いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

【 #WorldCup 】Day14、決勝トーナメントがはじまる

 

いよいよ一発勝負の決勝トーナメントが始まり、初日はオランダとアルゼンチンがそれぞれ準々決勝へ駒を進めました。個人的にはオランダの先制点に見どころが詰まっているように見えたので、今回そこに焦点を当てています。

 

 

 

 

オランダ vs アメリ

 

決勝トーナメント1回戦最初の試合はGroupA首位のオランダ対GroupB2位通過のアメリカ。どちらも基本的なシステムはこれまでと変わりませんが、オランダの配置はいつも以上に相手の並びがっちりハマっていたように見えます。とはいえ、最序盤はカウンターやライン管理の失敗から寧ろアメリカの方にチャンスが多かった。

 

得点が生まれたのは10分、オランダは自陣にボールを戻しGKノペルトから時間をかけてショートパスを繋いで行くと、左サイドでのコンビネーションから前線のガクポに前向きでのパスが入り、更にガクポから右で幅を取っていたダンフリースへ。最後はこの超攻撃的WBの折り返しにメンフィス・デバイがダイレクトショット、エースの得点で先制点。

 

 

オランダ先制点の流れるようなパスワークでカギとなったのはクラーセンからメンフィスへの短い距離のダイレクトパス。一見すると何でもない地味なプレーに見えますが、ここで一度ボールを後ろに戻した事でほとんど人の残っていない右サイドへのルートが開通しています。普通、カウンター局面ではなるべく縦に速く進みたいのでデ・ローンが走り込む左サイド大外へのボールを選択したくなる所でしたが、2手先を考えて後ろを選択できるクラーセンの冷静さと空間認識能力の高さはお見事。

 

プランが崩れてしまったアメリカだが、ボール保持の各選手の動きを見るとこれまでとは若干の違いが生まれている。というのも、グループステージの試合では一列上がって大外に張っていたアントニー・ロビンソンは1つ中に入る事が多く、その際は主にマッケニーがライン際に開いていた。ロビンソンは内側でも縦に突破してボックス内まで到達するシーンがあったように、私が思っている以上に柔軟な選手なようだ。

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失点後はもう一度立て直し、アディショナルタイム突入までよく踏ん張っていたアメリカだが、前半終了直前にセルジ・デストの範囲外からタイミング良くボックス内に入ってグラウンダーのボールに合わせたブリントのシュートでオランダに追加点。

 

オランダにボールを握られたキッカケはリームからプリシッチへの楔がズレた所からなので、たった1つのミスから一気に展開が変わるフットボールの恐ろしさがよく現れている失点ともいえる。立ち上がりとHT直前という失点のシチュエーションも最悪な結果になってしまった。

 

2点リードのオランダはHT明けに先制点のパス回しで重要な役割を果たしたデ・ローン,クラーセンを下げてコープマイネルス,ベルフワインを投入、そしてガクポがクラーセンの位置にスライド。アメリカも中央でほぼ何も出来なかったヘスス・フェレイラに変えてジョバンニ・レイナを投入し、レイナは少し下がり目でフォルスナインのように振る舞った。

 

70分を越えた辺りから両チームの疲労もあってオープンゲームになり始め、アメリカにもミス由来の決定的シーンが訪れるが最後の所でカバーが間に合うダンフリース。隣にいたティンバーは完全に足を止め、他のバックスも全力疾走出来ていなかった場面でこの走りが出来るのは素晴らしい。

 

棚ぼたのチャンスを逃したアメリカだが、直後のCKからの二次攻撃でハジ・ライトの再現不可能なスライスショット(偶然の産物かもしれないが美しい軌道でした)で1点差に迫る。

 

ここからしばらくアメリカの押せ押せムードが続いたが、5分後にはブリントのクロスからダンフリース、2点目と逆の形でオランダの3点目が生まれており、アメリカチームは皆ボールウォッチャーになって大外のダンフリースが見えていなかった。上背のあるガクポに気を取られた事は考慮したいが余りにも痛恨過ぎる一瞬のエラー。

 

終結果は3-1でオランダ勝利、準々決勝進出一番乗り。

 

 

アルゼンチン vs オーストラリア

 

 

4-4-2フラットでDFラインを高めに設定し、縦の幅もコンパクトに纏めて守るオーストラリアを前に殆ど何も出来なかったアルゼンチン。当初は上記のような4-1-2-3でゲームに入ったものの、25分辺りからLWのパプ・ゴメスが常に右サイドに映り、左はマック・アリスターとアクーニャの2人で担当するように変更。

 

34分のアルゼンチンは相手陣内右サイド深い位置からのスローインでパプ・ゴメスが直前にメッシとやり合って興奮状態にあったオーストラリアRBベヒッチのファウルを誘いFK獲得。GKに向かう軌道のメッシのキックはハリー・サウターが頭ではじき返したものの、セカンドボールを拾って再びアルゼンチンの攻撃となり、最後はオタメンディのトラップを奪い取るような形で自ら左足を振り抜きボールはゴール左下隅へ。

 

当初はモリーナが右サイド幅を取り、左はパプ・ゴメスがウインガーとしてプレーしていたものの、両フルバックを比べると突破力のあるアクーニャが高い位置を取る方がチャンスに繋がりやすいので、そういった意味でもこのスライドは有効だった。

 

後半のオーストラリアは3-4-3にシステム変更を加え、高い位置を取るアクーニャの背後を狙うと共に、守備ではスペイン戦の日本を彷彿とさせるようなハイラインハイプレスも敢行。ただ、混乱に陥ったラ・ロハとは違いアルゼンチンは50分という早いタイミングでパプ・ゴメスに変えてリチャを投入しこちらもCBを1枚増やしてしっかりと対処してきました。

 そんな中で58分にはこちらも仕返しとばかりにGKへの厳しいチェックを入れて、デポールの見事な長距離プレッシングがマット・ライアンの判断ミスを誘うと最後はフリアン・アルバレスが追加点。

 

正にしてやったりという2点目で勝利を盤石にしたと思っていたのですが、グッドウィンのミドルシュートがエンツォ・フェルナンデスにディフレクションして1点差に迫られるとオーストラリアが息を吹き返し、ベヒッチのテイクオンからの決定機はリチャのカバーリングに救われていなければ間違いなく同点弾になっていたでしょう。

 

終盤にはラウタロ・マルティネスが連続してダメ押し点の好機を逃し、最後の最後まで守備陣にとっては一息付けない緊迫のゲームになった。リチャがゴールライン上にカバーに入っているのは流石です。

 

 

【 #WorldCup 】Day13、グループステージ全日程消化。3勝チームは1つも現れず

 

 

突破を決めているチームが最終節を調整に当てるのは何も今大会のみの話ではありませんが、8グループあって1つも勝ち点9の国が存在しないというのも珍しい気がします。

 

(一応突破した国限定で)グループステージの個人的なベストチームを考えるとこのようなラインナップになりました。

継続して出場している右のフルバックにはあまり目立った存在がおらず、ハキミも守備面ではうーんという所もありましたがチームの躍進を支えているという意味では文句なしなので選出。

 

 

 

 

ガーナ vs ウルグアイ

 

ガーナはやはりクドゥスにボールが入る時が一番脅威で、15分にはスローインを後ろ向きで収めて素早く反転。前線に走り込むと、ジョーダン・アイェウのシュートのこぼれ球に反応して飛び出てきたGKからPK獲得。

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ただ、アンドレ・アイェウのキックは完全にコースを読まれてストップされる。

 

まるで12年前、南アフリカ大会でスアレスの決定機阻止の意図的なハンドによるPKを当時のエースアサモア・ギャンが決めれらなかったあのトラウマが蘇ったかのように落ち着きを失ったガーナは立て続けにミスコントロールが生まれ、ウルグアイは右サイドからのクロスで先制。ここだけを切り取っても普段ならしないであろう複数の致命的エラーがある……

 

 更にペリストリの浮き球からヌニェス→スアレスとダイレクトプレーでボールを左サイドに回していき、先ほどゴールを決めたばかりのデ・アラスカエタの2点目、センセーショナルな追加点が生まれる。

 

この時点で韓国-ポルトガルは1-1、ウルグアイは単独の勝ち点4で2位を確保していたのでリスクを負わずじっくりと相手の綻びを狙うようにシフトしたように見えますが、結果的にはガーナが落ち着く前に畳みかけなかったのが裏目に出たのかもしれません。

 

58分、アマーティのミスからデ・アラスカエタのボレーパスとでもいうような芸術的なキックでボックス内のヌニェスにパスが入ったウルグアイ。ヌニェスはアマーティとのコンタクトプレーで倒れるも笛は鳴らず。

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65分のウルグアイは左サイド深い位置から安易なクロスではなく仕切り直しでショートパスを繋ぎペリストリに決定機もシュートはサイドネット。

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撤退時はミドルブロックの4-4-2、攻撃時も後ろに枚数を残してガーナのカウンターをケア。不満を残しつつも後は試合を閉じに行けばいいというゲームでしたが韓国がアディショナルタイムに勝ち越した事で状況一変、こちらの方が少し進行が遅かったので追加タイム含めた残りの10分強は正に死闘。

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両チーム殆ど余力は残っておらず、カウンター合戦になった展開もあってトランジションはバテバテ。それでもアティ,ロチェと互いの守護神が最後まで凄まじいセーブを連発して3つ目のゴールが生まれる事無くタイムアップ。あのカバーニがこのような破壊行為に出たり、ホセ・ヒメネスFIFA役員に肘打ちをしたりと最後までウルグアイはヌニェスとアマーティのシーンに納得がいっていなかった模様。

 

 

韓国 vs ポルトガル

 

ようやくディオゴ・ダロトの先発入りが叶った事で彼に注目していたこの試合。ポルトガルはペペのフィードからそのダロトにボールが入り、キム・ジンスを交わしてマイナスのボールを入れるとリカルド・オルタがファーサイドにボールを突き刺し先制。

 

4バックの韓国に対してポルトガルはシンプルにフルバックの裏に対角線のフィードを集め、サイドからの崩しで特に序盤は思い通りの攻撃が出来ていた。ただ、既に突破も決めていて且つリザーブ組が多い事もあって連携・精神面での綻びは小さくない。特にセットプレーではその兆候が顕著だったが、ニア前への早いボールを跳ね返す事が出来ず、更に中央でボールに触れたロナウドが相手にお膳立てしてしまう形になって失点。

 

リザーブ中心でもダロト,ヴィチーニャ(彼らは本来スタメンにいるべき人材)とチャンスメイク出来る選手が出てくるのは流石Seleção das Quinasといった所ですが、ロナウドのゴール欠乏症は継続しているようでミドルシュートのリバウンドという最も得意なシチュエーションをモノに出来ず。

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チームとしても前半の終盤に立て続けに作った大きなチャンスを決められず、後半に入ると20分近くシュート0本。更に期待の高かったレオンはこの日もネガティブトランジションの遅さ、チャンスでボールを得た際の周りが見えていない自己中心的なプレーばかりが目立ち、とてもじゃないが重要な場面で使おうとはならないパフォーマンスで期待を裏切った。

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そして後半AT、引き分けという状況を考えるとリスクを負いすぎたCKから後方にはダロト1人という絶望的なカウンターを喰らい、日韓大会で散々な扱いをされた韓国をアシストすると共に間接的にウルグアイを絶望に陥れた。

 

 

セルビア vs スイス

 

ヴラホビッチ-ミトロビッチのストライカー2TOPを遂に同時起用してきたセルビア。スイスにはアルバニア系の大きなコミュニティがあり(ご存じの方も多いと思いますが、詳しくはコソボ紛争)、現代表チームでもシャキリやジャカがそのルーツを持っている事から毎回のように警告が飛び交い口論や乱闘にも発展しかねないゲーム。過去にはシャキリが鷲のポーズ(双頭の鷲はアルバニア国旗にも描かれている同国の象徴)をゴールセレブレーションで行い様々な意味で波紋を呼びましたが、今回も合計で11枚のイエローカードが提示されています。

 

キックオフ直後からスイスにエンボロの決定機が生まれるなど非常にオープンな入りで、戦術というよりも気持ちと気持ちのぶつかり合いという側面が強かった。セルビアは3CB+降りて来るルキッチでビルドアップを行い、全体的にスペースへのケアも人を見る意識も希薄で守備は言ってしまえばザルなのですが、スイスの両フルバックがそれほど対人に優れた選手では無いのでジヴコビッチ,コスティッチ,流れてきたタディッチ辺りが外でボールを持つとチャンス。

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最初のゴールは20分、自陣右サイドでセルビアの与えたファウルからリスタートしたスイスはバックラインでパスを回し、左サイドにボールを入れた所でミレンコビッチが必要以上に食いついて空いた裏スペースをワンツーで突破。リカルド・ロドリゲスのクロスは一度パヴロビッチが前に蹴り出すものの、ボックス内でソウが回収して最後はシャキリの左足。

 

26分、フロイラーのボールタッチが大きくなった所をコスティッチが奪って今度はスイスのエラーからセルビアカウンター。タディッチにクロスにミトロビッチが斜めに走り込みながらのスタンディングヘッド、点と点を繋ぐような精密なキックで同点弾。

 

35分のセルビアシャキリがサイドに逃げながらフロイラーに戻したパスがズレてタディッチが前を向いてボールを得ると、そのシャキリと前に出てきたファビアン・シェアが重なった一瞬に背後へのパスを通し、反応したヴラホビッチは体勢を流されながらもファーサイドを狙ったグラウンダーで勝ち越し。

 

ただ、44分にはシャキリの持ち運びに3人が釣り寄せられて縦パスを許すと、その後の戻りも遅く一気に5on4の数的有利が生まれヴィドマーのクロスにエンボロ。ラストパスの瞬間に全員がボールウォッチャ―になってしまっている。 

 

結果的に決勝点となったのは後半始まってすぐのスイスのチャンス。リカルド・ロドリゲスからセルビアDF裏を狙うロングフィードを エンボロが収め、一度ペナルティボックス角のシャキリに戻し相手の意識から裏のケアを消し、縦を狙った短いロブパスでヴァルガスがフリーになるとワンタッチでゴール前にボールを流し、最後はフロイラーのボレーシュートが決まった。

 

時計が進むと試合というよりも闘争に近い内容になっていたが、セルビアは全体的にボールボールボールでスペースや人を軽視し過ぎた事も含め、メンタルコントロールが出来ていなかったようにも感じる。

 

 

カメルーン vs ブラジル

 

リザーブ組中心のブラジルは4-1-2-3のネイマールポジションの左CMにロドリゴを起用、カゼミロ-フレッジ-パケタだと創造性が不足しすぎるというのは2戦目で証明されたのでエースが復帰するまでこれを継続する前提で採用したと思われる。

 

控え組でもカメルーンに付け入る隙を与えず、3:7のポゼッションで被シュート僅か1という層の厚さを見せつけましたが試合後にテレス,ジェズスの負傷が伝えられてそれが崩壊しつつあるのは本当に不幸としか言いようがありません。

 特にLBはアレックス・サンドロも怪我を負っている深刻さで、フレッジフルバックで起用する緊急策すら選択肢に入る。

 

個人的に気になった事はアントニーコーナーキックのテイカーを務めていたことで、クラブでも彼に右サイドのCKを任せられるとショートリスタートからペナ角に斜めに動きなおしてその後クロスorシュートという得意ケースに持ち運べるので是非ともマンチェスター・ユナイテッドでも試したいところ。LBのショーが反対まで蹴りに行く事は毎回時間がかかる上にカウンター時のリスクもあっていつかは改善したい部分。

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後半ATのカメルーンはMbekeliのアーリークロスセルビア戦で抜群のオフサイドラインの駆け引きから2ゴールを挙げたアブバカルがこの日も得点。

 

ただ、セレブレーションでユニフォームを脱いだこのストライカーは既に一枚カードを提示されており、主審も彼もにこやかな笑顔で握手を交わし2回目の警告で退場。

 

 

【 #WorldCup 】Day12、奇跡を実績に。偶然から必然への昇華

 

 

後半、リスクを負って一気に前線のプレッシングに参加する人数を増やしあのラ・ロハをパニックに陥れたサムライブルー。相手の詰めの甘さに多分に助けられたドイツ戦とは異なり、一瞬マークの受け渡しが曖昧になった先制点を除けばスペインに隙をほぼ見せない会心の勝利でした。

 

 

 

 

カナダ vs モロッコ

 

好みの選手が多く個人的に注目しているチームの1つであるモロッコ。サイドで局面打開できる選手を抱え、GK-CB-DM-CFのセンターラインに全て強力な軸がある事も今大会の好調ぶりに繋がっているではないでしょうか。

 先制点はカナダのバックパスが短くなり、慌てて処理したGKのキックも半端になった所をツィエクが頭上を抜くという少し予想外な内容。

 

追加点はハキミからの斜めのロングボールで完全に裏を取ったエン=ネシリの強烈な右足で奪い、この少し前にもGKからショートパスを繋いで中央でプレスを回避しながらアタッキングサードまで侵入とまるでスペイン代表のようなパスワークからチャンスを創出していた事から決勝トーナメントでもお株を奪うような攻撃を見せてくれるのではと密かに期待している。

 

40分、自陣からのリスタート(モロッコオフサイド)から左サイドのライン際で縦にパスを繋ぐカナダは3番のアデクグベが裏街道でハキミを突破。クロスボールに足を伸ばしたアゲールのオウンゴールで一点差に。

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自国開催の4年後に向けて、ここで勝ち点を奪って弾みをつけたいカナダはCKからハッチンソンのヘディング、こぼれ球にジョンストンと決定機が生まれるも同点ならず。

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クロアチア vs ベルギー

 

引き分け以上でトーナメントの扉が開くヴァトレニとほぼ勝利必須のレッド・デビル、欧州勢同士のビッグカードは4-2-3-1で1つ内に入るデ・ブライネのスペースをムニエが使うベルギーが押すような序盤の展開。一方のクロアチアもFKからのボックス内の競り合いでPKを獲得したかに見えたが、その前にオフサイドの反則があって取り消される。

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後半開始と共にルカクを投入しCFルカク,シャドーにデ・ブライネと位置関係を少し変化させ、まずは4分にCKのセカンドボールからこのホットラインで1つ目のチャンス。

 

クロアチアはチャンスになりそうな所でボルナ・ソサのキック精度に欠ける場面が目立ち、中盤も間延びしている状況。60分のベルギーはルカクに2度目の決定機もヴァルディオルがしっかりコースを消してギリギリを狙ったシュートはポストに阻まれる。

 

87分にはムニエの折り返しにワンタッチ、コースを変えてゴールを狙うも僅かに枠外。更にAT突入直前にもゴール前の決定機を逃し4度目のビッグチャンスのエラー。正直後半はルカクが外し続けていた事しか記憶に残らないくらい酷かった。

 

ポジティブな話をすると、ゴールレスドローで終了したベルギー側の要因がルカクだとすればクロアチアはヴァルディオル。ボールキャリーや配球能力の高さは兼ねてより注目していましたが、このような大舞台でこれだけ球際の勝負に勝ち続けるとなるといよいよ一億€の壁を越えるようなディフェンダーになる可能性も。

 

 

日本 vs スペイン

 

前半と後半、一気に変わったチーム状態を象徴するような2つの守備をベースに試合を見ていきます。

 

前半はエンゲージラインを低く設定し殆ど5バックでプレー。前の選手やDMの田中碧等が前から行きたいというような素振りを見せても後ろの意思はそうではなく、パウ・トーレスとロドリが自由にボールを持てるので幾らブスケツを封じているとはいえ然程スペインはボール保持に苦労せずに試合を優位に進める事が可能だった。

 

11分、スペインはニコ・ウィリアムズのクロスにモラタが合わせて先制するが、日本としてはその前にボックス内にパスを通された所の守備対応の緩さが致命的で、マークの受け渡しがハッキリしない鎌田とハーフスペースのボールに一歩遅れた谷口、危機を察知してカバーに入れなかった守田(正直これは難しいと思うので注釈をいれたい)とガビの近くに3選手居ながら何も出来ていない。

 試合後の選手,監督のコメントを見るに、このゲームの日本は数日前に鎌田提案でフランクフルト流をベースにした対ティキタカの3-4-2-1システムを採用すると決断したようなので、このような細かい決めごとに関しては手が回らなかったのだろう。

 

ただ、それ以外は個で崩せる選手が不足しているスペインに対し明確な得点チャンスは与えず1失点で折り返した日本はハーフタイム明けに2枚交代。長友🔁三笘,久保🔁堂安とドイツ戦の逆転勝利に直接絡んだアタッカーを入れ、ピッチ上の選手に対し明確な"前から行け"というメッセージを与える事に成功した。

:ハーフウェーより後ろは映っていないので前後から分かる範囲で推測……

 そして、同点弾の前のハイプレスこそ正にこの思惑通りという場面で、日本は6,7人を高い位置に集めてショートパスで繋げる場所を悉く潰している。中長距離のパスで打開される恐れもあったが、それはしてこないだろうというスカウティングからの確信があったと見て間違いない。

 

スーパーゴールの興奮冷めやらぬ中、権田のフィードを見事にトラップした伊東起点に右サイドでゴール方向に前進しながらパスを回し、先ほどのシュートでカットインを相手に意識させている堂安は縦からの右足クロスでゴール前を通過したボールはライン上ギリギリで三笘がもう一度中に折り返して最後は田中碧が詰める!!

 

流石に40分以上の時間を無失点で乗り切るというのは簡単では無いミッションだったが、最終盤になるまで引いてではなく応戦して守り続けたサムライブルーの奮闘が最高の結果をもたらしてくれた。2戦目の失点で批判を浴びた権田や吉田に関しても名誉挽回の好守備があったりとチームの雰囲気がもう一度最高潮に戻るような完璧のゲーム。

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コスタリカ vs  ドイツ

 

やはり5-4-1を貫いてきたコスタリカに対しもう一方の対戦カードの結果次第で大量得点が必要になるドイツは押し込んだ際に5トップ,時には6トップにもなるかなり攻撃的な配置で序盤から攻め立てる。すると10分にここまで不振だったニャブリの技ありヘディングシュートで先制に成功。

 

攻め込まれ続けたコスタリカも42分にロングボールの処理をラウムが誤った所から同点のチャンスが生まれたが、日本戦の決勝弾を決めたフレールのボレーはドイツ守護神ノイアーのワンタッチで枠の上。

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後半に入ってしばらく、丁度日本が一気に2点を奪って試合をひっくり返したという情報がアル・バイト・スタジアムにも伝わると、コスタリカイレブンが躍動し始める。58分、CBのワストンのインターセプトでカウンターのチャンスを得たロス・ティコス(コスタリカ代表の愛称)は外→中へのランニングでフルバックセンターバックの間を取ったフレールにパスを通し、折り返しに合わせたジョエル・キャンベルのヘッドはノイアーが防ぐもこぼれ球を押し込んで同点。

 

更に70分には左サイドからのFK、ファーを狙ったストレート系のキックをワストンが折り返すと、ゴール前の混戦からドイツゴールラインをボールが越えて勝ち越し。(公式記録はノイアーオウンゴール)

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この時点でトーナメント進出には勝利+あと7得点という絶望的条件を突き付けられたドイツは3分後のハヴァーツ同点ゴールを歯切りに怒涛の波状攻撃を続けたが、積み上げた30本のシュート、xG6.00越えに対して4点止まりと最後の最後までフィニッシュワークの問題を払拭出来ずにまさかのグループステージ敗退。ハヴァーツのこの表情が全てを物語っているだろう。

 

 

 

【 #WorldCup 】Day11、またしてもフェアプレーポイントが大きく展開を左右する

 

2018年のロシア大会で試合に負けている状況にも関わらずフェアプレーポイントによる突破を狙ってリスクを冒さず、自陣内でボールを回し続けた日本を対戦相手として見ていたポーランド。4年の月日が経ってまさか自分たちがその仕組みをフル活用する事になるとは夢にも思わなかったのではないでしょうか。

 

 

 

 

オーストラリア vs デンマーク

 

システムを試合毎、試合中にも大胆に変えて来るデンマークのヒュルマンド監督はゲームの入りにバック4の上にホイビェア、その上に4枚をフラットに置いた4-1-4-1を選択したが、オーストラリアのサイド攻撃がそれほど脅威ではないと見るや両ワイドを高めに残して4-1-2-3に変更。

 

突破力のあるLBのメーレに高い位置を取らせ、左サイドでの優位と右のハーフスペースでパスを引き出すスコヴ・オルセンの動きからオーストラリアのゴール前に何度も侵入するがフィニッシュが伴ってこない。一方のオーストラリアは個で違いを作れる選手はいないもののチーム全体の献身性が高く、特にレッキーのトランジションの早さには目を見張るものがあった。

 

後半も基本的に同じ展開だったが、60分のオーストラリアは相手が前に人数をかけて攻撃してきた所でボールを奪い、自陣からカウンター開始。中央でのデンマークのカウンタープレスを回避し左サイドにボールを移すと、マッグリーのパスを受けたレッキーが2度の小さい切り返しでメーレの重心をずらしながら最後は股を抜いたシュートで見事ワンチャンスを活かした。

 

デンマークとしては大会期間中において信用できるストライカーが不在だった事が致命傷になってしまった。EURO2020で存在感を発揮したドルベアやユスフ・ポウルセンはそれぞれ低パフォーマンス、コンディションの懸念もあったのかそもそも起用されないといった状況で、コーネリウスやブレイスウェイトもチャンスを決めきる事が出来ず、今大会のスコアラーはDFのクリステンセンただ1人。これではどうしようもない。

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マンチェスター・ユナイテッドのファンとしてはエリクセンが消耗せずクラブに戻ってくる事はポジティブに捉えたいが、もっとやれるチームだと思っていただけに比較的恵まれたこのグループで最下位敗退という結果は小さくない衝撃。

 

 

チュニジア vs フランス

 

オーストラリア上回られる恐れは一応あるものの、勝ち点で並んでも試合前の状態で得失点差6のマージンがある事からほぼほぼ首位通過が決まっているフランスはヴァラン,チュアメニを除く9人を入れ替える大胆なターンオーバーで最終節に臨んだ。

 一方のチュニジアはフランス出身の選手が多く、ハンニバルやハズリのように中には世代別でレ・ブルーでのプレー経験を持つメンバーいる事からこの試合に特別な感情を持っていた選手もいたと思われ、勝利すればトーナメント進出の可能性も残っている事からモチベーションでは明らかにこちらが上。

 

3-4-3でWBの攻撃参加による数的優位を奪うチュニジアは積極的にCKを狙い、オフサイドになったものの8分にはセットプレーでゴールネットを揺らす等4年前のチャンピオン相手に一歩も劣らない試合展開。そして歓喜の瞬間が訪れたのは58分、フェイスガードを身に着けるスキリが中盤でフォファナからボールを奪うと、丁度エアポケットになっていたフランス陣内の中央をハズリがドリブルで運び、ボックス手前でボールを左に蹴って相手DFの対応を一歩遅らせるとグラウンダーのシュートを流し込んで先制。

 

この場面、フランスは相手の前線3枚に対しバックス4枚が残っていながらまんまとシュートを打たせてしまっており、ヴァランかコナテとどちらか一方はボールホルダーに詰めなければならなかっただろう。この他にもヴァランはらしくないプレーが多く、フォームを完全に取り戻すまでにはもう少し時間がかかるかもしれない。

 

アディショナルタイムにフランスは同点ゴールかと思われたが、最初のヘディングがクリアではなくコロムアニ(フランスの12番)に身体をぶつけられた事による跳ね返りと判断された為にこの時オフサイドポジションにいたグリーズマンの得点は無効となった。

 

試合は1-0でチュニジアが勝利したが、もう一方のゲームでオーストラリアが勝ち点3を手にしたためノックアウトステージ進出はならず。

因みに、この新解釈が生まれたキッカケはネーションズリーグ決勝のエンバぺの得点。

 

 

サウジアラビア vs メキシコ

 

3分、メキシコはバックラインに降りたエドソン・アルバレスからロサノへの楔のボールで一気にサウジアラビアのFW,MFラインを突破し、その後前を向いたロサーノのスルーパスにベガがGKとの1on1を迎えるも決めきる事が出来ず、結果的にはこれが大きな痛手となっている。

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勝てば自力でノックアウトステージ進出を手繰り寄せる事が出来るサウジアラビア。しかし、この日はアルゼンチン戦で勝利の一因にもなったハイラインを維持したプレッシングではなく、5バック気味に引いて守り勝ち点1でも構わないというような試合運びを見せる。

 

前半を通じて多くのチャンスを作ったメキシコだが、中々ゴールを奪えずにHTを迎える。決勝トーナメント進出には勝利した上で得失点差を改善させる必要があり、その焦りがプレーに出ていたのかもしれない。

 しかし、後半開始早々の47分にはCKからニア手前フリックからゴール前ワンタッチ、今大会の黄金パターンとも言える決定機で先制。

 

更に52分、30mを優に超える遠い位置からルイス・チャベスが直接ゴールマウスを狙って左足を振り抜き、丁度インパクトの寸前にGKの重心が蹴る方向と逆に大きく動いた事もあって直接ネットを揺らす衝撃的なゴールが生まれた。

 

後述するポーランドとの関係性で後1点が何としても必要なメキシコはその後も攻勢を強め、チャベスのFKやロサーノの突破から惜しいところまでは行くものの、サウジアラビアDFの最後の所で伸びる足やGKアル=オワイスのセービングにも阻まれその1点が遠く、87分にはカルロス・ロドリゲスのスルーパスにアントゥナが抜け出して遂にその時がやってきたかと思わせたがオフサイド

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逆にサウジアラビアアディショナルタイムに1点を返し意地を見せ、最終スコア1-2でメキシコは試合に勝利したもののグループステージ敗退となった。これにより94年アメリカ大会から続いた決勝トーナメント進出の連続記録は7で途絶える事に。

 

 

ポーランド vs アルゼンチン

 

共に勝利すれば自力で突破を決められるチーム同士の組み合わせですが、それぞれの思惑には違いがあったようで、ポーランドは圧縮した4-4-2ブロックでサイドでの展開は許容しつつもゴール前にだけは侵入させたくないと中央を固める。故に序盤からアルゼンチンが高いポゼッション率を記録しますが、こうなる事は事前段階で見込まれていたのでリサンドロ・マルティネスが活きるケースが多かったのではないかと贔屓目無しで思います。

 

フルバックが実質ウインガーのような位置取りを取る事は変わらずも、今回はDMにカバー範囲が広くキャリー能力を兼ね添えチャンスメイクのパスを入れる事も出来るエンツォ・フェルナンデスを使った事で前後分断が前2戦よりも解消され、フォルスナインのメッシもより危険な位置取りが出来るようになった。今大会のアルゼンチンが好成績を収めた場合、最大の功労者は彼だろう。

 

ポーランドのエンゲージラインが低いのでアルゼンチンは比較的楽にボール保持することが出来、多くの得点チャンスが生まれたものの乗りに乗っているシュチェスニーが悉くこれを凌ぎ、CKの際にかなり厳しい判定でアルゼンチンに与えられたPKですらもストップ、1大会2度目のPKセーブはタイ記録とのこと。

 

前半、期待値にして2得点程の危機を何とか凌いだポーランドでしたが46分、ロメロの楔から右サイド大外をディ・マリア,モリーナの2人で突破したアルゼンチンはマイナスのクロスにマック・アリスターが冷静に右足で合わせて先制。ギリギリまでフリアン・アルバレスの真後ろに位置取りする事で、自身がシュートを打つスペースをボックス内に確保したマック・アリスターのクレバーさが光る。

 

後半はポゼッション2:8でひたすらアルゼンチンの猛攻が続くが、同時刻開催のサウジアラビア-メキシコで後者がリードする状況になっていた事から、この時点で得失点差でグループ2位を確保しているポーランドはそれほどリスクをかけて同点弾を狙いには来ない。すると67分にはエンツォが1人を交わした後、2人のDFを引き付けてラストパスを入れて最後はアルバレスがファーに蹴り込んで追加点

 

さて、これでより一層混迷を極めたのが2位争いで、同時点でポーランドとメキシコは勝ち点4,得点2,失点2と勝ち点,得失点差,総得点の全てで並ぶ事となり、フェアプレーポイントの差でポーランドが首の皮一枚で2位を死守。

フェアプレーポイント

減点方式で採点され、内訳は

  • イエローカード:-1pts
  • 2枚目のイエローによる退場:-3pts
  • 一発レッドカード:-4pts
  • イエローを提示されている状態で一発レッド:-5pts

これに基づき算出すると、この時点でポーランドは-4Pts、メキシコは-7Ptsと2チームには大きな差があり、メキシコとしてはサウジアラビアにもう1点を加え得失点差を改善させる事が必須条件。

 

この状況でポーランドの取った作戦は「前に出てリスクを冒し得点を狙う」ではなく「5-4-1で次の失点を何としても防ぐ」であった。一見すれば負けている状況で試合を放棄するような戦い方に見えるが、4年前のワールドカップで丁度3戦目の対戦相手だった日本が同じく負けている状況でフェアプレーポイントによるトーナメント進出を狙い、批判に晒されながらも完遂した事もこの決断を後押ししたのかもしれない。

 

ただ、忖度する必要のないアルゼンチンは3点目を積極的に狙い、アディショナルタイムには途中出場タグリアフィコがループシュートシュチェスニーの頭上を越え、何とかキヴィオルがカバーするというギリギリのシーンも。

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もう一方のカードでメキシコが追加点を手に出来ず、更にサウジアラビアが1点を返しポーランドは思惑通り2位通過を決めた。

 

 

【 #WorldCup 】Day10、オープンな展開の #ThreeLions は脅威

 

グループステージ最終節は日本時間0:00と4:00に同一グループの2試合が同時キックオフとなり、別会場のスコアの推移がチームの戦い方に大きく影響を与える事になります。

 

 

 

 

エクアドル vs セネガル

 

オランダとの激闘のダメージが大きかったという事でしょうか、2戦目で無尽蔵のスタミナを思わせたエクアドルはポゼッションを握りながらもシュート数でセネガルに大きく離されて敗戦。セネガルはフェアプレーポイントでトーナメントを逃した4年前の雪辱を晴らしGroupAの2番手でノックアウトステージ進出を決めています。

参照:Post Match Summary Reports - FIFA Training Centre



4-2-3-1(守備時4-4-2ブロック)でゲイェをNo.10に置いた手堅い戦い方を選ぶセネガルに対しエクアドルフルバックを大きく上げて前の圧力を高めたいところでしたが、プレシアド vs イスマイラ・サールのデュエルで悉く劣勢に回ってしまい上手くいかず。最初の失点もサールへのパスをプレシアドが処理出来ず、加速してボックス内に侵入されたところをカバーに入ったインカピエとのコンタクトでPKを与えるという形でした。

 

それでも、後半に入って67分にはニアフリック→ファーポスト詰め、大会を通じて良く見られるCKの形から一度同点に追いつく。単純ながら守備側にとって嫌な攻められ方なので、2022年現在のプロフットボールでは標準装備になりつつあります。

 

しかしながら僅か3分後、交代出場のサルミエントが自陣左サイドで不用意なファウルを犯し、このFKからクリバリが代表初ゴールを決めて再びセネガル勝ち越し。皮肉にも怪我を押してチームを支えたエネル・バレンシアのクリアミスがアシストになってしまう不運にも見舞われたエクアドル、終盤のクロス乱打も得点に繋がらずこのままスコア1-2で試合終了。

 

 

オランダ vs カタール

 

既に敗退が決まっている開催国カタールは5-3-2でオランダの攻撃を凌ぎつつカウンターからのワンチャンスをモノにしたいところでしたが、5-3のライン間に簡単にパスを通されてしまい、逆に自分たちのビルドアップを狙われるのでチーム内では唯一個で他に劣っていないFWのアフィフが低い位置までサポートに入る場面も多かった。当然前に人がいなくなるのでカウンターも上手く行かず。

 

26分のオランダは左サイド狭いスペースをクラーセン,ガクポ,メンフィスのダイレクトプレーで突破し、最後は大会終了後のマーケットでイングランド移籍の噂が浮上しているガクポの3戦連続ゴールで先制。

 

オランイェの中で良いアクセントになっていたのはこの日3CBの右で起用されたティンバー。相手の寄せが甘ければ自分でボールを運び、守備陣形が乱れた所に楔のパスを入れてチャンスを広げる、正に現代のCBに要求されるオフェンス能力を高次元で兼ね備える選手。ボールキャリー出来る選手がフレンキー・デ・ヨングくらいで彼への依存が強いチームの中では必須に近い選手に見える。

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最後方からショートパスを繋いだオランダはアケの楔でアタッキングサードに侵入すると、右サイドにボールを動かしてペナルティボックス角からバックパスを入れてカタールDFの意識を一瞬前に向けると、クラーセンのクロスをKhoukiがクリアできずゴール前の決定機から最後はフレンキーがこぼれ球を押し込み2点目。

 

ウインガーを殆ど招集せず、サイドアタックのサブ戦術が存在しない事はオランダ代表の大きな懸念材料であるものの、消耗少なくノックアウトステージに進出したアドバンテージは大きい。一方のカタール代表は開催国として史上初のグループステージ3戦3敗、GKのセービングもそうだが個人技術の時点で他国に差を付けられてしまっているので、そもそも何処を修正すれば云々という土俵に立っていなかった。

 

 

イラン vs アメリ

 

国同士の関係性は最悪、しかしながらそれはそれ、別の話としてピッチ上のプレイヤー達は純粋に目の前の試合の勝利を全力で目指す姿勢。勿論、突破が掛かる試合なので球際の攻防は非常に激しかったですが、ただ相手を潰す事を目的にしたレイトタックル等は見られなかった。

 

互いに様子見せず、序盤から両コートを行き来する殴り合いとなったこのゲーム。アメリカは自由に動き回りボールを受けるプリシッチと、その影響で生まれる左サイドスペースへの走り込みを起点に攻撃し、勝ち点の関係で有利なイランは高めに設定されるDFラインの裏への素早いロングボールでカウンターを狙いたいという構図。

 

38分のアメリカ。GKのフィードからボールを繋ぎ、マッケニーが前を向いてパスを貰うとRWのティモシー・ウェアは内側に絞って大外に空間を生み出し、デストがスペースに走り込んでロブパスを引き出すと、ヘディングでのラストパスにプリシッチが詰めて試合が動く。

 イランとしてはマークの受け渡しが上手くいかず、デストのランニングに対応するのが本職ストライカーであのような守備対応には慣れていないであろうタレミになってしまったのが失点の要因だろう。

 

この1点が決勝点になりアメリカがグループ2位で決勝トーナメント進出。この光景を見ると、4大スポーツに割って入る勢いでサッカー(敢えてそう呼称します)が人気を高めて行っているという事実を実感できます。

 

 

ウェールズ vs イングランド

ウェールズは勝利した上で他チームの結果次第(得失点の大幅な改善必須)、イングランドはグループステージ1位を盤石なものにしつつ、今後出場機会の増えそうな選手を日干しするようなラインナップで、両ウイングとRBに変更有り。

 

当初はRWにフォーデン、LWにラッシュフォードと逆足配置にしたものの、ウェールズが中央を固めていたのでカットインからのミドル,或いはクロスが効きづらい状況で後半は左右を入れ替え縦の突破,或いは対角線のフィード等大外を突かせる狙いに変更。

 

そして48分、左サイドタッチライン際からのドリブルでフォーデンがFKを獲得すると、ラッシュフォードがドライブ回転をかけたキックを直接ネットに叩きこみ正に思惑通りの形でイングランド先制。

 

追撃の手を緩めないスリーライオンズはラッシュフォードの前線からのプレッシングでボールを奪い、ケインのクロスにファーサイドでフォーデンが押し込み0-2。

 

更にカルヴァン・フィリップスのロブパスで相手フルバックの裏を取ったラッシュフォードはそのままボックス内に切り込んでいって左足でシュート。ダニー・ウォードが対応しきれず足に当たったボールがそのままゴールラインを越えてこの日2点目のゴールを挙げた。

 このシーン、上からのカメラで見るとウェールズのスライドが遅れ、ダン・ジェームズの中途半端なポジショニングの穴埋めを意識したコナー・ロバーツがラッシュフォードではなくRBのアーノルドに一瞬気を取られている事がよく分かる。

 

0-3で快勝したイングランド。やはりスペースが生まれるゲーム展開になると滅法強く、対戦するチームとしてはコンパクトな守備陣形でローブロックからのカウンターを意識しつつ、時間を区切って判断の遅さからビルドアップに不安のあるマグワイアを狙いどころにしたハイプレスを仕掛けるというのが最も分かりやすい攻略法になるのではないか。

 

 

【 #WorldCup 】Day9、とどまる所を知らないブルーノ・フェルナンデスの勢い

 

 

 

 

カメルーン vs セルビア

 

試合前、正GKだったアンドレ・オナナが指揮官リゴベール・ソングと対立し口論の末にチームを追放されたとの報が入りチーム内に火種が燻っている事を思わせたカメルーン代表。

 

不安が的中するようなゲーム序盤のプレー、セルビア代表には少なくとも2度先制のチャンスがあったが、故障が癒えてラインナップに戻ってきたミトロビッチはゴール前の決定機をモノに出来ず、逆に不屈のライオンコーナーキックからニアフリック→ファー詰めのお手本のようなセットプレーで先取成功。

 

とはいえ、セルビアに攻められている際に大外が常に空いていてスライドも追いつかないという構造上の欠陥は改善されておらず、FKからパブロビッチのヘディング、ジヴコビッチのパスからセルゲイの狙いすました左足、立て続けの2ゴールで前半ATに試合をひっくり返されてしまう。

 

53分にはタディッチが高い位置で奪ってから華麗なパスワークでセルビアの3点目が生まれ、これは決まったかと正直思いましたがそうでは無かった。中盤のHonglaを下げてストライカーのアブバカルを投入、4-1-2-3から4-2-4(4-4-2)へシステムを変えたカメルーンオフサイドラインギリギリの飛びだしからアブバカルのループシュートでまず1点差。

 

更にRBファイのスルーパスに再びセルビアCBの裏を完璧に取ったアブバカルのプレゼントパスにシュポ=モティングで同点!!

 

壮絶に殴り合いと化したゲームは、互いのライン間,チャンネルにスペースが生まれるオープンな展開となってミトロビッチには再び英雄になれるチャンスが舞い込んだがGKの身体にボールを当ててこの試合7つ目の得点は生まれる事なく3-3のドロー決着。

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韓国 vs ガーナ

 

LBのキム・ジンスが高い位置を取って左サイドの数的優位からゲーム序盤の主導権を握った韓国。しかし、セットプレーのチャンスからモハメド・サリスが押し込んで最初に得点を入れたのはガーナでした。

 

34分、ガーナはオープンプレーの中で、丁度先程と同じような位置からの同じようなインスイングの右足クロスにモハメド・クドゥスのヘディングシュートで追加点。敢えて早めにDFの真裏を取り、スキャンニング出来ない所でじっくりとボールを待ち構え体格差を逆に生かしたクドゥスのオフ・ザ・ボールは見事。

 

リードされているものの、後半に入っても流れの中では韓国ペース。

58分にはランプティをソン・フンミンと2人で囲いボールを奪ったイ・ガンインのクロスにチョ・ギュソンのヘディングがGKの脇下を抜けて1点差。更に3分後にはまたしても左サイドから、ソンがDFの注意を引いてアンダーラップしてきたキム・ジンスにスルーパスを通し、ゴールライン上からマイナスのクロスに再びチョ・ギュソンが飛び込んで気づけば2-2のイーブンに。

 

68分、サリスから縦パスを引き出したトーマスはクライフターンでマークを剥がし、これによって右サイドの守備にズレが生まれた韓国はそのまま深い位置まで侵入されると、折り返しにニアでシュートを試みたイニャキ・ウィリアムズのキックは空振りになるが、ヒーローになる事が決定事項であったかのように丁度クドゥスの足元に転がって再びガーナが勝ち越し。

 

サイドを抉ってからのクロスボール、シンプルな攻撃でシュート数では圧倒的に相手を上回った韓国だが、GKローレンス・アティ,両CBの3人で粘り強く凌ぎ瞬間的な個人技術の質で上回ったガーナの前に一度もリードを奪えず敗戦。

 

 

ブラジル vs スイス

 

ネイマールが離脱したトップ下にはパケタを一列上げて、空いたDMにはフレッジを起用したチッチ監督。ビルドアップ時はフレッジ受けに下がってカゼミロは前に残っていましたが、ここがあまり機能していなかったので逆の役割にした方が良かったのではないかと思われる。また、パケタは左に寄る事が多かったのでハフィーニャが孤立しがちで、これがヴィニシウスならば1人で打開する事も出来てしまうのですが彼はそこまででは無いのでコンパクトに守るスイスを中々崩せず殆ど見せ場無く45分を折り返す。

 

HT明けのセレソンはパケタに変えてロドリゴを投入。(個人的な意見としてはフレッジに替えてブルーノ・ギマランイスを入れてくるのではないかと思っていましたが)

 53分のスイスはジャカの対角線パスに走り込んだヴィドマーがボックス内で追いつき、折り返したボールがゴール前に転がって行くもアレックス・サンドロが見事なスライディングでボールをカット。

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64分、交代でピッチに入っていたギマランイスから中央にスライドしていたサンドロへのパスが流れ前線の楔になり、リシャルリソンがワンタッチで後ろの味方に落としてショートカウンター。最後はヴィニシウスがGKとの1on1を沈めて先制かと思われたが、リシャルリソンがボールに触れた際のポジショニングが所謂戻りオフサイドで判定覆ってノーゴール。

 

後半に入っても集中力を切らさず辛抱強く守っていたスイスですが、マルキーニョスから斜めに入るパスを貰ったヴィニシウスのカットインからロドリゴが中継役となって最後はカゼミロのハーフバウンドボレーがディフレクションして遠いサイドのゴールネットを揺らし遂に失点。ネイマール不在時の攻撃の組み立てに大きな課題を残しながらも何とかブラジルが勝ち点3を積み上げノックアウトステージへの切符を掴んだ。

 

 

ポルトガル vs ウルグアイ

 

ダニーロが肋骨骨折で出場出来ないCBにはペペが戦線復帰し、LBにはヌーノ・メンデスが入り1戦目とはラインナップを変えてきたポルトガル。中盤4枚が非常に流動的に動く事は変わりなく、3-5-2(5-3-2)でブロックを固めるウルグアイに対し配置的な優位性は中々掴む事が出来ないもののこの日はウィリアン・カルバーリョの調子がかなり良く、危ない所で彼がフィルター役になってくれるので1戦目に比べれば安心できるゲームの立ち上がりでした。

 

更にロナウドのフィジカル面も改善の傾向が見られ、ウルグアイWBの裏に抜け出してスルーパスを受けるシーンも何度かあった。

 前半最大のハイライトはカバーニが収めたボールを回収し自陣からドリブルでポルトガルペナルティボックス内まで侵入したベンタンクールの決定機。ぺぺ,ルベン,ウィリアンの対応が軽すぎたにしても3枚に囲まれながら突破したベンタンクールと、ギリギリまでライン上付近に位置取りしながらボールホルダーが抜け出した瞬間に素早いダッシュでシュートコースを埋めたディオゴ・コスタの攻防は見ごたえ満点。

 

ウルグアイの攻撃パターンは主に左サイドタッチライン際に流れたヌニェスにボールを入れてからの斜めのテイクオン。やはり彼は中央に留まるというよりは外で受けるのが得意な選手で体格に反し密集でのポストプレーを求めても中々うまくいかないというのはロメル・ルカクにも通じる部分。

 

ポルトガルにとって不幸なニュースはヌーノが前半の内に負傷交代してしまった事。彼の対人戦の強さがあってカンセロ起用が完全な形で成立するところが大きかったので復帰時期如何ではトーナメント以降の戦い方にも影響が出てくる。

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51分にはピッチ上に乱入者が現れて一時試合が中断。褒められた行為では無いが、LGBT,性差別、戦争といった世界で起きている理不尽と不平等に対しての問題提起である事は直ぐに分かったので心情としては理解できる部分もある。

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ドロップボールで試合再開直後、ポルトガルロナウドの肩での落としから一気にショートカウンターウルグアイ陣内を駆け上がり最後はフェリックスがシュートを選択しサイドネットに直撃するが、ファーにブルーノが走り込んでいたのでそちらの方が得点期待値が高かったであろう事は間違いない。

 そして54分、ボールを保持するポルトガルは左に寄っていたブルーノがパスを受けて外にゴディンを釣り出しながら反転ターン、ロナウドへゴールに向かう軌道でクロスを入れると、これがそのままファーサイドのネットに吸い込まれ先制。

  上記Tweetにもある通り当初はロナウドのゴールと紹介されたが、後にブルーノの得点に修正。今大会の公式球は半自動オフサイド技術にも使用されるセンサーが内蔵されており、ブルーノのインパクトとボールがバウンドした際には反応を示したものの、ロナウドを通過した時にはそれが無かったとアディダスが発表し一旦は収束。ただ、髪の毛の先が僅かに掠った程度の衝撃でセンサーが反応するのか等CR7本人にとってはまだ納得いかない部分もあるかもしれない。

 

その後、4バックに変えたウルグアイの猛攻、特にペリストリの縦の突破に苦しめられたポルトガル。更に途中起用のラファエル・レオンの不用意なロストや怠惰なオフ・ザ・ボールも目立ち、マキシ・ゴメスのカーブショットがポストに直撃するなど失点寸前のピンチも複数回あった。

 

前述のレオンと途中からLBに入るゲレイロの左サイドがあまりにも軽く直ぐにでも修正が必要だったポルトガルは、マテウス・ヌネス,パリーニャ,ゴンサロ・ラモスの3枚投入でようやく落ち着きを取り戻す。

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そしてアディショナルタイム直前にはブルーノがボックス内で相手のハンドを誘いPK獲得。自身で決めてこの日2点目のゴールを奪い、更に3点目のチャンスもあったがポストに阻まれハットトリック達成ならず。

 1戦目,2戦目共に2つの得点に直接関与、プレイメイカーでありながら献身性も高い、本当に稀有な選手です。

 

 

【 #WorldCup 】Day8、黄金世代終焉を示唆するベルギーの完敗

 

 

 

 

日本 vs コスタリカ

 

今回は始めから5-4ブロックを敷いて兎に角失点しない事を第一目標に臨んできたコスタリカチーム。この時点でまず日本の思惑とは若干異なっていたのかもしれません。サムライブルーのスタメンは明らかにショートカウンターが得意構成で、ポゼッションベースならば鎌田を一列下にNo.10には久保や柴崎、左に関してもサイドに振ってからの1on1で組織的な崩しが無くとも突破出来てしまう三笘を使うはず/使うべき。

 

ただ、トランジション局面で全体を押し上げる様子もなく、例えば6分のコスタリカFKを権田がキャッチした後はスピードのある相馬を走らせればカウンターが成立しそうな場面にも関わらず実際にはCBからゆっくり組み立てる。試合後の選手のコメントが軒並み『勝ち点3を必ずしも取りにいかなくても』という趣旨であった事からもこのゲームに対する考え方の時点で既に落とし穴にハマっていた感。

 

チャンスメイクという意味で唯一可能性を感じたのは山根から斜めに入るパスで、彼に高い位置を取らせてもっとボールを集めるのが前半のラインナップで出来る数少ない修正でした。他には、ビルドアップ補助を遠藤ではなく守田か鎌田に任せ、彼にはより高い位置でセカンドボール回収に専念させた方が良かったかもしれません。更に、5-4ブロックで前1人のコスタリカに対し3枚(主に吉田,板倉,長友)を残すのは流石に後ろ向きすぎるので、フルバックに関してはもっと大外に開かせてコスタリカの守備を間延びさせる必要もあったでしょう。

 

何はともあれ45分をただ浪費した日本はHT明けに浅野🔁上田,伊藤洋輝🔁長友と2枚のカードを切りますが、正直この交代が私には分からない。得点を取りに行こうというのではなく、この時点でもまだ"このまま引き分けでもいい"という意思が強かった事は渦中に巻き込まれる事になった伊藤選手のコメントにもハッキリと表れている。

 

62分の交代は三笘🔁山根、ハッキリ言って投入が遅い。更に右サイドで相手を密集させつつサイドチェンジ、或いはアンダーラップで相手を押し下げるようなサポートの動きも少なく、三笘に1on1を仕掛けさせる機会が少なかったのも宝の持ち腐れ。67分には堂安に変えて伊東を入れたが、この交代も大外を使いたい選手を被らせてしまう最悪の判断で、イナズマ純也は持ち味のスピードを活かすことが出来ず相手を背負うプレーが多くなった。両ワイドに突破力の高い選手を抱えているのであれば、フランス代表(左エンバペ,右デンベレ)のように変な小細工をせずにそのストロングポイントでシンプルにぶつかっていくのが相手にとっても嫌な攻撃である筈。

 

 失点シーンに関してはもう議論し尽されていると思うので詳しい言及は省きますが、吉田の半端なキックと、コスタリカに奪われた後に権田がポジショニング修正を怠った2つの点が主な原因。コスタリカは試合を通じてボックス内でのボールタッチが2回しか無かったので、そのような試合を落としてしまったのは0-1というスコア以上に選手のメンタル面へのダメージが大きいのでは。

 

何のために大幅な選手の入れ替えをしたのか、得点を奪う為という積極性ではなく休養を与えたいという後ろ向きが理由だった時点でこの結果は決まっていたのかもしれない。能動的に攻めていく試合で苦戦するのは現体制を通しての問題でもあったが……

 

 

ベルギー vs モロッコ

 

共に右サイドが可変でフルバック縦スライド、左はバランスという対決になったテクニカルなチーム同士の対戦は序盤こそベルギーが押し込む展開でしたが、個々の運動量、特にトランジションで勝るモロッコが徐々に握り、ナイフ・アゲールからの斜めのロングボールやスクエアパスで両ワイドにアタッキングサードでのチャンスが増えていった。

 

ロッコのセットプレーは徹底的にニアへの縦回転キックを入れてGKの前に1人妨害に入る(主にサイス)形を繰り返し、オフサイドで取り消された前半ATのツィエクのキックがその後の伏線になっていました。

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ロッコとしては多少危険な失い方をしてもアムラバトが中盤で悉くボールを奪い返し、そこを抜かれてもアゲールのカバーリングで防ぐ、といったように無理が効く選手が多く、逆にそれがアマドゥ・オナナくらいな赤い悪魔は50:50のボールで負けるシーンが非常に目立った。

 そして73分には左サイド深い位置からのFKでまたしてもGKに向かう鋭いボールにサイスが視界を遮るようなポジショニングでクルトワにチャンスを与えず先制。

 

終盤、復帰明けのルカクを投入し前線へのハイボールを増やし同点ゴールを狙うベルギーでしたが、ATのモロッコはGKのロングフィードに競り勝ったHamdallah→Aboukhlal→ツィエクと縦にボールを繋いで最後はAboukhlalのニア上を抜くシュートで追加点。試合後には内紛の一報も出たように明らかに悪い方向にチームが傾く赤い悪魔はグループステージ敗退の恐れが強くなった。

 

 

クロアチア vs カナダ

 

落ち着く間もない鮮烈なカウンターで幸先よくリードを奪ったカナダ

 

2~3枚を前線に残し、5バックのコンパクトな守備陣形と奪ってからの縦に速いカウンターでクロアチアを混乱に陥れていたが、前回大会準優勝チームは慌てる事無く丁寧にボールを繋いでいき主導権を奪い返す。26分にはモドリッチのアウトサイドパスで右サイドの密集を突破し、カウンター気味のダイレクトプレーからクラマリッチがネットを揺らすもオフサイド

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36分のクロアチア、CK後のルーズボールを回収し押し込んだ状態でペリシッチの横パスに抜け出したクラマリッチが冷静にGKの身体の横を抜いて1-1。あえてボックスの角に立ち止まってマーカーを外を意識させたペリシッチのポジショニングは見ている側にスローの流れからボックス内を崩す際の有効なヒントを与えてくれた。

 

更に44分、ライン際の選手とのワンツーで右のハーフスペースを一気に突破したユラノビッチは股を抜いてリヴァヤにラストパスを送り、国内リーグの前シーズン得点王は太もも全体を使った押し出すようなキックでニアを抜いて勝ち越し。

 

後半にも2点を加えたヴァトレニ(クロアチア代表の愛称)。3点目のクラマリッチのトラップは敢えて大きいフォロースルーを取る事でダイレクトシュートを意識させ、その後の左足キックを通しやすくする見事なフェイントだった。このようなプレーを易々とやって見せるクロアチアチームの平均値の高いボールコントロールは一体どこから来ているのだろうか。。。

 

 

スペイン vs ドイツ

 

試合開始から10分過ぎくらいまではスペインがドイツ陣内に押し込んでポゼッション+素早いカウンタープレスで圧倒。7分にはダニ・オルモのシュートがノイアーの手に触れてクロスバーに直撃するなど得点は時間の問題に見えたが、中盤を省略してCBからのフィードでプレス網を突破するシーンがポツポツと出始め、20分を越えた辺りからはラウムの配置を上げる等の修正で持ち前のハイラインのプレッシングが機能し始める。

 

ブスケツに対してはギュンドアンマンマーク、ペドリにもキミッヒが厳しくチェックをかけて低い位置でのプレーのみに限定。カビを捉えられないシーンは時折あったものの、全体的にはスペインの中盤をよく封じられていたと思います。攻撃面ではニャブリのボールプレーの質が低く、ほぼムシアラ頼みというのは日本戦と同じ傾向。

 

39分のドイツは右サイドアタッキングサードで得たFKからリュディガーがネットを揺らしたものの、クロスが入った瞬間オフサイドラインを飛び出ていた為ゴールは認められず前半はゴールレス。7割近いポゼッションを記録した割にチャンスそれほど多くなかったラ・ロハは54分と早めのタイミングでフェランに変えてモラタ投入。

 

すると62分、ギュンドアンのスライドが一瞬遅れてロドリ→ブスケツの縦パスが通ると、ブスケツ→オルモ→ジョルディ・アルバと斜め前にボールを繋いで最後はアルバのグラウンダーをニアでモラタが合わせてスペインが先制。モラタに完全に背後を取られ、その後前に入られたズーレは要反省だろう。

 

70分のドイツは一気に3枚のカードを切ってサネ(out:ギュンドアン),フュルクルク(out:ミュラー),クロスターマン(out:ケーラー)とより攻撃的なラインナップに陣容を変え、ムシアラを真ん中、ニャブリを左へ。怪我明けのサネは当初非常に動きが重いように見えたが、10分ほど経ったころにはピッチ上で最も脅威な選手に。

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83分、ラポルテの中途半端なパスをスペイン陣内でクロスターマンがカットすると、一気にスピードを上げてボックス内に侵入し最後はフュルクルク。

レベルが上がれば上がる程1回のミスが命取りになるという事を強く印象付ける同点弾でドイツは首の皮一枚繋がる勝ち点1を獲得した。

 

 やはりスペイン封じにはブスケツマンマーク+ペドリにもプレッシャーを与え続ける事が最低限必要な条件で、尚且つ迂回回路としてCBに起用するロドリに対しても時間的余裕を与えすぎないようにしなければいけない。ポゼッションの完成度は非常に高い一方でCB+ブスケツの機動力には隙もあるので、3戦目に対戦する日本としてはボールを奪った後の早めのロブパス、そして左右に振ってからの斜めのドリブルを重視したい。これらは丁度森保ジャパンの得意分野でもある。

 

 

【 #WorldCup 】Day7、GL突破第一号は圧倒的な個の力を顕示したレ・ブルー

 

 

 

 

チュニジア vs オーストラリア

 

3CB+WBのチュニジアに対しサイドにボールを集める正攻法で挑むオーストラリア。23分、自陣ボックス内でGKからパスを受けたサウターが前線へフィード、このボールをデュークがワンタッチでサポートに入る選手に落とし、そのまま前線に駆け上がるとグッドウィンのクロスがディフレクションしてバックスピンのかかったボールをファーに流し込んで先制。前線からのプレッシングを厭わずハードワークを続けていたデュークだが、目に見える結果が生まれた事で本人にもJ2リーグにとっても自信に繋がる価値のあるゴールとなった。

 

チュニジアはダイレクトプレーからムサクニが前を向いた状態でボールを受けると高確率でシュートチャンスまで結びつくが、オーストラリア守備陣の粘りもあって1点が遠く痛恨の敗戦。まだ突破の可能性は残っているが、最終節はフランスとのゲームなので非常に厳しい状況。

 

 

ポーランド vs サウジアラビア

 

初戦とは組み合わせを変え、攻撃で最も可能性の高いジエリンスキ-レヴァンドフスキの距離を近づけたポーランド。中央に配置を固めた4-2-2-2をベースに、大外はキャッシュとベレジンスキの縦スライドでカバーするような形だが、トランジションの際にはその後ろにある広大なスペースがピンチの種にも。

 

39分、シュチェスニーのフィードをウイング位置でキャッシュが受けてダイレクトで前にボールを蹴ると、これを収めたフランコフスキからリターンを貰いボックス内に侵入したリダイレクトで中に返球、レヴァンドフスキはGKのポジションを見てシュートではなくキープを選択。ライン上でボールをキープすると、折り返しにジエリンスキが詰めて先制ポーランド

 

サウジアラビアもカンノのキープや後方からの攻撃参加、または左サイドからの3,4人のユニットでゴールを狙うが守護神シュチェスニーが悉くこれを防ぎ、PKですらもゴールに至らない。

 

そして、遂に82分にはレヴァンドフスキのワールドカップ初ゴールが生まれた。

 

サウジアラビアDMのカンノ。個人的には今大会ここまでの最大のサプライズ(知識不足の言いかえ)で、分類するならマティッチやパリーニャのような優秀なDeep-Lying Playmaker。ヨーロッパの主要リーグでも間違いなく通用するポテンシャルを持っていると思う。

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フランス vs デンマーク

フランスは4-2-3-1で1戦目と同じく下がり目のトップ下にグリーズマン、ジルーをポスト役に両ワイドの飛びぬけたクオリティを最大限活用したい意図、デンマークは3-4-2-1でチュニジア戦のスタートとは若干構成を入れ替え、バックスはスピードに不安のあるケアーをヴィクトル・ネルソンに変更。ビルドアップではホイビェアが下がり目に位置しエリクセンは中間ポジション、時折ダムスゴーとも入れ替わりながら前にいるケースが多かった。

 

サイドチェンジを活用しながら序盤のペースを握ったのはダニッシュ・ダイナマイトで、フランスはFKやCKといったボールデッドからのチャンスが多く、オープンプレーであカウンターからグリーズマンのアウトサイドパスがチャンネル(CBとCBの間)に通ったくらいで、全体の流れとしてはデンマークの方が思い通りに運べていたと思う。

 

それでも時間と共に両ワイドに高い位置でボールが入り始めゴールを脅かす場面が増えてくるが、ウパメカノのロブパスに抜け出したデンベレのクロスをエンバペがダイレクトシュートした40分の決定機は弾道を抑える事が出来ず、前半は0-0で折り返す。

 

スコアが動いたのは61分、自陣右サイドでボールを奪い返したフランスは素早く左へ展開しテオ・エルナンデスのキャリーからエンバペにスペースのある状態でボールが入る。レ・ブルーの10番はアンダーラップでチャンネルに走り込んだテオへのパスを選択し、リターンを受けると冷静に身体を開きながらボールの左下にインパクトしてGKから遠ざかる回転をかけた技ありのゴールで応えた。

 

68分のデンマークは右CKからニアへの早いボールをアンデルセンが僅かに軌道を替えてゴール前に落とすと、最後はワンバウンドした所をクリステンセンが決めて1-1。この同点弾の前からレイオフからアタッキングサードを突破したり、テオの裏にパスを入れたりと相手を押し込んでいたので、良い流れのまま追いつく事が出来たのは彼らにとって大きかった。

 

ただ、先述のキックにもあるように今大会冴えわたっているグリーズマンの左足。GKとバックスの丁度真ん中、お互いに見合ってしまう絶妙な位置へのインスイングのクロスボールでエンバペに決定機をプレゼント。フランスが2-1で試合を制しグループリーグ突破一番乗り。

 

 

アルゼンチン vs メキシコ

 

5-3-2でブロックを敷くメキシコに対しアルゼンチンはギド・ロドリゲスが中央に下がって両CBがワイド、アクーニャをウインガーの位置まで押し上げる左サイドを回転させたような可変システムでビルドアップ。

 ただ、依然として縦の距離感が遠すぎてバックスから斜めのパスを入れる事が出来ず、業を煮やしたメッシが降りて来るケースも多くメキシコが前からハメてきた際に危ない形でロストするケースが幾度も発生した。

 

メキシコの攻撃は高い位置で奪うか自陣からロサーノのスピードを活かしたショートカウンターがベース。共に勝ち点3が必要な状況も相まって序盤から球際の攻防は非常に激しく見ごたえある主導権争いが繰り広げられ、ベテランのグアルダードはハーフタイムを待たずに負傷交代。

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後半、後ろ3枚を更に広げてリチャはほぼLBのような位置取りになったアルゼンチン。ギドを下げエンツォ・フェルナンデスを投入し後ろを2枚+サポート1人に変えた所からバランスが良くなり、アタッキングサードで押し込む時間が増えた。 すると、64分にゴールまで30m弱という位置からメッシがグラウンダーの強烈なミドルシュートゴールマウス右下に沈めるゴラッソが生まれ1-0。

 

更に87分のアルゼンチンは左からのCKのチャンスに、ショートリスタートからのサインプレーでボックス角からゴール方向に侵入したエンツォ・フェルナンデスのコントロールカーブが決まって2点目。

 

メキシコとしては、中盤3枚の横スライドが疲労と共に追いつかなくなっていったのが敗因で、結果的にはアルゼンチンが3枚をカードを切った辺りで思い切って後ろの枚数を減らした方が良かったかもしれない。

 

 

【 #WorldCup 】Day6、一転して苦戦する欧州勢

 

 

 

 

ウェールズ vs イラン

 

イランはCBの間にDMのエザトラヒが下がってビルドアップ補助、深い位置への侵入はウェールズWBの上がった裏にロングボールを狙い、15分にはコナー・ロバーツのサイドチェンジをゴリザデがカットした所からカウンター発動。アズムンとの連続ワンツーで完全に崩しオープンゴールの形を作ったが惜しくもオフサイド

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イランペースで進みながらもスコアが動かなかった試合だが、アリ・カリミのロブパスにオフサイドラインギリギリで抜け出したタレミに対しヘネシーがボックス外でファウル覚悟でタックルし、これでウェールズの守護神が一発レッドで退場した事によって大きく状況が変化する。

(1つ前までプレーを振り返ると、ネコ・ウィリアムズの放り込んだボールの精度が悪かったところからカウンターが始まっている)

11 vs 10の数的優位を得たイランはアディショナルタイムにチェシミのミドルシュートが丁度ウェールズDF2人のブラインドになる形でGKの視界を遮ってネットを揺らし、更に同点を狙い前に出た所を突いて追加点、計0-2で勝ち点3獲得。ヘネシーよりもダニー・ウォードを推していた私ではあるが、このような形で彼に出番が回って欲しくは無かった。。。

 

 

カタール vs セネガル

 

タイムマシンがあったらあの瞬間に今すぐ戻りたい。カタールCBのBoualem Khoukhiはセネガルの先制点についてそう後悔しているでしょう。

 

 左サイドでボールを持つセネガルはLBのヤコブスが一列前のディアッタにボールを預けるとフリーランでカタールDF2人の意識を外に向けさせ、空いたスペース目掛けて縦にいれたディアッタのパスは通らなかったものの、足元に流れたボールを処理したKhoukhiがまさかの空振り。降って湧いた決定機をディアが冷静に沈めて前半40分過ぎにセネガル先制。

 

48分、セットプレーから2点目を奪ったセネガルだが、寧ろ後半はカタールが押している時間の方が長く、バックラインでのパスワークで頻繁にエラーも出ていたように集中力を欠いたような場面が多かったが、メンディの驚異的なセーブにも助けられリードを保つ。

 

 開催国も80分前に遂に大会初得点を途中出場モハメドムンタリが記録するが、ゴールキーパーの差が残酷なまでに大きく、正面のシュートをMeshaal Aissa Barshamがフットワークの逆を突かれた形で止められず再び2点差にされ、結局1-3で敗れている。

 勝ったとはいえ粗も多かったセネガルは統率されたエクアドルにどう対処するのか、シセ監督の真価が問われる最終節になりそう。

 

オランダ vs エクアドル

 

 共に1戦目で勝ち点3を獲得しているチーム同士の対戦はオランダが早々にガクポのミドルシュートで先制したものの、以降は常にエクアドルの良さばかりが目立つ内容。コンパクトな3-4-3でオランダがサイドにボールを動かした所を奪い時にし、WBとCMは多少の無理は全く問題ないタフな選手なので中盤の主導権を完全に握っていた。

 

エクアドルの方が1日試合間隔が長かったというのが1つのキー。オランダの先発メンバーで走行距離10.00kmを越えたのはブリント,フレンキー,ダンフリースの3名ですが、エクアドル側はインカピエ,エストゥピニャン,プレシアド,プラタ,メンデス,カイセドの6人が達成しており、スプリント回数もエクアドル511回,オランダ429回と前者が約1.2倍。

 

 平常時のクオリティではオランイェが上回っているのかもしれませんが、現代フットボールの土台である攻撃→守備,或いは守備→攻撃の切り替えにおいてハードワークを怠らなかったエクアドルの勝利に近いドローという結果はある意味当然。エースFWエネル・バレンシアが再び負傷交代してしまった事が悔やまれるが、次節ドロー以上でトーナメント進出が決まるので彼にノックアウトステージの景色を見せて欲しい。

 

 

イングランド vs アメリ

 

スリーライオンズのメンバーは初戦と同じ11人、負傷交代したマグワイアもラインナップに入っています。中盤は若干役割に変更があり、イラン戦よりも顕著にライスが下がり目,ベリンガムが一列前に吸収されるような形で実質4-1-2-3に。

 

そんなイングランドのビルドアップに対しアメリカも同数の3枚でプレッシングをかけるので、基本形は4-4-2フラットながらサイドのどちらかが前線にスライドする3-4-3でプレーする時間も長くなる。これに伴い縦の細かい位置調整が求められたアントニー・ロビンソンは試合を通じて非常に動きが俊敏で、チームとしてはスクエアパス(サイドチェンジ)から相手のスライドが完了する前にボックス内にボールを入れてイングランドゴールを脅かし、内容としては彼らの方が濃かった。

 

唯一、イングランドに可能性を感じたパターンは右のマッケニーがルーク・ショーにプレスをかけた際、内側にスペースが生まれる傾向にあったのでここをスターリングやマウントが使ってショーからの斜めの楔が入る時で、やはりイングランドのキーマンは控え不在で替えの利かない点や試合中の動きでもこのLBとみて間違いなさそう。

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オンターゲットはイングランド3、アメリカ1と少なかったがボックス内に侵入する頻度は高かったので見応えのある90分。LWが変わってからポゼッションを奪えるようになった事からも分かるように、ボールを持てるゲームになりそうな場合イングランドはグリーリッシュをスタートで使った方が良いのではないか。彼は1人で相手を押し込みつつチャンスメイク出来る選手で、スリーライオンズに欠けがちな柔らかさを提供できる貴重なアタッカー。

 

 

【 #WorldCup 】Day5、一瞬の気の緩みが試合を左右する(しかけた)

 

 

 

 

スイス vs カメルーン

 

開幕戦に滅法強く、過去4大会はフランス,スペイン,エクアドル,ブラジル相手に2勝2分け。決勝進出チームにすら勝利しているスイス代表はカメルーン代表と4-1-2-3システムのミラーゲーム。シャキリ,ジャカ,リカルド・ロドリゲス,フロイラーら中心選手達は皆91,92年世代でピークに近い状態で出場できるのはこれが最後、現サイクルの集大成ともいえる。

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アカンジやジャカが楔を狙いつつ、手数をかけていくスイスに対しカメルーンはエンベウモのスピードを活かしたショートカウンターという構図で、共にリスクを負って攻撃する事は多くなかったのでワールドカップ初戦らしい締まったゲームに。

 

ところが後半に入り48分、ジャカ→フロイラーの斜めのパスでスイッチが入ったスイスはシャキリの股を抜く右足グラウンダーのクロスにエンボロがフリーでシュートチャンスを得てあっさり先制。

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一見すると後ろを通されたエンクル(3番)の責任にも見えるが、その前の流れから考えていくとジャカ見る為に前に釣り出された後にバックラインへの帰陣が遅れたカステレット(21番)のスペースがそのまま失点シーンで使われており、同様にスイスLWのランニングに立ち遅れているファイ(19番)も非常に迂闊な守備。正しく一瞬の気の緩みが致命傷になってしまったシーン。

 ただ、これが決勝点となって勝利したスイスとしても66分のヴァルガスの近距離からの決定機をオナナのスーパーセーブに阻まれ2点目を奪えず得失点差の貯金を稼げなかった事は後々響いてくるかも。

 

ウルグアイ vs 韓国

 

クラブでは出場機会に恵まれないものの、代表チームではポジションを掴んでいるペリストリに注目して見始めたこのカード。ウルグアイも韓国も配置のバランスが悪くここまでで最も眠気を誘うような前半で、数少ないボックス内への侵入もフィニッシュ精度の問題で得点に結びつけられない。前半でハイライト映えしそうなのはCKからゴディンのヘディングシュートがポスト直撃くらいだろう。

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そのゴディンとヒメネスのCBユニットはディフェンス面の信頼感は高いが、ボール保持時のクオリティは物足りないのでセントラルMFが降りてサポートするのは今後必須。顔ぶれだけなら豪華なのだが、実際には全く機能していないのでDF-MFライン間でボールを受けて次に繋げるような選手が欲しい。ペリストリはもう少し横や斜めの動きを使えるようにならないとユナイテッドで試合に出る事は難しいというのが率直な感想。

 

今のところ酷評しかしていませんが、バルベルデのミドルは中々見ごたえがあった。

 

韓国はこのエンジンのかかっていないウルグアイから勝ち点1しか取れなかったのが現体制の限界を示しているような気がしてならない。ソンやキム・ミンジェといった超A級のタレントがいるだけに何とも言い難い勿体なさを感じるチーム。

 

 

ポルトガル vs ガーナ

 

ポルトガル試合前の予想システムは4-1-3-2、実際の動きはかなりフレキシブルだったので表現に悩む所ですが、ネベスが底に入ってフェリックスが左、ブルーノとベルナルドはビルドアップにも顔を出しながら前者がやや前目で右に張る事が多かったので、FIFA Trainning Centreに倣って4-1-2-3とします。

 

まず第一に気がかりなのはフルバックのバランスの悪さ。欧州予選では左ゲレイロ右カンセロでも守備面の脆さが試される場面が少なかったが、このレベルの国際大会になると同時起用はあまりにリスキーで、それを補う程の攻撃貢献もサントスのチームでは見られないので、このガーナ戦でも致命的な軽さが目立ったカンセロをクラブで評価を伸ばすダロトに入れ替える方が得策でしょう。

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そして、No.10に回った途端立て続けに2ゴールをアシストしたように、今のチームを最も優勝に近づけさせるのは4-2-3-1FCブルーノなので、彼との親和性の高いラファ・レオンやパリーニャの序列を上げて欲しいというのがファンとしての心理。

 このフェリックスへのパスにも見られるようにクラブよりもスペースの空きやすいインターナショナルマッチならばより尚更。

 

終盤、ポルトガル代表チームを良く見ている方なら薄々感づいているかもしれませんが、Seleção das Quinasの長年の課題である詰めの甘さからガーナに1点差に迫られ、更にディオゴ・コスタのらしくないボーンヘッドで同点に追いつかれる寸前という所まで行きましたが、イニャキ・ウィリアムズがスリップするという天運に助けられて何とか勝ち点3を獲得。

 

ライン間の距離が開きがちなポルトガルの守備網を切り裂いたモハメド・クドゥスはこの試合で最も評価を上げた選手かもしれません。

 

そして、クリスティアーノ・ロナウドに関しては純粋なプレー面のみで言えば完全に異物のような状態で、ポストプレーやチャンスメイクも出来て守備意識の高いアンドレ・シウバの方が良いのは間違いない。それを超越するリーダーシップを発揮してくれるというならば話は別だが、精神面で明らかにこれまでとは違う一面を見せている今のクリスティアーノにそれが出来るのだろうか……

 

 

ブラジル vs セルビア

 

第1節屈指の好カードはブラジルがペースを握り、ピッチ左半分で自由に動き回るネイマールはボールに触れずとも自然とマークを誘導する事になるので、LWのヴィニシウスがそのスペースを活用するという形でチャンスを生む。

 3バックのセルビアは左のセントラルMFグデリがビルドアップのサポートに入りブラジルのファーストプレスには然程苦労しなかったものの、後ろ比重になっているので前半は相手のエラー絡み以外で中々深い位置に侵入する事が出来なかった。

 

大人しい最初の45分が一転、後半は開始直後から高い位置のプレッシングでGKのパスを奪ったラフィーニャの決定機に始まりセレソンのチャンスが続く。60分のアレックス・サンドロのロングシュートは地を這うような弾道で真っすぐ飛んでいき左ポスト直撃。

 

先制点はネイマールの仕掛けから。

ボールに触れず反転ターンでマークを交わしボックス内に侵入すると、ボールタッチが長くなったところを横からヴィニシウスがダイレクトシュート。こぼれ球にリシャルリソンが詰めて無人ゴールマウスにボールに到達。

 

更にヴィニシウスのアウトサイドクロスからリシャルリソンのアクロバティックなボレーが決まって2-0。勿論シュートは完璧なのですが、この得点に関してはドリブルのボールタッチのタイミングで自然に右足アウトで正確なパスを送ったヴィニシウスに称賛を送りたい。モドリッチ,ブルーノ,デ・ブライネとアウトサイドキックを自在に操れる事が一流のプレイメイカーの必須条件だと個人的には考えているので、野球における"逆シングル"のように日本の育成年代で嫌われがちなこの蹴り方にもっとフォーカスして欲しい気持ちは前々から抱いています。

 

終盤、ピッチに座り込んで途中交代したネイマールの足首は赤く腫れており、グループステージ残り2戦は欠場する見込みとのこと。ボールプレーの巧みな選手は多数いるブラジルですが、流石に彼の代わりになる選手は世界中探しても何処にもいない。