 8 H.Wilson, 10 Cairney, 11 A.Traoré, 15 J.Cuenca, 23 Lecomte, 32 Smith Rowe, 33 A.Robinson

マンチェスター・ユナイテッド
2 Dalot, 5 Maguire, 11 Zirkzee, 24 A.Onana, 25 Ugarte, 26 Heaven, 30 Šeško, 33 Fredricson, 37 Mainoo

 

先発は依然としてバユンドゥルだがオナナがベンチ入りしようやくスカッドに復帰。不安要素のCMは前節と同じ組み合わせだが、正直アモリムの頭の硬い部分をひしひしと感じる。

 

前半

 

試合開始しばらくは3トップ、ボールサイドのWB、2CMが高い位置で相手をマンマークで捕捉しビルドアップを機能停止させてショートカウンターという方針がハマり、クーニャのシュートがポストに直撃するなど得点への期待感とチームとしてのコンセプトへの希望が見えていた。

 

だが、残念ながらブルーノ-カゼミロのCMデュオで高いインテンシティを継続できるはずもなく、10分を迎えるころには間延びした中盤になってしまった。この2人でユニットを組ませた際に攻撃でも守備でも発生する致命的な問題のベースとして、カゼミロの運動量の少なさ、プレス耐性の低さとブルーノのプレー選択のリスク管理の粗さ、コンタクトプレーの強度がある。

 

例えばビルドアップではカゼミロが技術的負荷の高いCBからのパスレシーブを嫌って相手の1stプレスの後ろに隠れ続け、代わりにブルーノが低い位置でボールを受けるのだが、そうなった際に彼はセーフティーインサイドキックで交わせる場面でもヒールフリックやアウトサイドでのパスを選びがちで、なおかつ後ろに相手を背負う際の強さに欠けるためボールロストが起きる危険性が高くなりやすい。

 

また、守備面では前から圧をかけて高い位置で奪いたいブルーノとトランジションの多い展開についていけず後ろに置いていかれるカゼミロでギャップが生まれ、全盛期の彼ならともかく今のカゼミロの1人で広範囲のスペースを管理する事は不可能に近いため、前に出たブルーノの背後を使われてそこから相手のチャンスに繋がるという悪循環が発生。また、ブロックを敷いて守るにしてもブルーノはCMとしての経験値が少なくマーク管理が拙いため隙が生まれやすく、結局はこの2人のうちどちらを柱にするかという取捨選択をアモリムがしなければならないのは確定事項。

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個人的にはカゼミロ外し一択だと思っているが、両方ともスタメンから除外するのも当然視野に入ってくる。中期的な目線に立てばメイヌーとウガルテのデュオを育てていくのが最もプラスになるだろう。メイヌーに関しては開幕2試合で出場無し、更に放出論まで上がっているような状況だが、全くもってそれには賛成できない。

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一方、最初こそユナイテッドの圧に押されていたフラムもRWにフルバック本職のカスターニュを起用し、LBに攻撃型のライアン・セセニョンを配置する事で守備時に5バックへ自然に切り替わる可変システムを成立させ、マンマークに付かれた際の横斜めのオフボールでマークを剥がす動きに乏しいユナイテッドのチームとしての欠陥を突いた。また、ポゼッションでは4-2-3-1と3-4-2-1の攻防で中盤の枚数が3-2、1枚多くなるところをベースに切り崩しにかかり、フリーマンになる世代別代表常連の18歳、ジョシュア・キングは左右に広く動いてマーカーを限定させずライン間で何度も起点となった。

 

更に、ユナイテッドの前線守備の枚数に応じてイウォビがビルドアップでベルゲの横にスッと降りてパスコースを作るなど、派手さは無いが個々の特性を生かしたソリッドな集団としてチームの練度差は明らかに。

 

このような流れでユニットでの連携に欠けるユナイテッドは徐々に主導権をコテイジャーズに握られ始めると、中盤を経由したポゼッションが機能しない事もあってロングボールからの一発頼りの攻撃が目立ち、とてもじゃないがBIG6とは言い難い稚拙なゲーム運びを見せてしまう。

 

更にセットプレー守備、とりわけアーセナル戦でも勝敗に直結したCKにおけるGKをプロテクトする人員の欠如及び無駄に多いニアストーンの多さなどの全体的なバランスの悪さ、もっといえば流行に追いついていない守備体制はこの試合でも失点に繋がりかねない危機を誘発しており、セットプレー担当のコーチであるカルロス・フェルナンデスの指導能力への疑問は深まるばかりだ。

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また、右サイドのスペースの食い合いも気がかりな要素。具体的に言えばミドルサードでのアマドの縦のポジショニングが高過ぎて相手がエンベウモと同時に管理できる位置になってしまっており、なおかつ逆サイドから横にボールを展開する際の最終的な逃げ道にもなれないケースが目立った。前節でも言及したが、彼自身の意識がWBというより完全に4バックのウインガーになっているような雰囲気で、5~10メートル立ち位置を後ろ側にする必要がある。

 

フラム戦で言えばイウォビ-ベルゲ-セセニョンの中間で誰がチェックするか迷うような位置取りが理想。そうすれば、ボールレシーブで完全に後ろ向きになってしまうケースは大幅に減少し、なおかつ裏抜け出来るタイミングが来た際にも助走距離が長くなるので相手より有利な状況を作りやすい。

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同様の問題は左サイドでも発生しており、ドルグは元々がカウンター向きのプレースタイルである事も合わさって完全にポゼッションから外れている状態が常態化し、先述のCMの機能不全も合わせてマウントに多大なる負荷がかかる事に。。。

 

前線にまともな形でボールを供給するルートが無いユナイテッドは夏の大型補強の威力を発揮できない時間が続くが、セットプレーでの不用意なファウルによって大きなチャンスを獲得した。33分、左サイドでCKを得たユナイテッドはゴール前を越えてファーで折り返しを狙ったが不発。ただ、ゴール前の競り合いでカルヴィン・バッシーがマウントを背負い投げしてしまい、一旦はプレーが流れたもののVARの支持により後にPKが宣告された。

 

ただし、この時のブルーノはいつもと様子が違った。映像を見るとペナルティスポットにボールを設置した後に周りをよく見ていなかった主審クリス・カヴァナーと接触しており、集中の糸が切れたチームキャプテンはカヴァナーに対して不満を露わに。そしてもう一度ボールをセットし直してPKが再開されたものの、このトラブルの影響か普段ならばまずありえないようなミスキックでシュートはゴールマウスの遥か上空へ。

 

 

後半

 

戦術的な欠陥やまさかのPK失敗もあり無得点に終わったユナイテッドは前半と同じラインナップで2度目のキックオフを迎え、フラムも同様に同じ11人で後半開始。ただし10分が経過する前にアマド、カゼミロに代えてダロト、シェシュコを投入したように交代策自体は早かった。

 

ただ、マウントも攻撃的MFとしてはプレッシングやマークの意識が高いものの、CMとしてブルーノをフォローしながらなお破綻しない程の守備貢献があるわけではない為依然として中盤空洞化問題は継続したまま。そして両サイドが順足WBになってしまった事でビルドアップでの逃げ道が無くなり、折角投入されたシェシュコまでボールが届くことすら滅多にないという状況が後に生まれる事に。

 

ただ、開幕戦で致命傷になったセットプレーで今回は自分たちが得点を奪う。アタッキングサードでボールを持つユナイテッドはクーニャのサイドチェンジを受けたダロトのカットイン→左足インスイングクロスでCKを得ると、完全なゾーンディフェンスでバックポスト付近に集中する赤い悪魔の選手たちへのマークがあまりにも甘かったコテイジャーズの隙を突き、ヨロのヘディングがムニスにディフレクトして先制弾に。

 

 

シェシュコについては、彼を考察した上記記事でも言及した不安要素のボールタッチの柔軟性がやや欠けている部分がこの試合で現れており、ライン間レシーブではしばらく苦戦しそうな気配。また、バッシーやアンデルセンとのハイボールの競り合いを避けるようなシーンも散見され、雑に中央にロングボールを当ててマイボールに出来る程の理不尽さは無いのでしっかりとハーフレーンを出口にする事を徹底したい。

 

アモリムの采配の中でも一番の疑問点だったのはPK失敗を含めて明らかに普段の調子ではないブルーノを留めてマウントを下げた点。もしマウントをピッチ上に残しておけば、こちらも不振に苦しんでいる事が明らかなウガルテではなくプレシーズンでフィジカル面の成長も垣間見えたメイヌーを送り出せたはず。ウガルテを起用するにしてもそれならば同時替えでユニットごと入れ替えるのがベターだったと思うが。

 

逃げ切りか追加点か、プランニングを選んでいく最中の70分過ぎ、フラムにカウンターで右サイドを突破された後のクロスはゴール前でドルグがクリアするが、ボールを収めたダロトはスキャニングを怠り背後からのプレッシャーに気付かず反転しようとすると、イウォビに奪取されて高い位置でのホームチームの2次攻撃が始まる。すると、一列後ろから勢いをつけてゴール前に走りこんだスミス・ロウがボールを押し込んで同点に。

 

ダロトのボール処理が論外だった事は前提として、スミス・ロウをあっさり見逃したブルーノ、半端なポジショニングのウガルテとCM2人の守備も悪い。やはりこのポジションが最優先補強ポイントか。

 

チーム全体としては攻撃時のパス&ムーブの少なさと守備時の相手のその動きに対しての反応の悪さも挙げられ、特にアタッキングサード(ディフェンシブサード)で横・斜めのランを行いボックス内の両脇のポケット、人ベースではFB(WB)-CB間を突くような動きに対しての感覚があまりにも錆びついているのがフィニッシュの質の低さ及び簡単に自陣ゴール前での危険な攻防を作られてしまう事に繋がっているように見える。

 

また、敵陣での守備でGOなのかSTAYなのか、全体の意思統一が全く行われておらず、誰がコントローラーを握っているのか、チームとしての原則がどこにあるのかも正直見えて来ない。当然ながらこのような状態でプレミアリーグのクラブに勝ち切れる訳もなく、クレイヴン・コテージでの1戦はドローに終わった。

 

データ

 

Standard

 

中盤の3v2を活かしつつ縦横無尽にピッチを駆け回るジョシュア・キングの将来性の高さが光ったフラムは主要な攻撃スタッツにおいてマンチェスター・ユナイテッドを上回り、赤い悪魔の致命的弱点の1つであるCK守備も重点的に突いてきた。それでいて勝ち点1に留まってしまったのは彼らにとって後悔が残る結果だろう。

 

一方ユナイテッド視点で及第点を与えられるのは甘めに見てもクーニャ、マウント、ヨロ、デ・リフトくらいで、とにかく集団としての連動性に乏しい。そして、強みであった逆足起用を何故か辞めているウイングバックに何が求められるのか、アモリムにはもう一度深く自己追求してもらいたい。

 

xG

 

参照:

Fulham 1 - 1 Manchester United (August 24 2025) | EPL | 2025/2026 | xG | Understat.com

 

ゴール期待値は僅差ながらフラムが0.1ポイントリードして終わった。彼らがゴールエリア内で5回の得点機会を作っている一方でユナイテッドはオウンゴールになった先制のCKを含めて2回、ブルーノPK以外ではほとんどクーニャへのロングボール一本でしかゴールへの可能性を感じないという内容。

 

 PASSING NETWORKでも中盤の問題は如実に表れており、フラムがベルゲを中心に前後に太い線を繋いでいる一方でユナイテッドはか細い線ばかり。そしてマウントよりも高い位置にいるドルグは仮にボールを受けても個で打開できるほどの突破力と思い切りの良さは無く、哲学を捨て順足WBにしてまで彼をこの場所で起用する意図が私には理解できない。

 

あとがき

 

プレシーズンまでの最大の懸念であったCBについて、デ・リフトが良い意味で予想を裏切るハイパフォーマンスを見せているが、チームとしてはセットプレー守備やクロスに対するマーク管理などの甘さが目立っていてその上積みを活かす事が出来ずにいる。

 

ビルドアップでボールをから逃げるカゼミロとそれを見て低い位置で積極的にパスを受けたがるブルーノという組み合わせはあまりに相性が悪く、軸をブルーノとしている以上、彼の弱点(ここではリスキーなプレー選択)を補完できる存在を相方に選ぶべきなのではないか。

 

スカッドは攻撃寄りのNo.8型ばかりでバランスが悪く、キャリックやマティッチのようにDMとしての守備タスクをこなしつつ深い位置でポゼッションのコアになれる選手が恋しい……

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