※25/26 イングリッシュプレミアリーグ
バーンリーvsマンチェスター・ユナイテッド戦の記事です。
3バックでも失点が少なくないチームなのでCBを減らせばこうなる事は分かる。ただ、全体的な内容として悪くないので後はコミットメントの要求度の高さというアモリムの良かったところを継続しながらも柔軟に変容出来るチームを作って欲しい。
The points are shared.
— Manchester United (@ManUtd) January 7, 2026

【Match Review】

Starting lineup

ホームのバーンリーはAFCONからハンニバルが帰ってきてスタメン。一方マン・ユナイテッドもブルーノが負傷離脱からおよそ一カ月で戦列に戻り、マグワイアもベンチ入りメンバーに名を連ねている。
前半
ダレン・フレッチャ―が暫定指揮するマンチェスター・ユナイテッドの初戦。キックオフ前にはバーンリーOBでクラブの歴代最高の守護神と称されたコリン・マクドナルド氏の追悼が行われた。

アモリム末期にクラブ首脳陣の要望があったと報道された通りフレッチャーはCBの枚数を3から2に減らしてWBを廃止した4-2-3-1でゲームに臨む。ホームのクラレッツは3-4-2-1で中央を固めつつ、左外に張るドルグに対してはウォーカーがマンツーマンで対応。
ただ、開始時の構成にはいくつかの問題があり、例えばドルグとクーニャの両ウイングを利き足サイドで起用した事でテイクオンの脅威が少なくなり、なおかつ相性の悪いショー-ドルグのラインを作ってしまい、以前よりは改善傾向にあるとはいえ左サイドのコンビネーションが沈静化した点などが挙げられる。
クーニャについてはこの4-2-3-1でトップ下にはブルーノという絶対的な存在がいる中、どのように運用するのがベストなのか見定めが難しく、カゼミロと並んでシステム変更により輝きを失う恐れがある選手の1人かもしれない。少なくとも右ウイングでは全く良さが出ないが、左サイドだとしても大外に張るタイプでは無いのでユニット単位での相性からもう一度考えなければならない。
13分、バーンリーは左サイドでCBのハンフリーズがボールを前進させ、一度味方に預けるとアンダーラップからの裏抜けを試みる。すると、マーク担当のカゼミロはボールチェイサーになったのかダロトに受け渡したつもりになっていたのか完全にハンフリーズをフリーにしてしまい、元チームメートのハンニバルに2者の間に通されるとその後のクロスがヘヴンにディフレクトしてそのままゴールマウスに吸い込まれていった。
Our opening goal of the new year 🎬 pic.twitter.com/gNYm6mdOwe
— Burnley FC (@BurnleyOfficial) January 8, 2026
コミュニケーションエラーと言ってしまえばそれまでだが、ダロトもカゼミロも明らかにもう一枚後ろにカバーがいるかのような淡白な守備対応をしており、もしかすると3CBの意識がまだ抜けきっていなかった可能性もありそうだ。それとは別に、中盤の守備時の横の運動量は昨今のボール保持のベースである3-2-5に対してマンマークで対応しづらい4バックの方が必然的に増加し、CB前に留まりフィルター役に専念した事でパフォーマンス水準が改善していたカゼミロは再びダッシュ力の低さで問題を引き起こすシーンが増加すると推測される。更にフレッチャーは縦に早い攻撃を増やすと受け取れるコメントを残しており、オープンな展開の増加が予想される為、冬のマーケットでの放出も噂されたウガルテと序列が入れ替わるシナリオが出てきた。
話は変わりアモリムと共にセットプレーコーチのカルロス・フェルナンデスもチームを去ったのだが、セットプレー守備が手つかずだった代わりにサインプレーやGKの妨害役などトレンドを抑えつつ独自性も見せていた攻撃面の強みは財産として残っており、27分のブルーノのFKは直接狙う素振りで相手の意識を集め、ノンプレッシャーになった大外のカゼミロへのロブパス→ゴール前への折り返しでゴールまであと一歩に迫っている。
上記の直後のCKにおいても結果的にポジション争いでのファウルが取られたものの、カゼミロをターゲットにして折り返しからゴール前の混戦、そしてリチャのシュートでネットを揺らしていて、この部分はアモリム政権で獲得したチームの新たなストロングポイントとして今後も引き継いで欲しいところ。
一方、結局最後まで定着させる事が出来きらなかったポジショナルプレーの文脈については、フレッチャーはスパッと捨てて即興成分の高いカウンターベースのコンビネーション主体となり、トランジションの多いゲーム展開でユナイテッドは前半のうちに12本シュートを放ったが枠内は僅かに1本と相変わらず最初の一点が遠くビハインドでハーフタイムへ。
後半

入れ替えは無く同じ22人で始まった後半。ユナイテッドのボール保持はバックスの距離感が空き過ぎて横パスの間に相手のスライドが間に合ってしまう場面がやはり多い。ただ、完全に消えていたクーニャを中央に移動させてボールプレーに積極的に関与させたのは悪くない判断だったと思う。そして、ペナルティボックス幅程度でまとまっている際にはリズミカルにボールが行き来しており、後述する同点弾もまさにそうだった。
50分、短い距離でパスを繋ぎ相手の守備ブロックの綻びを待つユナイテッドはカゼミロ→右ハーフレーンのブルーノへの縦パスをキッカケにテンポを上げ、ブルーノが顔を上げる瞬間にCB前を横切りながらDFライン背後へ抜けるシェシュコ、そしてそこに寸分違わぬスルーパスを送ったキャプテンのお膳立てで美しい得点が生まれた!!
完璧な連携👌
— U-NEXTフットボール (@UNEXT_football) January 7, 2026
ブルーノ・フェルナンデスの
絶妙なスルーパスを抜け出した
シェシュコがワンタッチで
ゴールに流し込み同点に🥅
🏆 プレミアリーグ第21節
バーンリー v マンチェスター・U
📺 https://t.co/O2gGHRseVW pic.twitter.com/PeYU6A2uN9
横方向に動くことで助走距離を確保し、瞬時にDF裏まで行けるスピードと後ろからのパスに対して身体を捻りながらダイレクトで強いシュートを打てる強さという身体能力の強みを活かすシェシュコらしい得点であり、このようにフィジカルの優位性を押し付けるプレーこそ彼に求められているものだと改めて思い出してくれれば何より。逆に止まった状態でのボールキープや落としは現状伸びしろだらけなので、如何にDFを背走させてスピード勝負に持ち込めるかが得点量産への鍵。
同点に追いついた勢いで攻勢を強めたいユナイテッドにブレーキをかけたのは、横の揺さぶりと縦のスプリントにとことん弱いカゼミロを苦しめたのはバーンリーFWのブロヤが中央ではなくハーフレーンに流れてボールを引き出し、そのまま自分で前進する事を好んだ点。
ユナイテッドが4バックで尚且つカゼミロが先発している試合では今後もここを狙われる可能性が高いため、今のうちに対応策を講じておきたい。個人的には2CBかつダブルピボットを採用する限りどうしても中盤には機動力が欲しいので、カゼミロをどうしても置きたいならば中盤逆三角形の底にハーフバックとして配置するか、CBを3にした方がいいと思う。
60分、ミドルサードでポゼッションするユナイテッドはボールを左右に大きく散らしながらワイドCBが外に釣られてチャンネル(CB間)が開く瞬間を狙いすまし、左サイドタッチライン際でドルグとウガルテが見事なパス&ムーブを決めて前者がオープンなスペースに抜け出すと、DF-GK間に落としたアーリークロスをシェシュコがダイレクトボレーで合わせて勝ち越し!!
2点目もワンタッチで☝️
— U-NEXTフットボール (@UNEXT_football) January 7, 2026
抜け出したドルグのクロスを
シェシュコがダイレクトで合わせ
逆転に成功💥
🏆 プレミアリーグ第21節
バーンリー v マンチェスター・U
📺 https://t.co/O2gGHRseVW pic.twitter.com/vLzbyJC8cP
まさに理想的な対5バックの崩し方。正面でプレーしているだけだとCB3枚+WBと戻ってくる中盤で固められたゴール前を崩すのは困難なので目線を動かし身体の向きを入れ替えさせていかに不安定な環境を作り出せるかどうかが勝負になる。また、しっかりとハンフリーズの背中を取って視野外からチャンネルを陥れたシェシュコのオフボールも良かった。
試合をひっくり返したホームチームは時間帯も丁度良かったのか一気に2人を入れ替え、ブルーノ🔁マウント、ヘヴン🔁ヨロの交代が行われた。ブルーノについてはプレータイム制限ですんなり受け入れられるのだが、ヘヴンについてはオウンゴールは完全な不運で彼自身の内容は悪くなく、ここまでの展開を踏まえて一番脆さが見えるカゼミロを下げるべきだったと思っている。

後半はそれまでほとんどバーンリーにボックス内への侵入を許していなかったユナイテッドだが、不思議と選手交代をキッカケに緩みが目立ち始め、66分には途中出場ジェイドン・アントニーのスーパーゴールに屈し再びリードを失ってしまった。
Jaidon takes his tally to five Premier League goals this season 🎯 pic.twitter.com/3RL6276kom
— Burnley FC (@BurnleyOfficial) January 8, 2026
失点の直前を見ると間を抜かれた後の戻りが遅いカゼミロ、マークの受け渡しが曖昧なDFライン、最後まで追わずすぐにプレスを辞めたショー、ペナルティボックス内なのにボールホルダーとの距離が遠いリチャと細かな失敗と緩さが積み重なっており、全てに共通する「他人事」対応は過去のユナイテッドを見ると厳しいアモリムから次の監督が奔放を許容するタイプになった場合一気に噴出しそうで今から恐れている。
70分過ぎからはメイヌー、ジルクゼーが投入されて勝ち越しに行けというメッセージ性の伝わる選手交代が挟まれたが、チームとしてどのようにファイナルサードを攻略するかという共通意識が希薄で、なおかつ前線でリーダーシップを発揮して先導する選手もいないので瞬間的なコンビネーションも生まれづらい。
そんな中で個人打開力の高さを見せて素質を発揮したのがレイシー。85分、マウントからパスを貰うと右外から常に内と外どちらにも運べる角度で対面のルーカス・ピレスに2択を押し付けながら斜めに切り込んでいき、ファーポストへの道筋が開かれた瞬間を見逃さずカーブショット。惜しくもクロスバー直撃だったが、キックフォームがボールに足を長時間接地させられる、カーブをかけるのが上手い選手特有のものであり、純粋なキックバリエーションと最大値はシニアチームに入っても最上位かもしれない。アマドやエンベウモとも十分差別化を図れると思うが、4バックになると左利きの右サイドアタッカー枠は実質1つになってしまうのでアモリム政権が続いていた方が彼にとっては良かったか。
選手から信頼を失った事が理由ではない以上、アモリム解任ブーストは存在しないと想定していたので引き分けという結果にそれほど大きな驚きはありません。問題はせっかく目途がついたCM/DM問題をまたゼロベースで構築しなければならない点で、大金をかけたクーニャの使いどころが無くなりそうなのもチーム内の関係性という意味では懸念事項。
データ

Standard

スタッツ比較ではバーンリーを文字通り圧倒したユナイテッド。走行距離も113km越えなら決して悪くなく、被オンターゲットを1つに抑えながら失点2つなのは不運だった面もある。ただ、システム変更の影響もあるのかフルバックのCB脇を消す絞りが全体的に甘かったり、3人目のCBがいる前提の動きを取る選手がちらほらと見られたりなど、ただでさえ課題であった3人目の飛び出しやクロスへの対応といった部分は今後より一層粗が出るかもしれない。

Burnley 2 - 2 Manchester United (January 07 2026) | EPL | 2025/2026 | xG | Understat.com
ゴール期待値でも0.32-2.52と差が開いたが、ユナイテッドとしてはこれだけ圧倒したので後2つ3つビッグチャンスを創出したかったところ。ゴールエリアでは2本のシュートに留まっており、セットプレー以外ではバックポストを上手く使いきれなかったのが課題。また、時間別に見ていくと前半30分まではほとんどxGを積み上げられていないように、スロースターターであった事もドロー決着に終わった原因だろう。
Burnley 2 : 2 Man Utd
— markstats bot (@markstatsbot) January 7, 2026
▪ xG: 0.22 - 2.75
▪ xThreat: 0.52 - 2.73
▪ Possession: 35.4% - 64.6%
▪ Field Tilt: 37.2% - 62.8%
▪ Def Action Height: 48.0 - 43.2
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PASSING NETWORKは大まかに見ると3-6-1のように3層に分かれている。左サイドはショーとドルグの位置が被っているように、この2人はオンボールでやりたい事や使いたい空間がほぼ同じなので相性が悪く、クーニャの右ウイングも中央に流れ過ぎて右サイドの空洞化現象をもたらすなどスタメンとその構成はハマらなかった。ただ、後半からブルーノを右に持っていった変更など、フレッチャーの途中修正については機能した箇所も存在する。
あとがき

後任監督の第一候補がオーレというのは正直どういう基準なのか分かりかねる所があり、彼は優し過ぎる、言い換えればコミットメントを徹底出来ない部分があるので折角アモリムで引き締められたチームがまた緩んでいきかねない不安を感じる。また誰かがマルシャル,ラッシュフォード,グリーンウッドのように才能に胡坐をかいて走らない選手になってしまうのはなんとしても避けたい部分。