※24/25 UEFAヨーロッパリーグ
マンチェスター・ユナイテッドvsグラスゴー・レンジャーズ戦の記事です。
決勝点の形はお手本のようなファークロス→シュートという流れで、相手の視線と身体の向きを動かせるとあのようにブロックされない得点機会になりやすいので安定して出来るようにする必要がある。
Bruno’s late winner secures all three points! ➕3️⃣#MUFC || #UEL
— Manchester United (@ManUtd) January 23, 2025

【Match Review】

Starting lineup

前半

マンチェスター・ユナイテッドはいつもの3-4-3だが、エリクセンをシャドーに起用するのはアモリム政権下での初の試みとなる。これに関しては実際に試合をみてハッとさせられたが、彼はデンマーク代表でこのポジションを担う事も少なくないのでアマドに大外を解放させる為の潤滑油かつ中継地点として誰が相応しいのかという悩みの種の解決策になる可能性もある。
また、エリクセンはいわゆるゲーゲンプレスを成立させられるようなプレス強度は無い代わりに背中でパスコースを潰すシャドーディフェンスが上手いので、ある程度落ち着いた状態の中間守備での安定感が高いのも彼をシャドーに入れたメリットとなった。
レンジャーズはオーソドックスな4-2-3-1でライン設定を低くしてユナイテッドを誘い込んだ後のカウンター狙い。相手陣内では中央を意識的に閉じてFW-MFラインを狭く保った4-4-2で対応し、外回しでウイングバック起点に前進される事はある程度許容した上で、リスクを取って中盤にパスを入れる瞬間をターゲットにして度々チャンスを作った。おそらくデ・リフトの判断の甘さとコリア―のボールコントロールに初めから狙いをつけていたのではないか。
ブライトン戦ではマグワイアとデ・リフトの同時起用に孕むリスクの大きさを痛感したが、リチャがいるかいないかもビルドアップ及びミドルサードでのコントロール状態の安定感に大きな影響を及ぼすと改めて気づかされる。ここ最近はあまりにもクロス対応が悪化していたので少し彼の評価を下げてしまっていたが、ポゼッションを考えると外す事が出来ない存在。
23分、アマドがキッカーになった右からのCKでヨロとの連携でマークを振りほどいたデ・リフトがヘディングシュートでゴールネットを揺らしたが、ファウルの判定で幻の一発に。
右サイドではコリアー-ブルーノのCMラインと段差を作りつつ、相手のダブルピボットの脇に入ってアマドやジルクゼーへの中継地点かつ生きているパスコースになり、左サイドではタヴァーニア―が飛びだせない位置かつウイングのチェルニーの背後という絶妙なポジショニングをダロトが取れていた事もあって両側から安定してチャンスを作れていたのだが、ことフィニッシュワークとなるとブルーノやガルナチョがもっと深く抉れる場面でも可能性の薄いミドルシュートを選択したり、そもそものシュート精度が低かったりと得点は近いようで遠い状態が続く。
後半

両チーム共に選手交代があり、ユナイテッドはデ・リフトに代えてマグワイア、レンジャーズの方は2人入れ替えでLWのユルマズはフルバックに、そしてサイドチェンジが効果的だったタヴァーニアーがCBにスライドしたように配置を大きく変えている。
ユナイテッドが前半と同様に主導権を握っていくなか、52分にはエリクセンキッカーの左CKでGK前を狙ったインスイングキックに対して、かつてユナイテッドのユニフォームを身に纏った事もあるジャック・バトランドがまさかのパンチング失敗で自陣ゴールにボールは吸い込まれていった。
このシーンではバトランドの妨害役をコリア―が担っていたが、平均身長の低い今のユナイテッドのスカッドでは彼は心肺機能と上背というフィジカル的な部分で勝負できる貴重な選手であり、パスレシーブはまだ伸びしろが多いがバウンドさせずに芝の上を滑らせるようなグラウンダーパスを蹴れてボールスピードもポゼッションに適応できる質を持っているので大切に育てていきたい。ゆくゆくはウガルテを脅かす、或いはダブルピボットとして共存するような人材になってくれる事を願う。
55分にはヨロに代えてマラシア投入。これによってダロトが右CBに回ったが、アモリムがワイドCBに求めているのがスピード+クリエイティブなパスを出せる力という事がマズラウィの起用法も含めて伝わってくる。

61分にはヒールフリックを多用した正攻法とは言えずも各々の技術の高さを見せつけるようなパス交換から、最後はアマドが右外からボックス内へ侵入して決定的なパスを送ったが、ガルナチョの左足でのシュートはプレッペルの頭に防がれて得点に出来ず。
そもそもどこで誰が合わせるのかという部分が曖昧な上に見込みでクロス/パスを出しがちなので中々決定機が生まれづらいユナイテッドのフィニッシュワーク。今回も相変わらずグダグダする時間帯が多く、結局追加点を得られずに80分台へ突入。
そして終盤も終盤の88分、再三に渡って質の高いロングキックでチャンスの起点になっていたタヴァーニア―のロングフィードに対してマグワイアはマーカーの後ろではなく前に入ってしまい背後をがら空きにする痛恨のエラーを犯し、なおかつヘディングクリアも空振りした事で途中出場シリル・デセルスに決定機が舞い込み、ユナイテッドは痛恨の同点弾を相手に与えてしまった。
コントロール=手抜きと勘違いしているかのように悪い意味でプレーの強度が落ちていくユナイテッドは前政権、前々政権、あるいはもっと前から同じような展開で終盤に勝ち星を落としてきたが、この日は闘志溢れる2人の男がチームを救った。
アディショナルタイム2分、ゴール前にブロックを敷くレンジャーズに対し、ミドルサードでボールを受けて優雅にボールキャリーをしながらファイナルサードへ侵入したリチャはゴール前を越えて逆サイドに落ちる絶妙なカーブクロスを蹴り、ウイングからマークを受け渡された事に全く気付いておらず簡単に背後を晒していたLBの視野外から現れたブルーノがこれにダイレクトで合わせて値千金のゴール!!
リチャのパス 🤌
— マンチェスター・ユナイテッド (@ManUtd_JP) January 25, 2025
ブルーノのフィニッシュ 💥#MUFC || #UEL pic.twitter.com/Bc46fe3n1n
試合運びに課題は残ったが、これでヨーロッパリーグは4連勝となり36チーム中の4番手まで浮上。次も勝利すれば上位8枠には問題なく入れるので、余計な試合を増やさない為にも5連勝は必須。
データ

Standard

シュート数では5本上回っているユナイテッドがオンターゲットで負けている点について、ブロックされたシュートの数を比較すると4:1とその原因が明らかになる。ブライトン戦でも言ったが、とにかく相手ディフェンダーの身体に当てるケースが多すぎるのでシュート精度自体の改善と同時に如何に相手の体勢を崩すかという部分をフィニッシュワーク全体の課題として重点的に取り組んでもらいたい。
コーナーキックが得点に結びつき、それ以外でも相手を脅かしていた事については好意的に見ており、アマドとエリクセン、左右で質の高いキッカーを用意出来た点がこれに繋がったと考えられる。
ボールタッチ数は多い順でブルーノ→リチャ→ダロト→アマドとユナイテッド勢が上位を占めており、TOP2が決勝ゴールを生み出した事も無関係ではないだろう。左右に起点とユニットが生まれていたのでミドルサードまでの内容で言えばよかったと思う。それだけに尚更上述の最後の部分を詰めなければ。
Man Utd 2 : 1 Rangers
— markstats bot (@markstatsbot) January 23, 2025
▪ xG: 2.39 - 1.37
▪ xThreat: 1.61 - 0.77
▪ Possession: 66.2% - 33.8%
▪ Field Tilt: 74.1% - 25.9%
▪ Def Action Height: 59.1 - 37.7
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markstats算出のゴール期待値はユナイテッド2.39、レンジャーズ1.37。xTやField Tiltの数値を見ると物足りない数字であるものの、基本的にはホームチームが試合を優位に進めていたとみていい。
PASSING NETWORKは久々にDF-MF-FWと綺麗に階層が作れてCM2枚がハブになっているが、これに貢献したのは右シャドーで起用されたエリクセン。彼がコリア―のサポートして常に前進するパスコースを確保しつつ、ブルーノアマドの2人にボールを繋いだ事によって全体のパスネットワークが円滑に築かれた。
あとがき

エリクセンシャドーと同様にメイヌーもこのポジションへの適性があると思うので、彼が3-4-2-1の2CMで身体能力的に厳しいようならばコンバートも1つの手。CFのファーストチョイス争いはまだ決まり切っていないが、ボールを持てる試合ではジルクゼーに分があるらしい。