プレシーズンマッチを3試合戦った2024年夏のマンチェスター・ユナイテッド。
アマド・ディアロが見事な個人技で得点を奪ったレンジャーズ戦では勝利を収めたもののローゼンボリ、アーセナルには敗れており、失点の内容も負の再現性の高さを想起せるようなものが多い。

具体的には、クロスや自分の背後を狙うロブパスに対してボールと自分のマークの両方を視界にとらえる事が出来ず、相手選手を簡単に背中側に入れてしまいノンプレッシャーにする現象が多発しており、アーセナル戦ではLBで先発したハリー・アマスや後半からRBで出場したジェームズ・スキャンロンにこの傾向が顕著に見られた。
シニアチームの中ではルーク・ショーやワン=ビサカにもよく見られるプレーであり、ダロトのようにローンで経験を積んだ選手には無い弱点なので、上述したアカデミープレイヤーの件も含めユナイテッドが組織として守備のセオリーを教え込む事が出来ていない証明になってしまっている。
また、ビルドアップで内側を取る際の上下の位置取りが高過ぎて結局ウインガーが降りて受けざるを得ない状況が多いのも昨シーズンと同じであり、これについては完全にテン・ハフの問題なので公式戦が始まる前に必ず修正してもらいたいが期待薄だろう。
アマスについては狭い空間でのプレス回避や瞬間的なコンビネーションに長ける部分と全体的な守備の個人戦術の未熟さと完全にショーをコピーしたような内容である事から、なるべく若いうちに守備の指導が出来るクラブへのローンを経験させて彼が順調に成長したifの姿を実現させたい。
一方でトビー・コリア―やマキシ・オイェデレのようにダブルピボットorアンカーで出場する若手選手は被ポゼッションでの首振りの量がそれなりに確保されていて、粗削りではあるが前者はトランジション強度、後者はボールプレーの落ち着きという強みをアピールして相変わらず低水準なカゼミロのお株を奪っている為定期的にトップチームでの出番が与えられそうな状況。
前半の内に交代したホイルンド、ヨロについてはまだどれくらいの怪我なのか正確な情報が揃っていないが、無理に復帰を急いで悪化するのが最も避けたいシナリオなので最悪コミュニティ・シールドに間に合わなくてもいいくらいの皮算用。ただでさえヨロに関しては50%のフォームで試合に送り出したという報道も出ているだけに、尚更慎重な管理が好ましい。
