いろ覇のFM新参者~フットボールの虜

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football managerというシミュレーションゲームであれこれやっていきます。気付いたらユナイテッドの事ばかり書いてます

EURO落選で加速する移籍の噂

 

 

 

ブランスウェイト落選の謎

 

6月6日、イングランド代表はラージリスト33人からEURO2024本大会の登録メンバー上限となる26名にスカッドを縮小した最終的なリストを発表した。

 

なお、削減された7名は以下の通り

  • ジェームズ・トラッフォード
  • ハリー・マグワイア
  • ジャラッド・ブランスウェイト
  • ジャレル・クアンサ
  • カーティス・ジョーンズ
  • ジェームズ・マディソン
  • ジャック・グリーリッシュ

 

最終リストの面々をポジション別に見ていくと

 GK:3,DF:8,MF:6,FW:9となっており、アーノルド、ベリンガム、パルマー、エゼ辺りは実際の登録とは異なるポジションで起用される可能性もあるため参考程度ではあるが、4バックベースのスリーライオンズにおいてDFの人数にやや心許なさを覚える方は私を含めてかなりの割合で存在するのではないか。

 

とりわけ、ラージリストの段階で代表常連だったチルウェルが怪我の影響もあって選外な上、唯一の本職であるルーク・ショーはシーズン中の公式戦復帰がないまま見切り発車でメンバー入りと層と質の両面で不安を抱えるLB事情も踏まえると、左利きで身体能力も高いブランスウェイトは絶対的に今の代表に必要な選手であったように見えてならない。

 

まだ少し(選出には)早いと理由を語ったサウスゲートの胸中を知る由は無いが、この決定が純粋な戦力構想の範囲に留まらない理由にも影響を受けている場合を想定し、次項では所属クラブの状況などと合わせて移籍に関して考えていく。

 

 

PSR遵守の為に放出時のバリューが高まるアカデミー出身選手たち

 

エバートンとフォレストは既に2023/2024シーズン中に過去3シーズンのPSR(Profit and Sustainability Rules:収益性と持続可能性に関する規則)違反によって勝ち点減点の処分を食らっているが、21/22~23/24期間中のPSR違反については既出2クラブ以外にもレスター,アストン・ヴィラ,ニューカッスル,チェルシーがその対象に入っていると報道されている。

 

PSRで定められている財政損失については

 3年間で最大1億500万ポンドまでという上限が設けられており、この上限を1億3500万ポンドまで引き上げて欲しいとプレミアリーグに要望したアストン・ヴィラの提案が年次総会で否決された事は直近のトピックス。

 

ポイントとしては支出ではなく財政損失が3年間で1億500万ポンド或いは一年辺り3500万ポンドなので、ヴィランズやマグパイズのようなBIG6の牙城を崩そうとする新興勢力は「マン・ユナイテッド,リバプール,アーセナルのような歴史のあるメガクラブが最初から有利なポジションについている」としてこの制度については極めて批判的な態度を崩さない。

 

財政損失を改善させる一番手っ取り早い手段は人材の売却で得られる移籍金収益であり、帳簿上ではフットボール選手は無形固定資産として扱われるので、市場価値が高くなおかつ加入からの年数が経過しているorアカデミー出身でそもそも取得原価を0として計算出来る選手がより即効性の高い薬となるのだ。

減価償却について

最もよく使われる定額法では〈 (取得原価-残存価額)/耐用年数 〉で計算するが、無形固定資産に分類されるフットボール選手の移籍金支出の場合は残存価額をゼロとして計算され、耐用年数=契約年数となる。つまり、同じ€100Mの移籍金だとしても契約年数が4年なら€25M、10年ならば€10Mと契約期間が長くなればなるほど1年辺りの減価償却費は低く抑えられる

 

ヨーロッパのコンペティションや主要国のトップフライトでは自国出身やクラブアカデミー出身選手を一定数以上スカッドに加える事を半強制するようなルールが存在するが、それだけではなく金銭面でもユース育ちを積極的に登用すれば財政バランスを考える上で有利に立ち回れる。

 

 

一方、帳簿上のつじつまを合わせる為に選手の移籍金をなるべく高く吊り上げようとした事で裏目に出たパターンも存在する。

 

先程名前を出したフォレストのケースでは、下部組織出身のブレナン・ジョンソンを2023年9月にトッテナムに4750万ポンドの移籍金で売却したが、7月1日から翌年6月30日までが基本である年度会計の範囲からは大きく外れており、クラブ側は"PSRに敬意を払い、期間が過ぎた後もブレナンを確実に売却する為の措置を講じた"としてPSR違反による勝ち点減点がプロフットボールの実情に沿わぬ機械的判断だと憤りを示したものの、結局勝ち点4の剥奪が決まった。

 

結果としては勝ち点減が降格に結びつく事は無かったが、仮にスパーズよりも早い段階で3000万ポンドの移籍金で入札を行ったとされるブレントフォードと23年6月中に取引を完了させていればそもそも処分の対象外だった可能性が推測されている。

 

つまり、エバートン,フォレスト,アストン・ヴィラ,レスター,ニューカッスル,チェルシーの6クラブは6月中にまとまった移籍金収入を求めているので、これらが放出側で関与する移籍交渉では獲得を試みる側が主導権を握りやすいということ。

 

先んじてチェルシーはフラムとの契約が6月いっぱいで満了するトシン・アダラバイヨの獲得を発表したが、これこそ正にPSRを念頭に置いた取引そのものであり、これによってユース出身かつ余剰戦力となるトレバー・チャロバーを一定の金額で放出するところまでが1つの流れであると私は考えている。

 

 

ブランスウェイト獲得を狙うクラブ

 

高額な移籍金を彼に支払う価値があると考えていて、尚且つ6月中に取引を纏められる自信があるクラブはそう多くないだろう。メディアの報道を見ると盛んに名前が出ているのはサー・ジム・ラトクリフ体制で初のマーケットとなるマンチェスター・ユナイテッド

 

オフシーズンのユナイテッドは困った時に取りあえず名前を挙げておけという扱いなので信用し切る事は出来ないものの、エバートンが本拠を置くリバプール最大の地元紙でもこの話題は概ね事実だと報道されているので、少なくともCBの有力な補強候補の1人として水面下で何らかの交渉があるのは確かだろう。

 

Liverpool Echoが指摘する通り、マン・シティやスパーズは左利きの即戦力デイフェンダーを昨夏のマーケットで確保しており、CBの層自体も今すぐ年間予算の大半を投じて1人の選手を獲得しに行くほど困ってはいない。一方の赤い悪魔は万全ならばという条件付きで唯一リチャ・マルティネスが信頼に値する戦力で、ヴァランの退団もあってそもそも頭数自体も足りていない上に、LBも先述したショーが年間を通して離脱せず戦えるはずもなく、クロスを弾き返せる絶対的な高さ+サイドでの走力勝負もどんと来いというブランスウェイトのスペックの高さはあまりにも魅力的だ。

 

個人的な偏見が混じる事を予めお詫びするが、エバートンもユナイテッドも基本的に交渉下手でカモにされる側のチームなのでスムーズに話が進むのかは非常に怪しいところであり、普通に考えれば互いにとって納得のいく着地点を見つけられないまま終わる未来の方が想像しやすい。

 

しかし、彼かアマドゥ・オナナでなるべく早くまとまった金額を得てPSR違反を避けたいエバートン、新体制として目に見える成果をサポーターに見せて支持を固めたいユナイテッドの両クラブ上層部の狙いはガッチリとかみ合っている為、日々流れてくる噂に踊らされながらどのような結末を迎えるのか見守っていく事にした。