いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #WorldCup 】個人的Team of the Tournamentと大会総括

決勝から4日が経過し、遅ればせながらようやく総括が出来る準備が整ったので4つのテーマに分けてFIFA World Cup 2022を振り返っていきます。

 

 

 

 

個人的Best Ⅺ、全体の振り返り

スタメン+バックアップ4人の15選手を選出

 

ベストイレブンはノックアウトステージに進出したチームから選び、更に3試合以上の出場機会がある選手に限定しました。優勝チームアルゼンチンからはメッシとエンツォ・フェルナンデスが入り(リザーブエミリアーノ・マルティネスとフリアン・アルバレス)、スタメンの中で最多になったのは準優勝のレ・ブルーになりました。

 

下の画像はグループステージ終了時のもの。

こうして比較してみるとヴァルディオル,ハキミ,テオ・エルナンデス,エンツォ・フェルナンデス,ブルーノ・フェルナンデス,グリーズマンが最終的なベストチームにも名を連ねており、この6名に関し大会を通してパフォーマンスレベルが高いと判断していた事が分かります。

 

クラブでは個人賞を取りつくしチャンピオンズリーグも複数回、インターナショナルチームでも遂にコパ・アメリカのタイトルを手にし、心残りはワールドカップトロフィーだけというレオ・メッシがこの頂きに立った事でメッシ・ロナウド時代には一先ず区切りがついた感もあり(クリスティアーノにこのまま終わって欲しくはないですが)、新たな時代の先導者になるのは今大会でも得点王に輝いたキリアン・エンバペなのか或いはアーリング・ハーランドや他のワンダーキッドがそれをごぼう抜きしていくのか、ここからのフットボール界は地殻変動がより活発になる筈です。

 

 

戦術

 

革命的な新発見は特にありませんでしたが、守備貢献の著しく低いスターを抱える2チームがファイナルまで残ったという事実はより高度に組織化された守備ブロックに対し圧倒的なボールプレーで局面を打破する人間が必要であるというある種当たり前の事柄をもう一度強く認識させる結果だと思います。

 特に練習時間をクラブに比べてあまり確保できない代表では中心選手の個人戦術をそのままチーム戦術にする場合が一般的で、決勝に進んだ2ヵ国でも3ユニット,4ユニットでの確立された崩しはそれほど多くない。

 

また、守備戦術に関しては4バックだから○○、3バックだから△△という固定観念が薄まり、試合中の相手の出方次第でフレキシブルにライン構成を変化させるチームが4年前に比べ増加したように感じた。4-4-1と1人前残りという形は飛びぬけたアタッカーを擁するチームの1つの答えだろう。

 

ビルドアップも相手の1stプレス+1の形を素早く作り替える事が出来るチームが上手く運べていた印象で、フルバックがどの高さを取るか、中盤の選手が降りるのか降りないのかなど、ポジション毎の選手の役割というよりはトータルフットボールに通ずるどの場所にいてもその時の最善を選べるようなフットボールそのものに対する理解力がより求められるように。大切なのは相手の思考の裏をかく事で、これは重心をいかにズラして逆をつくかが大切なドリブル、オフザボールの動き直しといった細部にもしっかり繋がっている。

 

 

セットプレー

 

空中戦の強い選手目掛けてシンプルに放り込みという時代は終わりを告げ、ワンタッチを挟んでゴール前を通過させてからの押し込みという形がほぼ全てのセットプレーゴールを占めた。(直接FKはルイス・チャベスとラッシュフォードの2つ)

 

代表例はニアサイドでバックヘッド→ファーに詰めるこのパターン。

 

 

 

守備側視点ではニアポスト或いはさらにコーナーフラッグ寄りに配置するストーンと呼ばれる選手の重要性が以前にも増して高まっており、ここをあっさり通過させてしまうと中の選手のマークのズレ,ミスマッチが無くともゴール前の混戦から失点に繋がる危険性が急激に上昇する。

 

 

準々決勝 オランダ - アルゼンチン戦のオランダ2点目はこれらとは一線を画すサインプレーからのゴールで、土壇場でこれを実行できる胆力が素晴らしい。

(思わず真似したくなるが失敗したらボロクソに批判されるやつ)

 

 

Sports Washing

 

Embed from Getty Images  

 

忘れてはならないのは今大会が決して明るい要素だけで埋め尽くされたものでは無く、劣悪な環境でのスタジアム建設やインフラ整備等で多数の出稼ぎ労働者の死があり、開催国決定に際しての汚職疑惑、軽視される性的マイノリティや人権問題といって暗い部分を持ち合わせていること。

 

トロフィーを掲げようとするメッシに対しカタール首長 Tamim bin Hamad Al Thani氏はビシュトと呼ばれるアラブの男性が行事で着る伝統衣装を身に纏わせたが、この行為にカタールのエゴや政治的思惑が無かったと断言する事は出来ない上に、仮に善意であったとしても結果的に大会の成功で裏の黒いモノを覆い隠す効果があるのは間違いない。

 

スポーツと政治はそれぞれ別のものとして扱えという考えもあるが、個人的にはどちらも生きる上で密接に関わってくるものなので完全に分ける事は出来ないと思う。むしろ関係性があるからこそスポーツで戦争が一時的に止まった事例(フットボールではペレのナイジェリア遠征時のエピソードが有名)があるのではなかろうか。

 

 

 

【 #WorldCup 】Final、不世出の英雄が遂にワールドカップトロフィーを手にする

 

2-0は危険なスコア。そんな格言がこの決勝の舞台でまさか現実になるとはというゲームで、キリアン・エンバペは1966年大会のジェフ・ハースト以来の決勝におけるハットトリックを達成。しかし、それでも連覇に届かなかったというのがワールドカップの困難さを象徴しているのではないでしょうか。

 

 

 

 

【決勝】 アルゼンチン vs フランス

 

大分ゴチャついていますが、アルゼンチンが優位にゲームを進められた要点としては

  • 後ろ3枚のビルドアップに対し前線3枚で数的同数の1stライン
  • マック・アリスターが1枚を押し下げながら5枚,6枚を前線において4-4ブロックを崩壊させ、特にサイドの所で余る選手を作り出した

こんなところだと私は考えています。

 

ラインナップが発表された段階ではディ・マリアを右ワイドに置いた4-4-2予想が主だったアルゼンチンでしたが、彼のドリブルを活かしつつウスマン・デンベレに守備のタスクを多く負わせて攻撃の質をも鈍らせる、更に前線への供給源であるグリーズマンには中盤2枚がフレキシブルに追いつつCBも前に出て潰す。リオネル・スカローニとしてはしてやったりの前半だったに違いない。

 

先制点は正にそのディ・マリアのテイクオンから生まれている。

 

更に流れるようなダイレクトプレーから大会ベストゴール候補にも挙がるであろうビューティフルゴールも生まれ前半の内に2点リード。

 フランスとしては以前の試合から度々気になっていたウパメカノがサイドに出てきた際のボール処理及び対人の不安定さを突かれるような形。

 

窮地のレ・ブルーは前半の内に2枚のカードを切ってジルー,デンベレを下げてマルクステュラム,コロ・ムアニを投入。エンバペを中央に持っていく事で変則的な4-4ブロックに見切りをつけて、チュアメニ中央前にラビオ-グリーズマンの4-1-2-3と元の4-2-3-1を使い分けるように。大きな変更としてテュラムは前残りせず、LWが戻るようになりましたが、ラビオの動きが万全ではないように見えたので彼の負担を減らす意味もあったと思われる。

 

ただ、根本的な問題が解決されたわけでは無いのでアルゼンチン優位は変わらず、HT明けにもカウンターから失点に繋がりかねないシーンを作られている。

 

変化が生まれたのは64分のアルゼンチン選手交代とそれを見てから2枚を入れ替えたデシャンの対応。ディ・マリアに替えてアクーニャを左サイドに入れて4-4-2へ守備陣形を変えたスカローニに対しフランスはグリーズマン,テオ・エルナンデスを下げてアタッカー2枚を投入。4-2-4で中盤を省略し、裏抜けとサイドからのドリブル突破で前線の個の力を最大限生かす形。

 

このシンプルな裏へのキックで得点に繋がってしまうエンバペとコロ・ムアニのスピードは怖ろしいと言う外ない。

 

更にコマンが高い位置でメッシからボールを奪ってショートカウンター。最後はエンバぺのボレーシュートであっと言う間に同点に。

 

1on1になるとどうしてもフランスのアタッカーに分があるので、アルゼンチンとしては失点前かせめてPKの後にCBを1枚増やして誰か1人が余ってカバーに入れるような状況を作りたかったところ。ただ、同点になった後に後手後手で動くのではなく、開き直って4-4ラインのまま粘りカードを残したまま延長に突入した判断は結果的に功を奏したように見える。

 

延長に入りアルゼンチンが出した答えは"バックスを増やす"ではなく4+1サポート(アンカーを配置)でした。攻守によく動いたアルバレスに代わって入ったラウタロは短い出場時間ながら複数のビッグチャンスに絡んだものの、フィニッシュワークが改善出来ておらず勝ち越し点の機会を逃す。

 

しかし、それでも味方のパスを引き出す動きは流石と言った所で、ヴァランの前に入って浮き球を処理して繋ぎ、更にオフサイドラインすれすれでエンツォ・フェルナンデスからボールを受けると、自身のシュートはGKロリスに阻まれたがこぼれ球をメッシが押し込んで勝ち越しゴールが生まれる。

 

アルゼンチン、優勝に向けて後は守りきれば良いところでしたが延長後半に入り118分のフランスはCKのこぼれ球にエンバペがトラップから2タッチ目でシュート。モンティエル痛恨の肘ブロックで審判はペナルティスポットを指さす。そしてこのPKをエンバペが決めて試合は3-3の同点、更にフランスは勝ち越しのチャンスを作ったがエミリアーノ・マルティネスの好セーブに阻まれ、互いにPK戦のキッカー要員を投入して最後の勝負へ突入する。

Embed from Getty Images  

 

 

先攻フランス1人目のエンバペはコースを読まれながらもパワーで押し切り、メッシはロリスの逆をつくグラウンダーのキックでそれぞれ1人目は成功。

Embed from Getty Images  

 

フランス2人目コマンはマルティネスにコースを読まれセービングされ、3人目チュアメニはゴールマウスを捉える事が出来ず。アルゼンチンは2,3人目共に決めて3-1。

Embed from Getty Images  

 

後が無いフランス4人目コロ・ムアニは力強いシュートをど真ん中に蹴って可能性を守護神に託すが、3失点目の要因となったモンティエルが勝負の4本目をしっかりネットに送り届けてアルゼンチン優勝。

Embed from Getty Images  

 

大会の振り返りはまた別の記事にしたいと思いますが、ディエゴ(マラドーナ)の呪縛からついに完全なる意味で解放されたメッシが涙ではなく笑顔で結果を受け止めていたのが非常に印象的でした。

Embed from Getty Images  

 

 

【 #WorldCup 】3位決定戦、笑顔で大会を終えたのはクロアチア

 

ノックアウトステージにおいて笑顔で大会を終えるのは本来優勝チームのみ。しかしながらワールドカップやオリンピック等インターナショナルチームの大会では3位決定戦が設定されている為、モロッコとの試合に勝利したクロアチアも最後に勝利してポジティブな感情を持ってカタールでの長いようで短い旅路をゴールしました。

Embed from Getty Images  

 

 

 

 

【3位決定戦】 クロアチア vs モロッコ

 

当初3-5-2で想定されていたクロアチアですが、実際にはペシリッチがLBに入ったフランス戦後半の形を踏襲してきました。対してモロッコは自分たちの強みを最大限生かせるお馴染みの4-1-2-3(守備時4-1-4-1)で入り、試合は序盤から大きく動く。

 

左サイド中央寄りでFKを得たクロアチアモドリッチではなく左利きのマイェルがニアサイドに短めのロブボールを入れ、ペリシッチが上半身を捻って反対方向へ折り返すとヴァルディオルがこれに飛び込んでボールはゴールネット左隅へ。

 対人守備やビルドアップで見事なプレーを続けていたヴァルディオル、遂に得点関与の面でも文句なしの結果を残した。評価が上がり過ぎてそう簡単には獲得できない選手になった事はまず間違いない。

 

美しいセットプレーで先制したクロアチアだが、すぐさまエラーによって現実に引き戻される。9分のモロッコは右サイドタッチライン際でFKを得ると、先ほどの得点シーンとは違いゴールに向かって来る軌道で低く鋭いボールをツィエクが蹴り込み、ボックス手前でこれをクリアしようと試みたマイェルのヘディングは意思に反し自陣ゴール方向に向かい、ダリが頭で押し込んですぐさま同点に。

 

オープンプレーの両チームに関しては主力の欠場が殆ど無いクロアチアの方に分があり、特にモロッコは欠かす事の出来ない選手が4名(サイス,アゲール,マズラウィ,ウナヒ)スターティングラインナップから消えているのでクオリティ低下は避けられず、この3位決定戦ではアムラバトの両脇の1つを任されたアブデルハミド・サビリが運動量及びトランジション面でまるでゲームに入る事が出来ていなかった。

 

Embed from Getty Images  

セットプレーのテイカーを任され、グループステージのベルギー戦ではクルトワを陥れている事からもキックの質は高い選手だと思うが、中盤の素早いポジション修正が生命線であるモロッコチームでは使いどころを選ぶのかもしれない。顔が似ていると一部で称されるティーレマンスにプレー面でも長所短所の類似性を感じる。

 

 

42分、モロッコのプレッシングにボールを奪われかけるも、先述のサビリの分までアムラバトが前に出た所を突いたクロアチアはヴァルディオルのミドルレンジの楔で一気に相手DFライン前にボールを進める。ゴール前を固めるモロッコに対し左右にボールを動かしながら隙を伺い、一度は奪われるもすぐさまルーズボールを拾い、リヴァヤのパスを受けたオルシッチが右足コントロールカーブをこれしかないというコースに流し込んで再びリードを奪った。

 

後半のモロッコはサビリを下げてシャイルを投入し選手の立ち位置を大胆に変えて来るが、全くハマっていない事を察知すると10分後にはエル・カンヌスを下げてウナヒをピッチに入れて元の4-1-2-3ベース、ブファル左ツィエク右の形へ戻した。恐らく大会終了後には忘れ去られている幻の変更。

(そもそもツィエクにポリバレント性があれば、あのチャンスメイク能力がありながらクラブで出場機会に恵まれないという事態になっていないだろうと思う。)

 

74分のクロアチア。ヴァルディオルがツィエクのパスをカットして自身で持ち運び、その勢いで前線に参加すると長い距離を走ってオルシッチからのスルーボールをボックス内で収めようとするが、アムラバトとの接触があって倒れるも笛は鳴らず。

 

上記プレーの後にモロッコがカウンターに出てエン・ネシリにビッグチャンスが舞い込むもリヴァコビッチがヴァトレニを救う。更にその直後にはハキミがボックス内で後ろからのプッシングで倒されるもやはり笛は鳴らない。今思えば判定基準が乱れ始めたのが正にこの2つの出来事だった。

 

終盤は主審に対しモロッコの選手がフラストレーションを抑えきれず集団で囲む瞬間も何度かあってやや後味の悪いゲームになってしまったが、クロアチアがそのまま逃げ切り勝ち。4年前は最後に敗れて大会を去ったがカタールでは勝ってそれぞれの所属クラブに帰っていく、順位は2→3に落ちたが喜びという意味では今回の方が上回っているかもしれない。(比較するのも烏滸がましいが実体験としても決勝負けより3決勝利の方が嬉しさは上)

 

フィジカルデータを見ていくとクロアチアモドリッチ,コバチッチ、モロッコはアムラバト,ハキミ,エン・ネシリが大会を通して出ずっぱりながら10km超の走行距離を記録しており、彼らのタフさに強く感銘を受けた。苦しいところで足が動く選手は貴重。

参照:FIFA Training Centre

 

 

【 #WorldCup 】Semifinal、潤沢な選手層。4年前の王者が再びファイナルへ

 

前回王者フランスが連覇まであと1つという所まで進出。ポグバ-カンテの中盤ペアを欠きながらもそれをものともしない圧倒的な選手層、そしてエンバペ基準に組み立てた今の戦い方は4年前にも負けず劣らずの安定感を誇っていると称さざるを得ない。

 

 

 

 

フランス vs モロッコ

 

これまでの戦い方から変えて5-4-1で試合に入ったモロッコ。兎に角スペースを与えずゴール前に人とボールを入れさせまいといういう狙いだった筈ですが、5分のフランスはヴァランのキャリー+グリーズマンの下がるフリをして裏を狙う身体のベクトルを利用したフェイントから右ハーフスペースにボールを通し、そこからのボックス内に押し込んだ状態のチャンスで最後はLBのテオ・エルナンデスボレーシュートを決めて早くも先制。

 

ここまでオウンゴールの1失点しか自陣ゴールを割られていなかったモロッコとしてはいきなりプランが崩壊するような最悪の立ち上がりで、更にCBの要であるロマン・サイスも20分過ぎにピッチを去る。元々スタメンに入っていながら直前で変更となったアゲールやコンディションが万全ではないマズラウィ含め、万全の状態ならばと思わずにはいられない。

Embed from Getty Images  

 

先制後のフランスはペースを落とし敢えてポゼッションを相手に握らせるような戦い方で、ここまでのモロッコの得点パターンがカウンターに寄っていた事を踏まえた選択のようにも感じる。サイスに替えてアマラーを入れたモロッコは今大会お馴染みの4-1-4-1へシステムを戻し、後ろに枚数が多すぎたビルドアップの閉塞感は改善されたがどっしりと構えるレ・ブルーをオープンプレーで突破するのはそう容易ではない。

 

 それでもコーナーキックからCBのエル・ヤミクのアタッカー顔負けのバイシクルでゴールを陥れるが、惜しくもポストに阻まれ1点ビハインドで前半を折り返す。この選手は最高速度も34.3km/hを記録しており、全般的に身体能力が高そう。

 

HT明けのモロッコはマズラウィに替えてアティヤット・アッラーを投入。これは戦術的な変更というよりは先程のサイス同様コンディション面の理由だと考えられる。

 

フランスは中央から右のハーフスペースにかけて頻繁に動きなおすグリーズマンにボールが到達すると攻撃のスイッチが入り、やはりエンバペ-デンベレの両ワイドの純粋なスピードと圧倒的なボールプレーは脅威だが、後半に入るとエンバペの代わりにサイドに出てくるDM,この日はラビオに代わってユスフ・フォファナだったが、そのスライドに遅れが増えてモロッコはここで2on1或いは3on2の数的優位を作れるようになった。

 (8分から9分にかけての連続したチャンスもその形から生まれている)

 

失点しても不思議ではない欠陥、戦略上どうしても防ぎきれない守備の穴を抱えるフランスだが、最後の所での守備陣の球際の強さと最終ラインまで戻るグリーズマンの貢献もあって1点リードを耐え抜く。

Embed from Getty Images  

 

とはいえ流石に左サイドを放置し続ける訳にも行かず、エンバぺを前に残しジルーに替えてマルクステュラムをLWに入れ、チュアメニをアンカーに置いた4-1-4-1をベースに時にはテュラムorデンベレが最終ラインに吸収される5-1-3-1にも変形。

 

79分のフランス。チュアメニがルーズボールを収めてテクニカルなボールプレーでフォファナに繋ぎ、フォファナがアタッキングサードまでマークを背負いながらキャリーし、そこからボックス内へ侵入するとエンバペの個人技から最後はこぼれ球をコロムアニ。デンベレに替えてピッチに入ったばかりの24歳が早速結果を残した。

 

2点ビハインドのモロッコも会場の応援を背にアディショナルタイムに猛攻を仕掛け、特にエザルズリのテイクオンからのゴール前のチャンスは決定機だったがクンデがライン上ブロック。

 

ゴールを奪う事は出来なかったがアフリカ勢初のベスト4進出、更には3位決定戦をまだ残す状況。現在の主力は30歳前後が多く4年後にはピークアウトしている恐れもあるが、この戦いを見た国外にいるモロッコにルーツを持つ有望な若手選手が代表チームを選択し、今回の好結果をフロックではなく継続出来る可能性を十分に秘めている。

 

 

【 #WorldCup 】Semifinal、レオ・メッシの魔法とそれを支える味方のハードワーク。アルゼンチンが決勝へ

 

最初は締まった展開でロースコア決着になると思いましたが、PKの先制点を歯切りにアルゼンチンが3得点を奪って勝利。3点目のとなったメッシの突破は全盛期を思わせる力強さと一度止まってからの背面ボディフェイントといった円熟味が混ざる見事なもので思わず声が出てしまいました。

 

 

 

 

アルゼンチン vs クロアチア

 

 

前半の両チームを見ていくと概ねこのような感じ。アルゼンチンは2CB+相手の前線枚数に応じてレアンドロ・パレデスが降りてビルドアップを担い、クロアチアはアルゼンチンが基本的に4-4-2ブロックなので同じくCB+モドリッチorブロゾビッチの何れかが降りて右サイド中心に組み立て。コバチッチは高めでチャンスメイクの役割を担う事が多くなった。

 

チーム全体で見た時に付け入る隙があると外部から見ても分かるクロアチアフルバックの裏をアルゼンチンは序盤から狙うも、ヴァトレニも縦にコンパクトな守備で危険な位置への侵入を許さずポゼッションを握りながらじっくりと進める。試合の初シュートが16分であったように準決勝らしい手堅い進行となったゲームですが、1本のパスから大きく動き始める。

 

32分、GKからボールを繋ぐアルゼンチン。オタメンディの縦パスはモドリッチがコース上に入り軌道が変化するも、クロアチア守備陣の背後を狙うフリアン・アルバレスルーズボールを拾ったエンツォ・フェルナンデスが阿吽の呼吸でスルーボールを通しGKとの1on1でアルバレスはPK獲得。

 

リーベルコンビの連携で手にした先制点のチャンスにメッシがゴール上部へのインステップシュート、これにはPKストップで評価を高めるリヴァコビッチもお手上げという弾道で彼自身今大会3つ目となるPKゴールが生まれた。

 

更にその5分後にはクロアチアCK後のカウンターでアルバレスが自陣センターサークルから長い距離を持ち運んでそのままゴール方向へ直進。延長を戦い続けた疲労もあったかクロアチア守備陣も最後の伸びが効かず、正に猪突猛進という言葉が相応しい勢い溢れる追加点。

 

42分のアルゼンチンはセットプレーからダメ押しのチャンスがあったものの、これはリヴァコビッチの好セーブに阻まれクロアチアとしても完全に試合が終わってしまう3点目は何とか凌ぎハーフタイムへ。

 

 

HT明けのクロアチアはボルナ・ソサ,パシャリッチを下げてそれぞれオルシッチ,ヴラシッチを投入。更に5分ほど経過した所でブロゾビッチを下げて4-1-2-3から4-2-3-1へシステム変更を加え、攻撃時には4トップ,守備時には4-4ブロックで守る。

 

アルゼンチンも60分を少し越えた所でパレデスを下げてリサンドロ・マルティネス投入し、3-5-2(5-3-2)でスペースを埋めつつカウンター狙いの省エネモードに変更。

 直後のフリーキッククロアチアはゴール前の決定機を得るがロヴレンのヘディングはエミリアーノ・マルティネスが腕を伸ばして凌ぐ。

 Embed from Getty Images

 

69分のアルゼンチン。モリーナのロングスローをアルバレスタッチライン際で収め、これを受けたメッシが右サイドを強引にドリブルで攻めあがる。ヴァルディオルのコンタクトを物ともせずにボックス内へ抉って最後はアルバレスにプレゼント。

すごいです。それ以外に感想が出てこない。

 ポイントを上げるとすれば一度背中を向けた後のボディフェイントでしょうか。ドリブル中は勿論のこと、ボールを受ける際にもこの動きは有効的なのでこの得点を見て触発された子供たちは積極的にマネして欲しい。 

 

セーフティーリードを得たアルゼンチンはここまで出場の無かったディバラに出場機会を与えるなど余裕の試合運びでそのままゲームを締める。RBのフォイスを決勝前にピッチに戻す事が出来たのも強力なウインガーを抱えるフランスorモロッコを考えるとプラス要素だろう。

Embed from Getty Images  

 

参照:FIFA Training Centre

スタッツを見てもスコア差ほどクロアチアのゲーム運びが失敗した訳では無いと思うが、DFラインを突破した数が7:1であるようにクロアチアはセットプレー以外で大きなチャンスを作る事が出来ず、両サイドの縦関係などズレが目立ってしまった。

 

 

【 #WorldCup 】Quarterfinal、強みを自ら手放すポルトガル。モロッコの快進撃は止まらない

 

ロッコがアフリカ勢として初のベスト4入りを果たし歓喜に湧く中、ポルトガルは大事な所で足元で受けたがる選手が多くなる悪癖を抑える事が出来ず手詰まりの攻撃で絶好の機会を逃した。もう一方の試合ではここまでで一番の強度を誇る白熱の1戦が繰り広げられ、イングランドも決して悪い試合運びでは無かったが最後はオリヴィエ・ジルーがストライカーとしての矜持を示しレ・ブルーは連覇に向けて最大の難所を突破。

 

 

 

 

ロッコ vs ポルトガル

 

120分+PKを戦ったモロッコに対し余裕ある試合運びで準々決勝に臨むポルトガルが圧倒的な有利な状況だと思っていたのですが、蓋を開けてみると会場の応援を背にモロッコが一歩も劣らない所か寧ろ自分たちのペースにゲームを誘導するかの如く巧みな試合運びを見せる。

 

ポルトガルはスイス戦からウィリアン・カルバーリョ🔁ルベン・ネベス以外同じラインナップだが、ネベスはモロッコ守備ブロックがエン=ネシリ1人を残し引いている状況でもCB間に降りてきてしまい、更に前線の選手も相手を背負ってパスを貰おうとする場面が多すぎてリズムが生まれない。

 

更に後ろ3~4枚と前がハッキリと分断されるような攻撃時のポジショニングが多かった事からカウンターを喰らった際にバックスにかかる負荷が高く、モロッコは主にサイドからダイレクトプレーでボールを繋ぎ縦に速い攻撃でポルトガルゴールへ襲い掛かる。

 

そんなポルトガルはブルーノから左サイドへの対角線のパスを意識的に増やしゲレイロからの打開を狙うが、モロッコ守備のスライドが非常に早くギャップも生まれないので思い通りには行かない。

 すると42分、モロッコ左サイドからのフワッと浮いた滞空時間の長いクロスに対しルベン・ディアスがジャンプ出来ず、更に前に出てキャッチを狙ったディオゴ・コスタのアプローチも後ろに膨らむような対応になってしまい、エン=ネシリの高打点もあって先制ゴールを許す。

 

上記の決定機阻止にも見られるように今回のワールドカップでも基本的にはセービング能力の高さを発揮しているコスタですが、ガーナ戦の油断から招いた例のアレや今回の失点シーンのように突如として別人のような集中力の無いプレーを見せる場面がチラホラあるので、これが偶然が重なった結果なのか本人の資質に起因するモノなのかをしっかりと精査する必要がある。

 

後半のフェルナンド・サントスは51分と早い時間でネベスに見切りをつけ、カンセロとロナウドの同時投入でクロス乱打のメッセージをピッチに伝えますが、それならばゴンサロ・ラモスも下げて代わりにホールディングMF(ウィリアンかパリーニャ)しターゲットを明確にしつつ、最も可能性のあったブルーノを真ん中に持ってくるべきだったと私は考えています。

これをベースに、オタビオの所にヴィチーニャを入れたりその時の状況により選手を変えていく感じ

 

 実際にチャンスになったパターンはこのようにブルーノが中央でボールに絡む時が圧倒的に多く、更に悪い事に現実はベルナルドが低い位置でのボール保持のサポートに回る回数が増えてライン間やアムラバト脇といった本来期待しているスペースでのプレーが殆ど見られなくなり、挙句の果てにはダロト負傷交代後にはブルーノがRBに回る始末。日本では森保采配に多くの疑問が沸き上がっていると思いますが、個人的にサントスに対する不信感はそれを更に上回るものがある。

 

ロナウドは恐らく今大会が最後。チームの輪を乱しかねない言動があったかもしれない事は恐らく事実だろうが、それはそれとして彼の1プレー毎の細かいオフザボールの動き直しを継承する理知的なストライカーが現れ、最後のピースが埋まる日が来る事を願いたい。

 

 

イングランド vs フランス

 

相手に合わせて自らを変えていくというよりも強みをぶつけるような試合運びをするこの2チームの対戦は何といってもエンバペとカイル・ウォーカーのマッチアップに注目が集まっていましたが、実際には前者は寧ろ中に入ってプレーする機会も多く、ウォーカーもマンマーク気味だったとは言え持ち場を離れてまでは付いていかないので回数はあまり多くなかった。

 

寧ろフランスは右サイドからの攻撃に照準を定め、ルーク・ショーデンベレグリーズマンの両睨みせざるを得ない状況を作り出す事で負荷をかけていく。先制点となったチュアメニのゴラッソもこういった細かい布石の積み重ねでイングランド守備陣が前に出づらいシチュエーションを作った結果と言えなくもない。

 

先制されたスリーライオンズもサカ vs テオ・エルナンデスの右サイドでは完全に優位で、サカのカットインやそこにケインやヘンダーソンの絡むユニット単位のコンビネーションで攻撃の形を作る事が出来ていた。

 

 以前にも触れたようにエンバペは守備時に低い位置まで戻らないので代わりにラビオがサイドに応戦する形が増える訳だが、イングランドが同点に追いついたPKは正にこの形から生まれている。

 

後半のイングランドは全体のポジションを前目に上げて、左サイドの守備の問題はベリンガムのタフネスっぷりである程度カバー。ショーは持ち前の攻撃参加が増え、前半殆どボールプレーに絡んでいなかったフォーデンもドリブル突破でファウルを獲得するなどこちら側でも形が作れるようになり、サイドで得たFKからのチャンスはシンプルながら効果的。

 

ただ、1つゲームを通して気になった点はショーが地上戦ではなくハイボールの競り合いでデンベレに負けている事で、バルセロナとのELプレーオフを控えているマンチェスター・ユナイテッド視点としてもこれは懸念事項。

 

ジルーの決定的チャンスをGKの素晴らしい反応で凌いだイングランドだったが、その直後のCKからの2次攻撃でグリーズマンのピンポイントクロスに再びジルー。

 一見するとマグワイアに批判が集まりそうな場面だが、上からの視点で確認するとマグワイア1人で2人をケアしている状況かつ、その前にはマーカーを背負っていないイングランドの選手がいる事から比重としてはライス,ストーンズ及びチーム全体のマークの受け渡しにより大きな責任があるだろう。

 

勝ち越し弾を許した直後、イングランドは交代で入ったマウントの斜めのランニングにベリンガムがロブパスを通しテオがボックス内でマウントを倒した事で再びPKのチャンスを得たが、流れの中で2度目のキックという特異な場面を迎えたケインのキックは枠を捉える事無くスタンドへ。

 

分かりやすく自滅したポルトガルとは違いイングランドチームに大きな失敗は無かったようにも見えるが、強いて言えばサカに替えてスターリングを投入した事、そもそもゲームチェンジャーたり得るアタッカーを投入する時間が遅かったことは反省点か。

 枠を捉えなかったものの、最後のラッシュフォードのFKはクラブでもキッカーを任せたいと思わせる惜しいキック。

 

 

 

【 #WorldCup 】Quarterfinal、PK巧者クロアチア。もう1会場ではマテウ劇場

 

 

大会も佳境に入ってくると大きな実力差のあるカードはほとんど無く、準々決勝1日目の2試合は共にPK戦での決着となりました。試合展開から言えばリードした後に追いつかれる形となったブラジル,アルゼンチンの南米勢にとって苦しい展開だったと思いますが、特にブラジルがここで姿を消したのは驚き。

 

 

 

 

クロアチア vs ブラジル

 

右利きのダニーロは大外でプレーさせず、カゼミロと一列前でMFとして中に入って所謂Inverted-Full Backsの動き。ブラジルとしては意図的にLWのヴィニシウスが孤立するようなシチュエーションを作ってドリブル突破からの崩しを狙っていたところでしたが、逆にクロアチアRBユラノビッチが積極的に攻撃参加する事で左サイドでの主導権を握る事が出来ず。

 

クロアチアは特定の形を取らずその場の状況判断重視というのはこれまでと変わらないものの、相手がモドリッチにそれほどマークを付けて来なかったのでお馴染み中盤3枚で位置を変えながらボールに多く絡むことが出来た。前半は互いに大きな守備の乱れを作らずポゼッションも50:50と均衡状態が保たれた。

 

動き始めたのはセレソンがハフィーニャに変えアントニーを投入した所から。クロアチアLBボルナ・ソサとアントニーの1on1が生まれるとほぼアントニーが勝利するような有利対面になった事でクロアチア守備組織全体にも乱れが生まれ始め、ブロックが崩されながらGKのファインセーブで何とか窮地を凌ぐシーンが増えていく。

 更に自分のサイドが崩され始めた事でペリシッチも守備への比重を高めざるを得ない状況で、後々考えればこの圧倒していた時間帯に得点を挙げられなかった事が後々の劇的な結果の呼び水だったとも言えるでしょう。

 

リシャルリソンを下げて84分から投入したペドロはヴァルディオルを背負いながらボールキープ出来る屈強さとフィニッシュワークでの怖さを持っていたのでもう少し早い時間帯から起用しても良かったと個人的には思う。

Embed from Getty Images  

 

ゴールレスのまま延長に入ると103分のクロアチアはロヴレンのスライディングカットからカウンターのチャンス。途中出場ペトコビッチがカゼミロとミリトンを突破しボックス内に侵入すると最後はブロゾビッチがダイレクトでシュートに向かうも疲労からか弾道を抑えることが出来ず。

 

延長前半ATのブラジルは前線から降りてきてマルキーニョスからのパスを受けたネイマールの連続ウォールパスでMF間とチャンネルを連続突破。最後は飛び出てきたリヴァコビッチを横へのワンタッチでずらしてニア上に蹴り込んで遂に得点を奪う。

 

Embed from Getty Images  

運命の分かれ道はこの後のブラジル交代策。後半に入る所でチッチはルーカス・パケタに変えてフレッジを投入しますが、失点しない事が最優先の状況で攻守において前に出る意識の強いフレッジを選択したのは最善とは思えず、彼を入れるならネイマールを下げて守備的トップ下として起用する、或いはパケタを変えたかった場合はベンチ入り選手の中でいえばファビーニョのようにより後ろ重心の選手を選ぶべきだったのでは。

(フレッジが悪いという話ではなく選手の特性をもっと鑑みる必要があったという趣旨です)

 

116分のブラジルは前線からの守備でフレッジがボールをカットしカウンター。5枚の選手が高い位置に上がったものの、ヴァルディオルのスライディングでクロアチアがボールを奪い返し逆カウンターに出ると、バランスの崩れたブラジル右サイドを駆け上がり最後はペトコビッチのシュートがマルキーニョスに当たってそのままゴールラインを越える劇的な同点弾となった。

 

PK戦に関しては既知の通りブラジル1人目のロドリゴがリヴァコビッチにストップされ、更に4人目のマルキーニョスがポスト直撃で4-2でクロアチア勝利という結果に終わっていますが、PK戦を念頭に置いていたような戦い方を途中からしていた日本のケースとは違い、セレソンは明らかに流れの中で勝負を決めようという采配,ピッチ上の動きだったので最後の所だけをフォーカスして敗因とするよりもゲーム中の要素に改善点を見出す方が建設的だと思います。

 

 

オランダ vs アルゼンチン

 

オランダの3-4-1-2に対しアルゼンチンも3CBの3-5-2で普段とは異なるシステムを用い対応してきました。メッシの運動量に関しては縦横のカバーエリアが広い中盤3枚で巧みにカバーし、攻撃時はエンツォ・フェルナンデスをアンカーに置いた3-1-5-1のような形で中盤に人数を割いてオランダのプレッシングを機能させず、守備時は前から2-3-2-3の4ラインで守ると戦術面ではこちらが完全に思惑通りの形だったでしょう。

 

また、鍵を握るダンフリースとアクーニャのサイドの主導権争いに関しても後者優勢の前半で、素早くサイドからサイドにボールを動かしていく事でアクーニャのドリブルを最大限生かす形が作れていた。一方のオランイェはバック3の裏に早めからロングボールを入れて背走させる事を意識するが、彼らからすれば地上戦よりも空中戦の方が遥かに嫌であったろう事は後半終盤の展開からも強く伝わってくる。

 

序盤から球際は激しく、更に最初のイエローカードがアルゼンチン指揮官リオネル・スカローニ(当初はコーチを務めるあのワルテル・サムエルのイエローと伝えられたが後に修正)であった事にも表れているように両ベンチからの口撃もひっきりなし。

 

35分のアルゼンチンはミドルサードの右ハーフスペースからドリブルを開始したメッシが中に進みながら3枚のマークを引き寄せて絶妙としか言いようのないラストパス。最後は前線に上がりファンダイク-ブリント間に入っていたナウエル・モリーナがアウトサイドでネットを揺らす。

 細かく言えば最初にブリントの所で取りきれなったこと、メッシに対しアケが出るのかフレンキー・デ・ヨングが付いていくのか中途半端になった事などオランダの守備に失敗があったとはいえ、このゴールに関してはメッシ図抜けていたというのが一番の理由でしょう。

 

殆ど良いところの見えなかったオランダはHT明けにベルフワイン,デ・ローンに変えてベルフハイス,コープマイネルスを投入。ガクポを前線に上げてトップ下にベルフハイスが入り中央の3枚が流動的にポジションを入れ替えるようになり、ビルドアップも後ろを削って前に選手を増やし特に左のアケが高い位置を取り始めた。

 

前述のアケの働きでこのサイドの主導権を握れると判断したでろうファン・ハールは更にブリントを下げて上背のあるルーク・デ・ヨングを前線に入れ、ガクポを左ワイドに置いた攻撃的なフォーメーションに変更。アルゼンチンも同じタイミングで万全ではないデ・ポールに替えてレアンドロ・パレデス、エンツォを一列上げてパレデスがアンカーに収まる。

Embed from Getty Images  

 

71分のアルゼンチンは中盤でルーズボールを収めたアクーニャが左サイドを縦に突破。ベルフハイスを交わした後にボックス内でダンフリースと接触してPK獲得、前半のイエローカードで準決勝出場停止となった分のマイナスを奪い返す大仕事を果たした。

 

開き直って高身長の選手目掛けたクロスに全てをかけたオランダ。バックス陣の上背が無いアルゼンチンとしてはこの雑にも思える攻撃が嫌なパターンで、ベルフハイスのインスイングクロスにニアで合わせたヴェフホルストが一点を奪い返す。

 

3つ目のゴールが生まれ1点差になってからの試合は些細なコンタクトプレーでも一触即発の様相を呈す荒れ模様、すぐにカードを出すマテウ・ラオス主審の特性もあって瞬く間にブックが選手名で埋まっていく。特にパレデスの2連スライディング→オランダベンチへのキックで完全にスイッチが入ってしまった。

 

アディショナルタイムのアルゼンチンは自陣バイタルで途中出場ペッツェッラが不要なプッシングでファウルを与え、オランダはトリックプレーからヴェフホルストが2点目のゴールを奪い劇的同点弾で延長戦へ。因みにこの時点で既に両チーム合わせて11枚のイエローカードが提示されている。

 

延長に入ると平静さを取り戻したのか一転して大人しい展開が続き延長前半はシュート数0。このままPK戦かと頭によぎったが、怪我明けのディ・マリア(この時間まで投入しなかった事を見るにまだ影響はあるかもしれない)が入ってからアルゼンチンが再びチャンスを増やす。

 延長後半だけで7つのシュートを記録したアルゼンチンだが、エンツォ・フェルナンデスのミドルシュートはポストに阻まれやはりこちらもPK戦へ。

 

オランダ1人目のファン・ダイクの強烈な右足はいきなりGKがセーブ。

 キッカーとゴールキーパー、11mの真剣勝負においてアルゼンチンは大きく勝利を引き寄せるエミ・マルティネスのシュートストップで終始戦いを優勢に進め、最終的に3-4で勝利するわけだが、この戦いの最中でダンフリースが度重なる暴言で2枚のイエローカードを貰うなど最後まで荒れた試合をマテウ主審は収める事が出来なかった。

 

この画像に関してはオランダもその前に散々応戦しているので一方が悪いという話ではない。それだけこの試合にかける両者の想いが強かった証左

Embed from Getty Images  

 

 

【 #WorldCup 】Day17、新黄金時代到来を確信させたポルトガルのゴールラッシュ

 

なんといってもSeleção das Quinasの圧倒的な攻撃力に注目が集まった17日目。ブルーノ・フェルナンデスとディオゴ・ダロトは引き続きトップフォームを維持しているようなのでマンチェスター・ユナイテッドとしても充実の1日だったと言えるでしょう。モロッコに関してもグループステージの戦いぶりを見て十分スペイン撃破が可能であると思っていたので特に驚きはありません。次の直接対決が楽しみです。

 

 

 

 

ロッコ vs スペイン


ドイツはギュンドアンマンマーク、日本は1TOP前田+DM2枚の睨みで対応してきた各国のブスケツ対策。モロッコはエン=ネシリとアムラバトの縦関係で彼をサンドイッチする形で試合から消し去り、スペインもロドリの積極的な一列前へのシフトである程度はカバーしたものの、サイドの1on1で遅れを取ったことや前からハメに行くプレスもボノの巧みな回避術の前に中々機能しなかった。

 

特に満を持して起用したRBマルコス・ジョレンテがソフィアン・ブファルのテクニカルなボールプレーに苦しみ続け、マークを捨てて中盤にスライドしたりウインガーのサポートに回る事を躊躇させられてしまった事もラ・ロハにとっては誤算だっただろう。

 更に先発した前線がオフザボールの動き直しが多くなく、かといってポストプレーが得意な訳でもないアセンシオだった事もモロッコにとってはプラスに働いた。

 

120分を戦っても両チームの合計xGが2.0を下回るという得点チャンスに乏しい試合で、延長前半モロッコの決定機はウナイ・シモン、

 

延長後半、アディショナルタイムのスペイン最後の一撃もゴールポストの活躍に寄って阻まれ試合はPK戦に委ねられた。

 スペインとしてはこのパブロ・サラビアをもっと早い時間から投入しても良かったのではないかと思うが、交代要員が後半途中出場のニコ・ウィリアムズであった事を考えるとあくまでPK要員としての起用だったのかもしれない。

 

PK戦ではスペインが1本もシュートを決めることが出来ず、モロッコの守護神ボノの活躍が目立ったが、今大会全体の傾向として過去の国際大会よりグラウンダーのキックが増加している事もゴールキーパーのPKストップが増えている1つの要因であるように思える。GKとの駆け引きよりも自分のベストな形を優先しているキッカーがしっかりと成功している印象。

 

 

ポルトガル vs スイス

 

ポルトガルの流動的な前線に対しゾーンではなく人に付いていく意識が強かったように見えたスイス。RBのエジミウソン・フェルナンデスを前線にあげて3-2-5のようなビルドアップは機能せず、更にエンボロにはルベン・ディアスとペペが前に出て積極的に潰すに来るので中央でのタメを作る事も出来ません。

 

ポルトガル中盤・前線はポジションというよりも3,4人の選手の距離感を大事にした即興的なコンビネーションを中心とし、ブルーノ,ベルナルド、そして下がってくるフェリックスを起点にチャンスを作っていく。左右に関しては基本的にゲレイロが高めを取るが、ペペが低い位置で持つ際にはダロトも裏のスペース目掛けて積極的にフリーランニングを行って脅威になっていた。

 

先制点は角度のないところからゴンサロ・ラモスの鮮烈なニアハイへの一撃。

 

更にセットプレーからペペがW杯史上ノックアウトステージでの最年長ゴールとなるヘディングシュートを決めて前半2得点と最高の内容で折り返し。

 

後半始まってすぐにはスイスマークをずらしてダロト vs バルガスの1on1勝利からラモスの2ゴール目。

 

フェリックスがエジミウソン・フェルナンデスを釣った事で空いた左サイドからカウンター、ダイレクトプレーでスピードを落とさずボールを前に運んで最後は駆け上がってきたゲレイロがチーム4点目を挙げる。

 

その3分後にはCK守備でニアストーン担当のラモスが前にボールをクリアし切れずアカンジのゴールでスイスに1点を返されるが、前に人数をかけていた割に緩かったスイス守備の隙を突いたディオゴ・コスタのフィードから少ない手数でゴール前に侵入してラモスがハットトリック達成。

 

事前予想とは180度異なるワンサイドゲームになったこの試合。ポルトガルは続々と主力アタッカーを下げていき、アディショナルタイムにはラファ・レオンがダメ押しの6点目を決めて最後まで魅力的な攻撃を見せ続けた。

 個人的にはここまでインテンシティの低さが目立っていたレオンがしっかりとゲームに参加していた事が喜ばしい。感情の揺らぎによるパフォーマンスの波を小さくする事が出来れば、将来バロンドールを受賞しても不思議ではないポテンシャルを秘めている。

 

 

【 #WorldCup 】Day16、最後の最後に想定不足感も。またしてもラウンド16突破ならず

 

またしても日本のフットボールはワールドカップ決勝トーナメントでの勝利を挙げる事が出来ずに大会を終えました。クロアチア戦も試合内容を見れば劣っている訳ではなく拮抗状態でしたが、PK戦になった途端に一気に脆さが出てしまった。リヴァコビッチを褒めるべきと言われればそうなのですが、自信に溢れている訳ではないチームで蹴る順番を挙手制にしたり、キックの威力・コース、助走や間の取り方と細かい部分で多くの差を感じる中身。

 

 

 

 

日本 vs クロアチア

 

バスを止めずミドルゾーンから5枚の囲みでクロアチアにプレッシャーをかけて、スペイン戦とは違い真っ向から対峙するような入りとなった決勝トーナメント1回戦。特にモドリッチに関しては彼が自由に動きなおしてもその都度マークを変更する事で上手く試合から消す事が出来ていたと思います。

 

一方でやや不安を感じたのが右のチャンネル,大外狙いの早めの中長距離のボールで、プッシングのファウルがあっただろうとはいえペリシッチがゴール前に侵入した9分の場面やそれ以外にも危険な構造を作られるケースが幾つか。

  とはいえ、大外の個人の質や中盤のキレで上回っていた日本は良い形で時間を進めており、長友1人に左サイドを任せられるような状況であった事で鎌田はモドリッチの背後や脇、ピッチ中央でボールを受けに行くことが出来た。

 

先制点はセットプレーから。右サイドのコーナーからのショートリスタートで堂安→鎌田→伊東と斜め後ろにボールを戻しながら、クロアチアがラインを上げて一瞬両足が突いたタイミングで堂安のインスイングクロスからゴール前を転がったボールを最後は前田大然。

 前に出た瞬間にもう一度バックステップを踏んでボールと相手の両方を見なければいけないという守る側としては頭も身体も疲れるようなプレーで、セットプレーコーチを雇った甲斐のあるいい攻撃でした。

 

前半をリードして終えたサムライブルー。ただ、後半の入り前から来るようになったヴァトレニに対しリードを守りに行くのか追加点を狙うのか少し曖昧な雰囲気。もっとも、ペリシッチの同点弾はDFラインとしてのクロス対応になれていない伊東純也がマークを外された結果なので直接的な関係性はありませんが。

 

失点の後にもクリアか繋ぎか曖昧になってからのモドリッチのボレーであったり、クロアチアペナルティボックス付近での連係から一瞬ボールホルダーに行けないシーンが出てきたりと正直この辺りの時間帯は完全に紙一重

 

その前に三笘,浅野の今大会のジョーカー2枚を投入しているとはいえ、鎌田を変えて酒井宏樹、堂安から南野と使う側の選手を下げて使われる側の選手を増やした日本は恐らく延長戦前から引き分けからのPK戦を意識していたと思われますが、後から出てきた情報を見ていくとハッキリした指針が見えてこないのが辛い。

news.yahoo.co.jp

 

結果的にはPK戦になった時点で準備不足からの敗戦は決まっていたと思い知らされるような内容で、延長戦以降を言語化するのは正直まだ難しいのでそちらの分析は他に任せるとして、私はカタール大会で見えた今後の日本に求められる流れの中の要素を考えてみようと思います。

 

  • 配球できるフルバック,センターバック
  • 3,4ユニットでの組織的な崩しの形
  • 正しいボディアングルの作り方
  • パワーカーブを蹴れる選手の増加

 

まずは一番上。年々フットボールにおいて組み立ての要を担うポジションは後ろにシフトしており、センターバックフルバックは最早守っているだけで評価される時代ではない。斜めにつける楔や時に一列前に上がって中盤に吸収されるようなポリバレント性が必要で、それはあのスペインでさえも本来DMのロドリをCBに起用している事にも表れている。

 

次にユニットでの崩し。所謂ウォールパスやレイオフ(3人目の動き)等で瞬間的な数的優位を作るのが強豪国に比べると日本代表はまだまだ苦手なように見え、(最終的に使いたいスペースから)相手の視点と身体を向きを如何にしてズラすかという部分を根底に置いたコンビネーションを幾つか作っておきたい。例えば、外からの崩しでハーフスペースを使いたいならばサイドから横方向へのドリブルでまず守備ブロックを内側にスライドさせて、中の味方へのパスで今度は視点と身体の向きを前に誘導、最後にロブパスを入れるというような崩し方はヨーロッパのクラブでよく見られる形。

うまく伝えられず申し訳ない

 

止めて蹴るという言葉が日本フットボール界で一定の支持を集めていますが、ボールも身体も全てが静止してから次のモーションに移る場合も多く、そもそも相手のプレッシャーの格好の的になるので止めてから蹴る場所を考えるようでは遅いです。ボールに触る前に次の数プレーを想定し、止めるのではなく向かいたい方向へ(身体と一緒に)動かすイメージ。スキャンニングや1タッチごとの身体の向きの細かい作り替えというのも同じ考えに基づいたプレーと思いますが、これらの意識が高い個人的な理想例としてリサンドロ・マルティネスを挙げておきます。

 

パワーカーブという言葉が正しい表現かはさておき、今大会の日本チームで鋭く落ちるようなキックを試合で発揮できたのは堂安律選手ただ1人。大会公式球はよく曲がりやすいという評判だったので少し軸を横にしたトップスピンのボールをもっと活用したかった。そして、PK戦で上手く行かなかった事も、ようは強いキックを試みると浮いてしまうかもしれないという恐怖心から来ていると思っている。それならば、例え高さのないボールであったとしてもハリー・ケインやクリスティアーノ・ロナウドのように手が届いても弾き切れないシュートを蹴り込んでしまえばいい。

 

 

ブラジル vs 韓国

 

オーストラリア,日本と敗戦しながらも一定の収穫を得たであろう接戦2チームとは異なり、完膚なきまでに自信を喪失させられてしまったのが韓国。早い時間にハフィーニャの個人技で守備陣形を崩され最後は逆サイドのヴィニシウスまで手が回らず失点。

 

更に10分を少し回った所でボックス内のファウルによるPKを宣告され、ネイマールがタイミングを外すシュートでチーム2点目。トドメはCK後の前残りからリシャルリソンがアシカドリブルでボールを収め、マルキーニョスチアゴ・シウバを経由したレイオフで30分を前に試合を決めてしまった。

 日本が強くなる為に必要な事として挙げた3,4ユニットでの崩しというのは正にこれの事で、いくつかのパターンを仕込んで誰がどの役でも半自動化したプレーが出来るくらいに習熟させたい。

 

更にパケタのマークを寄せ付けない後方からの攻撃参加で4点目。

 

多少前掛りな状態でロストしたとしてもカゼミロ-マルキーニョス-チアゴ・シウバは皆無理が効く選手で、アリソンのシュートストップ及びディストリビューションを世界トップクラス。素晴らしいロングシュートによる単発の得点はあってもこの守備陣を複数回陥れる事はそう易々と出来そうにない。

 韓国が返した1点、ペク・スンホのミドルシュートのようにセットプレーやその後のセカンドボールからの混乱は数少ない狙い目になりそう。

Embed from Getty Images  

 

 

【 #WorldCup 】Day15、エンバぺ無双。連覇を狙うフランスとイングランドが準々決勝へ

 

共に優勝候補に目されるレ・ブルーとスリーライオンズは順当にラウンド16を突破しベスト8で直接対決。前残りするエンバペに対しイングランドがリスクをかけてRBを攻撃参加させた時に大きく試合が動く可能性が高いと考えています。

 これまではラビオのカバーリングと本来もっと前へ前へという意識の強いテオ・エルナンデスに守備を徹底させる事でここまでは大きく崩されていないものの、拮抗した試合になった際に守備貢献の極めて少ない選手を抱えるリスク、もしくはそれすらも圧倒的なボールプレーのクオリティでなぎ倒してしまうのでしょうか。

 

 

 

 

フランス vs ポーランド

 

ポーランドはクリホヴィアクをアンカーにおいて、両ワイドはCM2枚とフラット配置の4-1-4-1。フランスはこれまで同様ラビオ-チュアメニのDMユニットにプレイメイカグリーズマン,ポスト役ジルー、そして強力な両翼の4-2-3-1で正面から相手を迎え撃つ。

 

リスクを恐れず前から守備を始めた事でポーランドはほぼ互角に序盤を戦い、早い時間の失点をせずに試合を進めていくが、セットプレー後など陣形の崩れた状態でエンバペにボールが入るとフランスの個の強さを抑えきれない場面が出てくる。29分にはビルドアップでフランコフスキのミスコントロールからボックス内4:4のカウンターチャンスを得たものの、クロスのスピードが中の選手の意図に噛み合わなかったか僅かに遅れてポーランドは命拾い。

 

そのポーランドも38分にはレヴァンドフスキのGKへのプレスから相手をタッチライン際に追い込んでスローインを獲得し、リスタートからのダイレクトプレーでゴール前の決定機を作りロリスをあと一歩の所まで追い詰める思惑通りの攻撃が出来た。(ヴァランのライン上ブロックも個人的には嬉しい)

 

44分のフランスはエンバぺが1つ下に降りてパスを引き出し、空いたスペースを狙うジルーへのラストパスを通して先制点。ただ足が速いだけならばコースを切って対応出来るが、このようなプレイメイカー顔負けのアシストも出来てしまうのがキリアン・エンバペという選手。

 

後半に入ってもポーランドはしっかりと高い位置から相手を捕まえに行く姿勢を見せていたが、ギアを上げる一歩前でパスが繋がらずというシーンが多くなる。エンバぺ-キャッシュの所で後者が上がって行っても守備についてこない右サイドを起点にしたいポーランドだが、キャッシュを上げてポーランドがフランス陣内でボールを保持していた際に21番ザレウスキのマイナス方向のパスが痛恨のエラーとなってカウンター。一度目はエンバぺのタッチが大きくなって難を逃れたが、再びキャッシュが上がっている状態で攻撃を完了できずフランスボールとなり、3:3で守っていたがエンバぺを見なければいけないグリクがボールに大きくつられてしまい易々とシュートを打たせてしまった。

 

更にエンバペはアディショナルタイムにも自身2ゴール目を加えてレ・ブルーは3-1の勝利。先程の得点でニアを意識させてからのファー巻きカーブショット、お手上げです。

 

訂正
ポーランドレヴァンドフスキのペナルティが一度ストップされたものの、ロリスがライン上から離れてやり直しを決めて1得点を返している。(記憶が混濁していましたごめんなさい。。。試合を見直していて気付きました)

Embed from Getty Images  

 

 

イングランド vs セネガル

 

 

ボールを持つ時間の長くなったスリーライオンズはショー,ベリンガム,フォーデンを中心にケインやライスもサポートに入って左サイドから攻撃を作る割合が多くなり、セネガルも規律ある守備から相手のエラーに付け込んだショートカウンターでピックフォードを脅かしていく。

 

38分のイングランド、その前のセネガルFKから押し込まれていた所を凌ぎゴールキックから足元で繋いで行くと、ショーから縦のボールを受けたフォーデンが意表を突くヒールパスでケインへ通し、ケインにクリバリが釣られた事で空いた左ハーフスペースにベリンガムが走り込んでスルーパスを引き出す。最後は折り返しの丁寧なボールをヘンダーソンが流し込んで先制。

 

更にAT3分にはセネガルDMイスマイラ・シスのトラップが乱れたところをベリンガムが奪いとり、自陣からボールを持ち運んで4枚のマークを釣ってから前に走るフォーデンに渡すと、フォーデンの横パスがディフレクションし丁度良いところにボールを置く事ができたケインの豪快フィニッシュで追加点。

 

57分にはクリバリの縦につけたミドルパスをカットして左サイドからカウンター。フォーデンのパスにサカが冷静な判断でGKメンディの横を抜くチップ気味のシュートで3点目を奪い、その後はセネガルに決定機を与えずストーンズやベリンガムにも休養を与えクリーンシートで90分を締めくくった。