いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #MUFC 】仲間の為に動ける選手を増やさねばならない

 

マンチェスター・ユナイテッド公式サイトに投稿されたインタビュー記事によれば、劇的な幕切れでライバルクラブ リバプールを下した先日のFAカップ準々決勝で途中出場から試合の流れをこちらに引き戻す見事な同点弾を決めたアントニーにとって、チームメイトで右サイドのユニットを組む事も多いディオゴ・ダロトのサポートが出場機会に恵まれなかった苦しい期間の重要な手助けになったとの事。

 

ダロトの試合中の振る舞いを見ると、守備時に相手の攻撃を自身や味方の好プレーで凌いだ際によく行う熱い握手やボディアクションであったり、仲間がゴールを奪った際に真っ先に駆け寄って共に喜びを表現している回数の多さなど、とにかくチームの情熱に火をつけるのが得意な選手であるという印象を常々抱いていましたが、ピッチ外でも今回の件のように苦境に立たされていた同僚を助けようとする互助の精神をしっかりと発揮していた事が分かったので、やはり彼が今のマンチェスター・ユナイテッドではキャプテンやそれに準ずるような周りを牽引していく核になるべきという思いが個人的にはより一層強まった。

 

 

スロベニアvsポルトガル フォーメーション】

 そんなダロトは日本時間3月27日早朝に行われたスロベニア-ポルトガルの親善試合で先発出場しており、ポルトガルの基本システムは恐らく4-1-2-3だったと思われるが、スロベニアがフラット4-4-2で1stプレスが2枚だったところに合わせる形で、ポゼッションでは+1を作る為にアンカーのダニーロペレイラがバックスに吸収される3-2-5に可変する事が多かった。

 

ポルトガルのポゼッション時の配置】

 相手の2トップの間にルベン・ネベスが入り、ネベスのサポートには左右どちらかのフルバックが向かう可変で、ダロトは縦の味方がトップ下やNo.8での経験が多く中央でのプレーを好むオタヴィオだったこともあってユナイテッドでブルーノと縦関係を組んだ際のように右大外でウイングの役割をこなす場合が圧倒的多数に。ポルトガルの攻撃傾向が左に偏っていたのでダロトにボールが入った際のサポートは希薄になりやすく、個人解決能力が要求されやすい環境にあったが、彼の突破からのクロスや身体の向きで相手を騙しネベスを中心とする中央の選手にボールを供給してからのコンビネーションなど、試合には敗れたが決してパフォーマンス自体は悪くなかった。

 

スロベニアvsポルトガル ハイライト】

 

 

 

ダロトのいい所はその時その時の自分の課題を数か月スパンでしっかりと克服できる分析力と弱点に向き合って地道に改善への努力を続ける忍耐力で、これらの要素は自身だけでなく周りのチームメイトにも試合中の激励や今回のアントニーの件のようにピッチの外での手助けという行動にもよく現れており、クラブ内にこういう人間が増えていく事が赤い悪魔の再興に一番必要なものだろう。

 

具体名は控えますが、少し前までチームに在籍していた者の中にもチームメイトの悪口やロッカールームの内情を暴露して士気を下げるような行いをしていたとされる選手が何人かいたり、中には直接にメディアに向けてそのような発言をする選手もいたくらいにユナイテッドではそれぞれの性格面について軽視されている傾向があった為、彼のように正の感情を周りに発信出来るような人間を人材獲得の重要な条件として設けてもらい、サー・アレックスがチームを纏めていた黄金期のようなプロフェッショナルな集団をもう一度作り上げてもらいたい。

 

 

 

 

北朝鮮戦不戦勝により弱点と正面から向き合う機会を失う

 

2024年3月のインターナショナルウィークにおいて、日本代表は21日に国立競技場でホームマッチを行い、26日に平壌でアウェイマッチを行うという北朝鮮とのH&A2連戦が予定されていたが、AFC(アジアフットボール協会)によれば、北朝鮮側から平壌での試合について「やむを得ない事情により試合を中立地に移す必要がある」と通達が入り、なおかつ代替案となる中立地での開催についても話をまとめる事が出来なかった為、FIFA(国際フットボール連盟)から26日予定の2次予選の中止がアナウンスされた。

 

 

1試合目のホームゲームではアジアカップの焼き直しのようなロングボール対策の無さを見せつけられ、スコアも前半開始すぐのカオスの時間帯に田中碧が決めた1点を何とか凌ぎ切り辛勝したものの、以前から続く継続的な課題が改めて露呈した事もあって森保ジャパンへのフットボールファンの不信感は強まるばかりだが、自国に戻ってプレー強度と献身性が更に増すと予想された北朝鮮とのリターンマッチの機会を失った事は戦わずして予選突破決定という表面的な喜び以上に深刻な懸念材料をそのまま後の戦いに残してしまう恐れもある。

 

例えばアジアカップに話を戻すと、ノックアウトステージで敗れたイラン戦ではモハメド・モヘビやサルダル・アズムンをターゲットとして板倉洸(右CB)と毎熊晟矢の間を執拗に狙うロングボールに対し、

 

  • オフサイドを狙ってラインコントロールを重視するのか、または配球役がロングボールのキックモーションに入る瞬間に後ろ側へのステップを踏み始めてスピード勝負への準備をするのか
  • ハイプレスでパスを出させない事を重視するのかある程度プレスラインを低めにしてブロックを形成したところからロングボールの弾き返しに重点を置くか
  • 板倉と毎熊のどちらが競るのかを人ベースで決めるのかゾーンで管理するのか
  • セカンドボールに対するセントラルMF2枚(遠藤,守田)のポジショニング

 この辺りが不明瞭で、失点シーンで悪目立ちしてしまった板倉についても彼が晒されやすい構造が頻発した事が真の問題だろう。

 

また、攻撃面では

 

  • ディフェンシブサードからショートパス中心に繋ぐ際の配置がそれぞれの機転ありきになっていて特に左サイドが機能していない事
  • CB型の伊藤洋輝が大外でウイングプレイをこなす従来型のフルバックになっていた点
  • アズムン+ボールサイドのウイングが1stプレスの4-4-2で守るイランに対して、その背後でパスを引き出せる位置取りをする選手が1人である事が多く相手FW-MFライン間を使えず

 このように全体的に選手それぞれのアドリブ任せに見えてしまい、伊藤のように明らかに適性とは異なる役割を担ったケースもある。

 

【イラン戦ハイライト】

 

 

 

・・・という流れを汲んで一体どのようにして課題を修正して来るのかが焦点になった北朝鮮戦でも、全くもってこれらのウィークポイントは解消されておらず、ただでさえ選手個々の機転と即興に支えられる体制である上、そこに強みを持つ毎熊がメンバー外かつ心肺機能や右足のキックは素晴らしいが意思決定の所でかなり脆さを併せ持っている菅原由勢がRBに入る事でかえって悪化してしまった。

 

また、ボールを持つ時間が増える事は戦前から容易に想像できるにも関わらず伊藤-前田大然というどちらがワイドを担当するにしても独力での局面打開は望めないユニットにした点にも強く疑問が残る。

 

北朝鮮戦ハイライト】

 

 

 

残念ながら現状のコーチ陣ではGKからショートパスで繋いでいくようなコントロール型のビルドアップの構築を望む事は叶わないと個人的には考えているので、今のに反代表には強力なウインガーの前方にロングボールを蹴ってそこからの回収で攻撃を始めるという形でポゼッション時にディフェンシブサードを省略してしまう形を推奨したい。

 

現状本気でワールドカップ優勝を狙うのだとすれば、ドイツやスペイン相手にも結果が出た持たざる者の戦い方が明らかに近いので、時間的制約と指導者の質の両面でどうやっても中途半端になるであろうポゼッションコントロールよりはハイプレス&ルーズボール回収に特化したカウンターベースの戦術で可能な限り守備のルールを明確にしつつ、縦と横の両比較で過去最も恵まれているアタッカー陣の優れた資質の邪魔をしない事を意識してもらいたい。

 

 

 

 

【 #FACup 】修正すべき点は多いが理屈を越え余力差と情熱で勝利!!

※23/24 FAカップ準々決勝

マンチェスター・ユナイテッドvsリバプール戦の記事です。

 

一見すると全てをかなぐり捨てたように見えたパワープレーがピッチ内で起きる現象として自分たちが常にやりたかったハイラインハイプレスの機能性向上に繋がるというのは何とも興味深い。バックスの選手の気持ちとしては、どうしても自分がラインを離れるという行為に対しての忌避感を抱きやすいのでこうなるのだと思いますが。

 

 

 

 

【Match Review】

 

Starting lineup

 

ベンチ入りマンチェスター・ユナイテッド
4 S.Amrabat, 5 Maguire, 7 Mount, 14 Eriksen, 16 Amad, 21 Antony, 22 Heaton, 53 Kambwala, 62 O.Forson

リバプール
13 Adrián, 18 Gakpo, 19 H.Elliott, 21 Tsimikas, 38 Gravenberch, 42 B.Clark, 53 J.McCnnell, 76 J.Danns, 84 C.Bradley 

 

 

前半

 

マンチェスター・ユナイテッドはメイヌーがアンカーに入りマクトミネイとブルーノがNo.8として振る舞う4-1-2-3。対するリバプールもミラー配置のため、縦横の連動するスライドが苦手なユナイテッドとしては人基準でマークを決めやすく前線からのプレッシングが非常によく機能した。

 

メイヌーも中盤の底でどっしりと振る舞うというよりはボールサイドに積極的にサポートに入り局所的な数的優位の形成に貢献し、更に狭いスペースでも相手のベクトルを見定めてボールを失わない個人技術でチャンスを拡大させていった。一方でメイヌーが持ち場を離れた後のDFラインの前には広大なスペースが生まれており、リバプールにボールを奪われると一気に前線の選手にこのスペースを使われてゴール前の攻防を作られてしまうケースもしばしば見られた。

 

10分、ユナイテッドは自陣でのリスタートから素早くラッシュフォードの前方にロングボールを蹴りクアンサを釣り出し、ボールキープした背番号10は一度後ろに戻してブルーノをボールプレーに関与させると、本来はニアポケットを狙うガルナチョのケアをしなければならない筈のジョー・ゴメスがボールに釣られてしまい、フリーでパスを受けたガルナチョは右足コントロールショットでゴールを狙う。GKケレハーも一度は見事な反応で凌いだが、弾いたボールをマクトミネイがしっかり詰めて先制はホームチーム!!

 

ガルナチョのオフボール、リバウンドに対するマクトミネイの信頼感とそれぞれのいい所が良く出ていた先制点の後もメイヌー-ワン=ビサカのコンビネーションから左サイドを崩してダロト経由でガルナチョのシュートチャンスに至るなどハツラツとしたプレーで試合の主導権はユナイテッドに。

 

また、成長著しいダロトに関してはInverted-WBとして中央に入るビルドアップで個の局面打開力を見せる場面が日を追うごとに増えているような印象もあり、ガルナチョがファウルを得てプレーが止まった16分には指揮官から直接戦術的修正?を伝えられているような瞬間がカメラに抜かれるなど、チーム内での信頼も非常に高い水準に達している事が良く分かる。

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サラーのボールプレーに対策として本来の場所ではないLBで起用されたワン=ビサカについては、左サイドで密集を作った際のメイヌーやブルーノとの連携はよく取れており、対人守備ではサラーとマッチアップした際にほとんど仕事をさせず相変わらずの強さを誇った。一方で自陣低い位置でボールを呼び込もうとする癖は相変わらずで、ただでさえヴァランのボールキャリーやパス精度が伴わない事で不安を抱える左サイドのビルドアップを更にリスキーなものにしてしまっていたのもまた事実。もう少し自分ではなくボールを受ける味方の気持ちに沿ったプレー選択が出来るようになれば…

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 

リバプールの守備に関しても遠藤航のカバー範囲に頼っている部分が多分にあり、彼自身はクレバーな選手であるがその分ラッシュフォードのような出力特化型に対してはやや対応しづらさを感じているのではないかという場面が何度かあったのは面白い。また、マクトミネイのゴールになった場面のようにジョー・ゴメスは瞬間的な判断を求められると脆さを見せ、これについてはアレクサンダー=アーノルドも同様なので、今回はベンチスタートだがコナー・ブラッドリーが本格的にレギュラーを勝ち取ると更に弱点の少ない厄介なチームになりそう。

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37分には先述した左サイド低い位置から無理やり繋ごうとする非合理ビルドアップで案の定ボールを失い、インターセプトした遠藤がサラーにボールを預けてリターンパスを貰い右足を寝かせながら丁寧なキックでファー側ゴールネットにボールを流し込んだが、サラーが僅かにラインを出ていたのでオフサイドによる得点取り消しに。ワン=ビサカからロングボールが出てくる事はまず無いだろうという事前研究とその状況になった際の瞬時の判断から前線プレスに参加したと考えられるが、本当にこの選手が日本にいるという事を頼もしく思う。

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44分のリバプールはユナイテッドを押し込んだ状態からペナルティアークより前でDFラインがボールを回し、クアンサが意表をついて前進を始めると1stディフェンダーのブルーノ、次いで対処したラッシュフォードの相次ぐ緩慢な守備でそのままボックス内まで侵入し、ダルウィン・ヌネスにグラウンダーのパスを送ると、ヌネスはダイレクトでマック・アリスターにボールを委ね、アルゼンチン代表MFの強烈な一撃はシュートブロックに入ったメイヌーにディフレクトしてゴールラインを突破した。

 

アディショナルタイム3分、左サイドタッチライン際に位置取りするワン=ビサカへのショートパスからリバプールの前線プレスを補助するような形でまたしてもボールロストしたユナイテッド。ジョー・ゴメスのクロスはリンデロフが何とかクリアするも、ルイス・ディアスがセカンドボールを回収してピンチを続き、パスを受けたヌネスのシュートをオナナが弾いた所にしっかり詰めていたサラーが勝ち越し弾。

 

ビルドアップについては先程と全く同じ事象なのでいちいち言及しないが、もう1つ気になったのはヌネスがシュートモーションに入る瞬間のヴァランのプレー選択だ。リンデロフがニアを完全に消している為、GKはファーへのカーブショットにほぼ絞れる場面であり、今のオナナならばこのシチュエーションで一発で得点を奪われる事は考えにくい。それ故にヴァランとしてはファーポストのカバーではなくサラーのマークに神経を注ぐべきだった。

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 

 

後半

 

立て続けに失点を喫し気持ちが切れてもおかしくは無かったユナイテッドにとって、すぐハーフタイムで一度切り替えの機会が与えられたのは不幸中の幸いだろう。両クラブ交代なしで迎えた後半はファウルの基準がややリバプール寄りになった事を感じながらやはりアウェイチームが圧倒的に主導権を握る展開となる。

 

気分転換なのかラッシュフォードとガルナチョがサイドを入れ替わる場面も見られたが、違いが如実に表れるのはボールホルダーに対する寄せの圧や大外に位置取りする相手に対するプレスバックで、ラッシュフォードの守備改善を考えると常に彼の尻を叩き続ける事が肝心かもしれない。

 

60分台に突入すると、前で守備を完結したいブルーノ、ガルナチョを中心とするアタッカー陣と相手3トップのスピードを警戒してどうしてもラインを下げていくディフェンダーとの間で軋轢が生じているかのようなボディアクションが随所に見え始める。

 

変化を加えたいという両クラブの思惑が合致した70分過ぎ、ユナイテッドは前もって出場時間を決めていたと思われる戦列復帰の2人を下げてアントニーマグワイアを投入し、リバプールはソボスライに替えてエリオットでサラーの中央へのポジション交換を促していく。

 

更にリバプールはサラー、ロバートソンとミッドウィークのヨーロッパリーグでフル出場したコアメンバーを下げ、右サイドの縦ユニットがそのまま新しくなる形に。ユナイテッドもメイヌーに変わりエリクセン投入で後方からのロングボール重視という方針を明確に打ち出していく。

 

80分を越えていよいよ後が無くなってきたユナイテッドはヴァランに替えてアマド、バックスを減らしバック3+ブルーノorエリクセンのどちらかがアンカー兼被カウンター時の2枚目のCBになるという3-2-2-3と3-1-4-1を基準にした攻撃的な可変システムを採用し同点弾を狙う。

 

すると86分、マクトミネイがセンターサークル付近でのルーズボールの攻防を制し前方へこぼれたボールをアントニーが収めてショートカウンター。左のガルナチョに一度預け、自分に帰ってきたやや処理の難しいパスに対し遠藤を背負いながらボールを横に上手く蹴り出してそのまま右足で放ったシュートがネットを揺らす!!

 

いい意味で予想外だったアントニーの逆足での同点弾に歓喜するオールド・トラッフォードだったが、直後の88分にはアンバランスな配置の穴を突かれてガクポへのスルーパスをキッカケにエリオットのシュート性クロスがポスト直撃というヒヤヒヤの危機もあった。

 

延長戦に入る前に試合を決めてしまいたいユナイテッドにとって、千載一遇の大チャンスがエクストラタイムの4分にエリクセンのロブパス→裏抜けを狙うラッシュフォードという形で巡ってくるが、完璧なファーストタッチから後は冷静にGKの手の届かない場所に蹴り込むだけという決定機を外して仕留めきれず……

 

 

延長戦

 

ここまで来ると戦術というよりもどれだけハードワークを続けられるかという精神的な踏ん張りが鍵になってくるという余りにもタフなノース・ウエスト・ダービー。両チームともとにかく相手のバックラインに背走を繰り返させて脚を止めさせようという意図が強く、トランジション合戦になると優勢になるのは試合間隔が長いユナイテッドだった。

 

100分にはダロトがルイス・ディアスとの1on1に完勝してボールを奪い、カウンターからガルナチョのヒールパスに走り込んだリンデロフのシュートがサイドネットに直撃するシーンがあり、このまま押せ押せでユナイテッドが押し切るかと思ったが残念ながらそう簡単には行かない。

 

105分、自陣左サイド深い位置でリバプールスローインを与えると、密集をうまく抜け出したブラッドリーのマイナスのパスに思い切りよく左足を振り抜いたエリオットのミドルショットがエリクセンの脚にディフレクトしてオナナの右手を掠めて勝ち越しゴールとなる。

 

先述のビッグチャンスに加え延長前半にも2度得点機会を活かせなかったラッシュフォードへのヘイトが溜まるような15分を経て、残りの15分を前にユナイテッドはマウントをピッチに送り込むが、率直に言って全く試合に入れておらず、フィットネスは万全から程遠い状態であった。

 

共に極限状態の中で残り10分を切った112分、GKケレハーから左サイドでボールを受けたヌネスは完全にコースを塞がれているにも関わらずグラウンダーのパスを中央へ試みてアマドがこれをインターセプト。弾かれたボールにいち早く反応したマクトミネイは足が攣った状態で力を振り絞り何とかラッシュフォードへのラストパスを通し、ようやく背番号10が得点を記録して再び試合を振り出しに戻す。

 

ゲーム開始から出場している選手たちはほとんどが足をきにする素振りを見せるほどに限界まで追い込まれる中、途中出場のアマドは賢明なプレスバックでピンチの芽の摘み取りチームメイトをフォロー。

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そして、120分を迎えようかという所でのリバプールのCKをマクトミネイがヘディングでクリアした後、ルーズボールに対しエリオットと遠藤がダブルコミットして一瞬譲り合いになった所を見逃さなかった所を突いたアマドがボールを奪い完全にオープンなカウンターが始動すると、ガルナチョにパスを出して全力で前に走るアマドは折り返しのパスを受けてブラッドリーがじわりじわりと距離を詰めてくる中でも冷静さを失わずファーポスト目掛けて丁寧なグラウンダーのキックを送り込み劇的勝ち越しゴールが生まれた!!!!!

 

なお、アマドはゴールパフォーマンスでユニフォームを脱ぎ喜びを表現したが、既にイエローカードを提示されていたので2枚目のカードで退場処分を下されている。試合後のコメントによれば、イエロー提示をうっかり忘れていたとの事で本人は強く後悔していると思うが、あまりにも美し過ぎる退場劇としてより知名度を向上させる結果になったかもしれない。

 

 

データ

 

Standard

 

120分を戦った割にパスやシュートといった積み上げの数字は常識的な範囲内に留まっているが、これについては両チーム共に試合をコントロールしようという意識がそれ程高くなかった、或いはそう出来ない事情があったので比較的トランジションゲームに寄った展開になった事も影響しているだろう。

 

ユナイテッドの選手の中ではパス成功率82%、ドリブル成功4/4とボールプレーの安定感が高く守備でも効果的なインターセプト(3回)やタックル(2回)が目立っていたメイヌーをまず取り上げたい。この活躍も評価されたのか、飛び級でスリーライオンズに招集された赤い悪魔の未来は今後どのクラスまで上がって行くのか全く想像がつかない。

 

リバプールではデュエル勝率6/9、キーパス4と終始一貫してユナイテッドの守備陣に脅威を与えたルイス・ディアスが敢闘賞だろう。ラルフ・ラングニックがユナイテッドにいた頃に獲得を進言したともされるこのコロンビア代表FWはとにかく個人での局面打開力がずば抜けており、緩急の使い分けとステップワークの細やかさが異常。

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気になる準決勝の組み合わせについては、この試合のすぐ後に行われた抽選の結果

に決定。ユナイテッドとしては一番いい相手を引く事に成功しているので、準優勝に終わった昨シーズンの雪辱を晴らす為にも絶対に勝たなければならない。

 

 

xG

 

 

markstats算出のxGマンチェスター・ユナイテッド3.28、リバプール2.43で実際の結果通りホームチームがリードする結果となった。但し脅威期待値ではリバプールが上回っており、これについてはポゼッション率とその質の差が反映されていると考えられる。このようにチームとしての完成度で劣るユナイテッドはカウンターやロングボールなど個人能力の比重が大きくなる攻撃から得点を生み出していった。

 

PASSING NETWORKについても、同じ4-1-2-3ベースながら左右でしっかりと三角形が形成されているアウェイチームに対しこちらは左に偏った関係性となっていて、恒常的に勝利出来るチームになるためにはまだまだ修正と成熟が必要な部分が多い。

 

 

あとがき


正直、ここまで熱い試合を見せてくれるとは思っておらず、尚且つ敗北を覚悟していたので、そんな予想を裏切る結果を以って最高の精神状態でインターナショナルウィークに突入する事が出来ました。

 

勝利に立役者であるアマドは退場処分になってしまった事で代表戦明けのブレントフォード戦に出場出来ないものの、ワン=ビサカ、マグワイア、ホイルンド、アントニーと怪我人が一気に復帰したので戦力的には大きな上積み。

 

 

 

 

【 #FPL 23/24 】GW28 Palmerの安定感は異常。レギュラー1年目の選手とは到底思えない

 

甘い誘惑に誘われてブルーノのキャプテン指定を解除した事に何とも言えない罪悪感を抱きつつも、それが結果を左右する大きな差にはならなかったのでまあいいだろうという開き直りスタイル。

 

Gameweek27はこちら


【FPL 23/24】GW27 GK選びで大きな後悔残る

 

 

 

 

スカッド

 

 

ケルケズまさかの0、ゴードンの負傷などトラブルもありましたが全体平均からは22Pts上回るフィニッシュとまずまず良い結果が出た。特にグロス、ブルーノ、パルマーと中盤のクリエイターが揃ってポイントを積み上げてくれた事で個人的に嬉しい。

 

 

クラブ

(スタメン)
マンチェスター・ユナイテッド:ダロト、ブルーノ
ボーンマス:ケルケズ、ソランケ
アーセナル:サカ
マンチェスター・シティ:ハーランド
ウエストハム:アレオラ
ブライトン:グロス
ニューカッスル:ゴードン
チェルシー:パルマ
ルートン:ダウティー

(リザーブ)
ピックフォード、ジンチェンコ、アケ、ホイルンド

 

IN:ケルケズ・ミロシュ(ハンガリーは日本とおなじ苗字→名前の表記)
OUT:キーラン・トリッピアー

 

2試合をホームで開催するボーンマスを重視したいという狙いから負傷中のトリッピアーに変わってケルケズを補強。しかし、ソランケがPKを失敗してから一気に相手に流れを持っていかれたシェフ・ユナイテッド戦の誤算を含め全くもって上手くいかなかったので残念。

 

対戦カード

マンチェスター・ユナイテッドvsエバートン
 ↪2-0 マンチェスター・ユナイテッド勝利

ボーンマスvsシェフィールド・ユナイテッド
 ↪2-2 ドロー

クリスタル・パレスvsルートン
 ↪1-1 ドロー

ウルブスvsフラム
 ↪2-1 ウルブス勝利

アーセナルvsブレントフォード
 ↪2-1 アーセナル勝利

アストン・ヴィラvsトッテナム
 ↪0-4 トッテナム勝利

ブライトンvsフォレスト
 ↪1-0 ブライトン勝利

ウエストハムvsバーンリー
 ↪2-2 ドロー

リバプールvsマンチェスター・シティ
 ↪1-1 ドロー

チェルシーvsニューカッスル
 ↪3-2 チェルシー勝利

ボーンマスvsルートン
 ↪4-3 ボーンマス勝利

 

 

Cole Palmer、彼は本当にレギュラー1シーズン目?

 

 ボールホルダーと自分の進みたい方向(この場合はゴールマウス)を両方視界におさめられる体勢を作りながら縦パスを受け、敢えて身体の中心から少し離れた場所にファーストタッチを置いた事でニアとファーをどちらも狙える状態を保ち、視線でファーポストへのカーブショットを一瞬GKに意識させてから次の瞬間にシュートブロックに入ったDFの股下を抜く強烈なニアへのパンチショットを放ち裏をかく、一連の流れがとてもプロキャリアでのレギュラー確保1年目の選手とは思えない完成度で圧巻の勝ち越しゴールを奪ったチェルシーのコール・パルマー。

丁度クラブ生え抜きで放出時の批判も多かったメイソン・マウントの担っていたウイングにいるプレイメイカー的役割を受け継いでいるが、移籍金の差し引きで言えばマウント放出で得た5500万ポンドのうち7割程度の4000万ポンドでリーグ戦10G10Aを容易く達成しそうな選手の確保に成功しており、パルマーの方が3歳年下かつマウントは股関節や膝の怪我からトップフォームにいつ戻せるのかという不安要素を抱えていて、現にマンチェスター・ユナイテッド加入後は戦線離脱期間の方が長いと言う有り様なので、今季時点ではこの2つの取引について、完全にチェルシーの勝利だったと見て問題ないだろう。

 

Gameweek26のあとがきにて、パルマーについて2節の間に15Pts獲得してくれると嬉しいと書いたが、まさかこの高めのハードルをあっさり超えて合計18Ptsを記録するとは思っても見なかったので嬉しいサプライズ。Total Pointsでも一気にランクを上昇させて3月12日時点で全体8位に名を連ねており、残り10節で200Ptsまで加算するのではないかという期待もかかる。

 

 

奇跡の逆転劇、2試合目で何とか面目躍如のSolanke

 

 

 

Gameweek28ではシェフ・ユナイテッド戦、ルートン戦と順位表で言えばボトム5に入るクラブとのホームでの連戦という事で一気に勝ち点6を積み上げて一気に残留ラインの1つの目安である35を突破してしまいたかったボーンマスだが、1戦目は蓋を開けてみればブレーズ相手に2点を先行されて何とか追いつく形でのドロー、14分のソランケのPK失敗もチーム目線でもFPL目線でも非常に手痛いものがあった。

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更にルートン相手にも前半の内に3点をリードされる絶望的な展開になってしまったが、何としても勝ち点を得たいチェリーズのチーム状況にエースストライカーが応える。セットプレーで押し込んだ状態からの2次展開でメファムの頭での折り返しを強引に収めたソランケがそのまま反転してチップキックでタイミングを外し反撃の狼煙が上がった。

 

すると息を吹き返したように62、64分と立て続けに2ゴールを奪いチームは同点に追いつき、更には80分台に入りセメンヨがこの日2度目の得点を記録してまさかの逆転劇。2試合で5失点と守備の乱れが目立ったため、補強したケルケズは0Ptsに終わったがキャプテンに指定したソランケの汚名返上の点取り屋らしい得点によって8×2で16Ptsを加算出来たので最低限の水準はクリア出来た。とはいえ本音としては2択で迷ったザバルニーの得点の伸びを見て悔しい思いの方が強い。

 

 

あとがき

 

Free Hitを使う事は確定ですが、誰を選ぶかという所でかなり迷いました。トッテナムを3人入れるのは早い段階で決めたものの、その対戦相手フラムでも前回取り上げたロドリゴ・ムニスのように攻撃的な選手に関してはチームに加えるのも選択肢だと考えているので難しい判断になりそう。

 

 

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FPL-記事一覧

 

 

 

 

【 #MUNEVE 】PKWon2つ、より明確に形が見えてきたBrunoのフォルスナイン

※23/24 イングリッシュプレミアリーグ

マンチェスター・ユナイテッドvsエバートン戦の記事です。

 

週一の試合間隔ならば今回のようなロングボールからのルーズボール回収に重きを置いた戦い方も十分持つと思います。理想はテンポを自分たちでコントロールするポゼッションフットボールですが、今のスカッドに合っている戦い方はこちら側。

 

 

 

 

【Match Review】

 

Starting lineup

 

ベンチ入りマンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 4 S.Amrabat, 14 Eriksen, 16 Amad, 21 Antony, 45 D.Mee, 53 Kambwala, 65 Collyer, 75 Ogunneye

エバートン
2 N.Patterson, 5 M.Keane, 9 Calvert-Lewin, 12 Virgínia, 18 A.Young, 21 A.Gomes, 23 Coleman, 28 Chermiti, 

 

マグワイア、ホイルンドは翌週末のリバプールとのFAカップを復帰目標に定めるとの事で引き続きベンチ外。LBのマラシアは結局今シーズン中の復帰が難しいという報道も出始めており、それならば何故冬の市場でレギロンをローンバックさせたのかというフロント陣及びメディカルスタッフの見通しの甘さには呆れて声も出ない。

 

前半

 

マンチェスター・ユナイテッドはポゼッションを諦めてオナナのフィードやハイプレスからのショートカウンターベースの攻撃を主とし、寧ろアウェイチームの方が丁寧にボールを繋ごうという意図が強かった。そんな中でユナイテッドはフォルスナインのブルーノが攻撃時にエバートンのライン間に自由に顔を出し、ガルナチョとラッシュフォードはフルバックを牽制する高いポジショニングでワイドストライカーのように振る舞う可変システムを採用。

 

エバートンの方は4-4の2ラインの前にドゥクレ、ベトが立て並びの4-4-1-1で、前線プレスはその2枚に任せつつメイヌーがビルドアップに参加する素振りを見せるとガーナーかアマドゥ・オナナの片方が前に上がってマークという形。攻撃はシンプルなアーリークロスが中心で、左足の精度が絶好調のマクニールのミドルショットは脅威だったが全体のパターンはそれほど多くなく守り易かった部類だろう。

 先読みしてクロスが来る位置に構えているエヴァンスのインテリジェンスと多少無理な体勢でもしっかりとクリアまでもっていけるヴァランのCBユニットはこの類のクロス乱打に対しては非常に強く、更にここ最近はオナナのショットストップが驚異的な領域に突入している為チャンスの数で上回りながらエバートンは中々得点を奪えずという展開が続く。

 

10分、中盤でのルーズボール合戦を制して攻撃に転じたユナイテッド。マクトミネイはシンプルに左外のラッシュフォードにパスを出し、背番号10は中央からダイアゴナルランで左ハーフスペースに現れたガルナチョへスルーパス。ターコウスキとの1on1を迎えたガルナチョは相手に対し身体を正面に向けながら右足アウトサイドでマイナス方向へ切り返し、ボールを蹴り出そうとした所に丁度自身の左足が来るような上手いファウルの誘発で見事ペナルティキックを獲得。

 

PKはブルーノがピックフォードにコースを読まれながらも手の届かない隅へしっかりと蹴り込んで先制はマンチェスター・ユナイテッド!! 

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エバートンの守備は割と足をちょんと出してくる傾向が強く、ガルナチョは25分にもゴールを狙える位置でのFKを奪い、ブルーノのフリーキックはピックフォードの好セーブが無ければゴールになっていた惜しい内容。ガルナチョ自身のプレーについては、余計な事を考えずシンプルな選択をしている時は高い確率でチャンスを生み出していたので、とにかく意思決定の向上を求めたい。

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当初、ロングフィードの蹴り先は左右差なくという印象だったが、徐々にミコレンコのハイボール対処のマズさが露見すると右サイドを集中的に狙い始める。特にカゼミロのロブパスにブルーノが裏抜けを試みた32分のシーンやガルナチョの低いクロスに対し滑り込んだ際に完全に手でブロックしていたAT1分のシーンなどは支え手という解釈ではカバーしきれない程に疑惑の判定であり、今後も守備面でネックになりそう。

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 

34分にはピックフォードが自陣から蹴ったエバートンのFKをボックス手前でカゼミロがしっかりと弾き、カウンターに転じてマクトミネイからパスを受けたガルナチョが右→中央へ長い距離をやや強引にドリブルで進んでいく。すると、ボックス内に入った所でゴッドフリーが完全に足裏で踏んづけてしまう迂闊で痛恨のタックルを犯して2度目のPK。

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 2回目のPKキッカーはブルーノではなくラッシュフォードで、完全にピックフォードの逆をつくキックで安心の追加点が生まれた。

 

是非触れておきたいのは良い変化があったマクトミネイとリンデロフ。マクトミネイは1つ1つのキックや相手とのコンタクトでの力強さを感じる場面が突然増加し、DFライン裏へのスルーパスが普段よりも効果的になり、リンデロフはアジリティ不足を準備早めるというアプローチでカバーしようやく光明が見え始めている。

 

前半終了直前には欲張ったエヴァンスが低い位置でボールを失いマクニールに決定機を与えるが、ヴァランの素晴らしいブロックによって何とか最初の45分を無失点で終える事に成功。

 

後半

 

後半も基本的には両チーム同じ戦い方で挑み、ユナイテッドのボールサイドへの圧縮が甘くなるとエバートンがミドルレンジの横パスからチャンスを生み出し、逆にしっかりと寄せきれるか相手の攻撃をボックス近辺で跳ね返せばホームチームのカウンターという展開が続く。

 

なお、前半はプレスバックをしっかりとやり切っていたラッシュフォードだが、ターコウスキに淡白に突っ込んでいって交わされた50分の場面を皮切りに後半はムラっ気が出てきてしまう。1回で奪い切れる事は基本的に少ないので、ブルーノのアンガーマネジメント同様にラッシュフォードの守備対応も忍耐を身に着けるべきだろう。

 

エヴァンスのボールキャリーを起点にブルーノへの斜めのパスで一気にスイッチを入れた54分の疑似カウンターはエバートンのライン間の広さを突いた見事な攻撃で、ガルナチョのニア上を狙ったシュートは枠を捉えなかったものの全体のデザイン自体は綺麗にハマっていたので今後の試合でも見てみたい。

 

60分を過ぎてエバートンは一気に3枚のカードを切る。存在感の乏しかったベトに替えてキャルバート=ルーウィンが入り、ユナイテッドキラーの登場に戦々恐々。やはりクロスに対しての動き出しや縦パスを引き出す身体の向きなどFWとしてのオフボールは彼に一日の長があり、ベトはFootball Manager2024ではそれこそカラム・ウィルソン並みに無双する選手であるが、現実では正直まだ心許ない。

 

ゲーム終盤に入りカンブワラ投入、同時にダロトがLBへ移動しリンデロフがCBにスライドという形もお馴染みになり、メイヌーとアムラバトの交代カードも同様、貧弱なスカッドではどうしても固定された交代策になりがち。更に80分台には集中力が少し切れているかのようなプレーがチーム全体に散見されたが、オナナが常に緊張の糸を張っていた事は救いである。

 

良くも悪くも前半の焼き直しのような内容なのでこれ以上語るような事も特にないが、アディショナルタイムの時間の費やし方は無駄にシュートを狙ってカウンターのリスクを招くようなプレーを避ける意識は見られた。それでもやや不用意な前線への楔のパスからエバートンのチャンスになりかけるシーンがあったが、90分を戦ってなお瞬発力が求められる守備対応で完璧なプレーを見せたダロトの貢献もあって無事無失点で試合を乗り越えた。

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データ

 

Standard

 

オンターゲット数はユナイテッドが8本とエバートンを2つ上回っていて、逆にシュート数そのものではエバートンが8つリードするという結果に。自分たちでボールの主導権を握りながら進めていくという戦い方を放棄していたのでこのスタッツ自体には驚きも不満も無いが、オナナのスーパーセーブ頼りという局面を作られ過ぎている点については明確な課題。

 

その守護神については今回もセーブ6回、ハイクロス対応2回とゴール前に入ってくるボールやゴールマウスを捉える相手のシュートに対し抜群の対処を見せており、それだけでなく主に相手フルバック裏を狙うレーザーのようなロングフィードでの攻撃貢献も含め、この試合の最優秀選手は彼が一番相応しいだろう。

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xG

 

参照:

Manchester United 2 - 0 Everton (March 09 2024) | EPL | 2023/2024 | xG | Understat.com

 

PKが2回あった事でマンチェスター・ユナイテッドのゴール期待値は2.90まで伸びているが、エバートンもノーゴールではあったがxGは1.82とまずまずのスコアを記録しており、オープンプレーに限っていえばこちらの方がチャンスを多く作っていた。

 

低い位置からポゼッションしようとするとヴァラン、カゼミロでほぼ確実に詰まるため、レンジの広いオナナのキックによって一気にアタッキングサードまでボールをかっ飛ばした方が現時点のチーム状況ではゴール前まで運びやすいという事が分かる結果でもある。

 

 PASSING NETWORKをみるとユナイテッドの配置はカゼミロが中盤底に入るダイアモンド4-4-2のように見えるが、実際にカウンターの際にはブルーノが前線から降りてエバートンFW-MFライン間、またはMF-DFライン間でボールを受け、高い位置に留まっているガルナチョとラッシュフォードの両翼にパスを渡すというパターンが多く見られたので見た目上4-2-3-1の変則4-4-2というこの試合の戦い方がハッキリと表れていた。

 

 

あとがき


おそらくリバプール戦も今回のブルーノフォルスナイン+カウンター時の前残りガルナチョ-ラッシュフォードをベースに構成してくるものだと思っています。仮にホイルンドがプレー可能ならばラッシュフォードのところを彼にしてもそのまま適用出来るので、後は一週間でどれだけ相手への対策が出来るか、チーム戦術の上積みがあるかがライバルに勝利する為に必要な条件でしょう。

 

正直に言えば負けて当然と言ってもいいくらいに差があるので、失うものなどない挑戦者という立場から余計なプライドを捨てて目の前の試合を全力で取りに行く姿勢を見せてくれれば。

 

 

 

 

【 #FPL 23/24 】GW27 GK選びで大きな後悔残る


Gameweek28ではボーンマスとルートンが2試合を予定しているので、この2クラブを如何に活用するかで差がつくと思う。ダウティーとソランケの爆発に期待。

 

 

Gameweek26はこちら


『つもり』積もって元の木阿弥

 

 

 

 

スカッド

 

 

元々厳しい週になる事は覚悟していたのでダメージは少なかったものの、後述するゴールキーパー選びについてはよく考えれば違った答えを導きだせたと思うので強く後悔している。それ以外については概ね予想どおりだった。

 

 

クラブ

(スタメン)
マンチェスター・ユナイテッド:ダロト、ブルーノ
ニューカッスル:トリッピアー、ゴードン
マンチェスター・シティ:ハーランド
アーセナル:サカ
ブライトン:グロス
チェルシー:パルマ
ボーンマス:ソランケ
エバートン:ピックフォード
ルートン:ダウティー

(リザーブ)
アレオラ、ジンチェンコ、アケ、ホイルンド

 

IN:コール・パーマー
OUT:マーカス・タヴァーニア

 

パルマー補強に関しては前節にて触れた通りで、放出選手にしたタヴァーニアに関しては2024年に入ってからのパフォーマンスが芳しくない点を考慮。ブルーノの放出も一度考えたが、ユナイテッドの代替選手で今ポイントを期待出来る人間が見当たらないので見送り。

 

対戦カード

 

 

天国か地獄、二者択一となったエバートン-ウエストハム

 

現在私のスカッドで採用しているアレオラとピックフォードの2人のGKの直接対決となったEVEWHU。

 

それほど深く考えずにホームチームだからエバートンでいいだろうとピックフォードをスタメンにしましたが、トフィーズの勝ち点減点処分が10から6に減少して現時点で降格ラインの上になった事で反骨精神から来る情熱が減衰したことを軽視したのはまずかったのかもしれない。

 

また、プレミアリーグにおいて今期のエバートングディソン・パークで14試合3勝、アウェイでは13試合5勝と外弁慶の傾向にある事も今思えばという事実であり、更にウエストハムが前節ブレントフォード相手に4ゴールの快勝を記録した点も考慮出来ていれば、違った結論を出していたようにも思う。

 

勿論、アレオラがPKセーブを達成してボーナス込みで13Ptsも加算したことは結果論であるが、どちらがより期待値の高い選択かという点で今回はアウェイ側だった気がする……

 

ブレイク前夜?もしかすると大物になるかもしれないフラムのあるFW

 

このブログを始めた当初、右も左も分からないような状況でそのポテンシャルに惹かれて取り上げたワトキンスがプレミアリーグのトップスコアラー争いに食い込んでリーグ屈指のストライカーという評価を確実なものにしているなか、新たなコンプリートFWの開花がロンドンにて起きようとしている。

 

それは2001年生まれのブラジル人FW、ロドリゴ・ムニスのことで、フラメンゴでの活躍によって将来性を買われる形で2021年8月に800万ユーロの移籍金でフラムへ加入。

 

絶対的なエースとして君臨したミトロヴィッチがクラブを去った後もラウール・ヒメネス、カルロス・ヴィニシウスらとのスタメン争いである意味では低い所でしのぎを削るような形で、彼自身ゴール無しの日々が続いたものの、2月初旬のバーンリー戦でプレミア初ゴールを決めると、まるでラスムス・ホイルンドのゴールラッシュを再現するかの如くケチャドバが始まり、マンチェスター・ユナイテッド戦こそ得点関与は無かったが今回のブライトン戦でも1G1Aでチームの勝利を手繰り寄せている。

 

 

そんなムニスの何がいいかといえば、フィジカル的な強さが担保されている所で、ゴールがなかったユナイテッド戦でもあのハリー・マグワイアとの競り合いやコンタクトプレーでも5分以上に渡り合い、リンデロフ相手には背負いながらでも簡単にシュートまで持っていってクロスバーに直撃した決定機を生み出すなど、1トップを安心して任せられる正統型のストライカーとして今後の更なる覚醒に期待がかかる。

 

中盤からパスを引き出したり、そこからいい体勢の味方へチャンスを広げるパスを出すといったプレイメイク能力については未知数の部分もあるが、攻守に身体を投げ出せる献身性とクロスに対して相手の視界から外れるようにしてニアでもファーでもその時の状況に合わせてより得点に結びつきやすい方へポジショニングできるオフ・ザ・ボールは好不調に影響を受けにくい部分なので、供給する側の数と質が確保されていれば、今からでもFPL的においしい思いが出来る選手になり得ると思う。

 

あとがき

 

サカが週末のゲームに間に合うか微妙なところで、トリッピアーは今月アウトの怪我を負っているという事でどこから手を付けるべきなのか非常に悩ましいところ。ホイルンドが今週末に復帰出来れば理想であるものの、恐らく無理なので出来ればMFを優先したいところだが、怪我人放置で毎年スカッドが貧弱になっているのも事実なのでギリギリまで考え抜こうと思う。

 

 

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【 #MCLMUN 】ローブロックで耐え抜こうと健闘も後半は初志貫徹出来ず

※23/24 イングリッシュプレミアリーグ

マンチェスター・シティvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。

 

中途半端に臨むくらいならパークザバスも厭わずという執念で勝利を狙う、その姿勢自体は評価しますが、それだけに同じやられ方をし続けた左サイドの修正の遅さや低い位置で繋ごうとした結果失点に繋がったエラー等は非常に勿体なかった。

 

 

 

 

【Match Review】

 

Starting lineup

 

ベンチ入りマンチェスター・シティ
8 Kovačić, 18 S.Ortega, 19 J.Álvarez, 21 S.Gómez, 24 Gvaldiol, 25 Akanji, 27 M.Nunes, 52 O.Bobb, 82 R.Lewis 

マンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 4 S.Amrabat, 14 Eriksen, 16 Amad, 21 Antony, 53 Kambwala, 62 O.Forson, 65 Collyer, 75 Ogunneye

 

ただでさえ戦力に差がある上にマン・シティはほぼけが人なしでマン・ユナイテッドはご覧の通り半数をアカデミー選手で埋めなければならない苦しい台所事情という事でアウェイチームが取れる手段は限られている。

 

前半

 

ホームのマンチェスター・シティはCBのストーンズがポゼッション時にフリーマンとしてロドリ横を始点に自由に動き回り、ドクとフォーデンの両ウイングは目いっぱいに広がって中央を他の選手が配置的優位やコンビネーションで崩していく昨シーズンの完成形だった3-2-5(3-2-2-3)。

 

対するマンチェスター・ユナイテッドはプレスラインを相手の中盤以降に設定するローブロックの4-2-4或いはカゼミロがDFラインカバーに入って5-1-4という形で格ライン間の圧縮を強く意識。ボールを持てた際にはオナナから素早く相手の最終ライン後方のスペースにロングボールを蹴るか、ブルーノ,マクトミネイ,ラッシュフォード,ガルナチョの4枚で完結させるカウンターを狙っていく。

 

8分、オナナのパントキックからルベン・ディアス-ウォーカー間からロングボールへの準備が遅い後者の背後を奪う形でブルーノがバックス裏に抜け出すと、安全にボールを収めて後ろから走り込んできたラッシュフォードへ落としのパスを渡し、背番号10が迷いなく振り抜いた右足から放たれたボールはクロスバーを強く叩いてそのままゴールラインを越えた!!

 

ユナイテッドからすれば思い描いた通りの槍の一突きから生まれた待望の先制点であり、CB-FB間から相手ディフェンスの裏を奪ったブルーノの素晴らしいオフボールとそれをアシストするオナナのスピードとレンジを兼ね備えたロングキック、そして圧巻のラッシュフォードのミドルショットと全てが完璧な芸術的得点である。

 

一方でシティからすれば、4バックの中でただ1人パントキックに対しての準備が整っていない上に背後を突かれた後もどこか間の抜けたような帰陣だったウォーカーの一連の動きに大いに不満が残るだろう。ペップの元で長くプレーして大分粗が取れてきたとはいえ、彼もどちらかと言えば元々身体能力偏重で細かい気配りが効かない側の選手だったので、ある意味でプレイヤーとしての本質が現れた瞬間だったのかもしれない。

参照:MUTV | Manchester United
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17分にも同じようにロングキック(この時はクリア)から、ディアスのスリップからブルーノがボールを奪いラッシュフォードがウォーカーの背後に走り込む決定機になり得るカウンター機会があり、こちらはラッシュフォードのミスコントロールでモノに出来なかったがシティのカウンター対策は穴があるように見えた。恐らく今回の試合を研究した他チームが今後の対戦で積極的にこの部分を突いてくるのでは。

 

シティの中ではリンデロフ相手の1on1で完全に主導権を握り、最初の数歩で縦に抜け出す速さもあれば逆にタメを作って味方の準備が整う時間を作る事も出来るフォーデンのオールラウンドぶりと、チームの重心として数多くパスを受けながらボールコントロールが乱れるケースは極めて少なく、ステップを取らずにサイドへ正確に振れる配球は勿論のこと、シュートでさえも33分のボレーのように一流ストライカー並みのプレーを見せるロドリの底知れ無さが目立った。

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逆に、反対側の攻防に目を向けてみると、ベルナルド・シウバのオフボールやストーンズのフリーダムな動きについていけず大外のドクへの警戒が甘くなっても、彼にボールが入った後はデュエルでほぼ完勝のダロトとしっかりとそのフォローに入るガルナチョのプレスバックでシティを自由にさせず、途中からは明らかにこのサイドへの供給を嫌がっているような素振りが見られたので2人には拍手を送りたい。

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ディフェンシブサードで相手のクロスを弾きながら、それでもシュートまで持っていかれる場面を数多く経験したが、最後はオナナの完璧なショットストップとそこに至るまでの予備動作で紙一重凌いでいくというユナイテッドの最終局面での守りはヒヤリとさせながらも確かに有効であった。

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45分にはロドリからファーポケットへ走るフォーデンへロブパスが通り、フォーデンの折り返しをゴール前で実質フリーのハーランドが後は触るだけというチャンスを作られるが、珍しく怪物ストライカーがシュートをふかしてユナイテッドとしては命拾い。その場でスムーズに軸足ターンをするロドリの身体操作の上手さとシティの確立されたフィニッシュワークをまざまざと見せつけられた場面で、アタッキングサードでの崩しにおいて「如何にして相手の背中を取るか」という部分がより強く求められる時代になった事を改めて実感。

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 

 

後半

 

HTでの選手交代は無かったが、マンチェスター・ユナイテッドに悪い意味での変化が現れだす。リードしている状況で無理をする必要は全くもってなく、前半のように忍耐を続けながらギリギリの所でシティの攻撃を防ぎカウンターからの1発を狙うという戦い方を続ければ良かった所を、欲が出たのか自制が効かなくなったのか低い位置からショートパスで繋ごうというシーンが増えていく。

 

仮にマン・シティのプレスの速さを考慮してでも足元で繋ごうと言うならば、少なくともダロトがパスの出しどころを見つけられず結果的に被カウンターになったこのシーンのような非合理的な配置を無くす必要がある。

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 

56分、中央をキャリーするマクトミネイからスルーパスを受けたラッシュフォードは絶好のカウンター機会を得るが、ウォーカーに追いつかれ然程激しくもないコンタクトであっさりその場に倒れ込む。不貞腐れながら地面を叩く10番をよそにノーファウルで試合は続き、一瞬の気の緩みを見逃さないホームチームは縦に抜かれたこれまでの経験から寄せが甘くなっていたリンデロフの対応を見透かしたフォーデンのカットインミドルショットで同点に。

 

前半から負け続けていたリンデロフvsフォーデン対面に何ら策を打てなかった事と、意思の弱さなのか自分可愛さなのか中途半端にファウルを貰いに行ったプレーでチャンスを潰すだけでなく失点の呼び水となってしまったラッシュフォードと左サイドの問題が立て続けに噴出した失点。

 

更に勢いそのままに勝ち越しを狙いたいシティはダロトに完封されていたドクを下げてフリアン・アルバレスを左のCMに投入。押し出されるようにベルナルド・シウバがLWに入ったが、急遽の役割変更でも求められる役割を確実にこなしてくれる彼のフットボールIQの高さは見事。

 

試合への影響度という観点では、ボールをキャッチする一連のプレーの中で滑り込んだ時にオナナが左足を痛めた事は1つのターニングポイントだったかもしれない。ただでさえ時間と共に堪え性が無くなって低い位置からボールを繋ぎたいとなり始めていたところに、彼のアクシデントで踏ん張りが必要なロングボールを蹴りづらくなったという理由が与えられてしまったのは正直不運だった。

 

中盤に降りてパスを受け、強引に反転してそのままゴールに直進しフリーキックを得たハーランドの重戦車のようなドリブルの後、プレーが切れたタイミングでユナイテッドもエヴァンスに替えてカンブワラ投入。75分のラッシュフォード🔁アントニーを含めて変更後の立ち位置は以下のようになった。

 

アントニー投入と共に左サイドへガルナチョがスライドし、カンブワラがRBに入った影響で既にLBへ移動していたダロトと再び縦関係になると、守備強度と球際の強さを嫌がったフォーデンがベルナルドと入れ替わるように左サイドへ移動。後述する結果を踏まえると、ホームチームにとってこれは正しい判断だったように思う。

 

80分、タッチライン際に流れたデ・ブライネにパスが入ると、そこから入れ替わりでハーフスペースに位置取りしていたフォーデンに横パスが通る。フォーデンは更にペナルティボックスの縦の線の延長線上にいたアルバレスとのワンツーでボックス内へ侵入し、やや厳しい角度から冷静にファーサイドにボールを転がしてこの日2ゴール目。

 

遂に追いかける立場になってしまったユナイテッド。ガルナチョ,メイヌーのティーネイジャー2人に替えてフォーソン,アムラバトを投入した決断について、カゼミロが最終ラインへ吸収された際には1人で中央の広い範囲をカバーしなければならずガス欠になっていたメイヌーは理解できるが、ガルナチョからフォーソンというもう1つの交代に関しては正直理解に苦しむ。

 

 

 フォーソンはサポートの薄いカウンターで1人で何かを生み出す系統の選手ではなく、どうしてもガルナチョを下げたいというならドリブル突破からのワンチャンがあるアマドか、そもそもこの入れ替え自体が不要だったのではないかと個人的には考える。

 

アディショナルタイムにはショートパスで繋ぐゴールキックから、ボールを受ける際の身体の向きの修正を怠り、尚且つ味方へのパスもディフェンシブサードで中途半端な威力の浮き球という禁忌を犯したカゼミロの失態から、このボールを収めようとしたアムラバトもボールコントロールが乱れてそのままロストの後ハーランドにまんまとゴールを許してしまう。

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最後の最後で悪い意味でらしさを出したユナイテッドは1-3で試合に敗れ、3連勝を決めたアストン・ヴィラとは勝ち点11、クリスタル・パレスから逆転勝利を収めたトッテナムとも勝ち点差6をつけられ欧州カップ出場権争いは大きく後退。。。

 

 

データ

 

Standard


スタッツ的には完全にシティ優勢の内容で、ユナイテッドのポゼッション率の数字よりもホームチームのシュート数の方が多いのだから、これでアディショナルタイムのヘマを除き2失点で済んだ事はある意味凄い。オナナを筆頭とするGK・DF陣はフォーデンに自由を与えてしまったリンデロフを除くとよくやっていた。

 

1つ褒めたいところはチーム比較のデュエル勝率で相手を上回っていた点で、特に9/13のカゼミロ、9/11のダロト、5/6のメイヌー、4/4で全勝のエヴァンスといった辺りは秀逸なデータを記録している。これまでstrength不足が目立っていたメイヌーはこれをキッカケに身体の入れ方や相手の勢いを利用するような当て方のコツを掴んでいってくれると嬉しい。

 

xG

 

参照:

Manchester City 3 - 1 Manchester United (March 03 2024) | EPL | 2023/2024 | xG | Understat.com

 

xGはシュート数の違いからも察しが付くように2.64-0.15と大差でマン・シティ優勢。逆に言えばこのような一方的なスタッツでも55分はリードしていたという事なので戦力と完成度で劣る立場なりによく耐えたと褒めるべきなのかもしれない。7割超の支配率を記録した割にシティのシュート数は伸びていないが、これはゴールエリア内でのシュートチャンスに拘った事とそこに供給される危険なクロスをユナイテッドが瀬戸際で凌いだ事の合わせ技だろう。

 

 

 PASSING NETWORKは完全にマンチェスター・ユナイテッド陣内でゲームの大半が消化された事を端的に表している。ユナイテッドの配置は4バック+カゼミロの前に立つメイヌーが中央の広範囲をカバーし、少ないチャンスでは残りの4枚でシュートまで完結しようと試みた点も反映されていて、上記の図では左ラッシュフォード、真ん中ブルーノ、右ガルナチョとなっているが、実際にはかなりフレキシブルに見えた。シティの方は綺麗に3-2-5が形成されており、バック3全員から矢印が向かっているロドリはパス成功率9割、ボールタッチ120回と正にチームの心臓。

 

 

あとがき


最初のゲームプランはハマっていたし指揮官の勝利への貪欲さも伺えて好意的に捉えていますが、故障由来で避けられない要素もあったとはいえ時間経過と共にそれが崩れていった事に関してはチームの未熟さと選手に役目を徹底させきれないコーチ陣への不満が募る。

 

この後はリーグ戦でエバートンカップ戦でリバプールとライバル関係にあるクラブとの対戦が続きますが、ホイルンドに無理をさせて再離脱といったような未来だけは何としても避けてもらわないと。

 

 

 

 

 

【 #FPL 23/24 】GW26 『つもり』積もって元の木阿弥

 

タイトルにはチーム編成画面で『Confirm』を押したつもりになっていて実際には忘れたままデッドラインを迎えた事への自戒の念が込められています。本当はグロスをキャプテンにしていたので(7-4)×2=6Pts損をした形。

 

 

Gameweek25はこちら


【FPL 23/24】GW25 ようやく骨格が固まってきた感覚

 

 

 

 

スカッド

 

 

骨格が固まったのはほんのわずかな期間でした。。。

ホイルンドの負傷により大幅な補強戦略の変更を余儀なくされ、他にも故障者が相次いでいる事もあって1人2人の選手交換では間に合わないかもしれない危機的状況に。

 

 

クラブ

(スタメン)
マンチェスター・ユナイテッド:ダロト、ブルーノ
マンチェスター・シティ:アケ、ハーランド
ニューカッスル:トリッピアー、ゴードン
ボーンマス:タヴァーニア、ソランケ
アーセナル:サカ
ブライトン:グロス
ウエストハム:アレオラ

(リザーブ)
ピックフォード、ダウティー、ジンチェンコ、ホイルンド

 

IN:ドミニク・ソランケ
OUT:フリアン・アルバレス

 

マンチェスター・シティが一時的に3枠を占めていたため、今後のチーム構成を見据えてアルバレスを放出して以前スカッドに加えていたソランケを再獲得。ただし、そのソランケが早速負傷してしまったので完全に失敗補強となってしまった。

 

対戦カード

 

 

計算できなくなったマグパイズ、とりわけ深刻な連続失点

 

シーズン前半は欧州コンペティションとの2足の草鞋も何のその、順調に勝ち点を積み上げて2年連続でのチャンピオンズリーグ出場権獲得も十分視野に入っていたニューカッスルですが、チームの半数近くが負傷離脱している期間もあったほどに相次いだ怪我人の影響か、或いは試合単位での消耗の激しいトランジションフットボールになりやすい戦い方で蓄積された肉体・精神的疲労からか2023年12月から敗戦が目立つように。

 

今年に入ってからはリーグ戦7試合で2勝2分け3敗,17得点20失点と戦績も得失点も内容が悪化し、この20失点という数字は2024年のプレミア20クラブ中ワーストの記録である。(3月1日現在)

 勿論、短期的に偶然不幸な失点が重なった可能性も考えられるが、残念ながら被ゴール期待値(xGA)でも同期間内でリーグ最低の水準なので、純粋に守備崩壊していると考える方が自然な成り行きだろう。

参照:understat.com

 

ただし、得点力は24年に入っても1試合辺り約2.43ゴールと錆びついておらず、元日の試合から2→2→3→4→3→2→1とコンスタントに数字を積み重ねているため、FPL目線だ考えてみるとクリーンシートボーナスを念頭に置いたGK及びDFの価値は下がってもアタッカーに関しては無理やり放出するまではしなくてもいいかもしれない。

 

とはいえ、今年のチーム内トップスコラ―はCBのファビアン・シェアで3ゴールという少々歪な状態である事を鑑みれば、序盤のようにノータイムでニューカッスルの選手をスカッドに加える決断はお勧めしない。

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相次ぐ負傷、Free HitやWildcardを使うか否かの決断を迫られる

 

シーズン後半戦、ようやく巻き返しを始めた私のチームでしたが、その中でコアプレイヤーとして一番の期待をかけていたホイルンドが半ばパンクのような形で2~3週の離脱、アーセナルの好調さの恩恵にあずかろうというジンチェンコについても細かい故障が多くポイントの上澄みに乏しく、追い打ちをかけるように補強したばかりのソランケの怪我やブルーノ・フェルナンデスも怪我を抱えながらのプレーが続くという報道が出回るなど冬の時代に逆戻りしてしまった。。。

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正直に言えば、今すぐにでもFree HitかWildcardを使ってしまいたい気持ちに溢れていますが、毎年恒例のFAカップ準々決勝によるリーグ戦日程の大幅な変更がちょうどGameweek29に予定されており、この節はなんと通常時の半数以下である4試合しかポイント対象の試合が存在しない事になるので迂闊な判断は致命傷になり得る。

参照:premierleague.com

 

よってFree Hit,wildcardのうち、1節限定の自由なスカッド編成が可能で変更後のチームを次節に持ち越さない前者に関しては確実にこのGW29まで残しておかなければならず、29で開催されないカードが30節以降のどこかででダブルゲームとして挿入されるという事情も考慮すれば、苦しい台所事情ではあるがここでボーナスを使う事は出来ないという結論に至った。

 

これを呼んだくださった皆さんもFAカップ週のチーム編成にはお気をつけてください。

 

あとがき

 

補強選手に選んだのはトップチームでの実績がほとんどない中で4000万ポンドを越える移籍金で加入するという重圧をはねのけて既にプレミアリーグで10ゴールを奪っているコール・パルマー。ブレントフォードニューカッスル相手の次の2節で15Pts以上を獲得してくれると大変ありがたい。

 

 

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【 #FACup 】身体出力不足を感じる試合が続く

※23/24 FAカップ5回戦

ノッティンガム・フォレストvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。

 

スピードのあるフォレストのカウンターに苦しみ、更に自分たちのフィニッシュ精度も伴わず90分の大半で厳しい時間が続いたが、アディショナルタイムに入る直前にカゼミロがサインプレーと思われるFKからヘディングを決めて何とか勝ち上がり。

 

 

 

 

【Match Review】

 

Starting lineup

 

ベンチ入りフォレスト
8 Kouyaté, 14 Hudson-Odoi, 16 N.Domínguez, 19 Niakhaté, 20 G.Reyna, 23 Vlachodimos, 32 Omobamidele, 37 R.Ribeiro, 53 J.Gardner

マンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 14 Eriksen, 16 Amad, 35 J.Evans, 37 Mainoo, 53 Kambwala, 62 O.Forson, 65 Collyer, 75 Ogunneye

 

 

前半

 

基本システムは互いに4-2-3-1のいわゆるミラーゲームだが、2-1-4-3あるいは3-2-5で両FBに外で高い位置を取らせるフォレストに対し、アムラバトとダロトの両方がInverted-WBとして積極的にカゼミロの脇に入り中盤化するマン・ユナイテッド、それぞれフルバックの役割が異なるので、ポゼッション時のアプローチの違いを比べる上で資料として参考になる試合になったシティ・グラウンドでのFAカップ5回戦。

 

久々にスターティングラインナップに名を連ねたアントニーについて、ピッチ外から試合を見る日々が影響を与えたのか、ボディアクションや表情での振る舞いが前よりもチームメイトを慮るようになった風にも見え、元々持ち味であったタメを作って味方の上がりを活用するコンビネーションもより円滑に進んでいるように思えた。ダロトやマクトミネイを使いながら得点機会の補助に回りつつ、自らも試合序盤のシュートでクロスバー直撃の一発をお見舞いする等見せ場は多かった。

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ただ、現状彼よりも優先順位の高いウインガー2人、ラッシュフォードとガルナチョに関しても、前者は非ポゼッション時の判断能力の低さ、後者は左ウイング起用時の意思決定の悪さとそれぞれ別の理由で今回起用されたポジションではないところに適性があるのでスタメン再奪取には得点貢献という目に見える結果が必要になりそうだ。

 

もう1人、LBとして出場したアムラバトに関しては、今季序盤の深刻な怪我人多発の時期にもこの起用法は試されているので基本的にはその時の課題や収穫がベースにあり、あの頃よりもフルバックの内側を取るポジショニングとそれに対応する周りの動きは数をこなして洗練されている為、ミドルサードより前方でのポゼッション時には大きな不満や不安は噴出しなかった。

 

しかし、全体的な傾向としてショートレンジのパスが微妙にズレているため、特にヴァランとの呼吸が合わず相手のカウンターチャンスに繋がるロストが何度が生まれていた点については修正が必要。逆にミドル・ロングレンジのキックの質は流石といったところで、守備面で背走に迫られた際のスピードと準備の不足を短期間で改善できるか否かが今後もフルバック起用を継続して良いかどうかの分水嶺か。

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ヴァラン・リンデロフに時間を与えても脅威たり得ないとばかりにCBのボールキープについてはアウォニィ+たまにギブス=ホワイトが軽く牽制するくらいで完全に許容するフォレストに対し、ユナイテッドはマークを剥がすようなピッチ中央部でのオフボールが足りていない故に中々前進する事が出来ず。

 しばらくすると業を費やしたようにガルナチョをハーフスペースへ押し上げるようにして自身が左サイドのタッチライン付近に位置取りするブルーノが起点になり始め、彼に呼応するように各々が動いた31分のプレーについては最終的にアントニーへのサイドチェンジこそラインを割ったものの、ある程度チーム全体の意識が共有出来たプレーだったのではないか。

(本来フルバックが占有するはずのスペースを空ける事でプレッシャーの緩い場所に配球力の高い選手を移しやすいというのはInverted-WBの利点でもある)

 

ゴールに近づくという意味で最も再現性の高かった形はアントニーが相手の意識を自身に向けて警戒の緩んだダロトにパスを送り、ダロトの持ち前のテクニックと瞬発力で一瞬抜け出してからのマクトミネイをターゲットにするクロス。出力が安定して高いダロトは走り負け当たり負けしてしまう選手の目立つユナイテッドにおいて貴重な存在であり、ここ最近は持ち振る舞いを見てもすっかりチームリーダーの1人になっている。

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前半のシュート数はフォレスト12本に対してユナイテッド9本とホームチームが上回っているが、これについては主審クリス・カヴァナーが際どいコンタクトプレーをことごとく流し、結果としてフォレストにとってやり易い環境になっていた事も影響しているかもしれない。ただ、エランガ-アウォニィ-オリギの3トップは速さと強さを両立しており、それがなくともユナイテッドにとっては非常にやりづらさを感じる相手であったことは確か。アムラバトの背走については先述の通りで、更に怪我を抱えながらプレーしているのかと思わせるほど出足が鈍いヴァランという左サイドは終始不安であり、カゼミロも悪い時の一発で解決しようとしてリスクを考えず突っ込んでいく対応がぶり返して頻発した。

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後半

 

ハーフタイム明けの交代は無く、立ち上がりに落ち着きのないプレーが増えるいつものマンチェスター・ユナイテッドに若干辟易としながらもショットストップが研ぎ澄まされていくオナナのファインセーブで何とか失点を回避していく。

 

フォレストのプレスラインが前半よりも高めになった事でビルドアップの緊迫感は増すが、それを突破出来れば一気にアタッキングサードまでボールを運べるため、徐々にユナイテッドのシュート数が増加。フォレストのバックス+ダブルピボットとそれより前の選手で明らかに守備時の意思が異なっていたようにも見えたが、これは普段のユナイテッドでもよく見られる現象である。

 

一方のユナイテッドは普段ならば我慢できず飛び出して単独でプレスをかけているであろうブルーノがしっかりと平常心を保ち、CFがラッシュフォードなので前線からコースを限定して前で奪い切るように守備は出来ないというある種の割り切りでミドルブロックを維持出来ていた。そのラッシュフォードは攻撃面で中盤からのパスを受けに降りてきたり、ワンツーやレイオフの軸になるような疑似的なポストプレーなどCFとしてのタスクをしっかりこなしており、相手の背中側から裏へ抜けるオフボールなども見せていたが、これまでの彼を見ているとこれが必然なのか偶然なのか分からない。

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最初に動いたのはユナイテッドで、アントニーを下げてアマド投入。しばらくはRWが変わっただけで他は変化なしで進む。その後、フォレストがオリギに替えてハドソン=オドイを入れた所で大胆にもバックスをCB-FBのユニット単位で左右入れ替えた。恐らくはエランガに対しダロトをぶつけたいというのがメインで、カバーリングやポゼッション時の配置を含めごちゃごちゃにならないように他も対応したという風に見える。

 

88分、ダロトがエランガのタックルを誘い左サイドタッチライン際、縦の座標ではペナルティボックスやや手前という所でフリーキックを獲得すると、そのダロトが何やらサインプレーを画策しているかのような手の動きをボックス内の選手たちに向けて発し、ブルーノはドライブ回転のかかった低弾道のキックでボールをワンバウンドさせてこれをカゼミロが頭で合わせて先制!!

 

しつこいくらい長時間に及んだVARによるオフサイドの確認も無事クリアし、『セットプレーのカゼミロ』というしばしばこのチームを救ってきた飛び道具で念願のゴールが生まれた。なお、鋭い回転のかかったボールを頭の角で擦るような合わせ方となった為か、このプレーでカゼミロは側頭部から出血しており、身体を張って決めた意地の得点であったことが伺える。

 

追いつきたいフォレストはドルトムントからドライローンで加入したかつてのワンダーキッド ジョバンニ・レイナ、同じくローン加入の18歳 ロドリゴ・リベイロと一気に2人のフレッシュな攻撃のカードを切ったがスコアは変動せず。マンチェスター・ユナイテッド0-1で勝利し準々決勝へ駒を進めた。

 

 

データ

 

Standard

 

シュート数は16:20、ポゼッションは40:60でマンチェスター・ユナイテッドが上回ったが、もう何試合連続か分からないというくらい被シュートが10を越えている現状に関して、何ら改善に向けたアプローチの跡が見られない事は非常に残念に思う。

 

スタッツ上ではパス成功率58/60(約97%)と抜群の安定感を誇っているように見えるアムラバトについて、試合を見た方ならばよく分かると思うがショートレンジのパスが少しずつズレているケースが多く、中には失点に直結しかねないロストに繋がったパターンもあるのでこの辺りは試合勘が戻って良化するのか、或いはこれまでにも同様の傾向が見られたように彼自身の特徴のようなものなのか、引き続き観察していく必要がありそうだ。

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xG

 

 

markstats算出のxGはフォレスト0.89、マン・ユナイテッド1.63、直訳すると脅威期待値となるxTに関してはその差が一気に縮まっている事を考えると、数値ほど内容に差は無く、ゲームプラン通りに運べたのはむしろフォレストだった事が分かる。

 

また、PASSING NETWORKをみるとCBの前にアムラバト-カゼミロ-ダロトが綺麗なラインを構成しているように見えるが、これについてはカゼミロの相方がダロトのインバートorシンプルにメイヌーという組み方からLBに本職中盤のアムラバトが入った事でどちらか一方のフルバックをボールサイドや展開に応じて変えるという風に変化した為。比重としてはアムラバトの中盤化が7でダロトが3といったところ。

 

 

あとがき

 

FAカップの次のカードはホームのリバプール戦。日本時間3月17日0:00キックオフ予定で、欧州コペンティションのないユナイテッドは日程面においてはそれほど切迫していませんが、3月から4月前半にかけてマン・シティ、リバプール×2、チェルシーとかなりタフな相手が続くため、ホイルンドがいつ戻れるかという点がまずはチームの命運を左右する事になるだろう。

 

 

 

 

【 #MUNFUL 】Højlundの個人能力で成り立っていた脆い連勝

※23/24 イングリッシュプレミアリーグ

マンチェスター・ユナイテッドvsフラム戦の記事です。

 

臨機応変さからはかけ離れているのがEtH体制という事が良く分かるゲームで、ラスムス・ホイルンドのボールキープ,展開力,少ないチャンスを決めきる力が抜けたチームは攻守の課題をさらけ出し続けてフラムに敗戦。内容的には負けるべくして負けたといっても過言ではない。

 

 

 

 

【Match Review】

 

Starting lineup

 

ベンチ入りマンチェスター・ユナイテッド
1 Bayındır, 4 S.Amrabat, 14 Eriksen, 16 Amad, 21 Antony, 35 J.Evans, 39 McTominay, 53 Kambwala, 65 Collyer

フラム
1 Rodák, 2 K.Tete, 9 Broja, 10 Cairney, 11 Adama Traoré, 12 Ballo-Touré, 13 Ream, 14 Decordova-Reid, 31 I.Diop

 

 

前半

 

ホイルンド抜きのマンチェスター・ユナイテッドは困った時にとりあえず彼にボールを預けるという逃げ道が無くなって中央でのボールキープが分かりやすく手詰まりとなり、代わりにラインナップに加わったフォーソンにこの苦しい状況でいきなり何かしてみせろというのも酷な話。

 

加えて複数の事柄を頭に入れながらという守備がてんでダメなラッシュフォードをCFに持って行った弊害で前線プレスがまるで機能せず、ガルナチョが左サイドに移動した事でここ最近のチームの強みになっていたダロト,メイヌーとの3ユニットのコンビネーションが消滅し右サイドは沈黙してしまった。

 

一方のフラムも4-2-3-1に守備時フラット4-4-2とユナイテッドの同様の配置を採用するミラーゲームとなり、ウィリアンやパリーニャなど一部主力を欠いている影響も出ているのか、お馴染みのフルバック-セントラルMF-ウインガーの三角形を重視したポゼッションとは少し異なる攻撃が多くなる。LBのアントニー・ロビンソンはイウォビをハーフスペースへ押し出すように高い位置を取り、RBのカスターニュはバランスを重視して左上がりの可変がベースに。

 

ここで先発抜擢となったフォーソンについての解像度をもう少し上げていきたい。守備時にダイアゴナルの動きでハーフスペースから中央に向かうペレイラをしっかりマークした場面や、13分の連続ワンツーでフラム陣内を進んでいったところを見るとどうもウインガーではないように映る。将来的な話はともかくとして、現状は外で受けて個の力で何か出来る選手ではなく、オフボールや味方とのリンクプレーのように全体の距離感が近い瞬間に貢献するケースが目立つため、トップ下や4-1-2-3の2で見てみたい。

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CKから相手に押し返されてロングカウンターを食らった21分のシーンを見ても分かる通り今のユナイテッドは身体的な出力と自己犠牲のハードワークのいずれも欠けていて、不要であると放出したペレイラが心地いいスプリントで駆け上がっていく様を見るとこのチームの内部にどれだけの膿が溜まっているのかとネガティブな感情をついつい抱いてしまう。

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CK守備ではまたしても回避できるはずの要素から失点危機を作られた。具体的には184㎝で横幅も広く、マグワイアを相手にしてもボールキープ出来る程にストレングスに優れたロドリゴ・ムニスに対し、過去にも散々セットプレーのマークの甘さが顔を出していて明らかに苦手側にカテゴライズされるメイヌーを当てたこと。21分と28分の2度のピンチはどちらも得点を奪われていても何らおかしくない内容。ある意味では屈強な選手を多く起用してユナイテッドの貧弱さを突いたフラムの作戦勝ちと言える。

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 奇しくも、やり玉に挙がる事の多かったセットプレーコーチ、エリック・ラムジーが監督として抜擢されMLSミネソタ・ユナイテッドへ向かう事が判明して最初の試合だが、実質的にはテン・ハフの通訳の役割が中心だったとも報道された事もある彼がどの程度この部分で影響力を持っていたのか、今後の試合でセットプレーの守備がどう変化していくかで判断したい。

 

FK後の二次攻撃からガルナチョのミドルをロビンソンが頭でクリアした27分のシーンやダロトのミドルショットが左ポストを掠めた31分の場面のように散発的にゴールを脅かした事はあっても、連続してフラムペナルティボックス内に侵入する機会を中々作れないユナイテッド。ホイルンドという預け先を失っている事もあってロングボールでDFライン裏を狙う単純な攻撃が多く、なおかつフラムの守備体形はミドルゾーンでのブロック守備なのでかみ合わせが悪かった為、単調な展開が続いて前半を終える。

 

 

後半

 

試合のターニングポイントになったのは48分の接触事故。オナナのフィード後のルーズボールに対し、カゼミロとハリソン・リードが競り合いの中で交錯。頭同士がぶつかって両者その場に倒れ込み、リードは試合に復帰したがカゼミロは治療の後歩いてピッチを離れ交代となってしまう。

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 

カゼミロの代わりに入ったのはマクトミネイ、ついでにフォーソンも下げてエリクセンと2枚替え。

 

フィルター役としての貢献が大きかったカゼミロが消え、柔らかさはあっても強さや速さはプレミアリーグ水準で下の方であるメイヌーと球際でのひ弱さとトランジション局面でのついていけなさが目立つようになったエリクセンのダブルピボットになった事で中盤でのボールリカバリーが滞り、更にズルズルと下がっていくDFラインも相まってミドルサードには広大なポケットが生まれやすい構造に……

 

メイヌーとポジションチェンジしてダロトがエリクセン横にいる際は少し守備強度という面でマシになるが、カゼミロの代わりとして仮にマクトミネイではなくアムラバトを選んでいれば遥かに戦いやすかった事は間違いない。エリクセンの深刻な強度不足についても、カバーエリアの広い選手で穴埋めしつつ、比較的弱みが出にくい前線プレス、或いはブロック守備の1stラインに回せばある程度はケア出来たはず。

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しかし、そのような細かい修正をEtHに求めても無駄であるというのはユナイテッドサポーターが身に染みて理解している。よって今のチームではエリクセンの居場所は無く、しばらくの間起用されていなかった点についてもある意味で納得がいった。そもそも、その試合その試合、或いは展開に応じてブロックなのかプレスなのかという根本的な守備の約束事すらあやふやな中、個としてのプレー強度に不安がある彼のようなタイプはどうしても割を食う。

 

また、リンデロフとヴァランに共通する問題として、明らかに相手に狙われている味方、或いはその後のパスコースが確保されていない状態でタッチライン際や中央の狭い空間のチームメイトにパスをする傾向が強いという点がある。スキャニング不足や敵味方の次の瞬間の行動を予測する力の足りなさなどが原因として考えられるが、年齢的にも今からの劇的な改善は望み薄か。リンデロフに関しては明らかに向いていないLB起用で同情出来る部分はあるものの、体格の割に余りにも弱いコンタクトプレーの所で結局CBとしても限界が見えてしまっている。

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主導権を握るための選手交代で逆に相手のチャンスを増やすという本末転倒な結果を招いたホームチームは65分にCKからバッシーに決められて遂にリードを許してしまう。やはり問題ばかり目につくCK守備だが、散々やられた前半を経てもこの有り様である事を考えると、最早何も決めごとが存在していないようにすら映る。

参照:MUTV | Manchester United
研究・批評目的の引用であり、著作権侵害の意図はありません

 

88分、エリクセンから前線に留まっているマグワイアへシンプルなバックスピンのフィードが出て、相手と交錯したもののその先に待っていたアマド(メイヌーに代わり80分から途中出場)がボールを収め、リターンを受けてマグワイアは横幅をフルに活かした強引なキープでシュート性のクロスを放ち、流れたボールを左サイドで拾ったブルーノのカットインシュートのリバウンドにマグワイア!!

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80分にもCKからあわやという場面を作っており、やはり単純に競り合いに勝てというシチュエーションでは無類の強さを誇っている。

 

押せ押せムードのユナイテッドは完全にエリクセン1アンカーの2-1-7で勝ち越しを狙うが、結果的にカウンターケアを疎かにした罰が当たってしまう。AT7分、シンプルなクリアボールにムニスがマグワイアとの競り合いに勝ってボールを繋げると、エリクセンの淡白過ぎる対応で突貫特急アダマ・トラオレがスピードに乗ってしまい、リカバリーに向かったマグワイアも純粋なスピードの違いで当然置いていかれる。その後、ボックス内でパスを受けたイウォビは、アマドの未熟さが出た守備対応からニアポスト付近に容易にシュートを撃てる事を見抜き右足を振り抜いた。

 

フラムがオールド・トラッフォードで勝利したのは2003年10月の03/04プレミアリーグ第10節以来およそ20年4カ月ぶりのことで、またしても不名誉な記録を1つ追加してしまったユナイテッドはこの状況で次節マンチェスター・ダービーという最悪の状況に。

 

データ

 

Standard

 

シュート数は21:17、オンターゲットが9:5でいずれも数の上ではユナイテッド優勢。それでも実感として試合を支配していたという感覚が全くもって無いのは相手を低い位置に押し留めて継続したポゼッション出来た場面が非常に少なかったからだと思われ、ルートン戦の課題に挙げたデュエル勝率は5分まで取り戻したものの、ターンオーバーの連続に強いのは身体能力や心肺機能自慢が多いフラムの方だった。

 

個人スタッツではセーブ数7、パンチングでのクリアも複数回と際どいシーンを殆ど防いだレノがMOTMだろう。他にはCFの王道のようなプレースタイルでマグワイア相手にも背負ってボールを失わないケースもあったFWのムニスも相手のCKのマーク管理の杜撰さに付け込んで何度もオナナを脅かした。

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xG

 

参照:

Manchester United 1 - 2 Fulham (February 24 2024) | EPL | 2023/2024 | xG | Understat.com

 

xGマンチェスター・ユナイテッド1.96に対してフラム1.14と一応体裁を保っているものの、その数字の約36%がマグワイアの同点弾によるもので、ユナイテッドのもう1つのビッグチャンスもコーナーキックからマグワイアが記録している事を加味すればフラムの方が流れの中からコンスタントに得点に近づいていた事は間違いない。

 実際にユナイテッドの個々のxGを振り返ってみるとマグワイアの1.32に続く2番手はガルナチョで0.17と一気に数字が落ち込んでいる。

 

 フラムと言えば両サイドでフルバック-セントラルMF-ウインガーの綺麗な3ユニットを徹底して意識した攻撃が代表的だったが、今回は主力メンバーを一部欠いた事で少し異なった様相を呈している。ユナイテッドはスタメン抜擢のフォーソンがやはりゲームスピードについていけない傾向が出て、右サイドが全体的に薄いネットワークになってしまった事も敗北の一因だろう。

 

 

あとがき


正直この内容を見て監督解任に個人的心情は傾きました。選手がいないからという理屈も守備構築における約束事の徹底においては本来対応できる部分であるはずで、ライバルクラブのリバプールがアカデミー選手を大量起用しながらカラバオカップ決勝を制した事とは正に対照的……