※25/26 イングリッシュプレミアリーグ
リーズ・ユナイテッドvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。
解任の決定打となったのはピッチ上の結果そのものというよりは上層部との衝突、具体的に4バックへの変更を突っぱねた事に加え、今冬のマーケットでの十分なサポートが得られないと会見で不満を口にした点という報道を目にします。ルベン・アモリムという人間の自らの中にある拘りを重視すぎる、頑固過ぎた部分が最後まで成功の邪魔をしたというのが1年と少し続いた体制への率直な感想。
The points are shared in Yorkshire. pic.twitter.com/izvWFiUBNB
— Manchester United (@ManUtd) January 4, 2026

【Match Review】

Starting lineup

前半

リーズは中央3枚、ユナイテッドの不安定なCMデュオに対しての数的優位も意識した3-5-2でスタートし、フットボール以前の歴史的な因縁が背景として存在するローズ・ダービーでの久々の勝利を狙う。
今回のスカッドならば右のシャドーはドルグではなくレイシーを抜擢したほうが確実に機能したのではとまず突っ込みたくなる上に、依然としてウイングバックを両サイドともに利き足側で起用するというまるで問題点に向き合っていない、と思わず目を覆いたくなるようなラインナップでゲームに臨んだユナイテッド。シャドーには余程個としての力が突出していない限り味方目線でプレーテンポやタイミングを合わせられる選手を置かなければいけないという基本的なところがまず欠落してしまった。
何度も言っているが、アモリムの志向する3バックではWBはただ大外で上下動を繰り返してクロスを供給するのではなく、ビルドアップにおいては4バックにおける外に流れたCMのような役割を担い、なおかつファイナルサードではテイクオンでの個人打開が要求される為、基本的にはピッチ中央を向いてのボールプレーが多くなる。
そんな中で利き足サイドで選手を起用すると、後方からパスを受ける際に逆足でのプレーが求められ、それを嫌がって位置取りが下がっていくと相手の前線プレス隊の前でボールを受ける事になり、その分だけハマりやすくなり前方に配置される選手も減るので強引な中長距離レンジのパスが増加する。特に本職がフルバックの選手だとこの傾向がより強まり、なおかつセントラルMFにはCBからボールを引き出す事が苦手な選手が多い為、ボール支配率で勝りながらも上手く前進させる事が出来ないという現象が多発していた訳だ。
しかも今回の場合は折角ショーの進化によってリチャをワイドCBに起用せずに済み、よりポゼッション時のプレス耐性と周りを動かすリーダーシップが重要になるCCB、またはCMで使えるという利点を放棄しており、以下はあくまで一例ではあるがほんの少し手を加えるだけでも遥かにマシな構成に出来たはず。

しかし、現実には現状裏抜けでスルーパスを引き出しつつ味方のスペースを作ったり、あるいは逆にボールホルダーに近付いてパスコースになってポゼッションに関与する動きのどちらも少ないシェシュコに対して、こちらもフットボールIQに改善の余地ありでハーフレーンやセンターレーンでのプレーには全く期待できないドルグをシャドーに置いてしまった事で前線のコンビネーションは死滅、なおかつビルドアップでも前述した構造的欠陥を抱えているので一時期のブルーノ並みにポゼッションのあらゆる局面でクーニャへの依存が強まり彼の個人打開力に頼るしかないという状態に。
一方でシェシュコの身体能力の高さは保証されており、なおかつリーズ左CBのストライクが空中戦の際にマーカーに密着するのが早すぎて強いクリアが出来ないという癖を持っていたので、結果的にオフサイドで無効だったがラメンスのロングフィードからクーニャのシュートに繋がった8分の攻撃のようにこだわりを捨ててシンプルにハイボールを集中させれば事故をおこせそうな予感もあった。
一方、リーズは5-3のミドルブロックで中央を封鎖して待ち構えながら赤い悪魔が勝手にタッチライン際で苦しいボール保持になるのを待ってボールを奪い、その後は素早くキャルバート=ルーウィンとオカフォーの2トップにボールを当ててヨロやヘヴンにプレッシャーをかけていく。リンク役になれるのがアーロンソンくらいなのでユニット単位での崩しに脅威は少なかったが、大前提として塩漬けの展開を許容している点とルーズボールに対するレスポンスがチーム全体で速いので目論見通りの試合運びが出来ていた印象。
やや中盤が機能していないように見える節もあったものの、戦術的にミドルゾーンでのプレーを軽視していてなおかつCBのビヨルのロングフィードの質で一気に前線のチャンスを作れるため致命的にはならず、長距離パスやセットプレーからの2次攻撃でラメンスの守るユナイテッドゴールを脅かしていく。中でも35分のキャルバート=ルーウィンのヘッドはマーカーから距離をとってノンプレッシャーで勢いよくゴール前に走りこんで強烈なヘディングシュートがポストを叩く非常に惜しい攻撃だった。
慢性的な怪我でトップフォームから程遠い中でのプレーが常態化し、一時期は完全に自分を見失っていた元イングランド代表FWはヨークシャーの地で輝きを取り戻している。
予定調和と評するのが正しい退屈な前半はそのままゴールレスで終了。マンチェスター・ユナイテッドはカゼミロのセットプレーくらいしか再現性のある得点パターンが存在しない様にすら見えたほど。
後半
52分、CK守備からウガルテがボールを奪いカウンターになったシーン、彼の良さと課題の両方が出た場面だった。まずルーズボールやセカンドボールへの反応の速さと鋭いタックルは良い点、一方でボックス付近までボールを進めた後、体勢や守備ブロックの配置など得点に繋がりにくい状況ながら強引に自分でシュートを打ち切ったのが悪い点。どうも彼はシュートへの意識が強すぎてチャンスを潰すケースが多く、これはドルグもそうだがもっと周りをよく見て欲しい。偶然なのかどちらもスキャニングの不足という共通項がある。
61分、なんということはない普遍的なDFラインでのボール保持の中でユナイテッドは勝手にタッチラインへ追い詰められていき、ヨロからの余裕のないパスをライン際で受けたダロトからドルグへのダイレクトパスをカットされると、リーズのクリアボールに対してヘヴンの対応があまりにも鈍く、アーロンソンへの絶好のスルーパスへと様変わりしたそのままネットを揺らされてしまった。
ホームで先制!
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中盤でボール奪取からアーロンソンが流し込む⚡️
均衡が破れホームチームが先制⚽️#年末年始はプレミアリーグ
🏆プレミアリーグ 第20節
リーズ v マンチェスター・U
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集中力が切れていたのか、またはリチャやカゼミロが追ってくれていると考えていたのかはよく分からないが、いずれにしてもエラーに変わりはない。もう1つの視点では、このようにビルドアップでライン際に追い込まれた際、WBが逆足起用だと後ろからのパスに対して利き足で強く飛ばせるので、順足WBを避けるべき理由が含まれた失点とも言える。
失点直後、ユナイテッドはこの試合で唯一となった選手交代を行いヨロに代えてジルクゼーを投入。彼が右のシャドーに入り元々の右サイドはそれぞれ一列後ろでプレーする。

走力や守備貢献に課題があるが、ボールプレーの才能と周りの味方と調和してコンビネーションを作るのが上手いジルクゼーの投入によってようやくシェシュコがポゼッションに参加出来るようになり、この日のスターティングラインナップが如何に間違っていたかをすぐに証明するような流れとなった。
65分、そのジルクゼーのスルーパスに抜け出したクーニャが滑り込みながらもネットを揺らし赤い悪魔が同点に追いつく。いわゆるライン間レシーブが出来るオランダ代表FWの投入によって斜めに前進するパスコースを経由しながらの攻撃がようやく生まれるようになり、カゼミロへの縦パスを入れたダロトからカウントして4本のパスで決定機を創出。シェシュコも落としのボールは比較的得意なので近い距離でプレーする選手がいるとその不器用さと判断の遅さが出にくくなる。
先制から3分で同点に
— U-NEXTフットボール (@UNEXT_football) January 4, 2026
ザークツィーのパスから抜け出したのは
マテウス・クーニャ💥
すぐさま試合は振り出しに戻る#年末年始はプレミアリーグ
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ジルクゼーが血液を循環させるポンプとなってアタッキングサードへ侵入できるようになったユナイテッド。74分にはダロト→シェシュコへの楔を起点にシェシュコの落としを拾ったジルクゼーが狭い空間でキープしながらウガルテを経由して左サイドに流れ、最終的に自らのクロスで決定機を演出。これを決めきれないシェシュコは正直ストライカーとして落第と言われても仕方がないと思うが、それはそれとして得点機会の生み出し方自体は良い内容だった。
ただ、結局勝ち越しゴールが生まれる事はなくそのまま1-1のドローでエランド・ロードでのライバルマッチはタイムアップを迎えた。チェルシー、リバプール、サンダーランドと勝ち点の近いクラブが軒並み勝ち点を落とす絶好のチャンスを活かせない辺りが今のマンチェスター・ユナイテッドを象徴している。
データ

Standard

走行距離で6km近く差がついているようにリーズはとにかくリアクションフットボールに持ち込んでマン・ユナイテッドのエラーを誘発させようという戦い方を選び、対する赤い悪魔は結局パス成功率が80%を下回ったようにその術中にはまってしまった。そもそもカゼミロ-ウガルテのCMデュオでポゼッションというのが無理のある話ではあるが、ラインナップに少し手を加えるだけでも遥かにマシな未来だったのではというのはジルクゼー投入後の変化で皆に知れる状況となったので、選手層の薄さだけを言い訳にする事は出来ない。
また、15本シュートを放ちながらオンターゲット僅か2本という絶望的なフィニッシュワークの低品質っぷりも結果に響く形に。特にボックス内のゴール正面で2回得点機会を逃したシェシュコはその象徴的存在。

Leeds 1 - 1 Manchester United (January 04 2026) | EPL | 2025/2026 | xG | Understat.com
ゴール期待値はリーズがほぼ実際のスコア通りの0.97、マン・ユナイテッドはボックス内でのビッグチャンスを逃した事がそのまま結果として表れていてホームチームよりもおよそ1点多い1.95でフィニッシュ。このメンバーでこのxGを出しているように今季のアモリムはことゴール期待値においては解任される最後の最後までリーグ有数のスコアを叩き出していたので、スタッツと現実との噛み合わなさは少々不憫に思う。
Leeds 1 : 1 Man Utd
— markstats bot (@markstatsbot) January 4, 2026
▪ xG: 0.88 - 2.13
▪ xThreat: 1.59 - 1.27
▪ Possession: 45.4% - 54.6%
▪ Field Tilt: 57.0% - 43.0%
▪ Def Action Height: 49.7 - 41.4
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PASSING NETWORKはウルブス戦より大分マシになっているが、CBで出続けていたショーに急遽のWB起用で以前のような左外で幅を取ってプラスを生み出せというのも酷な話であり、就任当初からここに至るまでアモリムを苦しめたのは自身のWB選出の誤った判断だった。また、ドルグのシャドーに関しても狭い空間でのリンクアップを彼に求めるのは無理がある。
あとがき

絶望的な2024-2025シーズンから比べると今季は勝ち切れない試合が目立つとはいえゴール期待値は大きく改善し順位も欧州コンペティション争いに参戦出来ているので成長したと言えるが、それでも勝率ベースで見れば40%止まりなのでマンチェスター・ユナイテッドに求められる水準にみたしていないのは事実。
その上で合理的ではないように感じるこだわりも多く、オーナーサイドと決定的な衝突をしたとなれば実質的な解任となったのは正直致し方ないでしょう。個人的にはアモリム政権をもっと見たかったですが、彼自身のパーソナルな部分での激しさがこれほどまでとは。